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2009年7月11日 (土)

やっと淘汰に入った大学

 敗戦後、雨後の筍のごとく増え続けた大学だが、ここに来て少子化の影響から経営が成り立たず、学生の募集を停止する私大が出てきた。このところの少子化は、金さえあって、望めば誰でも入れる程度に学生のレベルは低下の一途をたどってきた。最早大学は学問の府とは言い難く、キャンパスライフを楽しむ男女交遊の場となったとも言える。世の中の変化につれて時流に乗った学部を作ってみたりしてきたが、新入生を引きつける目玉となるのは限られたものだった。膨れ上がったパイを満たすだけの中身が足りず、小手先わざでは凋落の波は防ぎようもなくなっていた。早くから淘汰を訴えかけてきたが、ここに来てやっと大学が大学らしい姿に戻ろうとする動きが見えてきた。

 毎日新聞(7/11)から、要約 と
 10年度から学生募集を停止する私立大学が相次いでいる。定員割れによる4年制私大の募集停止や破綻は過去2例しかないが、今年度は株式会社立大を含め、既に5件。「大学淘汰」の時代がついに現実化した。

 4月に学生募集停止を発表した三重県松阪市の三重中京大。90年代後半まで2000人以上が通ったが、現在は4学年で計657人。今春の入学者は200人の定員に対し155人だった。4月に入学したばかりの男子学生(19)は「なくなる大学を卒業して就職先があるのか、それが一番心配」と不安を漏らす。

 82年、市の要請に応え、県内2番目の私大『松阪大」として開学した。だが、99年に初め定員割れした後は、毎年のように入学定員を減らしても定員に達しなかった。入学者の大半を占める県内の18歳はピーク時(91年前後)の約3万人から1万人以上減少。05年に現校名に変更するなど打開策も図ったが、名古屋市から特急で1時間以上もかかる立地条件では限界がある。

《泣き言を言っても立地条件は当初から変ったことではない。それに1時間以上の通学時間など普通のことだ。それこそ学問への大志があれば何ということでもない。私など片道2時間弱の会社勤務をこの大学の4年間と同じ期間通っていた。それに名前を変えた看板の付け替えが対策とは情けない話だ。問題の分析能力に欠けていたと言われても仕方ない、来るベくして来た閉校というべきだ。》

 01年度以降は毎年単年度赤字を計上。好調時の蓄えで5億円あまりの繰越金があるが、このまま赤字が続けば数年で底をつく。同時に募集停止する短大は累積赤字が既に約17億円。大学側は「責任を持って在校生を送り出せるうちに決断した」(広報課)と説明し、在校生が卒業する4年後に閉校する方針だ。

《昨日や今日の経済悪化が原因ではない。早くから兆候は現れていたものを、惰性で見過ごしていたのだ。問題は、問題があるのに問題と捉えられなかったことが問題だったのだ。大学の経営とはそんなに気楽なものだったのだろうか。》

 国内の18歳人口は92年の約205万人をピークに減少し続け、09年は約121万人。一方、18歳人口や進学率などを考慮して大学・短大の設置をコントロールしてきた国は、90年代以降徐々に規制を緩和し、03年には認可制から届け出制に改めた。そうした流れの中で、一足早く淘汰が始まった短大や専門学校などからの参入が相次ぎ、大学進学率が低い地域では地方自治体が誘致する形で新しい大学が誕生。02年末には構造改革特区を利用した株式会社立の大学も容認した。先月18日に募集停止を発表したLEC東京リーガルマインド大(東京都千代田区)もその一つだ。

 文部科学省によると、国公立も含め4年制大は89年度の499校から08年度は765校の増えた。一方、日本私立学校振興・共済事業団の調査では、入学定員に達しなかった4年制私大は98年度の8%(35校)から08年度47・1%(266校)と、ほぼ2校に1校に拡大。定員の50%にも満たない大学が29校に上った。また、07年度は4年制大を持つ学校法人の34・5%が赤字で、中でも学生数2000人未満の地方大学は221校中113校(51・1%)が赤字だった。

 大手予備校、河合塾の調査では。首都圏13、関西8の有力21私大で09年度の私立大志願者の49%を占めた。その多くが学部新設などで定員を大幅に増やしており、地方大学との格差はますます広がるばかりだ。同事業団は「今後も学生募集を停止する大学がないとは言えない。ただ、無理に募集を続けて在校生がいるうちに経営破綻するケースだけは避けなければならない」(私学情報室)と話している。

《増やすことができる新しい分野の学部があればいいが、今新しくても時間が経過すればまた直ぐに行き止まる。目先の対応だけで乗り切れる問題ではない。絶対的に多過ぎる大学の数、その反対に、少子化の現実と比例して毎年減少していく18歳。淘汰は急がなければならない問題だ。》
                 - つづく -

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コメント

三重中京大学の話になるが廃校は仕方ない。仕方ないですまされないかもしれないが、子供の数が減っているにもかかわらず、大学が増えてること自体がおかしい。例えば松阪ははっきり言うが、交通はよくない。ましてや、四日市大学や鈴鹿国際があるから、やむをえないだろう。田舎に行くか名古屋にいくかだ。

投稿: | 2009年7月18日 (土) 23時23分

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