裁判員制度半月
毎日新聞(6/8)から、《 》内は私見。
裁判員制度がスタートした5月21日から5日までに、全国で起訴された制度対象事件が70件、被告は83人に上ることが、同紙のまとめで分かった。このうち5地裁で起訴された7件7人について、公判前手続きの期日が決まった。東京地裁の殺人事件が10日、さいたま地裁の殺人未遂事件が12日に整理手続きを行い、どちらかが裁判員裁判の第1号になる公算が大きい。
《どちらが先になっても構わないことだが、北は青森から南の鹿児島まで、70件の事件は全国に分布している。中でも圧倒的に多く83人のうち二桁の人間(15名)が起訴されているのが大阪だ。また、特段目につくのが罪名別内訳にみる性犯罪の多さだ。最近もてはやされて活字になったり耳にする男性の「草食」化は嘘のようだ。日本全国に性欲の塊が蠢いているような有様だ。その数19名、全体のほぼ23%に当たり、強盗強姦、強姦致傷、強制猥褻致傷、強盗強姦未遂、集団強姦致傷と、凄まじい》。
都道府県別で最も多くの被告が起訴されたのは大阪の11件15人。続いて千葉9件9人、東京6件7人、奈良2件5人、滋賀1件5人。罪名別では、強盗傷害24人、覚醒剤取締法違反12人、殺人未遂7人などが多かった。
公判前整理手続きでは、裁判官、検察官、弁護人が事前に争点などを絞り込み、審理計画を立てる。10日に実施されるのは、東京都足立区で近所の女性を刺殺したとして殺人罪に問われた藤井勝吉被告(72)の整理手続き。また、12日は、埼玉県狭山市で金銭トラブルから知人男性を殺害しようとしたとして殺人未遂罪に問われた三宅茂之被告(35)の整理手続き。いずれも起訴内容を認める方針で、1回で終了する可能性があり、その場合、東京の事件は7月30日に初公判が開かれる見込み。
このほか、秋田地裁の放火未遂事件が25日、岐阜地裁の殺人未遂事件と傷害致死事件、仙台地裁の殺人事件と強盗傷害事件は7月に整理手続きが予定されている。
青森では事件当時少年が起訴され、国際空港を抱える千葉、大阪では覚醒剤取締法違反(営利目的輸入)で外国人が起訴された。これらは審理の特殊性や通訳の確保などから、公判準備に時間がかかるとみられる。
5日までに起訴された裁判員制度対象事件の弁護人らは、裁判員に分かりやすい立証を目指す意向を示す一方、外国人の弁護などでは不安も漏らす。
さいたま地裁に殺人未遂罪で起訴された三宅茂之被告の弁護人は「情状面で争う方針だが、ビジュアル化して訴えたい。十分準備して、被告に有利になるよう裁判員裁判を利用したい」と語った。
岐阜地裁で審理される殺人未遂事件の被告の弁護人は「裁判員は初めてで緊張している。分かりやすくを心掛けたい」と言い、福岡地裁に殺人罪で起訴された被告の弁護人は「画像を使ったプレゼンテーションも考えている」と話した。
《先に検事の取り調べの録画でも問題が指摘されているが、100%の録画化では審理時間がかかり過ぎ、かといって短縮したのでは検事側の都合のいい作為が心配される。同じように、弁護士側のビジュアル化においても、有利に導くための恣意的な画面づくり、画像づくりが懸念されるところとなる》。
一方、大津地裁では、滋賀県豊郷町のパチンコ店で従業員を襲ったとして、ブラジル人など外国人5人が強盗傷害罪で起訴された。いずれも日本語はあまり話せない。国選でついた弁護人は「通訳の人数も相当になり、公判準備には時間がかかる。分からないことだらけで不安だ」と漏らす。民家に侵入して貴金属を盗み住人を殺害したとして、強盗殺人罪などで和歌山地裁に起訴された被告の弁護人は「裁判員にとって判断が難しいケースになう」と語った。
殺人事件を起訴した宇都宮地裁は「コンパクトな証拠にする。起訴状も余分な言葉を省き分かりやすくしたい」とコメントしている。
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