ネトゲ廃人
毎日新聞(6/24)から、要約と 《》内は私見。
《「ネトゲ」とはインターネットのゲームをいうらしい。何でも短縮して言葉を作ってしまう流行には、見ただけでは理解不能の言葉が多い。しかも横文字で書かれていると、昭和一桁にはちんぷんかんぷんになる。それでも「廃人」とは穏やかではない。何事かと訝しんでもおかしくはないだろう。先ずはどのような廃人なのか、記事に目を通してみた。次のようにあった。》
「寝食も忘れてインターネットのゲームにのめり込み、学校や職場に行けなくなる人たち」のことだと。
日常を逸脱するバーチャルな世界で、どう生きているのだろうか。
ある男の例だ。1ヵ月、風呂に入らなくても平気だった。大学には通わず、電話にも出ない。料金未納でガスも止められたが、不自由とは思わなかった。狭いアパートで、ベッドとパソコンの前を移動するだけ。血行が悪くなり、冬は足や手の指にしもやけができて痛かった。
神奈川県の男子大学生(22)は、地方の国立大に入学した18歳の夏休みから、ネットゲーム「ファイナルファンタジーⅪ」(FF11)に夢中になった。一人暮らしを始め、厳しい親の目がなくなったのがきっかけだった。1日4時間が10時間、20時間と延び、外の世界には関心がなくなった。食パンをかじり牛乳を飲む日々で、52キロだった体重は46キロまで落ちた。
《痩せられることにこれだけ効果があれば・・・、とは誰も思わないだろう。大学生にもなって自分を御する自制心もなく、親の目が届かないだけのことでこれほどまでに自分が壊れて行く。育児、監督責任を持たない親に育てられ、この歳になるまでに、如何に自堕落な生活を送っていたかということだ。》
FF11については省略するが、だらだらの生活で廃人同様の生活を送るようになって3年経ったある日、疲れ果て、宝探しと戦闘に明け暮れる日が楽しく思えなくなり、ログインをやめた。以来、FF11の開いたことはない。
彼には、多少の反省も生まれたようだ。「ゲームに嵌った本当の原因は自己嫌悪。第1志望の大学に挑戦しなかった自分が嫌だった。ゲームをしていれば何もかも忘れられた」。今春、実家近くの別の大学に通い始めたが、卒業後が不安だという。「膨大な時間を損した。若者が勉強もせずゲームばかりしていたら、まともな勤めはできない。ネトゲ廃人が増えたら社会の損失でしょう」と。
《いけないのは社会、との逃げ口上で済ます若者に比べれば、反省の弁が出るだけまだましだ。》
オンライン上で複数の人が同時にゲームに参加するネットゲーム。日本では02年ごろから流行し始めた。月の基本料金は千数百円程度で、無料で提供されるゲームもある。
「年代の違う人といろんな話ができて疑似家族のようになった。合うことはないので煩わしさはなく、腹を割って話せる」、中学生時代に1日10時間以上ネットゲームをしていたと話す浪人生(18)。一方、架空の世界に魂を奪われ不登校となるケースは数年前から目立ち始め、深刻化している。
「ネットゲームをやめるよう説得すると子どもから暴力を振るわれている、という相談が半年前から目立ち始めた」。不登校や引きこもりの相談に乗るNPO法人「教育研究所」(横浜市)の牟田武生理事長は話す。
「リモコンをテレビに投げつけ、食卓をひっくり返し、手に噛みつき、首を絞められることも。殺されるのではないかと思うぐらいです」。中3長男のゲーム依存に悩む母親は俯いた。
長男は昨秋からネットゲーム「メイプルストーリー」の虜になり、不登校となった。成績の良い息子に期待していた両親は焦った。今年4月、ゲームの運営会社「ネクソン」に頼み込み、ログインできないようにしたが、ひどい暴力を振るわれ、警察を呼んだ。半狂乱の長男は2階の窓から身を乗り出し「ゲームできないなら死ぬ」と叫んだ。根負けして会社に再懇願し、ゲーム環境を復活した。
《中3になってからではもう遅い、手がつけられなくて当然だ。小さい頃に躾もせず、好き勝手させて育てておいて、中学生になったからちゃんとしなさいでは、もう効き目はない。親が子育てが何かを解っていない。》
長男は日に15時間、パソコンの画面に向かう。やんちゃで表情豊かだったのに「目元がきつくなり人相が変った」と母は嘆く。「成長期の子がネット漬けになる。なぜ業界は子どもが24時間アクセスできるようにしているのか」と父親。
《どうやらこの夫婦、モンスターペアレントの典型のようだ。持たせる必要のない携帯電話を持たせ、いじめなどの被害に遭って騒ぐ連中と全く同じだ。自分の無責任な子育てで出来上がったぐうたら息子のことを棚に上げ、ゲームの提供会社を槍玉にあげてみせる。携帯の業界が一応面子の良識だけは示すフィルタリングと同じことで、それさえも関心のない親の多いことに驚く。》
- つづく -
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