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2009年4月 3日 (金)

時効見直し、4案提起

 17日の報道では法務省は4月から、服役が30年を超えたで無期懲役刑の受刑者に対し、仮釈放の審理を一斉に始めることを決めた。30年で許可されなかった場合も、その後10年おきに定期的に実施する。同省保護局長が通達を出し、制度化した。被害者・被害者家族或いは遺族抜きで犯罪者に対して人道に名を借りた温情施策が打たれようとしている。日本にはない終身刑は一生出所できないが、もともと無期懲役とは無期限の懲役ということではなく、決められた期間がない、ということで必ず出所することが可能な刑だ。服役中、大人しくしていれば模範囚とも呼ばれ、14、5年も我慢していれば出所可能。傷ついた人、亡くなった人たちはどうにも浮かばれないことではないだろうか。同じように殺人事件など凶悪犯罪でも逃げおおせば刑事罰が消滅して2度と起訴されない凶悪犯について、時効の見直しが検討されている。

毎日新聞(4/3)から、 要約。
 森英介法相は3日の閣議後会見で、殺人事件など凶悪・重大事件の公訴時効を見直す勉強会の検討結果を発表した。法改正する場合の方策として、時効の廃止や期間の延長など4案を挙げたが、結論は出さなかった。法改正した場合、改正前に発生した事件への遡っての適用『遡及(そきゅう)適用』が可能かどうかも含めて検討し、夏ごろまでに新たな方向性を打ち出す。

勉強会は、法相、副法相、政務間と刑事局長ら法務省幹部で構成する。今年1月から早川忠孝政務官を座長とする省内のワーキンググループを中心に検討してきた。

 【公訴時効】
 犯罪から一定期間が経過した場合に刑事罰が消滅する制度。その後は起訴(公訴提起)されない。時間の経過とともに証拠が散逸することや、処罰感情の低下などが根拠とされる。刑事訴訟法の改正で05年以降、殺人罪は15年から25年に延長された。
 98年〜07年(10年間)の時効成立は、
  殺人 489件
  放火 303件
  強盗 680件
  強姦 306件。

制度見直しの必要性については、昨年以降、殺人事件の被害者遺族が廃止などを訴えている点を挙げ「被害者の声や国民の正義観念を十分に踏まえた検討が必要」と指摘。一方で、05年施行の刑事訴訟法改正で時効期間が延長されていることから、「現時点で再び改正する必要があるかも検討する」とした。

新たな方策として、
 1)時効の廃止 2)時効期間の延長 3)容疑者が分からなくてもDNA型情報を被告として起訴する制度
4)検察官の請求で停止(延長)する制度、 の4案を提示。それぞれに賛否両論を記載した。

▽「廃止」については「犯人が時効成立後明らかになったのに処罰できない事態は生じなくなる」と利点を挙げる一方で、捜査機関が人員や証拠を長期間維持できるかなどの問題があるとした。
▽「延長」については「現行制度との違いは比較的少ない」と評価したが、一定の罪だけを延長した場合、他の時効の長さとのバランスがとれない、とした。
▽「DNA起訴」は米国などに制度があるが、対象となる事件の範囲が極めて限られると否定的にとらえた。
▽「検察官による停止」は、DNA起訴と同様にDNA情報など確実な証拠がある場合に処罰が可能になるという利点があるが、法定刑に応じて一律に時効期間を定める現制度の考え方と整合しない理論上の問題を指摘した。

制度見直しの対象犯罪となるのは、1)殺人、2)放火などを加えた最高刑が死刑の罪、3)傷害致死や危険運転致死を加えた故意の犯罪で人を死亡させた罪、4)自動車運転過失致死なども含め人を死亡させた罪、を挙げた。

犯罪被害者団体からは国が制度見直しに取り組み始めたことを積極的に評価する声がある一方で、日本弁護士連合会には、時効廃止や長期の延長は容疑者・被告の人権を損なう可能性があるとして反対意見が根強い。刑事裁判への参加など被害者の権利保護が進む中、容疑者が判明していない未解決事件の遺族たちにも光が当たるのか注目が集まる。

解説(石川淳一)では憲法との関わりに触れているが、憲法は、違法行為の実行時の後に定められた厳しい罰を科すことを禁止する「遡及処罰の禁止」を掲げている。時効の遡及適用は違憲とする学説もあり、前回公訴時効を延長した05年の刑事訴訟法改正の際も、ほとんど議論されなかった。

これに対し、省内には「当時、遡及を適用していれば、たった4年で議論は再燃しなかった」と当時の議論不足を指摘する声もあるという。法改正につながっても遡及適用がなければ、いま声を挙げている遺族たちは救われない。この点を踏まえて勉強会は、検討は避けて通れないと判断した。

今回の議論は、刑事裁判への被害者参加制度(昨年12月施行)などを実現した被害者施策の一環と位置づけられる。再び問題が浮上しないよう、あらゆる角度から、拙速にならない議論が求められる。

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