底辺高校で「貧困」再生産
毎日新聞(11/8)から、
気になる記事が目についた。「底辺高校」とはゴミタメのような高校とでも聞こえる、差別的表現のようだが、何が底辺を形づくっているのだろうか。
貧困でさまざまな保護を受けられない子ほど、高校中退率の高いいわゆる底辺校に多く在籍し、高校が貧困層の再生産の場になっている。「ドキュメント高校中退」の著者、青砥恭(61)がこんな実情を独自の調査で裏づけた。「家庭への経済支援の充実とともに、学校に福祉の専門職を」と訴える。
埼玉県の元高校教諭で大学非常勤講師の青砥は08年夏、147ある埼玉の県立高を入試合格者の平均点で分類し、成績上位の進学校「G1」から下位校の「G5」まで5グループに分けた。04年度の新入生のうち卒業までに退学した生徒の割合は、G1=2%、G2=3%、G3=8%、G4=20%、G5=33%と、成績が下位になるほど高くなった。授業料減免を受ける生徒の割合も同じ傾向で、G5(19%)はG1(3%)の6倍以上に上った。
同年12月には、各グループから地域・学力が偏らないように選んだ47校の3年生計1200人にアンケートを実施した。「親は自分に期待しているか」という質問に「そう思わない」と答えた割合は「まったく」と「あまり」を合わせると、G1が32%だったのに対し、G4、G5では53%だった。
さらに、父親の職業に関する答えでも、高校の序列との関係がうかがえた。父親が会社員や公務員という生徒は上位校ほど多い一方、父親の職業を「知らない」と答えた生徒の割合は下位になるほど増え、親が失業や転職を繰り返し、子どもに分かりにくくなっているためとみられる。「持ち家」ではなく賃貸の住居に住む割合は、G1で1割未満だったが、G5では4割を超えた。
《親の子どもへの期待については、データの読み方に青砥氏とは異なる意味合いを読み取る。上位校の3人に1人と、下位校の2人に1人でたいして違いはない。これは親の側の現実社会の不景気の反映とみるべきで、子に期待したところで根本的には日本経済の問題とみる親を、微妙に子どもが察知していると考えられる。親の職業を「知らない」とは、たとえ親が転職を繰り返したり、失業したりしたとしても、通常あり得ないことだ。高校生にもなってG1だろうとG5だろうと、「失業中」「就職活動中」などの言葉も知らないわけはない。親と子の間のコミュニケーションの断絶を示すもので、G1ともG5の分類とも関係のないことだ。G4、G5の子どもたちを下層民の子、と貶めるような見方をするべきではない。歴史に名を残す偉人にも、貧乏人の家庭に生まれた人たちは枚挙にいとまがない。》
青砥は全国的にみて中退率の高い大阪府でも元生徒への聞き取りを実施した。その結果、多くの子が中退後に希望する仕事や条件の良い職に就けず、高卒資格の必要性を感じていることが分かったという。簡単な計算に加え歯磨などの基本的な生活習慣も知らずに育った子や、シングルマザーになった子もいたが、その多くは親が生活苦に陥り、子どもを支える能力や意欲のない家庭で育っていた。
《何でも格差社会と結びつけるのが昨今の流行のようだが、歯を磨く習慣や学習意欲など、親の怠惰までを格差というのは行き過ぎではないか。》
「教師も生活指導や事件対応などで急がし過ぎ、中退を防ぐ気力が萎えている」、「この10年間、毎年平均10万人が高校を中退している。鳩山政権が掲げる授業料の無料化だけでなく、専門職を学校に置くなど教育と福祉が連携した体制づくりや、教科書代・給食費の国庫負担化、返済不要の奨学金制度などを検討する時期だ」と青砥は提言する。
《国が税金を使って高校を無料化してくれればG4、G5の子どもたちも中退が減少するというのか。G4、G5というけれど、かれらの殆ど(約97%:2008/4 日経)が学生には全く不要な携帯を所持し、その電話代をおそらくは親が支払っている。そのような各家庭の生活を把握しないまま、金さえバラまけば対応が可能と考えるような教育施策では、なんら問題解決にはつながらない。
《納めなければならない国民年金、授業料や給食費、保育料や返済しなければならない奨学金など、払わぬが勝ちになるような現状を見過ごして、子ども救済の旗印で相殺するような施策だけは、納税者の立場からは絶対にしてほしくない。
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