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2009年12月22日 (火)

土浦9人殺傷、金川被告に死刑

 毎日新聞(12/18、19)から、要約と 《 》内は私見。
 茨城県土浦市のJR荒川沖駅通り魔事件と別の殺人事件で殺人.殺人未遂罪などに問われた同市中村東3、無職、金川真人被告(26)に対し、水戸地裁は18日、求刑通り死刑を言い渡した。鈴嶋晋一裁判長は主文を後回しにして判決理由から朗読を始め、「犯行は人格障害によるもので、行為の是非の弁別性、行動制御能力には影響していない。完全な責任能力がある」と認定。さらに「極めて残忍な犯行であり、死刑願望を満たすという動機は強く非難されなければならない。刑を減軽する事情にはならない」と指摘した。弁護側は控訴したが、金川被告は判決前の取材に「(控訴された場合は)取り下げる」と答えている。

 判決によると、金川被告は08年3月19日午前9時15分ごろ、土浦市中村南5、無職、三浦芳一(当時72歳)方で、三浦さんを文化包丁(刃渡り約18センチ)で刺殺。殺人容疑で指名手配中の同月23日午前11時5分ごろ、同市のJR荒川沖駅改札口南側通路などで男女8人の首などを文化包丁とサバイバルナイフ(同約21センチ)で切りつけ、男女7人に重軽傷を負わせた。

 金川被告は6月3日の第3回公判で、動機を問われて「自殺は痛い。人にギロチンのボタンを押してもらう方が楽」「死刑になるまで殺し続ける」などと陳述した。2回実施された精神鑑定は、金川被告を自分が特別な存在と空想する「自己愛性人格障害」と診断し「責任能力に問題ない」とした。

 検察側は論告で「厚生の可能性は皆無」と死刑を求刑。弁護側は「心身耗弱だった疑い」と主張し「死刑願望がなくなれば厚生の可能性もある。完全責任能力があったとしても無期懲役が相当だ」と死刑回避を求めていた。

《弁護側が控訴したが、単なる法廷のしきたりに過ぎない。本心から更生するとは思ってもいまい。無期とはいえ、区切りとしては10年が目安で仮出所があり、金川の言によれば繰り返し殺人を行うということで、オオカミを野に放つようなものだ。また、金川に限らず再犯の確立も高い。参照:凶悪無期事件の仮釈放について 09/10/18》。

 死刑の判決について、龍谷大法科大学院・村井敏邦教授(刑事法)は、死刑を望む人間に死刑を科すことは、国が自殺を手伝うようなものだ。死刑があるがゆえに凶悪犯罪を招くことになり、死刑制度は大きな矛盾を抱えてしまう。刑罰には犯罪に対する応報という意味もあるが、実際には教育して社会に復帰させることが重要な目的。死刑になりたいという被告の言い分を認めず、生きなければいけない権利と義務があることを認識させることが重要だ、と話す。

《教授のいうように、金川被告を教育して社会に復帰させることが可能だろうか。性善説の理想論を説いて、人を殺してでも死刑になりたいと願う被告を悔悛させ、生きなければいけない権利と義務を理解させることができるのか。教授がいう、被告の自殺願望の手伝いをするに等しい、とは白々しい詭弁のように聞こえるのだが。》

 続いて19日にはジャーナリストの篠田博之(メディア批評の月刊誌「創」編集長の傍聴記が載った。題して「死を望む者に死刑は処罰か」。結論は、死にたいと思って人を殺す人間に死刑は処罰となりうるのか。人をさばくとはどういうことなのか。金川被告の事件も、まさにそういう問題を突きつけた気がする、と。

《何のことはない、何も言ったことになっていない。どのように問題なのか、それならば、どのようにすればいいのか、提案でもあればいいのだが、何もない。日本には死刑以上の重刑がないのが現実だ。問題があるのなら、この法制度のことを無視しては語れないはずだ。人によっては死刑よりも終身刑、というものもいる。逆に死刑廃止の国もある。それでは日本はどう考えればいいのか、「問題を突きつけた気がする」、では情けない。》

 一方、今回の死刑判決にその意義を認める人もいる。土本武司・筑波大名誉教授(刑事法)の話。
死刑には多くの人が最も科せられたくない刑罰としての犯罪予防機能がある。刑罰は国家の制度であり一犯罪者のために存在するのではない。凶悪な罪を犯した者が社会から永遠に排除されることを多くの国民が望んでおり、自ら死刑を求める特異な被告に対しても死刑制度の存在意義はある。そもそも「死刑は自殺よりも楽」といえるのか。絞首刑では絶命するまでの間。極限的な苦痛があるはずだ、と。

《土本教授もおかしなことを言うが、多くの国民が望んでいるから死刑の存在意義があるのではないだろう。また、金川被告も死刑の方法を、「ギロチン」と言ったようだが、そのことに関しては無知のようだ。現在はマリーアントワネットの時代ではない。確かに大鉈が落ちて首をちょん切ってくれれば痛いと思うのは一瞬のことだろう。現在の日本は絞首刑だ。絞首刑では失禁などする間もあって首が飛ぶギロチンのようにはいかない。それが極限的な苦痛か無意識下かどうかはわからないが、少なくとも絶命までの数分の間は苦しむだろう。しかし、いずれにしても現行の法の下では死刑以外の判決はない。》
 

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