殺人「時効廃止」、法制審に諮問へ
日本人の平均寿命が3年連蔵して過去最高を更新した。女性(86・05歳)は24年連続で世界1に、男性(79・29歳)は昨年の3位から4位へ。寿命ばかりが伸びたところで老人にはとても住みにくい日本だが、私(現在77歳と8ヵ月)には寿命まで余命およそ2年、まだまだ書き足りない憎まれ口がある。目が見え、指先が動く限りパソコンから離れられないだろう。
毎日新聞(7/17)から、
森英介法相は17日の閣議後の会見で、殺人など生命を奪った凶悪・重大な事件については、公訴時効の廃止が相当とする法務省内勉強会の検討結果を発表した。「国民の正義観念が変化し、国家の刑罰権に起源を設けることは適当でない」とした。法改正した場合、改正前に発生し、現在も時効が進行中の事件にも遡って適用する「遡及適用」も憲法上許されると判断したが、是非はなお慎重に検討するとした。
《丁髷(ちょんまげ)を結い、武士が刀を差していた時代、身内を殺された侍たちは敵討ちを願い出ることで恨みが晴らせた。尤も逆に返り討ちに合うことも承知のうえだが、大抵は助太刀をしてくれる人間が出てきて本望を遂げることができたようである。連鎖の逆恨みにならないために仇を討つことは許可制だったようだ。
《現代の忌わしい殺人事件を見ていると、我れを忘れて、リンチや敵討ちを復活させてもいいのではないか、とさえ思うことがある。
殺人など死刑が上限の罪については、05年の刑事訴訟法改正で公訴時効が15年から25年に延びたが、廃止となれば、明治時代の旧刑事訴訟法(1890年制定)で時効制度ができて以来、初の抜本的な見直しとなる。法務省は早ければ今秋の法制審議会(法相の諮問機関)に、刑訴法改正案などを諮問する。
検討結果では、国民の意識の中に「生命を奪った事件は他の犯罪とは質的に異なり、特別で厳正に対処すべきだという正義観念がある」と指摘。
時効制度の存在理由とされる
1)処罰感情の希薄化
2)犯人が一定期間処罰されていない「事実状態の尊重」
3)証拠の散逸
などについては、それぞれ「社会の処罰感情の希薄化という事情はもはや妥当ではない」「犯人を処罰して社会秩序の維持・回復を図ることを優越させるべきだ」「検察側に重い立証責任を負わせるが、起訴を断念するのは適当ではない」との反証を挙げて、制度の見直しの必要性を強調した。
廃止の対象は、「殺人など特に法定刑の重い重大な生命侵害犯」とし、障害致死や危険運転致死など生命にかかわる罪も「均衡上、期間の見直しを行なう必要がある」として延長を検討する。一方で、捜査体制の維持や資料保管などの問題点も挙げ、今後十分な検討を要すると付記した。
法改正前に発生した事件への遡及については、これまで遡及処罰の禁止を定めた憲法39条とのかねあいが指摘されてきたが、「実行時に適法であった行為を処罰したり、違法性の評価を変更して刑を重くするわけではない」として、「憲法上は許される」との見方を示した。一方、05年改正時には遡及適用をしていない点との整合性から、政策上の是非をさらに検討する。
《これまでの加害者側の人権ばかりが擁護されてきたあり方に、時効見直しを訴え続けてきた「遺族感情」への共感が高まり、進められてきた制度改正論議だ。一日も早い法改正を期待しよう。
しかし、日本弁護士連合会は「法改正は時期尚早」としており、6月11日、時効廃止や停止に全面的に反対する意見書を法務省に提出するなど、時効見直しには一貫して反対している。刑事法制委員会事務局長代行を務める山下幸夫弁護士は「05年改正から4年しか経っておらず、その検証もない中での再改正は時期尚早だ。時効を廃止しても容疑者が捕まらなければ、遺族は救われない。捜査状況の情報開示や、時効が成立した場合の遺族補償など別の救済策を模索すべきだ」と話している。
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