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2010年2月22日 (月)

褒めるか、叱るか

 毎日新聞(2/19)(「論説ノート」中村秀明)から、
 「ほめる」がブームのようだ。少し前のNHK「クローズアップ現代」が伝えていた。
 景気の低迷などで職場や家庭が重苦しい空気に包まれる中、褒めることを通じて組織の風通しを良くし、働く力や生きる力を見出そうとする動きだ。褒めるための研修や「ほめ言葉」を集めた冊子、ほめる覆面調査による人材育成などが注目を集めているのだという。

《職場におけるほめ言葉が、職場の風通しを良くするとは随分と甘い感覚だ。現在の幼児教育が盛んに褒めることを推奨しているが、それを大人対象にまで拡散しようということか。褒めて育てる幼児教育の失敗事例は、世の中に溢れるほど蔓延している。叱られたことがなく成長した人間の増長慢は、非協力でわがまま、自分勝手だ。半面、少しのことで挫折をし、やる気を失うことになる。しかし、褒める、叱るは二者択一の方法論ではないはずだ。》

 対峙と言えるのが「丁稚(でっち)のすすめ」(幻冬社)を書いた秋山利輝だろう。「私は30年ほめたことがない」と語る。

 経営する秋山木工(横浜市)は、入社したら男女を問わず一度は丸坊主になる。4年間の住み込み期間は携帯も親との面会も禁止、連絡手段は手紙だけだ。秋山は自らが「時代錯誤の徒弟制度」と認めるほどだが、「一人前の職人でなく、一流のできた職人、スターを育てようとしているのだから当たり前ですよ」と動じない。

《単なるベテランを育てるだけなら、年期を勤めればすむ。仕事は人間がやることを考えれば人となりを育てなければ良い結果は生まれない。「仕事」とは何のためにするものかを考えることができる人間を育てるのが、企業の人材育成だ。がんばれがんばれでする仕事には限界がある。》

 ほめて伸ばすのはだめなのかを問うと、「できたら褒めたいが、人間ができていない私は本気で褒めることができない。でも、本気になって怒ることはできます」と答えた。作業場で丁稚たちを紹介しながら、こちらがヒヤヒヤするような厳しい言葉が飛び出す。

 その姿を見て気づいた。褒めるのも叱るのも、実はよく似ている。日頃から相手をよく見て、気持ちを読み取っていなければ、褒めることも、ましてや本気で叱ることはできないのだ。

《親の子育てに、愛情があるから叱ることができる、というのがある。しかし、最近の親には当てはまらないようだ。叱った結果は虐待であったり殺人にまでなる事件が起きている。また、職場では、褒められ、甘やかされるだけで叱られたことのない成人たちが、仕事することに我慢もできずにさっさと職場を去って行く。「仕事」とは何かを考えることもなく、「自分」を見つめ直すこともなく。》

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