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2009年7月31日 (金)

アイヌ教育の充実を

参照 アイヌは先住民族 08/06/

 昨年6月6日、衆参本会議は全会一致でアイヌは先住民族と認めることを採択した。昨年も書いたが、私はもう一歩進めて北方民族の渡来以前、関東以北で広い範囲に住んでいたアイヌ民族こそ原日本人と考えている。
 
 毎日新聞(7/29)から、要約と《 》内は私見。
 政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」(座長・佐藤幸治京都大名誉教授)は29日、河村建夫官房長官に報告書を提出した。アイヌを「先住民族」と明記したうえで、新たな立法措置や国の審議機関、担当窓口の設置など政策推進体制の確立を求めた。根強い偏見や差別をなくすため、学習指導要領の改訂による学校教育の充実、生活・教育格差を解消する支援策も盛り込んでいる。

 【アイヌ】
 北海道や千島列島などに住む独自の文化、言語を持つ民族。かつては主に狩猟や漁労、山菜の採取に従事し、明治政府の同化政策で人口が激減したと言われている。道内に約2万4000人、都内に約2700人が居住する。北海道大の調査(昨年10月)によると、道内の生活保護受給率は5・2%(全国平均2・1%)、大学進学率は同世代の半数以下の20・2%にとどまっている。

 報告書はアイヌを「日本列島北部周辺、とりわけ北海道の先住民族」と認定した。日本の近代化とともに生活の場を狭められ、独自の文化を禁止、同化を迫られた結果、「文化に深刻な打撃を受けた」と指摘。歴史的経緯から「国は文化の復興に配慮すべき強い責任がある」とした。

《報告書はアイヌを「日本列島北部周辺、とりわけ北海道」とするが、8世紀から9世紀にかけて大和朝廷が行った蝦夷征討《私の世代は征伐と教えられた》の地は陸奥国、房総、東国各国などの鎮圧だ。ここでいう蝦夷こそアイヌを指し、日本列島に広く生活していたことがうかがえる。

《近い歴史から推量しても、先住民の殺戮や狭い居住区への閉じ込めは歴史の教えるところだ(アメリカのインディアン、オーストラリアのアポリジニなど)。同じようにアイヌが北海道へと追いやられるのも歴史的にはごく自然な流れであったろう。》

 報告書の具体的な政策には三つを掲げ、
 1)国民の理解の促進
  現在の学習指導要領によると、アイヌに関する記述は中学校の社会科で鎖国下の対外関係の一部のみにとどまっている。このため、歴史・文化などで十分な内容を盛り込むよう改訂を求めている。教職員への研修や指導法の研究を進め、義務教育段階で基礎的な知識が習得できるようにする。
 また、アイヌを先住民族と認めることを政府に求めた、衆参両院の決議があった6月6日を「アイヌ民族の日」(仮称)とする。

 2)広義の文化政策の推進
  北海道苫小牧市周辺を候補地にアイヌの文化や歴史の教育・研究・展示施設や、各地の大学に保管されたアイヌ人骨を集め慰霊する公園を整備し、民族共生の象徴とする。来年度中に実態を調査し、奨学金などの生活支援策を全国で実施する。支援対象となるアイヌを特定する「個人認定」は、透明性・客観性のある手法で行う。

 3)国の推進体制の整備
  今秋にもアイヌの複数の代表も参加した審議機関を設置。アイヌ政策を企画・立案・推進するための期間を内閣官房などに新設するよう求めている。

 懇談会は国会決意を受け昨年7月、官房長官が設置した。委員は学識経験者のほか、アイヌ団体「北海道アイヌ協会」の加藤忠理事長、高橋はるみ・北海道知事ら8人。アイヌ関係の政府懇談会は、96年に報告書を出した「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」に続き2度目。

 一方、アイヌ側の責任も重くなる。審議機関には複数の代表が入り、政策づくりに参加することになる。しかし、最大組織の北海道アイヌ協会(会員3471人)は会員数の減少が続いており、首都圏のアイヌ団体も規模は小さい。全国の実態も詳しく分かっていない。アイヌの総意を酌み取る体制づくりが急務といえる。

《政府から、アイヌも琉球も知らない歴史認識の欠けた麻生が消える(きっと)。いい機会だ、皇国史観から離れたアイヌ先住民族の文化復興や生活・教育格差など、総合的な「先住民族」政策への転換が図られるとよい。》
  

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2009年7月30日 (木)

「成人 18歳に」

 ゲンペイソウ  ツメキリソウ
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 毎日新聞(7/30)から、要約と《 》内は私見。
 成人の年齢を20歳から引き下げる民法改正の是非を検討してきた法制審議会の民法成年年齢部会は29日、18歳に引き下げるのが適当とする最終報告書を取りまとめた。公職選挙法改正により選挙年齢も引き下げて成人年齢と一致させるのが望ましいとし、拡大の懸念がある消費者被害の対策充実など一定の環境整備も必要と指摘した。その上で、法改正の時期は「国会の判断に委ねるべきだ」として明示を避けた。

《改正時期を国会に委ねようというのは、審議会では手に余る大命題とした及び腰の決着だ。そもそも法制審議会が検討することになったいきさつは、北朝鮮を仮想敵として、憲法で定める戦争放棄の条文を、軍備を持っていつでも北朝鮮と戦争ができる国にしたい、そのためには憲法を変える必要があるとして、07年に成立した国民投票法で、投票年齢を原則18歳以上と定めたことがきっかけだ。》

 民法が改正されれば、公選法や少年法など条文で年齢要件を定めた191の法律に影響が及び、国民生活が大きく変わる可能性がある。「大人」の定義が変われば、「元服」の慣習を改めた明治期以来の大改正となる。

〖成人年齢〗
 民法規定では20歳。未成年者は父母の親権に服する親権規定がある。また、クレジット契約などで親の同意がなければ無効だが成人年齢が18歳になると消費者被害拡大が懸念されている。
 
 報告書は、成人年齢の引き下げを「社会への参加時期を早め、若者の大人としての自覚を高めることにつながる」と指摘。自らの判断で金銭を使うことが法律上可能となるなどの点で有意義とした。公選法が改正され、選挙年齢が18歳に引き下げられる場合、政治面だけでなく、経済活動でも大人として処遇することで、若者や社会に大きな活力をもたらすと期待感を示した。

 一方、クレジットカードによる高額契約や、マルチ商法などの諸費者被害の拡大や、自立困難な若者の困窮化などの恐れもあるとして、自立を促す施策の実現が必要と判断した。消費者庁の設置や、消費者教育を盛り込んだ学習指導要領の改定、ニート引きこもり支援策を柱とする子ども・若者育成支援推進法の今月の成立などを挙げ、施策が国民に浸透した段階で民法改正が行われるべきだと提言。さらに最終t系には「適切に判断できるのは国会」とした。

 また、男子18歳、女子16歳と定められている婚姻年齢は「男女とも18歳とすべきだ」とまとめた。養子を取れる年齢は20歳の現状維持とした。

 07年に成立した国民投票法で原則18歳とした投票年齢、併せて付則で民法と公選法の年齢条文引き下げを10年の施行までに検討すると規定し、法制上の措置が講じられるまでは投票年齢を20歳以上とした。

《メディアはお得意のよその国ではどうなっているのか、を取り上げる。下はネパールの16歳から21歳のアラブ首長国連邦、アルゼンチンなど5カ国をはじめ、英国やドイツ、フランスなど主要先進国の大半は18歳で、米国は州によって異なるが大半は18歳だ、と書く。「主要先進国」がどうやら殺し文句のようだ。先進国を任じる日本がこれでいいのか、と。よその国のことを並べ立てるのもいいが、今回法制審議会が問題視する幾つかの懸念項目について、それぞれよその国ではどのようになっているのか、問題はないのか、どのように若者たちに受け入れられ、引き下げが浸透していったのか、記事にできなかったのだろうか。》

 毎日新聞が各地で10代後半の男女に成人年齢の引き下げについて感想を尋ねたところ、時節柄でもあるか「早く選挙に行きたい」「クレジットカード契約ができると助かる」などと期待する声もあった。しかし、「高卒後、2年くらいは時間がほしい」「自分の生活に関係ない」との消極的な意見の方が多かった。

 立教大教授で精神科医の香山リカは、成人年齢引き下げに賛成だ。「今の20歳が成熟しているかといえば決してそうでない。20歳になっても学生であるため、成年になったことを自覚しづらいようだ」と指摘、。「18歳に引き下げられると、高校を卒業すれば大人として扱われる、という分かりやすい線引きができ、本人の自立も促される」と語る。

 「夜回り先生」で知られる元高校教諭の水谷修は「今回は民法改正で成人年齢を引き下げようとしているが、民法だけにとどまらず『年金を18歳から払え』という議論になる恐れが高く、絶対反対だ」と批判する。さらに、少年法の対象年齢も20歳未満から18歳未満に引き下げようという議論につながりかねないとして、「親から見れば19歳まではまだ子ども。今回の議論は拙速すぎる」と指摘する。
 一方、フリーターなど若者の実態に詳しい作家の雨宮処凛は「若者の間で、成人年齢を引き下げてほしいという運動が高まっているわけではなく『上から目線』の議論。結婚年齢など全世代にかかわる問題にも拘わらず、大人からも『引き下げて』という運動は広がっていない」と疑問を投げかける。

《過保護な親の下、甘えられるだけ甘えて育ってきた現代の日本の若者たち、数の中には早く18歳の大人になりたい者もいようが、大方の若者の自覚を促すには自立のための教育も含め、まだまだ長い道のりが必要だろう。》

 《また一方で、大人の側も現在の衆院選の与野党の言い分のように、相手を貶すことでしか己を主張できない小学生レベルの見苦しい罵り合いをしているようでは、成人年齢は引き下げどころか、逆に10も20も高い年齢に設定しなければならない、とも思える。》

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2009年7月29日 (水)

離岸流

 折角の夏休みが長梅雨のため、海へ行く機会を失った子どもたちはやきもきしていることだろう。例年ならもう何度も水浴びをし、紫外線など気にもせず身体は小麦色に日焼けして過ごしている頃だ。ところが、今年の異常天気は土用を過ぎても晴れる気配がなく、海が荒れて遊泳禁止になる頃まで残すところ精々2週間だ。

 メディアはしきりに海水浴で毎年起っている波にさらわれる事故の注意を呼びかけているが、現在の日本列島の天候状態では余計な心配事で終わりそうだ。

 私は、軍国少年のころ海洋少年団に入り、日本海で泳ぎ慣れていた自信もあって、上京後の30代のころだった。千葉県の九十九里浜でその日の午後、泳ぐ機会があった。ひとしきり泳いだ後、波打ち際にぼんやり立って午後の波を観察していた時だった。日本海とは違った大きなうねりの高波が繰り返し続いていた。その波の一つが引く瞬間、足の下の砂が一気にえぐられるような気がしたとき、身体はひっくり返り、波に巻き込まれるようになって沖に持って行かれた。慌てない訓練はできていた。ゆっくりと岸に沿って横切るように泳いで浜に戻った。その後、何度か波を受け、九十九里の浜辺の砂は、粒が粗くて引き波の影響を受けやすいことを確認した。

 「離岸流」は私が体験したものとは異なるが、巻き込まれた後の対処法は同じだ。波打ち際を泳いでいるつもりが、いつの間にか思った以上に浜辺から遠ざかっていることがあるが、それは主に離岸流が原因だ。離岸流は、岸に打ち寄せた波が沖合に戻る流れのことで、流速は最大で秒速2メートル程度にもなる。海上保安庁によると、昨年7月に和歌山県印南町で20代男性が沖に流されて戻れなくなり、漁船に救助されるなど、離岸流による事故は各地で相次いでいる。

 同庁によると、08年に海のレジャーで事故に遭ったのは912人で、うち死者・行方不明者が302人に上る。事故時の主な行動は
 釣り     332人
 遊泳     302人
 サーフィン  78人
 磯遊び    52人
 スキューバ
  ダイビング 51人。

 事故の内容は
 漂流     25%
 深みに嵌る  16%
 波に巻かれる 12% などで、漂流の多くは離岸流が原因だという。

 離岸流に巻き込まれてしまった場合、まっすぐ岸へ泳ごうとしても、流れが速いためなかなか進まない。同庁救助課は「離岸流」は幅が10〜30メートル程度で、岸と並行に泳げば、比較的抜け出しやすい。落ち着いて対処してほしい」とアドバイスする。

 日本ライフセービング協会(東京都港区)の中山総務部長は「離岸流は見分けにくいこともあり、巻き込まれると重大事故につながる可能性がある。自分の泳力を過信せず、ライフセーバーが監視する遊泳区域を守って泳いでほしい」と話す。

 子どもたちは海水浴を楽しみにしていたことだろうが、梅雨前線はまだ停滞している地域もある。ひょっとすると、今年の夏休みに海で泳げなかった子がたくさん出る可能性がありそうだ。

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2009年7月28日 (火)

公立中学、27%が授業増

 アジテーター小泉が言った「自民党をぶっ潰す」は、3代続いたお坊っちゃん総理の最後、バカの麻生でとどめを刺して現実のものとなった。

 衆院選に入った今、民主党のマニフェストをバラまき、財源は?、と負け犬の遠吠えよろしく吠えているが、これまでバラまきは散々自分たちがやってきたバカの一つ覚えのような手段であったはずだ。まさに天に唾するようなものだ。

 毎日新聞(7/28)から、要約と 《 》内は私見。
 《国際的にも遅れをとり始めたゆとり教育の綻びを繕うために、文部科学省は反動のように子どもたちや教員からゆとりを取り上げようとしている。》

 公立中学校の27%で今年度から授業時間を増やしていること文科省の調査で分かった。新学習指導要領(12年度全面実施)で授業時間が増えるのに備え、理数教科を中心に「学力重視」へのシフトを早めているとみられ、夏休みや行事を削り授業に充てているケースも目立つ。

 今年4月1日時点の授業計画を、全国の公立中9930校に尋ねた。68%が「授業時間は変わらない」と回答したが、10%は「今年度から週当りの授業を増やす」と答えた。また、20%は「学校行事を見直して授業を増やす」とし、9%は「長期休業を短縮して授業を増やす」と答えた(重複回答あり)。
 増加時間は年平均で、
  1年29・8コマ
  2年31・6コマ
  3年29・4コマ
 (1コマは50分)

 文科省は今年度からの移行措置期間中、小学校(11年度全面実施)の総授業時間を増やす一方、中学校については「教員の負担増に配慮する」などとし、総授業時間を変えていない。理数教科を段階的に増やし、その間は選択教科などを減らして対応する計画だが、実際には選択教科などを維持する学校も相当数あるとみられる。

 一方、習熟度別授業など「個に応じた指導」を今年度計画しているのは公立小学校の90%、中学校の92%だった。08年度の実施率と比べるとそれぞれ6ポイント、3ポイント下がっている。

 文科省は「授業増への対応が必要となる分、習熟度別授業などに教員を充てられなくなっているのでは」とみている。
 

 

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2009年7月26日 (日)

狂犬病予防接種、わずか4割

 毎日新聞(7/25)から、《 》内は私見。
 《恐ろしい記事だ。現在、犬を飼う人間どもの責任感がこれほど低いものとは思ってもいなかった。以前犬を飼っていたことはブログに書いたが、警察犬登録をしていたドイツ・シェパードは毎年、予防接種のため保健所に連れていったものだ。それが決まりだし犬を飼うものの責任だからだ。》

 《テレビコマーシャルにさえ、夫で父が犬の獣姦家族のようないかがわしいものが映し出されもてはやされる時代だ。外に出れば身に纏うものをつけさせ、雨が振ればカッパを着せ、犬にもあるまじき奇妙な形に毛を刈り、可愛がっているつもりでブランドを身につけさせ、紐に繋いで練り歩く。犬にしてみれば迷惑な虐待でしかないだろうに、犬が尻尾をふれば喜んでいるものと勝手に思う。犬語をしゃべるとて玩具まで売り出す。もっと我慢ならないのは犬を数えるのに「私たちふたり」、であり、「ⅹにん」となる。犬を夫にし、家族同様に可愛がるのは勝手だが、相手はただの犬だ、何が「ⅹにん」だ。どうして「私と1匹」と言えないのか。》

 狂犬病予防法に基づき、すべての飼い犬に義務付けられている狂犬病の予防ワクチン接種率が実施には約4割にとどまることが、日本獣医師会などの調査で分かった。国内感染による狂犬病は50年以上発生していないが、年間約3000人が死亡する中国をはじめ、周辺のアジア各国は発生数が多い汚染地帯だ。専門家は「いつ日本に侵入してもおかしくない。このまま低い接種率が続けば、侵入後は国内での流行を阻止できない」と警告する。

 【狂犬病】とは
 狂犬病ウイルスの感染で発症する人と動物の人獣共通感染症。すべての哺乳類が感染する。人が犬に噛まれて感染し発症した場合、興奮、麻痺などの神経症状が出て、呼吸困難でほぼ全員が死ぬため、飼い犬へのワクチン接種が重要とされる。日本では70年にネパールへの旅行者1人が、06年にはフィリピンへの旅行者2人が帰国後に発症、死亡している。

 国内では1950年に狂犬病予防法が施行され、飼い犬の市町村への登録と年1回のワクチン接種が義務化された。国内で犬に噛まれて発症した狂犬病患者は54年を最後に確認されていない。

 半世紀以上、国内発生がないことが人々の危機意識を弱め、近年は登録率、ワクチン接種率とも低下。ペットフード協会の調査による国内の犬の飼育匹数(07年度)は推定1252万匹に上る。そのうち更生労働省調査による市町村への登録匹数は約674万匹、ワクチンを接種した犬は約510万匹にとどまる。登録率は54%、接種率は41%の低さだ。

 獣医師会の大森伸男専務理事は「マンションなどでの室内飼育が増え、感染の危険性がないと思い込んでいる飼い主が増えているのではないか」と話す。

《感染の危険性がないと思い込んでいる、というよりも、放棄されて殺される犬の数をみれば、登録も含めて無知、無視、関心すらない人間が多い、という方が当たっていよう。犬を飼う人間の半数以上には、モラルも責任感もないのだろう。》

 世界的には発生が続き、毎年3万〜5万人が死亡している。特にアジアでは中国やインド、東南アジア、韓国で発生。インドネシアのバリ島では昨年11月に初の感染犬が確認された後、島内に感染が拡大。在デンパサール総領事館によると、今年4月ごろまで狂犬病による死者や、犬に噛まれて病院に駆け込む人が相次ぎ、多くの野良犬が殺処分されたという。

 狂犬病問題に詳しい源宣之・岐阜大名誉教授(人獣共通感染症学)の話。
 貨物船に同乗した犬など、検疫を経ていないルートで国内に狂犬病が入り込む可能性は高い。国内での流行を抑えるには、世界保健機関の指針に沿って7割以上の犬が、ワクチン接種で免疫を持つ必要がある。現在は非常に危険な状態だ、と語る。 

《何匹であろうと、どんな犬種を飼おうと飼うのは自由だ。狂犬病が発生していようといまいと関係はない。決められた登録、予防接種は愛犬家を名乗るのなら、せめてそれらしい相応の責任は果してくれ。》

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2009年7月24日 (金)

小学校で「うんち教室」

 面白い記事が載った。興味があるけれど、口にするとなると子どもでも憚(はばか)られる。糞、うんちの話だ。

 毎日新聞(7/24)から、要約と《 》内は私見。
 子どもたちに排泄の大切さを知ってもらおうと、民間団体「日本トイレ研究所」(東京)などが小学校で「うんち教室」を開いている。トイレのマナーや使い方、排泄と体のつながりを伝えるとともに、子どもたちが学校で安心してトイレに行ける環境づくりを目指している、という。

《うんちの話に入る前に、特に学校など公共のトイレの使い方については小さいころから厳しく教えておく必要がある。東京都心の地下鉄乗換駅のトイレのことを前に触れた。たまたまトイレの掃除のおばさんと苦労話をする機会があった。その時、男子トイレの汚さが話題になったが、おばさんのいわく、男の人はまだ綺麗ですよ、女子トイレの汚さは酷いもんですよ、と。家庭では立ってする夫の小便の飛沫を汚く罵るが、公共のマナーの欠除は男以上なのだ。》

《また、私の体験上で、思い出しても嘔吐がこみ上げてくる悲惨なトイレに近寄ったたことがある。観光立国で名高いスイスはレマン湖畔の休憩所のトイレだった。開け放しになった便器の足元には、近寄ることもできな状態で太い棒のようなうんちの塊が、どのような格好で排泄したのか不思議な状態で、足の踏み場もなく所狭しと転がっていた。それに、小学校にあるような幾つか並んだ手洗い場で、私が手洗いをしている横で、外国人だったがその男も便器に近寄ることができないためとは言え、流しに場に小便を飛ばした男がいた。道徳心のないのは日本人だけじゃないようだ。出るものも出なくなった私は、ジュネーブまで我慢する始末だった。》

《このような大人にならないためにも、子どもの頃からトイレの使い方は教えておく必要がある。》

 「うんちの大切さを伝えに来ました」。王冠に黄色いマントの姿の「うんち王子」が登場すると、「えーっ」と一斉に歓声をあげた。東京都町田市立小山田小学校の体育館、今月15日。約80人の1年生を前に、日本トイレ研究所の加藤所長による出前授業が始まった。
 健康的な「きらきらうんち」
 硬い「カチカチうんち」
 軟らかい「どろどろうんち」
 細長い「ヒョロヒョロうんち」の4つのイラストを見せ、
「カチカチうんちは野菜が嫌いな人、ヒョロヒョロうんちは家の中でゲームばかりしている人からでるよ」と説明した。

「キラキラうんちは洞爺ったら出るの?」と尋ねると、子どもたちは「好き嫌いしない」「外でいっぱい遊ぶ」と元気よく答えた。最初はおうんち」という言葉を恥ずかしがっていたのに、何時の間にか目を輝かせていた。

 養護教諭の酒井浩子は「子どもたちは和式トイレが苦手。休み時間になると、各階に1基しかない洋式に列ができ、トイレを我慢する子どもも多いんです」と打ち明ける。

 国内のトイレは63年ごろ、和式から洋式へと変わり始め、75年以降、洋式が急増した。日本トイレ研究所が小学校低学年の保護者にアンケートをしたところ、99%の家庭が洋式トイレだった。ところが、学校では依然として和式が多く、慣れない児童は敬遠してしまう。

《和式が苦手とは使い慣れていない子どもだけだ。逆に洋式を嫌う大人が多いのは、他人の肌が触れた後に座ることを嫌うためで、上のスイスのトイレや駅の女子トイレの話からも理解できる。その意味では和式トイレの方がまともに使えば衛生的ではある。》

 排泄したい時にできない状況は、身体にも精神にも影響を及ぼす。食物は胃で分解され、小腸でほぼ消化・吸収され、残りが大腸へいく。水分と食べかすが便として排出される。腸は交感神経と副交感神経の連携で動く。リラックスしていると働きが良くなるが、ストレスがかかると便秘になりやすい。

 出前授業では、和式トイレにしゃがむ際、どこに足を置いたらいいかもイラストを使って伝授した。また、内臓を描いたイラストのエプロンを使って、食べ物が消化される仕組みを説明し、我慢しないでトイレに行くよう呼びかけた。

《小1プロブレムとは紙一重だ、「せんせい、おしっこ」、「せんせい、うんち」、にならないよう、気をつけないとね。》

 授業の最後には、うんちの状態を1週間記録する「うんち日記」が配られた。参観した母親の一人は「子どもと一緒に毎日付けます。低学年の時にうんちの大切さを学べば、高学年になってもトイレに行くのが恥ずかしくなくなるのでは」と喜んだ。

《毎日気をつけるのは出るものの記録だけではなく、入り口の食べ物が大切なことも一緒に学んだはずですよ。子どもの健康管理は家庭の食事管理からですよ。》

 出前教室は07年にスタートし、毎年首都圏の5校で開催している。関心は高く、今年は90校から応募があった。そこで、小学1〜3年生向けに指導マニュアルを作成し、6月には養護教諭らを対象に研修会を開いた。総合的な学習の時間や生活科などで利用してもらうのが狙いだという。「うんち教室」を通して、早寝早起きや、朝ご飯を食べることを呼びかけている小学校からの報告もあった。

 加藤は「子どもたちの心の中のうんちのイメージを変えたい。そうすれば、自然に健康やマナーを考えるようになる」と意気込んでいる。

《うんちを学んで健康は分かるが、道徳律まで自然に考える、とは期待はしたいがどうだろう。》

 

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2009年7月23日 (木)

もみじマーク 新デザイン検討

 毎日新聞(7/23)から、《 》内は私見。
 70歳以上の高齢ドライバーに表示の努力義務がある「もみじマーク」(高齢運転者標識)のデザインについて、ドライバーの評価が割れていることが警視庁のアンケートで分かった。同庁は今秋にも新たなデザインを公募し、もみじマークも含めて最終的な標識を決める方針で、今回の調査結果は選考の行方に影響を与えそうだという。

 調査は今年4月、運転免許証の更新に訪れた全国のドライバーに調査用紙を手渡し、3597人(70歳以上1779人、16〜69歳1818人)から回答を得た。

 それによると、現行のもみじマークのデザインについて尋ねたところ、
「大変気に入っている」と「まあまあ気に入っている」を合わせた回答が51%で、「あまり気に入っていない」「全く気に入っていない」の合計は46%だった。残りの3%は無回答だった。

【もみじマーク】(高齢運転者標識)
 高齢ドライバーの事故抑止対策として97年に導入。70歳以上は表示を努力義務としていたが、08年6月の改正道路交通法施行で、75歳以上には義務づけ、違反した場合は反則金の罰則(1年間は周知期間として取締りは猶予)を設けた。これに対し、「高齢者いじめだ」との批判が続出したため、警察庁は再度法改正し、75歳以上についても努力義務にとどめることにした。

 《私の受講した時にはアンケートは配られなかったが、もしも手にしていれば、上の4択では、まあまあ気に入っているにチェックを入れていたであろう。それにはデザインとして、新人の若葉マークよりは遥かに優れていることがあるし、高齢者のもみじマークを付けることに妥当性を認めるからだ。》

《生物の自然現象の老いに逆らおうとして、横文字を使えば可能になるとでも思うのか、アンチエージングなる無駄な抵抗をすることがはやっている。どうもがいても1年経過すれば1歳年齢は増えて行く。若い頃から身体を鍛えた頑強なスポーツ選手でも、何もしない人たちよりも老化が遅く、長生きするとのデータはない。或いは、白髪を染め、最高の美顔術で容貌は若返った気になっても、肉体年齢は間違いなく衰えていく。それが動物には至極自然な老化現象というものだ。私が過去2回受講した高齢運転者の適性検査についてはそれぞれブログでお披露目した。そこに集まった少ない人数でもエッと思えるような人が混じっている。事故が自分一人の身で済ませられるものなら、何歳になっても現行もみじマークは要らないだろうが、他人を巻き込むことが多くなる。マークは好き嫌いで選べるレベルの問題ではない。周りに要注意運転車であることを知らせるためにも、高齢運転者マークは必要だ。》

 年齢層別では、気に入らないと回答した割合は、50〜69歳が最も多く53%、次いで70〜71歳の52%、30〜49歳の48%だった。気に入っていると回答した割合は多い順に80歳以上72%、75〜79歳57%、16〜29%56%だった。表示が努力義務化される年齢に近いほど現在のデザインに抵抗感を示す一方で、その時期を過ぎたり、離れていれば逆に親近感を覚える傾向にあるとみられる。

 また、デザインの印象を聞いた設問(複数回答可)では「紅葉ではなく、枯れ葉を印象づける」が42・1%と郡を抜いて多く、次いで、「暖かみや親しみを感じる」の25・7%だった。

《何事につけても反対や対立意見は存在する。今回の調査では「容認」が多数派だ。デザインは趣味嗜好の問題で、音楽や絵画などとも同じその人の年齢や性格、知識や感受性などでも分かれる。地図記号で老人ホームは杖がイメージされている。私には、現状のままで何も不都合は覚えないまま付けて走行している。》

 

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2009年7月21日 (火)

入社3年内の離職率35・9%

 毎日新聞(7/15)から、
 就職後すぐに離職する若者が増えるなど、学生の職業・勤労観形成が課題になっているとして、中央教育審議会大学分科会は、すべての大学や短大で「職業指導(キャリアガイダンス)」の授業を導入する方向で検討を始めた。科目として義務化するか、各大学に努力義務を課すにとどめるかなど、具体的な制度設計を急ぎ、早ければ来年度からの導入を目指す。

 同分科会の作業部会が「社会人として必要な資質能力を高めるためにも、職業指導を教育課程に位置付けることが必要」と提案し、14日の会議で大筋了承された。

 分科会の委員からは「大学には本来(職業について)何らかの意図を持って入るはず」との意見も出されたが、「将来が見通しにくい社会構造になっている」などとして、入学してから職業意識の形成を図ることや、自分の適性を考えることの必要性を認める意見が大勢を占めた。

 1〜2年次の選択科目などを想定しており、大学設置基準の改正なども視野に議論する。文部科学省によると、既に74%の大学が職業意識に関する何らかの科目を設置済み。分科会では、これらの授業内容を分析したうえで、適切な授業のあり方などを探るとしている。更生労働省のまとめでは、05年の大学卒業者の入社3年以内の離職率は35・9%。因に高卒者は48・6%。

 《離職率の高いことを驚くには当たらない。放っておけばこれからはもっと酷くなるだろう。理由は簡単だ。大学卒とは言いながら、周りの皆が行くから俺(わたし)も行くと、ふらふらと大学の門を潜り、キャンパスライフを楽しんだだけだ。

 《10年以上も前から社会現象ともなり、今になっても治まらない小1プロブレムの渦中の年齢が、ちょうど高卒や大卒となって社会に出てくる頃合だ。両親不在で家庭での躾を受けず、好き放題、甘え放題で年齢だけは重ねてきた連中だ。規律の厳しい企業に入って歯車のようになって働くことに耐えられるわけはない。

 《子どもの頃から親がぼやく「不況」、「格差」や「悪政」に対する恨み節が乗り移り、悪いのは政治、と無責任に言っておけば大学は卒業できた。その間、仕事につくために必要な自分を磨く哲学的思索もせず、己自身を理解しようとしないまま、盲滅法に数多く受けた企業の中で運良く潜り込めた企業に就職する。自分自身の適性が把握できていなければ自分に合う職業などいつまで経っても見つかるわけはない。まして幼いころから甘えることだけで、辛抱することや耐えることを身に付けていない人間の口にするのが、「自分にあう仕事ではない」だ。その「自分」とは一体なんだ。

 《大学が職業指導の授業を導入するという。何をどう教えるつもりかまだ分からないが、昔からいう「企業は人なり」。人間ができていないと個々に仕事を教えても効果はない。何事にも思索する人をつくることだ。なぜ、なぜ、なぜ、と。

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2009年7月20日 (月)

樹木葬に「化学の壁」

 葬儀不要、墓不要は私のこれからの予定だが、当然戒名もいらない、海への散骨でいいと考えている。普通には死んではただ土に返るというが、海への散骨もやはり海底で土に返るというのだろうか、それとも海の藻屑になる、というのだろうか。

 毎日新聞(5/31)から、
 自然回帰志向の高まりを背景に、東京都は遺骨を骨壷におさめず直接土に埋め、墓石の代わりに木を植える「樹木葬」を都営墓地に導入することを検討している。土壌での化学作用で遺骨が消滅した後、次の遺骨を埋めることでスペースを再利用し、用地不足に対応することも狙いだ。ところが「骨は何年で土に返るのか」という難題が浮上した。データが見つからない上実験も不可能で、担当者は頭を抱えている。果して理想の樹木葬は実現するのだろうか。

《軍国少年であった昔、「おのこやも むなしかるべきよろずよに かたりつぐべきなはたてずして」と、赫々の戦勲をなし、名を千載の後の世までも残す靖国が、我が墓となることを夢見たが、成長すると共にわが身の極小ぶりが解るとともに、今では墓など不要との考えに落ちついた。新聞の記事にもあるように、小さな島国日本に、この先何万年、何千万年にも亙って人類が生き残っているとして、生活に必要な土地のほかに、死者を埋葬する墓を造る土地が残っているのかどうか分からない。また、日本全国の寺や野に残る詣でる人のいなくなった墓や無縁仏を見るにつけ、現在の心さびれた日本人が将来、先祖の供養をどれほど後の世に受け継いでいくことができるのかを考えれば、ますます墓は不要なものに思えてくる。死んだ人は、これからを生きる人のために土地を残しておくべきだと。》

 【樹木葬】
 国内では99年に岩手県一関市の知勝院(旧祥雲寺別院)が里山再生の目的で裏山を樹木葬墓地にしたのが始まり。「自然に返りたい」との現代人の志向に合ううえ、維持管理の負担が小さいことから広がりをみせている。一定区画を一人分の墓所用地とし、脇に木を植える方法が一般的。大きな木の周りに、複数の遺骨を埋葬するものもある。

 都立霊園は8カ所あり、いずれも人気は高い。過去5年間の公募の平均倍率は青山(港区)が18・5倍、小平(東村山市)22倍。今後、団塊世代の高齢化で墓地用地の不足が懸念される。そこで都が注目したのが樹木葬。
「遺骨は何年で土に返るか」が分かれば、その期間を経て次の遺骨を埋めることができ、限られた用地の有効利用になると考え、昨年、調査を開始した。

 だが樹木葬は歴史が浅く、実証データが見当たらない。考古学者や博物館長、仏事の専門家らに尋ね、文献にも当たったが答えはでなかった。それどころか「最新型の火葬施設で高温焼却された遺骨はセラミック化して土中で分解しにくい」という説さえ浮上した。

 民間の樹木葬墓地では、三十三回忌などを節目に次の遺骨を重複埋葬する場合があると約款で示すケースもある。だが都営墓地としては、他人の遺骨と混ざるかもしれないことに理解が得られるか懸念がある。「公営で唯一の樹木葬」をうたう横浜市の「霊園メモリアルグリーン」では、重複埋葬はしない代わりに一柱ずつ骨壷に入れる方式で、都の追求する「土に返る」の理念には合致しない。

 NPO法人「エンディングセンター」が東京都町田市の民間霊園に開設した「桜葬墓地」は、未来永劫、別人の遺骨と一緒にしないと約束するが、スペースを再利用できないため用地不足の解消にはつながらない。

 都の担当者は「今年度中には構造の検討に入りたいので、いい情報があれば教えてほしい」と話す。エンディングセンター代表の井上治代・東洋大准教授は「骨の形状をとどめていない状態をもって『土に返った』と見なすかどうか、といった判断になるのではないか」と指摘する。

《すでに日本の仏教は信仰のためには存在せず、葬式のためにある仏教としての存在価値でしかない。だが、人は生まれるとすぐに死は約束され、誤差も生じずに生まれた数だけ必ず死に向かって生きて行く。そして一生を終えた時、樹木葬を願う人は、焼却後の遺骨は骨の形状のものを拾わずに(儀式としてのしきたりはあるが)、粉末状態のものを掬い上げるようにすれば土に返る期間も短縮することができるだろう。》

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2009年7月19日 (日)

ネトゲ廃人 つづき

 メイプルストーリーは、魔法使いや海賊などのキャラクターに扮し冒険を楽しむ子ども向けのゲームだ。ユーザーの8割が小中高生。「保護者に安心してもらいたい」と同社は昨年末、親が子どものゲーム時間を制限できる制度を導入した。しかしシステム利用にはパスワード入力が必須。長男がパスワードを教えてくれず、この父親は制限をかけられずにいる。

 学生や主婦など「廃人」25人を取材、「ネトゲ廃人」(リーダーズノート)を出版したジャーナリストの芦崎治(55)は言う。「頭が良くて回転の早い人が多い。でもどこかに心の空白があって、ずるずると続けてしまう。バーチャルな世界で時間を注ぎ込むほど、レベルが上がって尊敬され存在価値が得られる。一方、現実で生き甲斐を見い出しにくくなる」と。

《「頭が良くて・・」え?こんな人間を頭が良いと言うのかね。生活と遊びの区別がつけられない、自分のやってることが理解できていない、ゲーム脳が発達しているだけなのに尊敬の対象となって有頂天になる。》

 芦崎は、ネットゲーム大国の韓国も訪れた。86時間ゲームを続けたことによる死者まで出ているという。「韓国では国が主導し、ゲーム業界が10億円出して若者の更生プログラムを組んでいる。日本も早急に対策が必要です」と話す。

 しかし、国内では対策はおろか、ネットゲーム依存者の統計もない。人気ゲーム、FF11を運営するスクウェア・エニックスは「長時間プレーする人が何人いるのか、把握していない。分かっても、外に出す数字ではない」という。「普段の生活に影響を及ぼさないよう自己管理してください」。ゲーム会社21社でつくる日本オンラインゲーム協会は、3年前に定めたガイドラインで謳う。しかし親のクレジットカードで代金を引き落とすなど子どもをめぐるトラブルが絶えず、近くガイドラインを改定する。事務局は「未成年対策を充実させ、利用時間についてもさらに注意を呼びかけたい」という。

《死ぬまでやり続けるとは見上げたものだが、日本でも86時間と言う記録に挑戦するやつが出てくるかも知れない。「自己管理してください」と言える対象に管理能力のない小、中学生を含めるには無理がある。小、中学生は、携帯電話と同じで親や保護者の育児責任、家庭教育の範疇だ。》

 オンラインゲームフォーラム(日本オンラインゲーム協会の前身)が「健康上の注意」として謳っているガイドラインより。
 ♦プレイする際は、時間を決めて時々休憩を取るようにお願いします
 ♦普段の生活に影響を及ぼさないよう自己管理をして、適度に楽しむようにしてください
 ♦プレイする際は、体調に異変をきたさないようにお気をつけください。もし、具合が悪くなった場合にはすぐに医師の診察を受けるようにしてください

《韓国の例があるからか、健康上の注意としてのガイドラインのようだ。ただ、ゲームや遊びに熱くなるのは大人たちも子ども負けてはいない。競馬、競輪、オートに競艇、パチンコ、ゴルフ、麻雀に賭博。これらには悲惨、悲劇がつきまとう事件さえ発生する。パチンコの面白さは私も幾度か経験がある。だから、それ故に手を出さない。のめり込む私の性格を知っているからだ。反面日本人特有の熱しやすく冷めやすい面も持ち合わせている。必要以上に我を忘れて没頭することもない。》

 「企業なので利益を上げなくてはいけない。でもその裏で人が壊れていくとしたら、因果な商売です」ネットゲームを運営する「ハイファイブ・エンターテインメント」の澤紫臣社長(33)は率直に語る。幼少時からテレビゲームに親しんできた社長だが「廃人でもゲーム脳でもありません」。ゲームに依存しやすいのは「人生で何かが欠落している人」だと分析する。「ネットでのコミュニケーションが社会との唯一の窓になっている人もいるけれど、ほどよい距離感が必要です」と語る。

 最近は低年齢のゲーマーが気になるという。ひらがな混じりの幼稚な書き込みが、以前より多くなっている。澤はいう。「ゲームに抵抗の少ない世代の親に育てられた子がどうなるか、不安です」と。

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2009年7月18日 (土)

ネトゲ廃人

 毎日新聞(6/24)から、要約と 《》内は私見。
 《「ネトゲ」とはインターネットのゲームをいうらしい。何でも短縮して言葉を作ってしまう流行には、見ただけでは理解不能の言葉が多い。しかも横文字で書かれていると、昭和一桁にはちんぷんかんぷんになる。それでも「廃人」とは穏やかではない。何事かと訝しんでもおかしくはないだろう。先ずはどのような廃人なのか、記事に目を通してみた。次のようにあった。》

 「寝食も忘れてインターネットのゲームにのめり込み、学校や職場に行けなくなる人たち」のことだと。
日常を逸脱するバーチャルな世界で、どう生きているのだろうか。

 ある男の例だ。1ヵ月、風呂に入らなくても平気だった。大学には通わず、電話にも出ない。料金未納でガスも止められたが、不自由とは思わなかった。狭いアパートで、ベッドとパソコンの前を移動するだけ。血行が悪くなり、冬は足や手の指にしもやけができて痛かった。

 神奈川県の男子大学生(22)は、地方の国立大に入学した18歳の夏休みから、ネットゲーム「ファイナルファンタジーⅪ」(FF11)に夢中になった。一人暮らしを始め、厳しい親の目がなくなったのがきっかけだった。1日4時間が10時間、20時間と延び、外の世界には関心がなくなった。食パンをかじり牛乳を飲む日々で、52キロだった体重は46キロまで落ちた。

《痩せられることにこれだけ効果があれば・・・、とは誰も思わないだろう。大学生にもなって自分を御する自制心もなく、親の目が届かないだけのことでこれほどまでに自分が壊れて行く。育児、監督責任を持たない親に育てられ、この歳になるまでに、如何に自堕落な生活を送っていたかということだ。》

 FF11については省略するが、だらだらの生活で廃人同様の生活を送るようになって3年経ったある日、疲れ果て、宝探しと戦闘に明け暮れる日が楽しく思えなくなり、ログインをやめた。以来、FF11の開いたことはない。

 彼には、多少の反省も生まれたようだ。「ゲームに嵌った本当の原因は自己嫌悪。第1志望の大学に挑戦しなかった自分が嫌だった。ゲームをしていれば何もかも忘れられた」。今春、実家近くの別の大学に通い始めたが、卒業後が不安だという。「膨大な時間を損した。若者が勉強もせずゲームばかりしていたら、まともな勤めはできない。ネトゲ廃人が増えたら社会の損失でしょう」と。

《いけないのは社会、との逃げ口上で済ます若者に比べれば、反省の弁が出るだけまだましだ。》

 オンライン上で複数の人が同時にゲームに参加するネットゲーム。日本では02年ごろから流行し始めた。月の基本料金は千数百円程度で、無料で提供されるゲームもある。

 「年代の違う人といろんな話ができて疑似家族のようになった。合うことはないので煩わしさはなく、腹を割って話せる」、中学生時代に1日10時間以上ネットゲームをしていたと話す浪人生(18)。一方、架空の世界に魂を奪われ不登校となるケースは数年前から目立ち始め、深刻化している。

 「ネットゲームをやめるよう説得すると子どもから暴力を振るわれている、という相談が半年前から目立ち始めた」。不登校や引きこもりの相談に乗るNPO法人「教育研究所」(横浜市)の牟田武生理事長は話す。
 「リモコンをテレビに投げつけ、食卓をひっくり返し、手に噛みつき、首を絞められることも。殺されるのではないかと思うぐらいです」。中3長男のゲーム依存に悩む母親は俯いた。

 長男は昨秋からネットゲーム「メイプルストーリー」の虜になり、不登校となった。成績の良い息子に期待していた両親は焦った。今年4月、ゲームの運営会社「ネクソン」に頼み込み、ログインできないようにしたが、ひどい暴力を振るわれ、警察を呼んだ。半狂乱の長男は2階の窓から身を乗り出し「ゲームできないなら死ぬ」と叫んだ。根負けして会社に再懇願し、ゲーム環境を復活した。

《中3になってからではもう遅い、手がつけられなくて当然だ。小さい頃に躾もせず、好き勝手させて育てておいて、中学生になったからちゃんとしなさいでは、もう効き目はない。親が子育てが何かを解っていない。》

 長男は日に15時間、パソコンの画面に向かう。やんちゃで表情豊かだったのに「目元がきつくなり人相が変った」と母は嘆く。「成長期の子がネット漬けになる。なぜ業界は子どもが24時間アクセスできるようにしているのか」と父親。

《どうやらこの夫婦、モンスターペアレントの典型のようだ。持たせる必要のない携帯電話を持たせ、いじめなどの被害に遭って騒ぐ連中と全く同じだ。自分の無責任な子育てで出来上がったぐうたら息子のことを棚に上げ、ゲームの提供会社を槍玉にあげてみせる。携帯の業界が一応面子の良識だけは示すフィルタリングと同じことで、それさえも関心のない親の多いことに驚く。》

                  - つづく -

 

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2009年7月17日 (金)

殺人「時効廃止」、法制審に諮問へ

 日本人の平均寿命が3年連蔵して過去最高を更新した。女性(86・05歳)は24年連続で世界1に、男性(79・29歳)は昨年の3位から4位へ。寿命ばかりが伸びたところで老人にはとても住みにくい日本だが、私(現在77歳と8ヵ月)には寿命まで余命およそ2年、まだまだ書き足りない憎まれ口がある。目が見え、指先が動く限りパソコンから離れられないだろう。

毎日新聞(7/17)から、
 森英介法相は17日の閣議後の会見で、殺人など生命を奪った凶悪・重大な事件については、公訴時効の廃止が相当とする法務省内勉強会の検討結果を発表した。「国民の正義観念が変化し、国家の刑罰権に起源を設けることは適当でない」とした。法改正した場合、改正前に発生し、現在も時効が進行中の事件にも遡って適用する「遡及適用」も憲法上許されると判断したが、是非はなお慎重に検討するとした。

《丁髷(ちょんまげ)を結い、武士が刀を差していた時代、身内を殺された侍たちは敵討ちを願い出ることで恨みが晴らせた。尤も逆に返り討ちに合うことも承知のうえだが、大抵は助太刀をしてくれる人間が出てきて本望を遂げることができたようである。連鎖の逆恨みにならないために仇を討つことは許可制だったようだ。

《現代の忌わしい殺人事件を見ていると、我れを忘れて、リンチや敵討ちを復活させてもいいのではないか、とさえ思うことがある。

 殺人など死刑が上限の罪については、05年の刑事訴訟法改正で公訴時効が15年から25年に延びたが、廃止となれば、明治時代の旧刑事訴訟法(1890年制定)で時効制度ができて以来、初の抜本的な見直しとなる。法務省は早ければ今秋の法制審議会(法相の諮問機関)に、刑訴法改正案などを諮問する。

 検討結果では、国民の意識の中に「生命を奪った事件は他の犯罪とは質的に異なり、特別で厳正に対処すべきだという正義観念がある」と指摘。
 時効制度の存在理由とされる
 1)処罰感情の希薄化
 2)犯人が一定期間処罰されていない「事実状態の尊重」
 3)証拠の散逸
などについては、それぞれ「社会の処罰感情の希薄化という事情はもはや妥当ではない」「犯人を処罰して社会秩序の維持・回復を図ることを優越させるべきだ」「検察側に重い立証責任を負わせるが、起訴を断念するのは適当ではない」との反証を挙げて、制度の見直しの必要性を強調した。

 廃止の対象は、「殺人など特に法定刑の重い重大な生命侵害犯」とし、障害致死や危険運転致死など生命にかかわる罪も「均衡上、期間の見直しを行なう必要がある」として延長を検討する。一方で、捜査体制の維持や資料保管などの問題点も挙げ、今後十分な検討を要すると付記した。

 法改正前に発生した事件への遡及については、これまで遡及処罰の禁止を定めた憲法39条とのかねあいが指摘されてきたが、「実行時に適法であった行為を処罰したり、違法性の評価を変更して刑を重くするわけではない」として、「憲法上は許される」との見方を示した。一方、05年改正時には遡及適用をしていない点との整合性から、政策上の是非をさらに検討する。

《これまでの加害者側の人権ばかりが擁護されてきたあり方に、時効見直しを訴え続けてきた「遺族感情」への共感が高まり、進められてきた制度改正論議だ。一日も早い法改正を期待しよう。

 しかし、日本弁護士連合会は「法改正は時期尚早」としており、6月11日、時効廃止や停止に全面的に反対する意見書を法務省に提出するなど、時効見直しには一貫して反対している。刑事法制委員会事務局長代行を務める山下幸夫弁護士は「05年改正から4年しか経っておらず、その検証もない中での再改正は時期尚早だ。時効を廃止しても容疑者が捕まらなければ、遺族は救われない。捜査状況の情報開示や、時効が成立した場合の遺族補償など別の救済策を模索すべきだ」と話している。
 

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2009年7月16日 (木)

通知表、所見欄の読み方

 通知表(我々の世代には通信簿の方が馴染み深い)にある子どもの所見欄、これに先生たちの保護者たちへの配慮から、苦肉の策のからくりが工夫されて記入されていることが暴露されている。保護者たちは夏休み前に子供達が学校から持ち帰ってくる通知表の、教科ごとの評価もさることながら、わが子の学校における行動や交友関係などの人物評価には心して読み解く必要がありそうだ。

 毎日新聞(7/16)から、
 もうすぐ夏休み、3学期制の学校では通知表が渡される。所見欄に褒め言葉が多いと親としては安心するが、実は先生たちの「あからさまには書けない本音」も隠れているらしい。学校でのわが子の姿を知るには「裏読み術」が必要なようだ。

《なぜこのような姑息な手段が必要なのか。「うちの子に限って」と思いたがる保護者には、先生のあからさまなわが子の欠点指摘には我慢ならず、それこそあからさまにモンスターとなって怒鳴り込みが始まることになるからだ。子どもの欠点指摘には、親として今後の指導指針となる教訓が含まれるのだが、当今の親たちにはそれが図星であったとしても、図星だからこそ、教師であっても他人から指摘されることに我慢ならない腹立たしさを覚えることになるからだ。》

 「お子さんの言葉遣いについてお話したいので、面談にいらしてください」数年前の秋、東京都内の女性会社員(41)は娘の担任からの電話に驚いた。娘は当時小学校中学年、親としては面談を受けなくてはならないほど言葉遣いが悪いとは思っていなかった、という。

 振り返れば確かに、担任が娘の通知表に書いた所見には〈言葉遣いや行動が乱暴になる時があるので、注意できると良い〉とあった。家庭でも「気をつけようね」と話してはいたが、多少荒っぽいことを言っても「子どもらしく元気な証拠」と深刻には受け止めていなかったという。

 女性は「所見欄の読み方が甘かったのか」と、知り合いの小学校教師に聞いてみた。すると「教師が〈注意できると良い〉と書くのは、よほど目に余り直してほしいところ。かなりきつい表現だ」とアドバイスされた。女性は言う。「所見を額面通り受け止めていたら、先生の意図を見落としてしまう。親はもっと厳しい目で通知表を読んだ方が良いのかもしれませんね」と。

《この女性のように都合良く知り合いに訊ねる教師がいればいい、素直に反省してみることも可能だろう。》

 ベネッセ教育研究開発センターが05年、小学校の保護者4432人を対象に行なった意識調査では、学習の評価(成績のつけ方)への満足度は「とても満足」「満足」が合わせて60%で、「あまり満足していない」「まったく満足していない」と答えた保護者も32%いた。教師の指導力不足やモンスターペアレントの問題が取り沙汰され、学校と保護者の関係が難しくなってきた時代、親の3人に1人が通知表のあり方などに不満を感じていることになる。

《教師たち仕事を難しくしたのは誰か、それはマスコミの報道の仕方に問題があったことは確かだ。数多い中には教師としての適性を欠いた人間もいたことはあるが、時を同じくしてメディアが一斉に学校教育の総攻撃ともとれる記事を並べ、教師を罵った。保護者たちはその記事に踊らされ、子供達の目の前で先生への悪口雑言を並べ立てた。家庭教育もされていなかった子供達の先生への尊敬は一瞬にして崩壊して行った。その後の学校の荒れ様は誰もが知るところだ。その上に保護者にはわが子可愛さの身びいきがある。教師不信の上にわが子の出来が芳しくない親たちに尋ねれば、不満が表明されることなど当たり前のことだ。それを尤もらしく分析しても何の益もない。》

 だが、先生たちにとって、通知表の作成は難しい仕事だ。都内のある男性小学校教師は「大事な課題や改善点は面談で伝えることが基本」と話す。「所見にはマイナスの言葉は書きません。学校でどんな変化が見られたかを保護者に伝え、足りないところがより良くなるよう、励ます言葉を選びます」。例えば〈最後までやり通せんなかった〉という子には、〈最後までやり通せるようになると良い〉と書く。

 裏を返せば、保護者は〈できるようになるといいですね〉などと書かれた点は、子どもがまだできていない課題だと意識することが必要になる。

 教育関係者によると、児童・生徒に問題行動があってもソフトな言葉で表すようになってきたのは、個性を重視する教育が取り入れられた90年代以降だという。通知表の所見の書き方については、教師向けのマニュアルも出版されいる。教師のための情報を発信する「教心ネット」運営責任者で教育コンサルタントの伊藤敏雄は「マイナス面は書けないので、言い換えに多くの教師が悩んでいる」と指摘する。

 伊藤自身も「書き換えたい言葉一覧、文例集」を作り、ネット上に公開している。例えば、授業中騒がしい子には〈活発〉や〈元気〉。口が悪い子には〈自分の意見が言える〉などだ。最近では「学校での子どもの姿がわからない」という保護者たちが所見欄を「裏読み」するのにも活用されているという。

 伊藤は「行動に問題があっても教師はソフトな言葉でしか示さないので、親は子が学校でうまくやっていると勘違いしてしまう。子どもの学校での姿を把握し、成長につなげてほしい」と話す。

 教師との関係やクラスの雰囲気などでも、子どもの言動は大きく変る。通知表は中身に過剰に神経質になるよりも、教師とのコミュニケーション手段と位置づけ、家庭と学校が手を取りあって子を育てていくことに生かしたい。

《本当のことが言えない所見など、ない方が良い。こんな筈ではなかったのに、とすぐに別れてしまう最近の結婚、離婚のきっかけになる甘い言葉のやり取りと同じ世相そのままじゃないか。耳障りの良い言葉だけを並べ立て、真実を見えなくしてしまう。『耳が痛い』『良薬口に苦(にが)し』とは古人の智恵だが、苦言を言ってくれる人がいるということがどれほど有り難いことか、子どもたちの成長のためにも真実の言葉で書き留めることができるようになれば良いと思う。》

 ♦通知表に書きづらい言葉の言い換え
子どもの様子      通知表での表現    
騒がしい        明るい、活発な
頑固な         意思が強い
無口、ぼーっとした   落ち着いた、穏やかな
暗い          おとなしい
不まじめ        活動的、行動的
うるさい        活発、元気がいい
怒りっぽい       感受性豊か
落ち着きがない     好奇心旺盛
いいかげん       こだわらない
威張っている      自信に満ちている
口が悪い        自分の意見が言える
反抗的         自立した
不親切         他人に干渉しない
無責任         とらわれない
負けず嫌い       努力家
しつこい        粘り強い
意見が言えない     ひかえめ
甘えん坊        人にかわいがられる
面倒くさがり      物事にとらわれない
ふざける        ユーモアがある
冷たい         冷静
などなど。

《これほど褒め言葉がちりばめられれば、親たちは、わが子の欠点など知りようがないどころか、有頂天になり、自慢したがりの親たちは、鐘や太鼓を叩いてご近所に触れ回るのではないか。これが現在の教育なのか。》
 

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2009年7月15日 (水)

エアーズロック 入山禁止

 表題の記事は「国際」ページの記載になっているが、内容を読めば「文化・歴史」の方が当たっている。日本でももともとは信仰の山、現在屎尿問題で困っている富士山にも、ただ、「対岸の火事」と済ましてはおられない参考になる出来事だ。海外旅行時以外、ミネラルウォーターを購入したことのない私には関係ないことだが、環境汚染とともに、長い年月かけて伏流水となって利用されている富士山の水(ミネラルウォーターが伏流水そのままだとは思っていない)、いずれ遠くない将来大腸菌まみれになった伏流水になることもあり得るのではないだろうかと勝手に想像している。

 毎日新聞(7/14)から、
 豪ABCテレビ(電子版)によれば、「エアーズロック」の別名で知られるオーストラリア中部の巨大な岩山「ウルル」について、同国連邦政府は、先住民アポリジニの聖地であることから、観光客の入山を禁止する計画を策定中だと明らかにした。今後各方面と調整をした上で、18ヵ月以内の実現を想定しているという。

 ウルルは北部特別地域(準州)にあり、高さは346メートル。内外から毎年35万人の観光客が訪れ、うち10万人以上が入山している。1985年にアポリジニに所有権が返還された。アポリジニは以前から観光客の入山に反対していた。

 政府は閉鎖計画に関連し、勧告客が環境に及ぼす影響を指摘。山頂にはトイレもないため汚染が広がり、動植物や近くで遊ぶ子どもの健康に悪影響を与えているとした。アポリジニの地権者の一人は「われわれの聖地に対する宗教的な敬愛の念を尊重すべきだ」と話している。

《ウルルはたかだか346メートルの山だ。往復しても大小便の必要など準備一つで解決可能だ。腹の調子が悪ければ登らなければいい。富士山も、世界遺産から外されて以来、心ある登山家が始めた清掃登山も度重なっているが、一方で、山頂のトイレは登山者の数からはとても足りない処理量で、山頂付近の汚染はひどい状態が続いているようだ。現代の日本人には信仰を説いても効き目はない。これ以上富士山が糞尿まみれにならないためには、入山者の制限か、下山の際には自分の糞便の持ち帰り(瞬間固形化)、或いは尿の再生飲料化程度のことは簡単だろう。或いはもっと進めて入山禁止にするほかないのでは、と以前書いた。どこの国の人間も、モラルを説いても始まらない、今度のオーストラリア政府の決断には敬意を表しておきたい。》

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2009年7月14日 (火)

「脳死は人の死」が成立

 むちゃくちゃだ。参議院でもろくに審議もせず、国会の会期末、衆院解散、総選挙とドタバタの舞台を、イタチの最後っぺのような結論で、別の法律に作り替えてしまった。こんなのは改正案じゃないことは、幾度も書いてきた。初めから結論ありき、お涙ちょうだいの田舎小屋の出し物の人情劇で、拙速を問われても仕方ない。

 毎日新聞(7/14)から、要約と《》内は私見。
 臓器移植法改正案は13日午後、参院本会議で裁決され、3法案のうち、脳死を一般的な人の死とする「A案」(衆院通過)が賛成138、反対82の賛成多数で可決、成立した。15歳未満の子どもの臓器提供を禁じた現行法の年齢制限を撤廃し、国内での子どもの移植に道を開くとともに、脳死を初めて法律で「人の死」と位置づけた。だが、死の定義変更には強い慎重論が残る。このため、A案提出者は審議の中で「『脳死は人の死』は、移植医療時に限定される」と答弁し、配慮を示した。

 ♦成立した法律の骨子♦
 1)、志望者の意思が不明で遺族が書面で承諾していれば、医師は死体(脳死した者の身体を含む)から臓器を摘出できる。
 2)、本人の意思が不明でも、家族が書面で承諾していれば医師は脳死判定できる。
 3)、親族に臓器を優先提供する意思を書面で表示できる。
 4)、政府は虐待児から臓器が提供されないようにする。

 人の死の定義を変えるだけではない。脳死と判定された場合に、臓器を提供するかどうかに本人の同意が不要となるのだ。本人が望めば《家族に必要な患者がいればの場合》親族に優先的に臓器を提供することさえ可能となる。《このことについては前回、私見で詳しく述べた。》

 13日に参院で可決され、成立した改正臓器移植法(A案)は、現行法とは理念が大きく異なる。《私が別の法案を作った、と表現したことだ。》本来なら、腰を落ち着け、これまでの事例や法改正による影響を、細部まで検討したうえで結論を出すべきだった。にも拘らず、衆参両院での審議は駆け足だった。

 人の命にかかわる法律として、拙速との印象が拭えない。衆院の解散時期をにらみ、理念よりも「廃案阻止」に動いたのだとすれば、無責任な態度との批判を免れない。

《理由を探しても、その時期のことが背景にあることは間違いない。今回のような結論が出ることを憂え、私は、廃案になることの方を選択するべきことを奨めた。助かる命よりも、助ける命の側に考えなければならない問題が存在することを指摘したかったからだ。

《子どもの頃に聞かされた。亡くなった人がお通夜の晩、棺桶の中から「生き返った」話だ。私だけではない、妻も同じような話を聞いていた。現在、「脳死」の宣告を受けた後も生き続けている60人のいのちがあることが分かっている。

 97年に現行法が成立するまでには、今回の改正法と同様の内容も含め、さまざまな考えが幅広く議論された。その結果、「脳死は人の死」と考えない人にも配慮した法律が制定された。

 それから12年で人々の考えは変ったのか。毎日新聞の6月の世論調査では、現行法通り「臓器提供の意思を示している人に限って脳死を人の死と認めるべきだ」と回答した人が過半数に上る。

 一方で、脳死状態となった15歳未満の子どもからの臓器摘出について、親の承諾を条件に「賛成」と答えた人も過半数に上った。「本人同意」を前提とする現行法では禁止されている行為だが、今回の改正法では可能となる。「病気の子どもを助けたい」という点では、人々の気持ちには沿っている。

 ただ、脳死移植の場合は「臓器摘出される子ども」にも配慮がいる。子どもの脳死判定は大人に比べ難しいといわれる。判定基準をどうするか。虐待で脳死になった子どもの臓器の提供を家族が承諾するケースもありうる。それをどう見極めるか。

 大人でも子どもでも、提供者側の支援の確保や、同意できる家族の範囲も今後の課題だ。臓器提供を前提としない場合、脳死判定で治療が打ち切られないかといった点も、改めて整理しておく必要がある。

 法律が施行される1年後までに、国民が納得できる運用指針などを定めるのは簡単な作業ではない。特に「親族優先」は、移植の公平性を損なうだけでなく、倫理的に問題のある移植を誘発する恐れさえあり、抜本的な再検討が欠かせない。

 今回の法改正の背景には世界保健機関(WHO)が渡航移植を制限するのではないかとの味方があった。これとは別に、WHOは生体移植や細胞・組織移植まで視野に入れており、法律には生体移植の規定を盛り込むもとも検討課題だ。

《脳死移植法改正の賛成派の意見で私が納得できる理由は見当たらない。自然界の摂理から考えれば人間も動物である以上、医学の介入がなければ弱いものが淘汰されるのは自然だ。私がユニセフの子ども基金の方に重きを置く理由もそこにある。彼らは彼ら自体が弱いのではなく、摂取しなければならない食料や、医薬品が足りないことに原因があるからだ。今回の法の作り替えはただ単純に、国内では10年で脳死移植が81件という足りない屍体(ドナー)の数を増やしたいだけの姑息な考えで、「死(命)」への冒涜でしかない。》

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2009年7月13日 (月)

インド約11億人の全国民に番号を

 毎日新聞(7/11)から、要約
 このところカースト(身分)問題が話題になっているインドだが、そのインドで全国民11億人超にそれぞれ異なる16桁の番号を与える「国民皆番号制」の導入を政府が検討していることがわかた。

 16桁の番号と顔写真だけがプリントされ、名前の記載がないIC識別カードを国民全員に配布し、コンピューター管理する計画だ。カースト制度や信教を背景とした差別の根絶が狙いだという。何千年も続く悪しき監修をIT大国の先進技術で解消できるか、成り行きが注目される。

 連立政府を主導する「インド国民懐疑派」幹部が本紙に明らかにしたという。10年度導入を目指し、シン首相の特別チームが調査に着手した。

 インドでは所属するカーストが名字でほぼ分かってしまう。憲法は身分差別を禁じているが、地方ではまだ就職や結婚などを身分で差別する習慣は根強く、格差を固定化する要因となっている。

 識別カードは各種申請、納税、社会保障受け取り、入学などあらゆる行政手続きを1枚で行なうもので、運転免許などの情報もインプットされ、公の場で名前を示す必要が減ることになる。さらに、カードを就職の際の履歴書代わりにするなど、民間のやり取りにも使うよう推奨するという。

 懐疑派はカードにより、
  ▽カースト、出身地、信教などが他人に分かりづらくなり、入学や就職で個人の能力が重視される
  ▽結婚も純粋に相手を選べる
  ▽政府も横行する脱税、学歴詐称、偽造免許取得を防止できる
  ▽テロ阻止に役立つ
 などを、利点としてあがている。

 懐疑派は5月に開票があった総選挙で「格差解消」を訴え、低カーストからも支持を集めて躍進した。カード導入を公約実現の「切り札」としている。

 ただ「政府の個人情報管理には抵抗がある。登録情報変更を巡る新たな汚職も横行しそうだ」(インドマスコミ研究所のジョシー博士)と懐疑的な味方もある。しかし、懐疑派は「制度を変えることで差別する人の心も変えたい」と導入に意欲を見せている。

 因に、人口約13億人の中国も国民皆番号制を導入しているが、ICカード化は一部で試行されているだけだ。

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2009年7月12日 (日)

続・やっと淘汰に入った大学

 生き残りを賭けた合従連衡*も始まっている。08年4月には慶応義塾大学(東京都港区)と共立薬科大(同)が経営統合し、1952年の日本医科大と日本獣医畜産大以来56年ぶりに4年制私大を持つ学校法人同士の合併が実現した。

 * 合従連衡(がっしょうれんこう)は中国の故事から来た言葉で、攻守同盟の政策をいう。

 薬学部は近年の新設ラッシュで定員が増える一方、06年度に4年制から6年制に延長された影響で志願者が減少傾向にあり、共立薬科大側に危機感があった。また、09年4月には、関西学院大(兵庫県西宮市)が定員割れしていた聖和大(同)を吸収合併した。

  ♢10年度から学生募集を停止する市立大学♢
  大学名      所在地   定員  学生数 充足率
三重中京大     三重県松阪市 800  657 82・1%
愛知新城大谷大   愛知県新城市 400  158 32・0%
神戸ファッション  
    造形大   兵庫県明石市 400  165 41・3%
聖トマス大     兵庫県尼崎市 1042 568 54・5%
LEC東京リーガル
  マインド大  東京都千代田区 700  226 32・3%
*発表順。定員・学生数は1〜4年生の合計(除・通信制)。
 LEC大は株式会社立大。

 生き残り策として、より一般的なのが「学制が集まる」学部への衣替えだ。中でも目立つのが、入学定員の充足率が約110%(08年度)と安定的な看護学部・学科への転換で、来年度の学部設置を文部科学省に申請している16校中7校が計画。この中には美術学科を廃止して参入する芸術系の大学もある。

 こうした「看板の掛け替え」にはリスクも伴う。00年にスタートした介護保険制度を見据えて急増した福祉系学部の場合は、就職先となる福祉現場の苛酷な実態が知られるにつれて敬遠され、08年度の入学定員充足率は約92%と前年度より8ポイント近くダウンした。再び別の学部に転換する大学も珍しくない。

《教師の聖職、看護・介護の博愛も金銭が伴わないではあり得ない職業になった現在、目まぐるしく目先を変えるのも仕方ないとは思うが、寂しい世の中になったことも嘆かわしいことと思う。》

 私大経営に詳しい東京大大学院の両角亜希子講師(大学経営論)は「学制のニーズに合わせて変えていくことは重要だが、例えば看護学部にしてもその大学がある地域で本当にニーズがあるのかよく見極める必要がある。大学統合も理念や目指す方向性が違うとうまくいかない可能性もある」と指摘している。

《現在、有り余る数の大学がある。反面、その大学にある数だけの教室を埋める学生の数は、パラパラの状態なのが実態だ。どうもがこうが、淘汰を進め大学の数を減らさない限り、経営が行き詰まる大学が出るのは目に見えている。現在、中教審で「大学の適性規模」について審議しているという。》

 中央教育審議会大学分科会は、先月15日にまとめた第1次報告書では、03年度に緩和した大学の設置認可を厳格化するよう求めたほか、生き残りのために大学が統合や連携をする際に国がサポートすることなども提言した。

 中教審の議論を踏まえ、文部科学省は、大学が自主的に定員を減らしても一定期間は削減前の補助金額を受けられるようにする激変緩和策を検討しており、早ければ来年度にも実施する方針だという。

《要するに、具体的な淘汰の手段、方法などには無策、金をばらまくだけのことしか考えが浮かばないようだ。》

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2009年7月11日 (土)

やっと淘汰に入った大学

 敗戦後、雨後の筍のごとく増え続けた大学だが、ここに来て少子化の影響から経営が成り立たず、学生の募集を停止する私大が出てきた。このところの少子化は、金さえあって、望めば誰でも入れる程度に学生のレベルは低下の一途をたどってきた。最早大学は学問の府とは言い難く、キャンパスライフを楽しむ男女交遊の場となったとも言える。世の中の変化につれて時流に乗った学部を作ってみたりしてきたが、新入生を引きつける目玉となるのは限られたものだった。膨れ上がったパイを満たすだけの中身が足りず、小手先わざでは凋落の波は防ぎようもなくなっていた。早くから淘汰を訴えかけてきたが、ここに来てやっと大学が大学らしい姿に戻ろうとする動きが見えてきた。

 毎日新聞(7/11)から、要約 と
 10年度から学生募集を停止する私立大学が相次いでいる。定員割れによる4年制私大の募集停止や破綻は過去2例しかないが、今年度は株式会社立大を含め、既に5件。「大学淘汰」の時代がついに現実化した。

 4月に学生募集停止を発表した三重県松阪市の三重中京大。90年代後半まで2000人以上が通ったが、現在は4学年で計657人。今春の入学者は200人の定員に対し155人だった。4月に入学したばかりの男子学生(19)は「なくなる大学を卒業して就職先があるのか、それが一番心配」と不安を漏らす。

 82年、市の要請に応え、県内2番目の私大『松阪大」として開学した。だが、99年に初め定員割れした後は、毎年のように入学定員を減らしても定員に達しなかった。入学者の大半を占める県内の18歳はピーク時(91年前後)の約3万人から1万人以上減少。05年に現校名に変更するなど打開策も図ったが、名古屋市から特急で1時間以上もかかる立地条件では限界がある。

《泣き言を言っても立地条件は当初から変ったことではない。それに1時間以上の通学時間など普通のことだ。それこそ学問への大志があれば何ということでもない。私など片道2時間弱の会社勤務をこの大学の4年間と同じ期間通っていた。それに名前を変えた看板の付け替えが対策とは情けない話だ。問題の分析能力に欠けていたと言われても仕方ない、来るベくして来た閉校というべきだ。》

 01年度以降は毎年単年度赤字を計上。好調時の蓄えで5億円あまりの繰越金があるが、このまま赤字が続けば数年で底をつく。同時に募集停止する短大は累積赤字が既に約17億円。大学側は「責任を持って在校生を送り出せるうちに決断した」(広報課)と説明し、在校生が卒業する4年後に閉校する方針だ。

《昨日や今日の経済悪化が原因ではない。早くから兆候は現れていたものを、惰性で見過ごしていたのだ。問題は、問題があるのに問題と捉えられなかったことが問題だったのだ。大学の経営とはそんなに気楽なものだったのだろうか。》

 国内の18歳人口は92年の約205万人をピークに減少し続け、09年は約121万人。一方、18歳人口や進学率などを考慮して大学・短大の設置をコントロールしてきた国は、90年代以降徐々に規制を緩和し、03年には認可制から届け出制に改めた。そうした流れの中で、一足早く淘汰が始まった短大や専門学校などからの参入が相次ぎ、大学進学率が低い地域では地方自治体が誘致する形で新しい大学が誕生。02年末には構造改革特区を利用した株式会社立の大学も容認した。先月18日に募集停止を発表したLEC東京リーガルマインド大(東京都千代田区)もその一つだ。

 文部科学省によると、国公立も含め4年制大は89年度の499校から08年度は765校の増えた。一方、日本私立学校振興・共済事業団の調査では、入学定員に達しなかった4年制私大は98年度の8%(35校)から08年度47・1%(266校)と、ほぼ2校に1校に拡大。定員の50%にも満たない大学が29校に上った。また、07年度は4年制大を持つ学校法人の34・5%が赤字で、中でも学生数2000人未満の地方大学は221校中113校(51・1%)が赤字だった。

 大手予備校、河合塾の調査では。首都圏13、関西8の有力21私大で09年度の私立大志願者の49%を占めた。その多くが学部新設などで定員を大幅に増やしており、地方大学との格差はますます広がるばかりだ。同事業団は「今後も学生募集を停止する大学がないとは言えない。ただ、無理に募集を続けて在校生がいるうちに経営破綻するケースだけは避けなければならない」(私学情報室)と話している。

《増やすことができる新しい分野の学部があればいいが、今新しくても時間が経過すればまた直ぐに行き止まる。目先の対応だけで乗り切れる問題ではない。絶対的に多過ぎる大学の数、その反対に、少子化の現実と比例して毎年減少していく18歳。淘汰は急がなければならない問題だ。》
                 - つづく -

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2009年7月10日 (金)

改正育児・介護休業法が成立

 6月24日、参院本会議で採択され、全会一致で可決、成立した。
 同法は、3歳未満の子のいる従業員に対する短時間勤務、
       残業免除を企業に義務付ける。
     男性の育児休業取得の促進。
     違法行為に対する厚生労働相の勧告に従わない
       企業名の公表
 などが柱となっている。

 毎日新聞(6/26)社説から、
 結婚前から仕事をしていた女性の7割が出産を機に退職している。育児休業(育休)を取る男性は1・56%と極端に少ない。昨年秋以降の急激な不況下で、育休を取った社員を不当に解雇した「育休切り」が社会問題となっている。育休が取りづらく、少子化対策につながっていないというのが、この国の現実だ。

《男性の育休については、現在の国の進める方策では男性の取得率の向上など土台無理だし、子育てには何の役にも立たないことは折に触れて書いてきた。》

 少子化が続く中で、子育てしている夫婦に働きやすい環境を整える育児休業制度が施行されたが、欧州各国と比べれば、日本は普及が相当に遅れていると指摘せざるを得ない。

《これについても、その原因について触れてきた。そして、欧州と比較していうならば、「遅れている」は当たらない、「進んでいない」と表現するべきだ。》

 短時間勤務や残業免除の制度化は、事業主が考えを変えて前向きになればできる。そのためには、経営者だけでなく、職場の上司や仲間たちが改正法の理念を受け止め、育休を取得する従業員を支援する体制を広げて広げていくことが必要だ。

《社員を潤沢に抱えている企業、納期に余裕がある企業、一般事務部門(デスクワーク)の多い企業などでは努力次第で取得率の向上も不可能ではないだろうが、これらの企業と反対に、ギリギリの社員で、納期が社運を左右する企業、人の命をあずかる病・産院、なま物を扱う食品や流通関係など、精神論だけで取得率が上がるものではないだろう。》

 スウェーデンでは子どもが満一歳になるまでの間に最長4週間、有給で育児休暇が取れる「パパ・クオータ(父親割当)があり、男性の8割近くが育休を取っている。こうした制度も参考にしながら、男性が子育てや家事に参画する仕組みを広く普及させて行くべきだ。

《またまた、スウェーデンだ。消費税5%そこそこの日本に比べ、スウェーデンの高税率の税制度の仕組みには頬冠りして、「お前たちにもできるはずだ、努力してみろ」と新聞社は社説にまで書いておっしゃる。参照 男性の育児休業 - 2 - 08/04》

 改正法で注目されるのは「育休切り」の防止措置だ。政府原案にはなかったが、与野党で修正し、育休を申し出た従業員に対し休業期間を明記した確認書を交付することを省令で定めることにした。

 米国の世界不況の影響で、厚生労働省には労働者からの相談が前年の1・4倍も増えたことが背景にある。育休を取った人への退職強要や解雇、期間雇用者の雇い止め、減給、復職後の不利益な配置転換などの相談があり、育休制度が社会に定着していない実態が明らかになった。その意味からも、総選挙を前に与野党の対立が激しくなっている中で、与野党が柔軟に歩み寄って、「育休切り」に歯止めをかけることで合意した意義は大きい。

 育児・介護法の改正は、育休制度を普及、定着させるためのスタートである。改正法を作って終わりではない。肝心なことは、事業主の意識変革であり、上司や同僚の理解である。育休を取った後、また職場に戻って働くことが、ごく自然なことになる社会にしたい。
 
《机上の作文を綴ることは易しい。その内容で本当に実行することが可能な企業は一握りだろう。》

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2009年7月 9日 (木)

添加物「ゼロ」は、入っていないことではない

 毎日新聞(7/9)から、要約と《 》内は私見。
 「カロリーゼロ」「保存料を使っていません」など。スーパーやコンビニで、このような表示が目につく。でも実際には別の保存用添加物が使われていたり、単なるキャッチフレーズだったりもする。溢れる「ゼロ」に惑わされないよう、食品表示の実態を知っておきたいものだ。

《意味合いを異にするが、勘違いするものは他にもいろいろとある。例えば刑期の一つに「無期」というのがあるが、これは死ぬまで刑を務める「終身刑(日本には存在しない)」とは異なり、決められた刑の期間が無いということで、出所することが許される刑だし、特に義務教育の子どもを持つ親(保護者)に多い「義務」の勘違いがある。これは子どもの親(保護者)は、子どもに教育を受けさせる義務を有する、ということで、国が教育をする義務があるということではない。》

 今年5月、大手飲料メーカーから「カロリーゼロ、糖質ゼロ、保存料ゼロ」のサイダーが発売された。健康増進法に基づく栄養表示基準によると、カロリー表示は100ml当り5キロカロリー未満、糖質は0・5グラム未満なら「ゼロ」と表示できる。この商法はカロリーと糖質についてはゼロ表示の基準以内で問題ない。ただ、保存料については意外な事実がある。

 「保存料ゼロ」という表示を見て、消費者はどんな食品だとイメージするだろうか。食品の表示問題などに詳しい蒲生恵美・日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会食生活研究会代表は次のように話す。「以前は保存料を使っていたが、技術開発でゼロにすることができた。もしくは、他社の同じ商品は保存料を使っているが、我が社は使っていない」。⦅一体何を言いたいのだろう。⦆

 このサイダーのメーカーに聞いてみると、「元々サイダーに保存料は使っていなかった」という答えが返ってきた。ではなぜ今まで表示していなかったものを表示するようになったのかについては「『セロ』というコンセプトに拘った」ということのようだ。同じようにそもそも使われていない保存料を「ゼロ」とアピールする表示は、このメーカー以外のトマトジュースなどでもある。

 因みに「糖質」と「糖類」の違いも知っておきたい。糖質は炭水化物から食物繊維を除いた澱粉やブドウ糖、果糖などのこと。糖類は糖質の一部で、単糖類(ブドウ糖など)と二糖類(しょ糖など)を指す。このサイダーに含まれるスクラロースなどの甘味料は糖質の一種。厚生労働省新開発食品保健対策室は、「栄養表示基準に基づき、宣伝などで『ゼロ』と強調して表示できるのは糖類だけ」と話す。

⦅「ゼロ」「低」と強調して表示できる基準⦆
             (食品100ml当り)
         ゼロ       低・ひかえめ
 熱   量   5kcal  未満   20kcal 以下
 脂   肪   0・5グラム〃    1・5グラム〃
 糖   類   0・5 〃      2・5   〃
 飽和脂肪酸   0・1 〃     0・75    〃
 ナトリウム   5ミリグラム〃 120ミリグラム 〃
 コレステロール 5  〃     10  〃  
◎「ゼロ」には「無」「ノン」「レス」「オフ」も含まれる。
◎「低・ひかえめ」には「ライト」「オフ」も含まれる。
◎コレステロール値で「ゼロ」を表示するには、飽和脂肪酸が含有量0・75グラム未満かつエネルギー量10%未満であることが前提。

 清涼飲料では「カフェインゼロ」の文字も目につく。コーヒーや緑茶に含まれているのはよく知られているが、カフェインとは無関係なトウモロコシ、アロエ、コラーゲンなどを素材にした飲み物でも「カフェインゼロ」と表示されている商品がある。カフェインは栄養表示基準の対象外なので「どの程度の量までを『ゼロ』と示すかは、企業任せになっている」(同省)という。

 遺伝子組み換え作物では、そもそも組み替え食品が流通していない魚介類などに「組み替えではありません」と表示されていたことが問題となり、公正取引委員会が「景品表示法に反する優良誤認にあたる」との判断を示している。優良誤認とは、例えばメーカーが自社製品をライバル社製品より特に優れているわけでもないのに、あたかも優れいるかのように偽って宣伝することだ。

 「保存料ゼロ」表示について、蒲生は「一般的に保存料が使われていない食品にゼロ表示をするのは的確なメッセージとは言えず、消費者を惑わす優良誤認に近いのではないか」と話す。

《とはいえ、売れれば勝ちの商売だ。違法すれすれの宣伝合戦は消費者が賢くならなければ、公取の注意や警告だけでは防げるものではないだろう。》

 コンビニエンスストアで売られているおにぎりの一部にも、包みに「保存料・合成の着色料は使用しておりません」とある。だが表示J欄をよく見ると「PH調整剤」と記載されている。PH調整剤は微生物の繁殖を抑える添加物。保存料とは呼ばないものの、保存目的で使われる。

 では、PH調整剤は保存料より毒性が弱いのだろうか。長村洋一・鈴鹿医療科学大教授(食品科学)らはソルビン酸カリウム(保存料)と酢酸ナトリウム(PH調整剤)で大腸菌の繁殖を抑える作用を比較した。その結果、同じように菌の繁殖を抑えるには、PH調整剤の場合、保存料の約10倍の量が必要であることが分かった。

 長村は「保存料もPH調整剤も、安全性に変わりはない。ただ、少量で済む保存料を使わずPH調整剤をたくさん使いながら、『保存料ゼロ』とするのは、消費者に誤解を招く行為ではないか」と指摘する。

 食品添加物に詳しい西島基弘・実践女子大学(食品衛生学)によると、保存料など食品添加物を使用することは微生物の繁殖を抑え、食中毒の防止に役立つ。添加物も許容量を超えなければ安全上問題はない。保存料などがなければ、廃棄される食品がますます増える側面もある。

 西島教授は言う。「添加物を危険視するような表示が目立つが、メーカーには添加物の働きが正しく伝わるような表示を心掛けてほしい」と。
 

 

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2009年7月 8日 (水)

赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」の法的問題

 参照 赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」 06/11 《ここで、私はポスト開設に反対の意見を述べた。》

 毎日新聞(7/7)から、 要約と、《 》内は私見。
 熊本市の慈恵病院がポストを開設してから2年が過ぎ、運営上の問題や親の実情が浮き彫りになってきた。入れられた子どもの「健やかに育つ権利」「出自を知る権利」そして「親権」。何を優先させ、他の権利をどう補うか、国と熊本県、市はともに検討し、先送りしてきた法的な問題に速やかに判断を示すべきだ。

 赤ちゃんポストは現行法が想定していない施設で、国は刑法や児童福祉法に照らし「直ちに違法とはいえない」とし、「見切り発車」したのが実情であった。
▽子どもへの対応は、次のような内容で異なる。
 1、ポストに入れる前の事前相談
 2、ポストに入れられ身元が判明
 3、ポストに入れられ身元が分からない

 1、の場合、病院と親たちで相談しながら後のことを決められる。特別養子縁組を斡旋する団体に引き継ぐこともできる。
 2、と3、は児童相談所が対応する。2、なら、親の居住地の児相に引き継ぎ、原則的には親元に戻るのを推す支援がなされる。

 問題は3、のケースで、「新しい家族」を得られるかは現状では不透明だ。通常の「捨て子」は、警察が保護責任者遺棄容疑で捜査する。身元が分からない場合、捜査を論拠に家庭裁判所が「実父母に養育意思があると確認できない」と特別養子縁組を認めるケースがある。だが、ポストの場合、捜査は明らかに虐待を受けている場合などにとどまる。親が後に名乗り出る可能性も捨て切れず、家裁が同様の判断をする論拠がない。判例などから特別養子縁組は難しいと県は分析している。

 このため、病院は08年度から、「匿名での受け入れ」という大前提を覆した。建物の外側から赤ちゃんを入れ扉を閉めると、扉に鍵がかかってアラームが鳴り、駆けつけた職員が赤ちゃんを保護するのに加え、アラームと同時に建物の外に回る職員を配置した。入れたと思われる人を捜し、車のナンバーを記録した例もある。身持ちが分かった子どもは、07年度は入れられた17人のうち10人だったが、08年度は25人中22人。判明率は大幅に伸びた。

 身元の分からない10人は、今も乳児院などや里親の元で育っている。しかし、里親にしても児童福祉法の規定で原則18歳までの期限付きで、「新しい家族を与える」という当初の理念とは異なる。

《もともと“生まれた子には罪はない”捨てられる子どもが哀れという人道的な立場だけで開設したポストで、法的な問題をクリアした上でのことではない。》

 慈恵病院の蓮田理事長は昨年、一定期間連絡がなければ養子縁組の手続きを進めるような内容の告知をするよう検討した。「親権」より「健やかに育つ権利」を優先させようとしたわけだ。だが、親権停止を宣告するような行動は、民法で家庭裁判所がすると定めており、一病院の判断ではできない。「国が決めること」と、1月に小渕少子化担当相に、特別養子縁組の緩和を要請したという。しかし、今現在、国にも目立った動きはない。

 「想定外」は、他の公表結果からもうかがえる。大学教授や医師らによる熊本県の中期的検証会議の中間報告(08年9月)で、ポストに子どもを入れにきた人物は07年度、母親1人のケースが約2割と判明。熊本市が公表した08年度の利用状況でも、父親が係わったケース、祖父母が係わった例が各5件あった。「1人で悩み、追いつめられた母親が利用」という見込みからはほど遠かった。

《このことは日本の現状の性モラルのなさ、男女関係の乱れなどからも、生まれた子は邪魔だから捨てるだけになることは開設時点で予測はついていた。ただ、蓮田理事長のカトリックの博愛の精神から、心情的な配慮としてでたことには同情できた。また、父の急死による票田を引き継いだだけのお穣ちゃま担当相には、何かを提案、提起したところでメッセンジャーガールの役割しかもっていないだろう。》

 だが、市も県も自ら分析することすら拒んでいる。「検証会議が議論することになっており、現時点で評価は出来ない」という。問題がはっきりしてきた以上、これですませられるわけはない。特別養子縁組に取り組みにせよ、申請できるのは6歳未満などの条件があり、ポストに入れられた子どもたちにはそんなに時間的余裕はない。身元の分からない子どもたちの成育環境を可能な限り保障できるよう、早急に詰めるべきだ。

 そのためには、どの権利を優先させるべきか、まず明確にすべきだと思う。同様の制度を持つ米カリフォルニア州では「望まぬ妊娠をした母親が出産直後の動転で赤ちゃんを殺す・捨てる事件を防ぐ」と目的をはっきりさせ、「出自を知る権利は保障できないが、命と新しい家庭を得られることを優先した」と、失う権利にも向き合っていた。

 ポストが使われない社会は理想だが、これだけの利用がある以上、運用中止は問題の解決にならない。運用を続けながら、身元の分からない子どもたちが自らを肯定して生きて行けるよう取り組むことが、「社会で育てる」ことにつながると思う。

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2009年7月 7日 (火)

ローン払えず 自宅競売が増加

 毎日新聞(6/24、25)から、要約と《》内は私見。
 不況による収入減で住宅ローンを返済できず、競売にかけられるケースが急増しているという。虎の子のマイホームを手放さざるを得ない人はさらに増えるのだろうか。トヨタ自動車グループなどの地元企業の業績悪化の直撃を受けている愛知県では、戸建て住宅の競売が07年に比べて08年には約7倍に増えている。

 東京都新宿区の40歳代の男性会社員に昨年末、住宅金融支援機構(旧受託金融公庫)から封書が届いた。「2週間以内に住宅ローンを一括返済できなければ競売に移行する」というものだった。妻と小学生の娘の3人暮し。00年に3700万円で2LDKのマンションを購入した。返済は月10万円。給料は月50万円を超え、余裕があったが、昨年夏から一変した。

 勤務先の建築会社の業績悪化で給料は30万円台に。妻が体調を崩し、治療費などで消費者金融から400万円を借りたが、住宅ローンが払えなくなった。

 男性は競売後に離婚し、手元に残ったのは1800万円のローン。自己破産を申請し、今は狭いアパートに住んでいる。「無理してでもマイホームは維持したかったが、まさかこんな不景気になるとは」と話す。

《昔の男は一生の大事業として、自分の家を持つことが夢であった。そのためには営々として働き、勤め上げて手にする退職金と苦労して貯えてきた貯蓄を加えて念願の家(終の住処)を用意し、その後の家族と過ごす人生の拠り所としたものだった。

《昔(敗戦後の半世紀ほど前の話だ)は現在以上に格差社会であった。金持ちと貧乏人という。金持ちが手に入れる贅沢品とまで行かなくても、貧乏人には日常品さえ手にすることには不自由することが多くあった。苦しい生活を助けてくれる貧乏人の味方が質屋であり、月賦販売であった。「おう、それラムネか?」一張羅の背広を着て出社する同僚に、友人が声をかける。世界でも有数の高給取りとなった現在のサラリーマンと違って、当時の世界屈指の安月給の貧乏サラリーマンには背広一着は分割でなければ手に入れることは難しかった。「ラムネ」を飲めばゲップが出る、そのゲップを月賦にかけて自虐的に使っていた言葉だ。

《○1○1の丸井が月賦百貨店で繁昌していた時代のことだ。その丸井がラムネをクレジットという洒落た名前を付けて分割払いを定着化して行った。ローンの本質がここにあることを忘れてはならない。大枚をはたいて何千万、何億のマンションを購入できる金持ちと、わずか2、3千万円を20年、30年、いやそれ以上掛けて支払って行く層とはおのずと金銭感覚が違っていていいはずだ。

《ところが、現在、自宅購入は男だけで手に入れるものではなくなった。女性に収入が生じ、資金は夫婦合算で計画が立てられる時代になった。ローンの落し穴がそこにあるのだ。今では結婚は親を捨てることから始まる。差し迫っては住む家を準備しなければならない。退職金を待つことなど絶対に不可能だ。合算したところで若い二人には有り余る資金になるわけではない。働くこと以上に楽しむことも求め、それを優先する。なくてもいい乗用車を必需品と考える、年に数回の旅行(国内外)も外せない、外食は当たり前になる、携帯電話は使い放題、そのため購入したマイホームのローンの支払いは、月々の出費を抑えてボーナスでまとめて充当する計画をたてる。ところがボーナスは企業の業績配分だ。企業に利益が生まれなければボーナスは極端な話支払われなくても仕方のないものだ。そこに発生したのがこの度のリストラにボーナス削減だ。

 国内の住宅ローン残高の約2割を占める住宅金融支援機構によると、08年度に競売に持ち込んだ件数は前年度比35%増の1万6577件。今年3月は昨年9月の約2倍の1830件に上った。

 東京都中央区のNPO法人、競売債務者支援協会(岡野雄一郎理事長)には現在、競売を迫られた人の相談が1日10〜20件寄せられる。以前は不況の影響を受けやすい中小企業の経営者が多かったが、最近は「給与削減でローンが払えない」と訴える大企業の社員が目立ってきたという。

 金融機関が競売を通知しても、裁判所が競売にかける前に、不動産業者が仲介する「任意売却」も多い。売却額が競売よりもやや高いからだ。岡野理事長によると「競売の相談のうち4割は任意売却」。ただ、地価下落で任意売却も不調に終わり、競売に移行するケースが増えているという。

 一方、ボーナス削減で 住宅ローンを払えなくなる事態続出を警戒し、金融機関も対応に乗り出している。大手銀行は各支店に住宅ローン相談にきめ細かく応じるよう指示を出した。東邦銀行(福島県)は、返済期間の延長を、従来は借入日から最長35年しか認めていなかったが、最長50年に延ばした。

 住宅支援機構も主力の「フラット35」(最長35年の長期固定金利住宅ローン)で返済期間の延長やボーナス払いの減額などが利用できる制度を用意。「競売は最後の手段。とにかく早めの相談を」と呼び掛ける。

 政府は09年度補正予算で「フラット35」を預金ゼロでも利用できる財政支援を盛り込んだ。従来は頭金が借入額の1割以上必要だった。

 ファイナンシャルプランナーの西澤京子は「経済の先行きが不透明な中、返済できなくなるリスクが高いことも認識すべきだ」と指摘する。当初は返済を抑えたが、後に払い切れなくなって社会問題化した「ゆとりローン」や米サブプライムローンの二の舞になりかねず、西澤は「完済までの家計の長期計画を立て、慎重に利用すべきだ」と話す。

 経済評論家の石井勝利もいう。これからマイホームを求めてローンを組む人は、とくに不安定な「ボーナス払い」の割合は大きく減らして、月々の返済でも可能な範囲での借入を優先すべきだ。マイホームを求めるのはいいが、返済の継続に見通しが立たないなら考え方を変えなければならない。右肩上がりの経済ではない現実を見据え、慎重に判断すべきだ、と。

《苦しんで購入するだけが家ではない。借り物の家でも一家で楽しく食卓を囲んで団欒のできるスペースがあればそれに越したことはない。》

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2009年7月 5日 (日)

5歳男児の寝小便

 《最近は相談者の性別も年齢も明かさないままの記事が多い。この相談者も文章から判断して多分女性だろうが年齢不詳、一人親家庭なのか他にきょうだいがいるのかいないのかさっぱり分からない。相談の内容が、子どもの日常生活など家庭環境も多分に影響を与えることを考えれば、働く親なのか、そうでないのか程度のことは書くべきだろう。例えば、保育園にでも預けられて日中ひとりぽっちでいるなどすれば、情緒不安定なことが左右することだってあり得ることだ。》

【閑話休題】
毎日新聞(7/5)「子ども相談室」から、《 》内は私見。

 質問、5歳5カ月の男児。毎日のように寝小便(おねしょ と書いてある)をします。夜中にトイレに2回連れて行ってもすることがあります。病院へ相談すべきでしょうか。最近は夜寝る時だけおしめを履かせていますが、これでいいのか不安です。

《どうやら同居の子育て経験者も、男児にきょうだいもいないようだ。何かあると直ぐに「救急車」と同じように、何でもかでも直ぐに思い浮かぶのは「病院」のようだ。その前に周りの子育て経験者を訪ねて聞いてみることも思い浮かばないのだろうか。》

 回答は小児科医・加部一彦、「起こさず、焦らず、怒らず」が、寝小便対策の「3原則」と言われています。かつては、小便の習慣をつけるため、夜中に起こしてトイレに連れて行く方がよいと考えられていました。
 現在は、起こすことで睡眠リズムが妨げられ、睡眠中の尿量を減らす働きをしている抗利尿ホルモンの分泌が不安定になるため、起こさない方がよいと考えられています。

 ご質問のお子さんのように、5歳を過ぎている場合、本人は寝小便を「恥ずかしいと」考えていると思います。親が寝小便を怒ると、「寝小便しないように」と緊張し、却って不安が増してしまいます。寝る時のおむつも、さらに緊張を高める可能性があります。

 当面は、寝小便は「仕方がないこと」と考え、眠る前には水分を控えたり、トイレに行ってから眠る習慣をつけることから始めてはいかがでしょうか。

 膀胱の容量を増やすため、日中のおしっこは「もうダメ!」となるまで、できるだけ我慢させることもいいでしょう。我慢したあとのおしっこの量を「我慢尿量」といい、6歳前後では150ml以上の容量があるはずです。これが少ないと寝小便の原因になります。

 寝小便が治らないお子さんの中には、ホルモン異常など病気が原因の場合もありますが、6歳前後なら病気の可能性を考えるより、まだ身体の発育が十分でないと考え、焦らずに気長に見守ってあげることが必要だと思います。

《それで治ります、とは回答していない。ところで、私の子どもの頃はここに書かれている坊やよりも、遥かに手強い寝小便垂れだった。毎日のように敷き布団には日本地図や世界地図を描いていた。自慢ではないが、小学校に上がる頃まで続いていた。しかし母親から叱られた記憶が全くない。寝間着や下着を洗濯し、濡れた布団を黙々と竿竹に掛け、日光に当てていたのを覚えている。毎日のように濡らす布団の替えなどない。天日干しとはいえ、当然布団の丸洗いなどできっこない。アンモニア臭にくるまれての就寝だった。だからといって病院に行ったこともない。その頃にはきょうだいはすでに5人になっていたが、弟も、その下の妹も寝小便はしても私には比べようもなく布団を干す回数は少なかった。》

《加部のいうように、寝小便をして当たり前とは思ってはいない。何重にも重なった地図が描かれた布団を干す母の姿を見ては、友達に見られるのは恥ずかしい、今日はしないぞ、と思っていても朝には地図を描いている。その繰り返しだった。だが、それほどの重症でも、いつの間にか忘れたように遠ざかっていた。その後、所帯を持って長男が生まれ、寝小便を引き継いでいないか心配したが、全くの杞憂で済んで一安心だったことを思い出す。》

《相談の親ごさん、おむつなどしないでやって下さい。子供心にも後々の人生に影響も出,心の傷として残りますよ。それから、汚した物は手間を惜しまず洗ってやって、布団はお天道様に干してやって下さいね。》
 

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2009年7月 4日 (土)

北朝鮮 ミサイル3発発射

 毎日新聞(7/4)から、 《》内は私見。
 《蜂の巣をつついたように騒ぎまくった従来の北朝鮮のミサイル報導が嘘のように落ちついたものになってきた。政府を筆頭に、メディアもテレビも朝から晩まで北朝鮮、北朝鮮と叫び続けていたが、今度は3発も打ち上げたというのに何だか落ちついたものだ。》

 《私の世代には小学校修身の教科書に、出てもいないのに『狼が出た!』と叫んで村人を驚かせ、二度三度と繰り返して本当に出た時に信じてもらえなかった子どもの話が載っていて、流言蜚語の怖さを教えられたものだ。これまでの新聞やテレビの北朝鮮報道は、将に国民の恐怖心を煽り立て、北朝鮮憎しと同時に、猜疑心を掻き立て、国を挙げて自衛隊戦力の増強の必要性を煽る役目でしかなかった。》

 韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は4日午前8時から10時45分の間に、同国南東部の江原道安辺郡旗対嶺(かんうぉんどあんぴょんぐんきてりょん)付近から日本海に向け、ミサイル3発を発射した。

《日本海に向けて打ったのであって、日本に向けて打ったのではないし、たまたまその海も日本海と名付けられている海であるだけだ。以前もそうだったが、北朝鮮沿岸に沿ってウラジオストック方向に向けて打ったものまで、日本海に向けて撃ったと表現していた。》

 約400キロ以上離れた地点に落下したとみられる。韓国メディアによると、米独立記念日の4日(日本時間4日午後〜5日午前)に合わせ、旗対嶺の基地で中距離ミサイルを発射する動きもみられ、韓国軍当局などが監視を強めている。

 北朝鮮は江原道元元山(うぉんさん)市沖日本海沿岸海域などで6月25日から今月11日まで「訓練を実施する」と公にし、2日夕から夜にかけても短距離ミサイル計4発を発射。軍事訓練の一環とみられる。

 《あくまでも、北朝鮮にとっては軍事訓練のそれ以上のものではないだろうし、北朝鮮に狙いがあるとすれば、その相手は米国以外にはあり得ない。》

 今後、米独立記念日の4日に合わせ、中距離ミサイルを発射するなど挑発がエスカレートする可能性がある。旗対嶺で準備中とみられるのは中距離弾道ミサイル「ノドン」(射程1300キロ)で、07年に実戦配備された射程3000キロの新型中距離ミサイルの可能性もあるとしている。

 北朝鮮は、米独立記念日に合わせ06年7月5日にも長距離弾道ミサイル「テポドン2号」など計7発を発射。こKのうち旗対嶺から「ノドン」など6発を発射した。韓国では今月8日の北朝鮮の故金日成主席の死去15周年に合わせて発射する可能性も指摘されている。

 河村建夫官房長官は4日「北朝鮮に厳重に抗議し、遺憾の意を表明する」との声明を発表した。ミサイルが「北朝鮮沿岸に近い日本海に落下したものとみられる」としたうえで「わが国を含む近隣国への安全保障上の重大な挑発行為であり、国連安保理決議に違反する」とも批判した。政府は同日午前9時45分、首相官邸に対策室を設置した。

 《国連安保理決議が絶対のものであるように言っているが、国際法上、それに優先する国連決議が存在することを、6月3日のブログで引用した。参照:日本の対北朝鮮制裁は効果あるのだろうか 》。
 

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2009年7月 2日 (木)

子どもの値段

 毎日新聞(7/2)から、《 》内は私見。
 《ギョッとするタイトルをつけたが、2006年に人身売買を扱った『赤ちゃんの値段』(高倉正樹著:講談社)の話ではない。自転車の「3人乗り」を条件付きで認める公安委員会規則が各自治体でも施行されたが、それに伴うさまざまな反応について感じたことを書きたい。》

 メーカーは早速さまざまな3人乗り自転車を市場に投入しているが、県警(埼玉)企画課の調査では、主流は5万〜7万円台、電動アシスト付きは十数万円する。幼児をかかえる母親からは行政の購入補助を期待する声も上がる。

《思い出せば乗用車にチャイルドシート装着が義務化された時にも同じ意見が噴出した。その時にも今回同様感じたことだが、親たちはわが子の命を一体幾らで換算しているのだろう、ということだった。自転車も今日突然発売されたのではない。以前からの事故の発生を契機に3人乗り禁止となるところを、母親たちの「それでも3人乗り自転車は必要である」の声を受け、対策としての3人乗り自転車の開発、試作が繰り返されてきた。その間に必要経費の準備は整えておくのが通常の考えだろう。万が一、事故が発生して子ども二人の命を失うようなことでもあれば、と考えれば5万10万の保険は決して高いものではないはずだ。子どもの命を守る保険ではないのだろうか。》

 県警は今年上半期、県内で自転車の3人乗りが関係した事故を13件確認している。3人乗りできるのは、6歳未満を「自転車協会」の安全基準を満たした自転車にのせる場合だけ。基準外の自転車だと道路交通法違反で2万円以下の罰金または科料の対象となるが、県警によると、警察庁の通達で、3人乗り用が普及するまでは違法状態を警察官が発見しても注意や指導にとどめる方針だという。

《子どもいのち以上に「高いから」の打算でちっとも普及が進まなかったら、どれだけ引き延ばすつもりだろう。》

 自転車メーカー「丸石サイクル」(吉川市)は、ハンドルの軸の上に座席を取り付け、前輪を後輪よりも小さくしてふらつきを防止するタイプを8月以降に販売する予定だという。後部座席を載せる荷台をフレームと一体化させ、子どもの重さでバランスを崩さないよう工夫する。同社広報担当の座間知子は「消費者や販売店からの問合せが増えている」。「ホダカ」(越谷市)は、ハンドルがふらつかないよう車輪を小さくして重心を低くした。横揺れ対策でフレームや荷台の強度もアップさせたという。7月中旬以降に販売開始予定で、本体価格は4万7800円、後部座席はオプションで6000〜1万円程度になる予定。

《これでは3人乗りできる自転車がまだ揃っていないことになる。警察庁のいう用具の普及を待っての取締り云々はナンセンスな話だ。》

 だが、長女(6)と次女(4)がいるパート従業員の女性(28)は、3人乗り用の価格帯を聞いて、「ギョッとする。補助金があれば買い替えたいけれど、どうしよう。これからは歩こうかしら」と困惑している。

《何かというとお得意の補助金よこせの乞食根性のおねだりだ。それほどわが子の命を安く見積もりたいのだろうか。もっとも、このさもしい心を先に見越してお恵みを出すところもある。》

 前橋市などは3人乗り用購入に助成金を決めている。県警交通企画課は「子どもが成長すれば不要になる。業界団体に働きかけてリース方式など、さまざまな支援策を検討していきたい」と話し、県や自治体と協議したいとしている。
 

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2009年7月 1日 (水)

硫黄島の遺骨収集は

 参照 戦争はまだ終わってはいないー、放置されたままの「英霊」08/10
    続 硫黄島 2、07/08/16
    続 硫黄島 1、07/08/15

 毎日新聞(7/1)「なるほドリ」から、《 》内は私見。
 《学校の歴史で今次大戦や、戦争責任について考えることを教えて来なかったから、クリント・イーストウッドの映画「硫黄島からの手紙」を観て、「感激した」「良かった」と、映画の感想は言える。だが、ただそれだけで終わるのが日本人だ。戦争で激戦があったのは硫黄島だけではない。現代の若者たちが新婚旅行に、卒業旅行に、観光に出かけて遊び回る南方の島々には、未だに地下に眠る英霊たちが、故国に帰る日を待ちわびて、埋もれたままになっているのだ。》

 戦争末期、米軍は東京から約2600キロ南のマリアナ諸島からB29を発信させ、日本本土を爆撃していた。しかし、護衛戦闘機の航続距離が短かいこともあり、もっと日本に近い基地を必要としていた。そこで、東京から約1250キロ南の硫黄島を狙った。

 Q 日本軍は空襲の激化を食い止めたかった。

 A 一般島民が避難したあと、戦闘は1945年2月から3月に掛けて行われた。栗林中将が率いる日本軍は地下壕にこもるなどして抵抗したが、最後は米軍が占領した。日本軍は約2万人、米軍は約7000人が死亡した。

 Q 戦後はどうなったのか。

 A 68年に日本に返還されて以来、自衛隊が管理して訓練などを行っている。米軍も訓練に使用することがある。しかし、民間人は自由に行くことができない。

 Q 戦って死んだ兵士たちは、ちゃんと弔われたのか。

 A 厚生省(当時)が米軍占領中の52年度に1度、遺骨の収集を行った。日本返還後にはほぼ毎年実施している。でも、昨年度までに収集された日本人の遺骨は8664柱で、まだ1万柱以上が残されたままだ。

 Q なぜ、そんなに多いのか。

 A 現在、飛行場の滑走路になっている辺りが最大の激戦地の一つで、この下に多数の遺骨が眠っているとされている。遺族の強い希望もあって、国の今年度予算にようやく、滑走路下の遺骨収集に伴う費用1億円が計上された。

《米軍は、日本本土爆撃のため、占領した硫黄島に飛行場の拡張建設を進め、遺体を埋めた上に滑走路を敷設していったのだ。国のために命を捨てた遺骨の上の滑走路を使って現在も自衛隊は飛行訓練を行っているのだ。》

 Q 遺族の念願が、もうすぐ叶うのだろうか。

 A そう簡単ではない。防衛省は「今の滑走路の下から遺骨を収集するためには、別の場所に滑走路を造らなければならない」と考えている。そのためには数百億円、約10年かかると見込んでいる。今年度に行われるのは、地形や地質などの調査に過ぎない。まだ入り口の段階といっていい。遺族は高齢化しており、一刻も早く本格的な収集が始まることを望んでいる。
 
 

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