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2009年5月16日 (土)

外国人の看護、介護労働者受け入れ

 外国人の看護、介護労働者の受け入れをめぐって、国内が揺れているという。
 一方、毎日新聞(5/8)の社説では、国内の交代制勤務の看護労働の実態が明らかにされた。看護師の23人に1人、全国で推計2万人が月60時間以上の時間外労働により過労死の危険水準にあることが分かった。また、残業分の4割しか時間外手当が支払われていないなど、看護現場での人事労務管理の不十分さが浮き彫りになった。

 昨年10月、大阪高裁が過去3カ月の平均残業時間が56時間のケースで看護師の過労死を認定した。これ受けた日本看護師協会は1万人の病院看護師を対象に昨年10月の勤務実態を調査、3010人が回答した。

 それによると、月平均の残業は23・4時間、年齢別に見ると20代が25・9時間と最も長く、慢性的な疲労を訴える率も他世代より高かった。疲労の自覚症状が多い看護師ほど、医療事故の不安を感じているというから深刻だ。

 このほか、
 ◎院内研修や持ち帰り残業を時間外勤務として申告していない、
 ◎タイムカードがなく時間外の把握ができない、
 ◎上司が時間外の申告をカットしてしまう、
 ◎時間外手当に上限がある、
 ◎新人は時間外の申告ができない
などの回答が寄せられた。こうした回答から、看護の現場では労働法が徹底されていないという実態が浮かび上がってきた。

《私たち世代が連日残業に明け暮れ、月に100時間など当たり前のようにあった時代、大企業で労働法の守られた職場の労働者は別として、中小企業には残業制度のないのが普通だった。私の勤めていた職場もそうで、タイムカードもなく、100時間の時間外にも全く手当は支給されなかった。何度か記事にしたが、過酷な職場で歯を食いしばって働いたおかげでトントン拍子に役職に祭り上げられた。その後しばらくして会社にも残業制度が導入されたが、残業手当を受け取る地位ではなくなっていた。それ以来、私は現役時代を通して引退するまで、ビタ1文の残業手当を手にしたことがない。》

《項目の中の、「新人は時間外の申告ができない」には一理ある。事務職では作業が不慣れで仕事がはかどらないから、消化しきれない、時間の無駄が多いなどが理由になるが、材料を使って物を作る職場では、新人の「おしゃか」による材料の無駄、時間、費用の無駄はバカにならない。生産して利益を生むどころか損失を生じることの方が大きい。時間外の申告ができない理由だ。》

 医療の現場では過酷な勤務によって、産科など特定の診療科で医師不足が深刻化しており、看護労働でも同じような問題を抱えている。医療崩壊が内部から始まっていることを重く受け止める必要がある。

《古くはきつい、汚い、危険(給料が安い、も入る職場もあった)を代表とする3K、今風にはIT企業で言われるきつい、帰れない、給料が安いなどの遥かに上を行くような看護の職場だ。一方、労働運動華やかであった時代から、大企業の労働組合も傘下の労働者には篤いが、中小企業の実態には目を塞ぐ傾向にあるのは今も変わらない。》

 特に、日勤と夜勤を繰り返す不規則な交代制勤務の職場での長時間残業によって、看護師が過労死と隣り合わせになっている状況は早急に改めてほしい。これは病院勤務の看護師の離職率が12%にもなっている要因でもある。適正な労務管理を行い、労働法が守られる職場にすることが必要だ。結婚して子育てしながら働ける職場にするために、短時間勤務など多様な勤務形態の導入も急いでもらいたい。

 なぜ、看護師の労働時間管理ができないのか。これには「長年の慣例・習慣」「職員定数を増やせない」「欠員補充できない」という答えが上位を占めた。多くの医療機関が社会保障費の抑制方針の下で苦しい経営を余儀なくされており、欠員補充や人件費引き上げへの対応が十分ではない。長時間労働や未払い残業の問題も、こうした医療現場が直面している問題が背景にある。先ずは各医療機関で改善を図ることが必要だが、それだけでは限界がある。入院基本料の見直しや看護の特別技術の評価など、診療報酬を見直し看護への配分を手厚くする検討も急ぐべきだ。

 このような看護の実態を背景に、16日の社説では、日本とフィリピンの経済連携協定(EPA)に基づき、フィリピン人看護師、介護福祉士の候補者が来日したが、受け入れ人数は計画をかなり下回ったことや、日本での資格取得が難しいことに加え、昨年秋からの不況で日本人の失業者を医療、介護分野で受け入れるための施策が始まり、受け入れ施設が慎重になっていることを書いている。

 外国人の看護,介護労働者の受け入れは昨年のインドネシアに続いて2国目となる。「ケア開国」は始まったばかりだが、早くも課題が表面化してきた。

《3Kを嫌って今まで寄りつかなかった日本人が、働き場がなくなって文字通り、仕方なく目を向けた看護、介護の職場だ。考えてみれば、意識だけは上流、中流に甘えた生活の中で、自分の親たちでさえ放り出して顧みない人間たちだ、景気の回復と同時に「私には向いていない」とさっさと逃げ出すのは目に見えている。確かに外国人が日本語をマスターし、そのうえで試験をパスしなければ職に就くことが難しいことを考えれば、不純な動機であろうと日本人で即間に合えば、それに越したことはないのだろう。》

 フィリピン人の看護師、介護福祉士の受け入れはインドネシア人と同規模で、2年間に最大1000人の計画だ。半年間、日本語と看護、介護の導入研修を行った後、現場で働くことになる。研修の期間は看護師が上限3年、介護士は同4年、日本語で国家試験を受けて合格すれば日本で働けるが、不合格者は帰国させられる。

 来日の希望者は多くいたが、今回低調だった背景には、さまざまな問題がある。▽第一は日本語で国家試験を受けることなど資格取得のハードルが高いことだ。例えば介護福祉士の資格は日本人でも合格率50%前後と難しく、日本語の習得が大きな壁になっている。

 ▽次に受け入れ施設側の負担の問題だ。渡航費や来日後、半年間の日本語研修費は日本政府が支給するが、その後の研修費用と賃金は受け入れ施設の負担となる。「試験に合格して働いてもらわなければ、先行投資が無駄になる」と受け入れに積極的になれないのだ。

 ▽三つ目、これが一番の問題なのだが、政府の外国人労働者政策が定まっていないことだ。今回の受け入れは経済交流の一環であり、政府は労働力不足対策ではないとしている。将来、経済交流がどうなるのかについては明確になっておらず、これが医療機関や介護施設を慎重にさせているのだ。

 政府の試算では、高齢化が進む中、2025年には現在の約2倍の介護職員が必要になる。毎年7万〜8万人の増員が必要なのだが、人材確保の見通しは厳しい。外国人労働力をどのくらいの規模で、どういう形で受け入れるかという問題に答えを出すべき時期に来てるのだが、本格的な議論は始まっていない。

 場当たり的な政策を続けていけば、やがて立ち往生する。先ずは外国人の看護、介護分野への受け入れについて基本方針を固め、その上で、問題が表面化している受け入れの高いハードルの課題などについても対応を取るべきだ。

 (18日)お詫び: 寄り道して下さった方々へ。読み返してみて、誤字のため意味不明の文章になるカ所が2、3あり、ただ今訂正致しました。赤面のいたり、恥ずかしい限りです。

 

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受信: 2009年5月20日 (水) 14時10分

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