「何々ダイエット」根拠なし
おそらく、日本の女ほど流行を追いかける人種もおるまい。ファッションから化粧、髪型から食い物、できちゃった結婚に堕胎などなど。そして今日のテーマ痩せ願望。この痩せ願望はそれなりの年齢の女たちだけではない。
今朝のテレビでは、小学生が自分の身体を気にした(友達の誰かから指摘されてのことではない)挙げ句、母親が購入したDVDで毎日やっているダイエットを真似て、自宅でしきりに尻振りダンスを踊っている姿を放映していた。
最近のテレビでは若い女たちが踊れば必ずその動きが組み込まれるが、その昔、場末のエロチックダンスが売りもののストリップダンサーでさえも卑猥だとして警察の取締りの対象にさえなっていた「グラインド」と呼ばれる腰を回転させる振りつけだ。今、世の中は、このような幼児でさえも痩せることに神経を尖らせ、扇情的な踊りをまねる時代になっている。
毎日新聞(5/22)から、《 》内は私見。
納豆に寒天、リンゴにバナナ、茹で卵。手を替え、品を替え、登場する何々ダイエット。ごく最近はバナナダイエットがブームとなり、一時店頭からバナナが消える騒ぎまで出来した。何かを食べて痩せるということは、あり得ないと知っておきたい。以上は記者の前置きだ。
《その通りで、何かを食べて痩せられるとすれば、それは体調に異変を生じさせる害毒のあるものに限られる。》
昨年秋、テレビや雑誌などで、バナナダイエットが話題になった。うたい文句は「朝、バナナを1〜2本食べ、コップ1杯の水を飲むだけで痩せられる」。昼と夜は好きな物を食べてよいという手軽さが受けた。
バナナで痩せられる理由として、
1、等質や脂肪を分解・燃焼する酵素が豊富
2、抗酸化作用の高いポリフェノールが多く含まれ、細胞の活性化と代謝を促す
3、食欲を抑えるアミン酸が含まれる
4、便通をよくする食物繊維が豊富である
などが挙げられている。
では、こうした理由は科学的に正しいのか。
バナナ1本(100グラムと仮定)は約90キロカロリーで、小さめのおにぎり1個程度のカロリーに相当する。バナナ2本で満腹感を得て、従来の朝食に比べて、摂取カロリーを減らせば痩せられる可能性はある。
だが、バナナで朝の摂取カロリーを減らしても、昼と夜の食事で摂取エネルギーを増やせば、痩せることはない。体重を減らすには消費エネルギー以下に摂取エネルギーを抑えるしかない。
《ある程度の年齢に達して痩せたい女たちが痩せて衰弱していくのは勝手だ。しかし、今朝のテレビで注意を喚起していたが、これから大人になろうとする成長期の幼児には、身長が伸びるためにはそれに見合った体重が必要で、上の幼女のようにダイエットすることは成長を止める危険性だってあるのだ、と。》
食べ物健康法の問題に詳しい高橋久仁子・群馬大教授(栄養学)は「バナナを食べて痩せたというのは、今まで食べていた朝食よりカロリーが減ったからだと考えられる。バナナダイエットは、要するにバナナを食べて、空腹を紛らすというだけのこと」と話し、特定の食品を食べて痩せられると思うのは幻想だと協調する。酵素の豊富なバナナを食べると、一緒に食べた肉類などの脂肪を速やかに分解すると言われている。
会報などで科学的な健康情報を発信している長村洋一・鈴鹿医療科学大教授は「酵素は胃や腸で殆ど分解され、体内で脂肪の燃焼に係わることはない」と指摘する。
ポリフェノールは大豆や他の果物にも豊富だが、体重の減少と関係ない。また、バナナに含まれる食物繊維はじゃがいもやレタスと同程度で特に高くない。「特定の機能性成分を誇大視するダイエットは要注意だ」と高橋教授は訴える。
「食欲を抑える効果のあるリジンやアルギニンなどのアミノ酸が豊富」という言い方はどうか。実は肉や魚にはバナナよりも多くのリジンが含まれる。この説だと肉や魚を食べても、食欲が抑制されることになる。「バナナにわずかながらリジンなどのアミノ酸が含まれている。しかし、そうしたアミノ酸が食欲を抑制させることはない」と味の素アミノサイエンス研究所の担当者は話す。
雑誌の特集やネットなどでは「バナナを食べたら、痩せた」という体験談が登場し、それを支持する専門家の発言も添えられている。最近は、バナナと同じ言い方でキウイのダイエット本まで出てきた。長村教授は「個人の体験談や一専門家の見解は、科学的な確かさのレベルは非常に低い場合が多いので騙されないようにしたい」と市民の側にも冷静な目が必要だと説く。
また、中谷内一也・同志社大教授(心理学)は「健康情報が多すぎるために、単純で分かりやすい情報に飛びつく側面がある」と分析した上で、「そもそもダイエットはそんなに簡単に成功するものではないことを知っておくことが大切」と呼びかけている。
《キリギリスのように細く、針金ぜんとした不健康なモデルが美しいと思い込んでいる女たちにとっては、いくら健康面を説いて聞かせても聞く耳を持たないだろう。それこそ毒を喰らっても付和雷同の痩せ願望はとどまる所を知らないだろう。》
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