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2009年11月 2日 (月)

小児の脳死臓器提供

 7月13日の参院で、脳死を一般的な人の死とする改正案が可決されてから3カ月余りが経過した。2010年から可能になる15歳未満の小児の脳死臓器の提供を行う医療機関の現場での準備は進んでいるのだろうか。

 毎日新聞(11/2)から、要約と《 》内は私見。
 全国の臓器提供を行う医療機関のうち「対応できる」と答えた施設が約4割しかなかったことが、同紙のアンケートで分かった。法改正で「脳死臓器提供数が増えると思う」と回答した施設も45%にとどまり、多くの医療現場が課題を抱え、移植の拡大を困難とみている現実が浮き彫りになった。

《初めから答えありきで碌な議論もなく、提供する側の「いのち」を軽く見、単に、死体数を増やしたいだけの医療機関、医師側の思惑はずれは最初から考えられることだった。》

 7月に改正臓器移植法が成立したのを受け、現制度の下、臓器提供を行う全国の医療機関378施設に調査用紙を郵送。9〜10月に196施設から回答があった(回答率51・9%)。

《この担当機関の関心の低さはどうなっているんだ。半分近い医療機関が回答を寄せていない。太鼓叩いて笛を吹いて「臓器が欲しい、欲しい」と叫んでいるのは一体誰だ。》

 小児の臓器提供への対応を尋ねると、「できる」が42%だった一方、「できない」「わからない」が計58%に達した。理由を複数回答で聞くと、「小児の脳死判定は難しい」は48%と最多。小児科の医師不足や、小児救急医療体制の未整備などを指摘する意見も多く、小児臓器提供の実施施設については厚生労働省などが検討している。

《脳死判定を前提にした移植法改正に、旗を振った側に現場の医師の意見や医療機関の反映がされていない実態が読み取れる。》

 親族が子どもの提供に同意するかについては、「ほとんど同意しない」が全体の62%と最も多かった。脳死の原因となる虐待の有無を見抜けるかは、ほとんど、もしくは一部見抜けない、との答えが計68%に上った。

《これも、法案成立前から医学界をはじめ指摘する声は多くあったが、拙速に可決の憂き目を見る結果になった。》

 また、今回の法改正に伴い、子どもを含む全体で「脳死からの臓器提供数が増えると思う」施設は45%。「思わない」24%、「分からない」31%だった。思わない理由(複数解答)は「脳死での臓器提供への理解が低い」が67%で最多。「『脳死は人の死』と考えない人が多い」「臓器提供に至る手続きが煩雑」がいずれも52%で続いた。

《手続きが煩雑、とはまだ本当に「死んだとは思いたくない」から、或いは「臓器提供をしたくない」ことをやんわりと言っただけで、単純に手続きだけのことではないと思うべきだろう。》

 法改正で「脳死を人の死」と定義したことへの印象を聞いたところ、「医学敵に妥当」が63%で最も多かったが、「割り切れなさを感じる」との回答も26%あった。

《医療機関にしても、小児脳死について確たる基準があるわけではない。泥棒見て縄ではないが、厚生労働省研究班が今になって小児の脳死判定基準を検討中だという。虐待対策も不十分だ。》

 また、脳死臓器提供の増加が「負担になる」と答えた施設も7割に達している。アンケートから浮かんだ多くの課題を着実に解決しなければ、たとえ提供条件を緩和しても、簡単には移植医療は広がらないだろう。改正法の全面施行まであと8カ月余り。移植医療の大前提である「国民の信頼と理解」を得る努力と、早急な体制整備の必要性が改めて示されたといえる。

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