「薬の使い方」が中学の新学習要領に
およそ医者嫌いの私は、診察はおろか薬を飲むことも滅多にない。60年も70年も前の子どものころ、風邪をひいたときに調合してもらった甘ーい飲み薬が美味しかったこと、があるくらいだ。長じてから今日まで、記憶にある限りは、アスピリン以外に服用した記憶がない。はやりのペットボトルのミネラル水も、海外旅行の時だけは、腹下し予防に軟水を購入するくらいで、未だ購入したこともない。井戸水や水道水で十分だ。
誕生日まで生きるまい、と思われてこの世に生を享けたが、後2、3年で80歳に近い年齢になっている。特に身体のことでは、あれこれ心掛けないでもどこまで生きられるのか、試しているというのが本音だろうか。39度を越す熱が出ても普通に働いてきたし、慌てもしない。アスピリン(名前にピリンがついているが、ピリン系ではない)さえあれば元に戻る。私にとっては万能薬で、頭痛、風邪、腹痛、発熱、何でも治るから不思議だ。我が家には欠かせない常備薬だが、それさえもうっかりすと、期限切れになる。そう言えば、ここ15年ほどアスピリンの1粒も飲んでいない。明日にでも買い替えておかないといけない。
また、厳しい食糧難時代に成長してきた世代だが、幸い日本海が近かった。そのせいか、未だに肉は殆ど食べないし食べたいものでもない。魚も回転寿しの雰囲気が嫌いだからもっぱら今では食卓に上るのはスーパーの魚類が主だ。
確か、昨日のテレビだった。サプリメントを常用している女性に、手の震えが出て止まらなくなる異変が生じる事例を見せていた。生来の気質から、何でも薬や栄養剤に頼りたがる傾向には「バカなことを」と背を向けてきた。必要以上の痩せ願望には、サプリメントは却って悪影響の方が大きいと見ていた。そんなもので痩せることもないだろうし、お肌も逆に美肌から遠のくばかりだろうと。
医者の調合が必要な人は別として、流行を追いかけて訳も分からず服用、愛用、多用していれば、弊害が出てもおかしくない。自業自得としか言いようのない結果が現れてもくるだろう。このような風潮の中、子どものころから正しい薬の使い方を学ぶことは必要になってくるだろう。
【閑話休題】
毎日新聞(10/9)から、要約と《 》内は私見。
2012年に全面施行される中学校の新学習指導要領で、保健体育の教科に「薬の正しい使用」が盛り込まれた。自分の健康管理を適切に行う力を子どものころから身につけることが狙いだ。大人も薬について学ぶ機会は意外に少ない。
内服薬は、胃を通って腸で吸収された後、血液中に入る。それから肝臓に運ばれて一部は分解され、残りの成分が身体を巡って効果を発揮する。飲む量や回数が決まっているのは、薬の血中濃度を効果が表れる範囲内に保つためだ。飲む量が多すぎれば血中濃度が必要以上に上がってしまい、薬が効き過ぎたり副作用が生じる。決められた量や飲む時間を守ることが重要になる。
(中略)
「折角飲んでも、使い方によっては効果が弱まったり,逆に強めてしまうことがある」と話すのは東京薬科大の加藤哲太教授(薬学教育)。加藤教授は、約10年前から小中学校で「くすり教育」に取り組み、教室では簡単な実験を見せて、児童・生徒の関心を誘う。まずは試験管に水と緑茶を用意し、それぞれに同じ量の薬(鉄剤)を入れる。すると、水では変化は起きないが、緑茶では薬が黒く変色してしまう。緑茶の成分と化学反応を起こし、薬の成分が変化するためだ。
複数の薬を同時に飲む場合も、予期せぬ相互作用が表れることがあり、注意が必要だ。93年には抗癌剤を使っていた患者らが、感染症治療の抗ウイルス薬の投与により、16人が亡くなる事件があった。過渡教授は「薬の添付文書は使用説明書であり、必ず呼んでほしい。飲む回数や量のほか、併用してはいけない薬の情報なども書かれている」と強調する。
《電気製品に限らず何かを購入しても、多くの人(特に男性)は取り説には目を通さないでも写ったり、音は出る。まして細かい効能書きには最初から敬遠しがちだ。経口薬に限らない、小さな紙切れの小さな字は、高齢者が読むには骨が折れる。改善の道はないのだろうか。》
最近、注目されている健康補助食品(サプリメント)も同様だ。ハーブの一種「セント・ジョーンズ・ワート」は気管支拡張薬や強心薬などの治療効果を弱める恐れ、またビタミンKが豊富な「クロレラ」は血栓予防薬の効果を弱める恐れがある。
《このままでいけば、薬剤訴訟にもなりかねない懸念がつきまとう。副作用や併用の危険性なども含めて、製造企業の啓蒙活動は早急に取りかかるべきだ。》
東京慈恵会医大病院薬剤部の北村正樹さん(医薬品情報担当)は「新種のサプリメントは次々と誕生しているが、医薬品との相互作用などを顕彰するデータは少ないのが現状。疑問があれば医師や薬剤師に尋ねてほしい」と反している。
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