インド約11億人の全国民に番号を
毎日新聞(7/11)から、要約
このところカースト(身分)問題が話題になっているインドだが、そのインドで全国民11億人超にそれぞれ異なる16桁の番号を与える「国民皆番号制」の導入を政府が検討していることがわかた。
16桁の番号と顔写真だけがプリントされ、名前の記載がないIC識別カードを国民全員に配布し、コンピューター管理する計画だ。カースト制度や信教を背景とした差別の根絶が狙いだという。何千年も続く悪しき監修をIT大国の先進技術で解消できるか、成り行きが注目される。
連立政府を主導する「インド国民懐疑派」幹部が本紙に明らかにしたという。10年度導入を目指し、シン首相の特別チームが調査に着手した。
インドでは所属するカーストが名字でほぼ分かってしまう。憲法は身分差別を禁じているが、地方ではまだ就職や結婚などを身分で差別する習慣は根強く、格差を固定化する要因となっている。
識別カードは各種申請、納税、社会保障受け取り、入学などあらゆる行政手続きを1枚で行なうもので、運転免許などの情報もインプットされ、公の場で名前を示す必要が減ることになる。さらに、カードを就職の際の履歴書代わりにするなど、民間のやり取りにも使うよう推奨するという。
懐疑派はカードにより、
▽カースト、出身地、信教などが他人に分かりづらくなり、入学や就職で個人の能力が重視される
▽結婚も純粋に相手を選べる
▽政府も横行する脱税、学歴詐称、偽造免許取得を防止できる
▽テロ阻止に役立つ
などを、利点としてあがている。
懐疑派は5月に開票があった総選挙で「格差解消」を訴え、低カーストからも支持を集めて躍進した。カード導入を公約実現の「切り札」としている。
ただ「政府の個人情報管理には抵抗がある。登録情報変更を巡る新たな汚職も横行しそうだ」(インドマスコミ研究所のジョシー博士)と懐疑的な味方もある。しかし、懐疑派は「制度を変えることで差別する人の心も変えたい」と導入に意欲を見せている。
因に、人口約13億人の中国も国民皆番号制を導入しているが、ICカード化は一部で試行されているだけだ。
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