メタボは腹回りでは決まらないらしい
08年に賑々しく始まったメタボ健診だが、やってみた結果は、どうやら腹回りでは決められないとうことになりそうだ。
毎日新聞(2/10)から、《 》内は私見。
メタボリックシンドローム(内蔵脂肪症候群)対策として実施している特定健診・保健指導(メタボ健診)で使う腹囲の基準について、厚生労働省研究班は9日、国内3万人を超えるデータを解析した結果、「最適な値を求めることは困難」とする最終報告を発表した。腹囲が大きいほど発症者は増えたため、研究班は引き続き基準に使うことを提言したが、「線引き」の根拠が大きく揺らいだことで、制度の見直しを求める声が高まりそうだ。
《もともと腹囲が基準にならないことは国内の多くや海外の専門家の指摘するところだった。(「メタボリック症候群、腹囲は基準にならず 08/08」)それを強引に実施に踏み切ったことからは、いずれどこかで訂正が入ることは予測できることであった。》
現在は腹囲が男性85センチ、女性90センチ以上で、血圧、血糖値、血中脂肪の検査値のうち二つ以上基準を超えると、メタボと診断される。メタボは腹部に内蔵脂肪が溜まると、心血管疾患を発症しやすいという考え方に基づき、08年度から全国の健診に取り入れられた。
研究班は、地域住民を対象に実施している全国の12の追跡調査を総合的に解析した。40〜74歳の男女約3万1000人の腹囲と心血管疾患の発症状況を分析したところ、
男性 女性
80センチ以上がそれ未満の1・48倍 1・75倍
85センチ以上 1・56倍 1・79倍
90センチ以上 1・70倍 1・62倍
と、いずれも腹囲が大きい方が発症割合も高かった。しかし、どの数値で区切っても発症者の割合はほぼ変わらず、危険性の高い集団を選び出すのに最適な数値は算出できなかった。
門脇孝・東京大教授は「腹囲が増加するほど発症の危険性が高まっており、腹囲の重要性は示された。数値については、医療にかける予算や人材が豊富にあれば小さめに、限られていれば大きめに設定するなど、政策的に決める事項と考える」と話す。
【解説】
腹囲を診断基準の必須項目としているのは、日本だけだ。この分野で大きな影響力を持つ学術団体「米国コレステロール教育プログラム」と「国債糖尿病連合」は昨年10月、腹囲を必須項目とせず、他の血圧や血糖値などの検査項目と同列に扱う統一基準を発表した。
今回の研究班の報告は、「発症の危険性が高い集団を絞り込む腹囲の数値は出せないが、腹囲検査は有用」という玉虫色の結論になった。腹囲にこだわる理由を研究班の門脇教授は「日本には、腹部の内蔵脂肪がメタボの主因であるとする数多くの研究成果がある。診断基準を定めた内科8学会も、腹囲を必須とすることで合意している」と説明する。
《おのれの学説に都合のいい仲間集団の数を多く集めるものが主流であるかのような風潮は、医学だけに限らない。》
一方、大櫛陽一・東海大教授(医療統計学)は「腹囲の最適値が示せないとの結果は、病気の危険性のある人を見つけ出す項目として意味がないということだ」と指摘する。「科学的に効果が判断できないん施策を実施することは税金の無駄遣い、その検診結果に基づいて医療機関を利用することも無駄な医療といえる」と批判する。
今回の結果を受け、関係学会は腹囲の基準値の再検討を始めるとみられる。腹囲を必須項目とする日本独自の基準の是非を含め、抜本的な見直し作業が求められる。
《腹囲が必須項目となる基準が日本独自のものであっても間違っているとはいえないだろう。それにはなぜ、日本人の基準値に腹囲が必須なのか、棲息している国の地域特性なのか、黄色人種の特性なのか、食べ物のせいか、先祖伝来のDNAなのか他に要因があるのか、などが説明、証明できればいいことだ。》
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