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2009年5月 4日 (月)

元タレントの自殺

毎日新聞(5/2、4)から、要約と《 》内は私見
 ことは下らないいじめなどによるものではない。4月20日、元タレントの清水由貴子(49)が静岡県の小山町にある父の墓前に「ご迷惑をかけてすみません」の書き置きを残して自殺していた。翌日になって見つかるまで自殺した彼女の傍らには、車椅子に座った認知症の母(78)が残されていた。

《メディアは懸命に母を支えたた末の疲れだろうと同情的な記事を並べる。認知症の母を父の墓前に連れたのは、死出の道連れを考えてのことだったのだろうが、それができずに彼女ひとりが旅立ったのだ、と。彼女には7つ違いの妹がいる。彼女が死んだことによってその妹に自分と同じ思いをさせる道を選んだことになる。認知症の母には姉も妹も同じことだろう。「ご迷惑」とは後片づけをしなければならない墓地関係者、介護関係者、親近者と同時に妹への思いが一入のはずだ。しかし、母を押し付けられた妹が、自分と同じ後を選ぶことになることは考えなかったのだろうか。もしかすると、母さえも道連れにすることも起こりうるのだが。彼女が死を選んだのは彼女の自由だが、彼女がいなくなった後は一層惨めなことが待ち受けているような気がする。》

「介護者を守りたい」と題して論説委員が記事を書いた。
 歌手でタレントだった清水由貴子さん(49)が父の墓前で死んでいるのが見つかった。「ご迷惑をかけてすみません」の書き置きがあり、遺体の隣の車椅子には衰弱した母がいた。

清水さんは1977年に歌手デビュー。庶民的なキャラクターが人気で、「欽ちゃんファミリー」でも活躍したが、病弱だった母の介護のため06年に所属事務所を辞めていた。

親の介護で離職する40〜50代は多い。国民生活基礎調査(04年)によると、同居家族を介護している人のうち40代は12・2%、50代は28・5%を占める。介護生活が長期に及ぶ人、介護のために故郷にUターンする人も珍しくない。

清水さんは自殺の数日前まで普段と変らない様子だったというが、明るく見えても心身にストレスを抱えている人は少なくない。厚生労働省研究班の調査(05年)によると、介護者の23%が抑鬱状態で、「死んでしまいたいと思ったことがある」のは65歳以上で約3割、65歳未満でも2割に上る。

《「死んでしまいたい」と考えるのは、流行語のようになっている便利な言葉、何でもかでも‘ストレス’や‘鬱’を抱えた人だけではない。死への誘惑は、普通(貧乏が普通だったこともあるが)に生活している人にだって時には起こることもある。まだ自由に睡眠薬が手に入った若いころ、一箱そっくり服用して朦朧とした足取りであちこちぶつかりながら歩いた記憶があるし、華厳の滝に投身自殺した藤村操に惹かれた時期もあった。》

介護保険が始まって10年目。同居家族がいると生活援助サービスが受けられず、要介護認定でサービス利用が絞り込まれるなど、制度変更の度に介護給付は抑制されてきた。介護者が仕事を失うことで、生計が苦しくなり、サービス利用を控える人もいる。清水さんが住んでいた東京都武蔵野市は高齢者福祉の先進地で、清水さんは週に何日も介護サービスを利用していたというが、介護事業所が足りない地域もまだまだ多い。

施設よりも住み慣れた自宅で暮らすことを望む高齢者は多く、親の面倒は自分で見(ママ)たいと思う家族も少なくない。ただ、昼間はサービスを利用できても、夜は逃げ場がない。がんばって来た人ほど肉親の介護から手を引くことを躊躇うものかも知れないが、要介護が進んだらプロに任せる機会を増やし、もっと家族を介護から解放して欲しい。それには、疲れた人が安心して弱音を吐けるよう、温かくきめ細かい相談支援やケアマネジメントがなくてはならない。本当は、仕事を辞めなくても親の介護ができるような制度の充実を求めたい。

《家族を思い遣っているように聞こえるが、どうせ先に死ぬ親の身体よりも仕事の方が大事だ、要は制度が充実していないんだから、家族は要介護度の進んだ父や母など、他人任せにしろ、と言っているようなものだ。結婚に当たって両親は先ず見捨て、老いては再び見捨てろ、ということか。》

清水さんは幼いころ父を亡くし、母の手一つで育てられた。その母が衰えて認知症が出てきた時、芸能界を引退して自分で介護することを決めた気持ちが胸に重く響く。面会に来る人もなく捨てられたように高齢者施設にいる人々のことを思うと、清水さんのような介護者を悲劇へ追い込む社会はあまりに遣る瀬ないではないか。

《その昔は順序からいけば、老いて黄泉の国に行く両親の死に水を取るのは残される子であり家族であった。家族制度の破壊された現在の日本というところ、死に水さえも家族は見放す社会なったのだろうか。》

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