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2009年5月25日 (月)

男性の育児休業 - 3 -

 笛吹けど踊らず、で一向に男性の育児休業は増える兆しがない。しきりに北欧の高福祉国を参考にして男性の参画を喚起するが、効果が現れない。日本の企業に圧倒的に多い中小企業の現場では、代替要員を抱える余裕などなく、男性の労働力を割くことなど無理な上に、代替要員のいる企業でも、産休期間や育児休業期間に支給される高福祉の裏付けには高額納税をしている国民の生活があるのだが、日本ではその裏側についてはあまり触れたがらない。
 例えば北欧三国の 
消費税、食料品の消費税をみても、
   ノルウェー  24%  12%
   スウェーデン 25%  12%
   デンマーク  25%  25% などだ。
 参照 男性の育児休業 - 2 - 08/04

【閑話休題】
 毎日新聞(5/6)から、
 男性従業員の30%が「育児休業を取りたい」と思っているのに、実際の取得率は2%未満。こうしたずれを埋めようと、政府は男性の育児取得促進策を打出した。柱は夫婦とも育休を取ると取得できる期間が延びる「パパ・ママ育休プラス」で、今国会に提出した育児・介護休業法改正案に盛り込まれた。

 厚生労働省によると、07年度の育休取得率は女性89・7%に対し、男性1・56%。多くの職場では「代替要員がいない」「休みにくい雰囲気がある」などの理由で、男性の取得率は伸びていない。そこで厚労省は、「男性も育休可」とのメッセージを発する狙いで法改正に乗り出した。現在の育休期間は原則子どもが1歳になるまで(保育所に入れない場合などは1歳6カ月まで)だが、「育休プラス」制度では、夫婦とも取得すれば1歳2カ月まで取れる(それぞれの取得可能期間は最長1年)ようにする。

 現行法には専業主婦や育休中の妻の夫を労使協定で育休対象外にできる規定がある。75%の企業が採用しているが、同省は法改正でこの規定を廃止し、夫婦が同時期に育休を取れるようにすることを目指している。「夫婦が同時期に取得する『引き継ぎ期間』が必要」(職業家庭両立課)との考え方に基づいている。

 このほか、出産後8週間までに夫が育休を取った場合、再取得を認める「パパ休暇」も取り入れる。出産後の女性の回復途上期に男性の育休取得を促す仕組みだ。

 男性の育休取得が進まないのは、所得が減ることも影響している。育児休業給付の水準は、休業前6カ月の平均給与の50%。育休を長く取れば生活の維持は難しい。同省の社会保障審議会少子化対策特別部会も今年2月、給付水準の引き上げを今後の課題として指摘している。

 ただ、それには財源を要する。育児休業給付は雇用保険でカバーしており、給付をアップするには、同じ雇用保険の失業給付(原則離職直前の給与水準の50〜80%)とのバランスを取る必要が出てくる。税金など別財源による制度も検討課題となりそうだ。

《与、野党とも選挙を控えて消費税問題には口を閉ざしているが、どうみても、高福祉を求めるのなら、財源を現在の消費税5%のままに据えおいては、多数決で法案は通過しても碌なことはできないだろう。》

 改正法案作成に際し、厚労省は北欧諸国が90年代に導入し成果を上げたとされるパパ・クオーター制を参考にした。クオータ(QUOTA)は「割り当て」の意味で、父親にも育休を割り当てる考え方。1993年に導入されたノルウェーでは、夫婦で最長54週の育休を取得できるがうち6週が父親のみに割り当てられている(国民保健法で最低5週間は取得しなければならない、とされている)。日本の改正案に、男性も育児休暇を取得せねばならない、と罰則つきで表記されるのか分からないが、少人数の企業では絵に描いた餅になる可能性が高い。

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