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2009年11月 3日 (火)

たばこ増税論議

 毎日新聞(11/3)から、要約と《 》内は私見。
 鳩山由紀夫首相や長妻昭厚生労働相が相次いで、たばこ税引き上げに言及し、たばこ税増税の議論が高まっている。自民党政権時代の税収確保を全面に出した増税ではなく、健康への影響を配慮した課税検討が新政権の特徴だ。だが、長妻厚労相が例示した「欧州並み価格」まで引き上げると、大幅増税となり、たばこ離れが加速して税収減につながる可能性が高く、財務省は大幅増税には慎重な姿勢だ。年末の10年度税制改正に向け、調整は曲折が予想される。

《「健康への影響を配慮」は単なる隠れ蓑に過ぎない。国民の健康を税収入との駆け引きで考えているようでは、はっきり税収入を全面に出した自民党政権の方が筋が通り、いさぎよい。「本当に健康に悪いのなら、日本からたばこは閉め出すべきだ」と前にも書いた。そのために値上げが喫煙者を減らす効果があるのなら、欧州並みなどとみみっちいことを言わないで、どん、と価格を上げればいい。それで国の収入が乏しくなる分、政治家は知恵を絞ればいい。そこまで考えた値上げ論を戦わせてほしい。》

 日本のたばこ税は現在、1本当り8・7円。日本で20本入り1箱300円のたばこは英国(813円)やフランス(613円)などと比べると半額以下だ。1箱600円に引き上げれば、1本当り増税額は10円と大幅になる。

 先月8日の政府税制調査会で鳩山首相は「健康に対する負荷を踏まえた課税へ」と健康面への影響を理由にした増税を示唆した。これに対し、政府税調は「引き上げの議論はしない」(峰崎直樹副財務相)と慎重な姿勢を示してきたが、厚労省が金額を明示せずにたばこ増税を要望した30日には、首相が「環境や身体の面から見て、増税あり得べしかなと思う」と増税に前向きな発言をして、風向きが変わってきた。

 首相発言などを追い風としたいのは厚労省だ。同省によると、癌など喫煙関連8疾患のうち喫煙者にかかった医療費が年1兆3000億円、労働力の損失が年3兆6000億円と試算し、たばこ税収を大きく上回る。同省は「健康面だけで増税できる環境になった」と語る。

 一方、財務省は「これまで健康面からたばこ税を議論したことはない」と言う。巨額の国債発行に頼る中、たばこ税は安定的な税収を確保できる貴重な財源だからだ。

 《また一方では、酒税の見直しも論議されている。こちらはビールの減税なるかと、業界は期待に胸膨らませている。同じ嗜好品でもたばこは敵役だが、どちらかといえばたばこ以上に酒も健康には害がある(発癌性物質、依存性など)ことや、医療費もたばこと同じや労働意欲の減退などが分かっているが、まるで意に介さない。》

 ただ、これまでのたばこ増税は小幅にとどまった。麻生前政権下では08年末にも1本3円程度の増税議論が出たが、葉タバコ農家への影響に配慮する自民党農林族らの抵抗にあって見送られた経過がある。

 07年度のたばこ税収は国と地方で計2兆2703億円。消費税収の約1%分に相当し、国や地方の安定財源となってきた。健康志向などで、販売量は10年連続で減少しており、増税によって税収を2兆円台に確保してきた形だが、07年からは税収減が続いている。

 10年度予算の財源確保のため、一定のたばこ増税が検討される余地はあるが、財務省は「たばこ税の大幅増税で税収をこれ以上減らす事態は招きたくない」というのが本音だ。

 財務省の古本伸一郎政務官は2日、たばこの大幅増税は、たばこ事業育成を目的とした「たばこ事業法」に反すると主張。「(財務省と厚労省の)立場の違いをきちんと整理した方がいい」と慎重議論を求めた。

《「たばこ事業法」の内容は知らなかったが、法の精神から反論が出てきては、根本の法改正から取りかかる必要がありそうだ。

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