クロマグロ漁獲枠たった4割減ですんだ
毎日新聞(11/17)から、要約と 《 》内は私見。
「大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT)」の年次会合は15日、10年の地中海を含む東大西洋でのクロマグロ漁獲枠を、08年比で、38・6%削減して1万3500トンとすることで合意した。背景にはクロマグロ保護を求める声の高まりがある。消費低迷で大量の在庫*をかかえる日本には、ただちに価格急騰などの影響はなさそうだが、漁獲規制強化の流れが続けば、中長期的には価格上昇は避けられない。ICCATの漁獲規制を不十分として、絶滅の恐れがある野生生物を保護するワシントン条約の適用を求める意見も欧米諸国には根強く、来年3月の同条約締約国会議が次の焦点になりそうだ。
*「大量の在庫」ー 東京・築地の鮮魚卸大手「中央魚類」の松山次郎マグロ部長は「現在の在庫は1年から2年半の消費量に相当する。すぐに価格が急騰する可能性は低い」と見る一方で、中長期的には「漁獲枠削減の影響で、徐々に値上がりすることはありうる」とも指摘する。
《大量の在庫をかかえる現状を、消費の低迷としてだけで捉えているようだが、もともと売れるだけ売ろうとの魂胆から、乱獲を続けてきたことも要因の一つだろう。欧米の批判を浴びる要因はそんなところにあるのではないか。特にクロマグロは高級魚といわれながら、高級料亭では勿論だが、今では普通に食べることができ、言葉だけは高級だがそれほど有り難がって口にする類いのものではない。》
1万3500トンへの漁獲枠削減は、日本と欧州連合(EU)などが共同で提案したものだ。専門科で構成するICCAT科学委員会はこれまで厳しい漁獲枠削減を求めてきており、昨年は「1万5000トン以下に削減」を提示した。今回の漁獲枠はこれを大幅に下回るもので、日本は「極めて厳しい規則だ」と強調する。EUには、取引の全面禁止を求める声も根強く、「共同提案した両者の思惑は異なる」(政府関係者)のが実態だ。
欧州でマグロ漁獲規制が強まる中、モナコは今年10月、ワシントン条約を適用して大西洋クロマグロの国際的な商取引を全面禁止するよう提案した。日本が今回、EUと組んで、4割削減提案に踏み切ったのは「ワシントン条約によるクロマグロの全面禁止だけは避けたい」(同)との考えからだ。このため、漁獲枠の大幅減に加え、規制の実効性を担保するための漁期短縮や、資源状態が悪化した場合の全面禁漁という緊急措置まで盛り込んだ。
《いわゆる「妥協」することで全面禁止を逃げることに成功したのだ。》
しかし、EUにとっては「4割削減は妥協の産物。通過点に過ぎない」(関係筋)、EU諸国には「これをテコにして、同条約締約国会議で禁止を狙う」との声もくすぶり、米国も全面禁止に傾いている。日本の立場は弱く、来年3月の会議で取引禁止が決まりかねないのが実情だ。そうなれば日本国内のクロマグロ供給は半減、地中海諸国の畜養ビジネスも大打撃を受けるのは確実だ。
クロマグロだけでなく、同じ高級種のミナミマグロや比較的安価なメバチ、キハダも減少が指摘されており、マグロ類全般に対して漁獲規制強化が世界の潮流となっている。「ミナミマグロ保存委員会」は先月、10、11年の漁獲枠を09年比で2割削減することを決定。太平洋中西部を管轄する「中西部太平洋マグロ類委員会」も08年12月、同海域のメバチ漁獲枠を09年から3年かけて30%削減することを決定。自然保護団体も圧力を強めており、流れに歯止めがかかる気配はない。
《昔はトロなど、はらわたと一緒に捨てていた部位。だれかが「旨い」と言い始めた途端に店には行列が並ぶ。そして誰もが「旨い、旨い」との合唱となる。遂には高級中の高級部位にまで昇格した。ところが、その「旨い」と叫ぶ食通や味見自慢、舌自慢に味の分からない人間が多く混じっているのだ。テレビで,目隠しして安物と高級な食べ物、飲み物などの違いを当てさせる番組があった。食通で通るタレントたちが挑んでいたが、1000円クラスのワインと2、3万もするワインの違いが分からない、松坂牛とスーパーの安い肉との違いが分からないなど、まるでお粗末な舌に驚いて見ていた。クロマグロとて同じことだ。2010年版で日本・東京のミシュラン三つ星店が世界でも最多の11店(パリが10店)になったという。またまた自分の舌に自信のない連中の予約で店はウハ、ウハの状態になることだろう。日本人の舌は、他人(ひと)が「美味しい」というものだけが美味しいものなのだ。》
《だが、私は違う、私にとっての最高にうまい魚は日本海で獲れるイワシと言い切ることができる。》
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