いつかは増税が必要に
毎日新聞(12/26)「なるほドリ」欄から、《 》内は私見。
国の借金がずいぶん増えているが、財務省によると、来年3月末時点で国と地方の長期債務(借金)の残高は約825兆円に膨らむ見通しだ。1年前に比べて50兆円以上も増える計算だが、これほどの急増は例がない。景気悪化で、赤字企業が増えて法人税などの税収(収入)が激減する一方、景気対策で支出が膨らみ、借金で賄わざるをえないからだ。
Q いつから借金体質になったのだろうか?
A 急増したのは90年代後半以降からだ。金融危機に伴う不況を乗り切ろうと公共事業を増やしたため、多額の借金が残り、当時の小渕恵三首相は自ら「世界一の借金王だ」と自嘲した。景気が回復していた04〜07年度にかけて、税収は増えたが、高齢化で医療など社会保障に金がかかり、借金が増え続ける傾向は変わらないまま、08年度から税収は減少に転じた。10年度政府予算案は、税収より借金が多くなる異例の事態となる。
Q 誰が金を貸しているの?
A 国が借金をする際に発効する国際は、ゆうちょ銀行を含む銀行が全体の4割強、保険会社が2割弱、公的年金が1割強を保有している。金融機関は《国民の》預貯金や保険料などを元手に国債を購入しているので、実質的には国民が国に貸し付けていることになる。
Q そんなに借金を増やして、返済に困らないのか?
A 国の場合、支出が収入を大幅に上回っても、最終的には増税で収入を増やし、つじつまを合わせることが可能だ、また景気が低迷していると、銀行は貸し倒れのリスクがある融資より、安全な国債に資金を使いがちなので、国は資金繰りに困ることがない。国債の9割超は国内の金融機関や個人が引き受けており、外国から返済を強制されることもない。
Q じゃあ、大丈夫?
A そうとばかりは言えない。いつかは返済のための増税が必要になり、《後の世代の》子供たちが高い税金に苦しむ懸念がある。また、借金が増えすぎると、貸す方は完済されるか心配で、高い金利を求めるようになる。国債の金利が上昇すれば、住宅ローンなどの金利も上昇することになり、私たちの負担も増えることになる。国債購入の元手になる国民の貯金も、高齢化で取り崩されれば減少する。将来も国債が安定して買われるかはわからず、借金増加に歯止めをかける必要はある。
《向こう「4年間は上げない」と明言した消費税。事業仕分けも思うようには成果は上がらず、国債で賄うことになった。姑息な思惑でたばこだけは値上がりが決まるようだが、消費税を上げないと決めたこの先の4年間、マニフェストは政権奪取のための甘い飴玉でしたと、頭を下げて消費税を上げない限り、国債、国債の乱発以外の手はないだろう。何事によらず北欧や海外の高福祉国家のデータを羨ましそうに持ち出す識者たち、比べて日本の5%という低い消費税率をどのように位置づけているのだろうか。》
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