「戦闘機」部品製造メーカー20数社撤退へ
軍隊など保持しない国に、戦闘機(航空自衛隊)の部品を製造する企業が存在すること自体不思議なことだ。初めはソビエトを仮想敵国とし、共産国家解体後は仮想敵を北朝鮮に挿げ替え、北朝鮮は怖いぞ怖いぞ、と国民の猜疑心・恐怖心を煽り立て、膨大な国家予算を防衛費に注ぎ込む。そして、そこには戦前から軍需産業で財を築き上げた昔からの財閥の名前が連なっていた。
毎日新聞(10/19)から、
航空自衛隊の戦闘機F2(三菱重工業製)の部品を製造しているメーカーのうち、住友電気工業(大阪市)など20数社が戦闘機事業から撤退したり撤退を決めていることが分かった。F15の一代前の主力戦闘機で、老朽化したF4の後継となる次期主力戦闘機(FX)の選定が難航。11年のF2生産終了後は受注見通しが立たず、設備や要員の維持は難しいとの判断がある。関係者は「国防にかかわる重要な問題」と危機感を募らせている。
日本航空宇宙工業会によると、日本の戦闘機生産は三菱重工を主契約者に、下請けは約1100社。だが、燃料タンク、風防ガラス、専用タイヤなどのメーカーが、既に事業から撤退したり、撤退方針を決めている。
住友重工は、機首のレーダーを覆う円錐状の部品「レドーム」を製造する国内唯一のメーカー。製造には高い技術力と経験が要求される。F15用燃料タンクなども生産してきたが、「防衛関連の事業は高度の技術力が必要とされながら成長性に乏しく、限られた人材や生産設備は民間用に振り分けるべきだと経営判断した」(広報担当)と説明。F2の生産終了時に防衛関連航空機事業から撤退する。
【日本の戦闘機】
航空自衛隊が現在保有するのは、F4(生産終了81年)、F15(同99年)、F2(同11年予定)の3機種。60年代に導入されたF4は早期の退役が決まっており、防衛省は次期主力戦闘機(FX)を選定中。ロシア、中国が保有するロシア製スホーイ27などに対抗するため、ステルス性*が高い米国製F22、F35などが検討されている。
* ステルス性 -- 軍用機、軍艦、先頭車輛などの兵器をレーダー等のセンサー類から探知されにくくする軍事技術の総称(Wikipediaより)
FXの機種選定は大幅に遅れている。防衛省は当初、現行の中期防衛力整備計画(05〜09年度)でFX7機を契約する方針を示し、企業側はF2用の設備と要員を振り向けることを想定していた。
しかし、防衛省が最有力候補としてきたF22は米国が禁輸措置をとっており、FXの契約は10年度以降に先送りされた。大替機種として検討されているF35も開発中。工業会幹部は「先行き不透明感から撤退企業は増加傾向。国内の生産・技術基盤が失われる恐れがある」と指摘する。
一方、国内生産の戦闘機は高額との意見も根強い。生産数が限られる中、ライセンス料など初期費用がかかって割高になるためで、防衛省には「完成品を輸入してもいいのでは」との声もあるという。
《従来、日本の戦闘機は米軍機をライセンス生産してきたが、詳細な設計図を開示しない「ブラックボックス」化が進んでいるため、日本の防衛産業は先端技術に触れられず、生産や整備面での傷害になっていた。ここにきて、英・独・伊.西班牙共同開発のユーロファイター・タイフーンが、日本でのライセンス生産がしやすいように、詳細な技術情報を開示する考えを明らかにして、売り込みに参画しそうな動きがでてきた。》
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