外国人研修・実習生、過酷労働に悲鳴
毎日新聞(8/25)から、
《見出しに、「食事10分、月270時間の残業代3万円以下」とある。まるで戦前の「女工哀史」にみる資本家による労働者の搾取が横行していた時代の話のよう、いや、それ以上に苛酷な労働条件下で働かされているようだ。しかし、日本側だけの問題ではなく、母国側の募集条件が介在して安い労働力として得られる日本企業とのからくりが背景にあるようだ。》
外国人研修・技能実習制度で来日した外国人が、違法な低賃金労働や長時間残業を強いられる被害が相次いでいる。今月7日には、実習中に死亡した中国人男性の遺族が「過労死だ」と主張し、研修・実習生としては初めて労災申請。7月に成立した改正入管法は外国人の保護強化を盛り込んでいるが、支援団体は「過重労働による人権侵害はなくならない」と制度の見直しを求めている。
【外国人研修・技能実習制度】
開発途上国の人材育成を目的とし、在留できる期間は最長3年。07年末の研修・技能実習生は約17万人。政府は単純労働力として外国人を受け入れる姿勢は示しておらず、あくまで技能実習のための受入れという前提に立っている。
今年1月末、大分県由布市の縫製会社で、6人の女性中国人研修・実習生が支援団体に緊急保護された。「働き過ぎて頭が痛い」「食事時間が10分しか与えられない」。連日未明まで勤務を強いられ、1人が日本に住む親類に被害実態を打ち明けた。連絡したのが会社にばれて強制帰国させられそうになったが、公衆電話から助けを求めた。月約270時間の残業外労働に対し、残業代はわずか月1万〜3万円。通帳も会社に管理されていた。
熊本県天草市の縫製工娘で働いていた中国人元実習生の場合は、連日12時間以上働きながら、残業代は最低賃金の半分以下の時給300円。会社などを相手に未払い賃金を求めて訴訟中だ。
母国の派遣会社側にも問題がある。ある中国の派遣会社はホームページで「1年目の残業代時給300円」と違法な条件で研修栄を募集していた。
研修生の多くは来日前、母国の派遣会社に保証金を含め年収の数倍もの出国費用を支払う。費用は借金で工面し、来日後の賃金で返済する。支援者らは「返済前の途中帰国におびえて違法な労働観強に泣き寝入りするしかない」と懸念する。
昨年1年間、法務省から「不正行為があった」と認定された受入れ企業や団体数は過去最多の452。時間外作業や賃金不払いなどの労働関係法規違反が全体の6割を占めた。
財団法人・国際研修協力機構(JITCO)の調査では、研修・実習生の08年度の死者は過去最多の34人。長時間労働が原因とされる脳・心疾患が16人を占め「過労死の疑いが強い」との指定がでている。
《ここでも過去データの数字と比較するだけの調査しかしていない。政府は、死亡者の数を比較するために死人を生む体質を眺めているだけなのか。現状を眺めるだけでなく、防止、予防するために何をしてきたのか具体的な対策を示すべきではないか。》
入管法改正で、来日2年目以降の実習生しか適用されなかった労働基準法や最低賃金法などの労働観系法令が1年目から適用され、日本人と同様の雇用契約が保障されるようになる。
しかし、現状では2年目以降の実習生にも被害が及んでおり、支援団体などは実効性を疑問視する。外国人研修生問題弁護士連絡会の指宿昭一弁護士は「改正では人権侵害や過労死を防げない。小手先の見直しでごまかさず、外国人労働者の(本格的な)受入れの是非を議論すべきだ」という。
《法改正の作文なら誰にでも書ける。改正した法が、どのように遵守され、実行されているかを管理、監督する仕組みの確立を忘れてはなるまい。》
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