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2009年5月15日 (金)

福岡「海の中道」3児死亡の飲酒運転事故に「危険運転」を認定

 25年(危険運転致死傷罪)か7年6月(業務上過失致死傷罪)かで争われていた裁判で、危険運転を認めて懲役20年の判決が下された。最高刑25年から懲役20年となったのは、被告がすでに市職員を懲戒免職になったことなどを考慮したものという。

 毎日新聞(5/15)から、
 福岡市東区で06年8月に起きた3児死亡事故で、危険運転致死傷と道路交通法違反(ひき逃げ)の罪に問われた元同市職員、今林大被告(24)の控訴審判決が15日、福岡高裁であった。陶山博生裁判長は「原因は飲酒の影響以外考えられない」と危険運転致死傷罪を認定、業務上過失致死傷罪などで懲役7年6月(求刑・同25年)を言い渡した1審・福岡地裁判決を破棄し、懲役20年を言い渡した。被告の弁護人は上告する意向を示した。

《ここにきても尚、上告を考える弁護人とは、酔っぱいの運転する車に殺された子ども3人の死を、どのように思っているのだろうか。》

 陶山裁判長は、現場付近の道路に横切る形での勾配があることを重視。「ハンドルを微修正して進行させる必要があり、最大約12秒の長時間の脇見を認定した1審判決は誤り」と指摘した。検察・弁護側が激しく対立した酒酔いの状況について、事故前に自宅や飲食店で缶ビール1本(350ml)や焼酎ロック8〜9杯、ブランデーの水割り数杯を飲んでいたことや、その後の言動などを踏まえ「相当に酔っていた状態で、自覚もしていた」と認定した。

 その上で衝突原因を「飲酒による視覚探索能力の低下で前方注視が困難な状態となり、直前まで被害車輛を認識できなかった」と断定した。

 また、危険運転罪の成否について、陶山裁判長は「正常な運転が困難な状態にあった原因は飲酒の影響以外特段考えられない」などとし、今林被告の認識についても「視覚への影響という性質上、その影響が被告本人に分からないはずがない」と故意性を認めた。判決は危険運転致死傷と道路交通法違反(ひき逃げ)の罪を認め、併合された場合の最高刑25年から、市職員を懲戒免職になったことなどを考慮して5年減らした。

 08年1月の地裁判決は、今林被告の供述などに基づき衝突原因を「脇見運転」と認定。道路状況に応じたハンドル操作や、事故後48分後の呼気1リットル当りのアルコール量が0・25ミリグラムで、「酒気帯び状態」とされた点などを重視し、検察側主張を否定した。

 控訴審で検察側は、現場での走行実験を収めた動画を基に「現場付近の道路は左側が低くなる勾配があり、前を見てハンドル操作しないと直進できない」と脇見運転を否定。「飲酒の影響で前方注視を怠った」と主張していた。弁護側は飲酒の影響を否定し「被害者側にも過失がある」として、減刑を求めていた。

《私にも覚えがある。教習所内から一般道へ出て初めて路上訓練を受けていたころのことだ。道路中央が蒲鉾型に膨らんだ左側を走行中、重力に作用されて車は自然に歩道寄りに進路を取るのを実感していた。身体も不自然な体重移動を求められ、ハンドルは車輛が左に寄らないように常に微調整を要求されていた。今回の福岡高裁のその点の指摘は十分に合点のいくところだ。今林被告が酔眼朦朧で運転していれば、どんどん歩道寄りに流される車輛の動きの修正に追いつかなかったことが素直に納得できる。》

 解説は次のようだ。
 業務上過失致死傷罪を洗濯した福岡地裁判決を覆して、危険運転致死傷罪を適用した福岡高裁判決は、柔軟な法解釈で遺族感情を酌み取った形となった。ほぼ同じ証拠にも拘わらず1、2審で、「過失」と「故意」に認定が割れたことは、危険運転罪の「適用基準の不明確さ」をより鮮明にしたといえる。

 背景を「立法過程で現場の解釈・運用に任せましょうと、裁判所や検察に下駄を預けてしまった」と専門家は指摘する。

 法務省によると、07年に交通関連の過失致死傷罪で約7万7000人が起訴されたが、危険運転罪は約360人。危険運転致死罪は裁判員制度の対象であり、検察がこれまで以上に有罪の確実性に拘れば、起訴時の法的用はより厳格化される恐れもある。

 悪質運転に厳罰を望む世論に後押しされて作られた経緯を思えば、被害者感情も酌み取る法律であるべきだ。施行から約7年半。21日から裁判員制度が始まる。司法は明確な基準を示すべきだろう、と。

《飲酒、酔っぱらい運転に関しては、どれだけ厳格化しようと構わない。一滴でも口にすれば、危険運転を適用すればいい。どれだけ厳罰化しようと、未だに飲酒運転はなくならないのが現実だ。取り締まる側の人間が、それも責任ある立場の人間さえもが悠々と違反して捕まっている事実もある。》

《飲酒運転で大事故を起こしても、ひき逃げをしても、人をひき殺しても、何年か後には再び免許を取得することができる、甘い甘い法律もある。何度も書いてきたが、どんなに厳しい罰則を作ろうと、世の中に酒が売られている限り、酒飲みは減らないし、飲酒運転をする人間もいなくならない。絶対に!といえる。》

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