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2009年11月17日 (火)

続・家賃滞納履歴のデータベース化

 次は、データベース化を図るべき、という政策研究大学院大教授・福井秀夫。
 
 問題の本質は、市場におけるサービス提供者と消費者の情報格差の是正にある。商品の品質について十分な開示がなされなければ、消費者はリスクを恐れて値段を下げようとする。これが限度を超えると高品質のものを作っている真面目な業者の商売が成り立たなくなる。低品質の商品が市場を席巻し、市場が縮小・消滅する可能性がある。「情報の非対称」と呼ばれる市場の失敗に類型の一つだ。

 同じことが民間賃貸住宅市場で起きている。大家や管理業者からみれば、借家人がきちんと家賃を払うのかは事前には分からない。悪質な借家人は少ないが、いったん問題が起ると退去させるのに膨大な費用と時間がかかる。大家はそのリスクに備えて家賃を上げざるを得ない。その結果、きちんと家賃を払っている借家人の負担が増え住宅福祉そのものが損なわれる。

 借家人の家賃滞納履歴を信用情報として登録し、リスクの高い人と低い人を区分すれば、低所得者でも過去に滞納がなければより安く、より広い住宅に住めるようになる。自動車保険で事故率が低いと保険料が下がるのと同じだ。

 借家人からみても大家側の情報が足りない。夜中に家賃の取り立てをしたり、無断で鍵の交換をする悪質業者が問題になっているが、規制が及ばず政府も介入できていない。情報を開示し疑心暗鬼を解いてあげれば市場の活性化につながるし、大家、借家人双方の利益になる。

 大家も借家人も自分に不利な情報を積極的に開示しようとはしない。だから、サービスや品質の情報開示は政府が担うべき重要な仕事だ。民間の自主的取り組みではなく、政府が公的な基準を作ってデータベース化を図るべきだ。

 この問題を借家人と大家の対立構造でとらえる人もいるが、家賃を滞納せざるを得ないような借家人は生活保護や公営住宅で救済すべきだ。それは大家の役割ではなく、国の責任だ。これを一緒に考えると借家人全体の福祉を損ねることになる。

《くどくどと付け加えることはない。前日の稲葉のいうことと比べると、2人のどちらに柔軟な論理性があるかわかる。同情論に偏るとどうしても直線的になり結論も一方的なものになる。》

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