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2009年7月 9日 (木)

添加物「ゼロ」は、入っていないことではない

 毎日新聞(7/9)から、要約と《 》内は私見。
 「カロリーゼロ」「保存料を使っていません」など。スーパーやコンビニで、このような表示が目につく。でも実際には別の保存用添加物が使われていたり、単なるキャッチフレーズだったりもする。溢れる「ゼロ」に惑わされないよう、食品表示の実態を知っておきたいものだ。

《意味合いを異にするが、勘違いするものは他にもいろいろとある。例えば刑期の一つに「無期」というのがあるが、これは死ぬまで刑を務める「終身刑(日本には存在しない)」とは異なり、決められた刑の期間が無いということで、出所することが許される刑だし、特に義務教育の子どもを持つ親(保護者)に多い「義務」の勘違いがある。これは子どもの親(保護者)は、子どもに教育を受けさせる義務を有する、ということで、国が教育をする義務があるということではない。》

 今年5月、大手飲料メーカーから「カロリーゼロ、糖質ゼロ、保存料ゼロ」のサイダーが発売された。健康増進法に基づく栄養表示基準によると、カロリー表示は100ml当り5キロカロリー未満、糖質は0・5グラム未満なら「ゼロ」と表示できる。この商法はカロリーと糖質についてはゼロ表示の基準以内で問題ない。ただ、保存料については意外な事実がある。

 「保存料ゼロ」という表示を見て、消費者はどんな食品だとイメージするだろうか。食品の表示問題などに詳しい蒲生恵美・日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会食生活研究会代表は次のように話す。「以前は保存料を使っていたが、技術開発でゼロにすることができた。もしくは、他社の同じ商品は保存料を使っているが、我が社は使っていない」。⦅一体何を言いたいのだろう。⦆

 このサイダーのメーカーに聞いてみると、「元々サイダーに保存料は使っていなかった」という答えが返ってきた。ではなぜ今まで表示していなかったものを表示するようになったのかについては「『セロ』というコンセプトに拘った」ということのようだ。同じようにそもそも使われていない保存料を「ゼロ」とアピールする表示は、このメーカー以外のトマトジュースなどでもある。

 因みに「糖質」と「糖類」の違いも知っておきたい。糖質は炭水化物から食物繊維を除いた澱粉やブドウ糖、果糖などのこと。糖類は糖質の一部で、単糖類(ブドウ糖など)と二糖類(しょ糖など)を指す。このサイダーに含まれるスクラロースなどの甘味料は糖質の一種。厚生労働省新開発食品保健対策室は、「栄養表示基準に基づき、宣伝などで『ゼロ』と強調して表示できるのは糖類だけ」と話す。

⦅「ゼロ」「低」と強調して表示できる基準⦆
             (食品100ml当り)
         ゼロ       低・ひかえめ
 熱   量   5kcal  未満   20kcal 以下
 脂   肪   0・5グラム〃    1・5グラム〃
 糖   類   0・5 〃      2・5   〃
 飽和脂肪酸   0・1 〃     0・75    〃
 ナトリウム   5ミリグラム〃 120ミリグラム 〃
 コレステロール 5  〃     10  〃  
◎「ゼロ」には「無」「ノン」「レス」「オフ」も含まれる。
◎「低・ひかえめ」には「ライト」「オフ」も含まれる。
◎コレステロール値で「ゼロ」を表示するには、飽和脂肪酸が含有量0・75グラム未満かつエネルギー量10%未満であることが前提。

 清涼飲料では「カフェインゼロ」の文字も目につく。コーヒーや緑茶に含まれているのはよく知られているが、カフェインとは無関係なトウモロコシ、アロエ、コラーゲンなどを素材にした飲み物でも「カフェインゼロ」と表示されている商品がある。カフェインは栄養表示基準の対象外なので「どの程度の量までを『ゼロ』と示すかは、企業任せになっている」(同省)という。

 遺伝子組み換え作物では、そもそも組み替え食品が流通していない魚介類などに「組み替えではありません」と表示されていたことが問題となり、公正取引委員会が「景品表示法に反する優良誤認にあたる」との判断を示している。優良誤認とは、例えばメーカーが自社製品をライバル社製品より特に優れているわけでもないのに、あたかも優れいるかのように偽って宣伝することだ。

 「保存料ゼロ」表示について、蒲生は「一般的に保存料が使われていない食品にゼロ表示をするのは的確なメッセージとは言えず、消費者を惑わす優良誤認に近いのではないか」と話す。

《とはいえ、売れれば勝ちの商売だ。違法すれすれの宣伝合戦は消費者が賢くならなければ、公取の注意や警告だけでは防げるものではないだろう。》

 コンビニエンスストアで売られているおにぎりの一部にも、包みに「保存料・合成の着色料は使用しておりません」とある。だが表示J欄をよく見ると「PH調整剤」と記載されている。PH調整剤は微生物の繁殖を抑える添加物。保存料とは呼ばないものの、保存目的で使われる。

 では、PH調整剤は保存料より毒性が弱いのだろうか。長村洋一・鈴鹿医療科学大教授(食品科学)らはソルビン酸カリウム(保存料)と酢酸ナトリウム(PH調整剤)で大腸菌の繁殖を抑える作用を比較した。その結果、同じように菌の繁殖を抑えるには、PH調整剤の場合、保存料の約10倍の量が必要であることが分かった。

 長村は「保存料もPH調整剤も、安全性に変わりはない。ただ、少量で済む保存料を使わずPH調整剤をたくさん使いながら、『保存料ゼロ』とするのは、消費者に誤解を招く行為ではないか」と指摘する。

 食品添加物に詳しい西島基弘・実践女子大学(食品衛生学)によると、保存料など食品添加物を使用することは微生物の繁殖を抑え、食中毒の防止に役立つ。添加物も許容量を超えなければ安全上問題はない。保存料などがなければ、廃棄される食品がますます増える側面もある。

 西島教授は言う。「添加物を危険視するような表示が目立つが、メーカーには添加物の働きが正しく伝わるような表示を心掛けてほしい」と。
 

 

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