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2009年4月 8日 (水)

「米国は行動する道義的責任がある」

毎日新聞(4/7)社説から、 要約と《 》内は私見。
 オバマ大統領が5日発表した核廃絶に向けた包括的な戦略は、米核政策の大転換につながるとして世界的に関心を集めた。日本政府も6日、歓迎する意向を表明した。

社説は嬉しそうに『「道義的責任」よくぞ明言』と持ち上げた。チェコの首都プラハで「核兵器のない平和で安全な世界」の建設を訴え、「核兵器を使った唯一の核兵器保有国として米国は行動する道義的責任がある」と言い切ったことに対してだ。

《しかし、漫画に描けば、演壇のオバマの後ろ手には、いまだ捨てきれないクラスター爆弾がしっかりと握られ、その又後ろの倉庫内には、作られ続けた原水爆がうずたかく積み上げられているのが見える、という絵になる。マイクに向かって口先で、言いたいことなら誰でも言える。そのような世界最大の核保有国のボスの言葉に、メディアがそう易々と礼讃の社説を書いていいものか。》

社説は続ける、画期的な演説と言えよう。「道義的責任」といっても広島・長崎に原子爆弾を落とした責任を直接認めたものではまい。だが、そうではあっても米大統領が自国を「核兵器を使った唯一の国」と規定し、だからこそ核廃絶の先頭に立つと主張する論理は、少なくとも近年の政権には見られなかったものだ。オバマ大統領の率直な姿勢を高く評価したい。

ブッシュ政権下の07年、当時の久間防衛相原爆投下を「あれで戦争が終わったという頭の整理で、しょうがない」と発言して物議をかもした時、米政府高官らは「広島、長崎に原爆を投下したから米兵100万人が死ななくてすんだ」という論理を展開した。是非はともあれ、これが米国で支配的な考え方だ。

《この辺りの見解については、お互いに、食うか食われるかの殺し合いをしていた戦争を、敗戦後60年以上経過した現時点での価値観で、当時を評価することの意味をブログで取り上げ、私は久間の見解を支持し、辞任などする必要のなかったとする意見を書いた。参照(久間「しょうがない」辞任 07/07/04、世論『輿論』 07/07/08、久間前防衛相「しょうがない」の釈明について 07/08/03)。》

《それに、もともと国家間の戦争に、正義などと呼べるものが存在する、と言える人間がいるだろうか。弓矢、火縄銃の時代から、敵を殺すのに人道的な兵器が存在したであろうか。

フセイン・イラク政権を「化学兵器で自国民を殺した」などと非難する米国も、自国がプルトニウム型とウラン型の2発の原爆を日本に落とした事実には言及したがらない。一般市民への大量破壊兵器使用を正当化しきれなければ、米国は歴史的に大きな責任を負うからだろう。

しかし、難しい責任論などはさておき、私たちは素朴な願いを口にしたい。オバマ大統領はぜひ、広島や長崎の原爆忌に列席してほしい。「核なき世界」をめざす旅は、その恐ろしい兵器によって命を奪われた人々への鎮魂から始まると信じるからだ。「100万人救済説」は米国のイメージを歪めるだけだろう。

《浪花節的論調は、戦争を知らない世代の代表的な意見なのだろう。》

オバマ大統領は核実験全面禁止条約(CTBT)の批准を米議会に働きかけ、核の安全をめぐる国際サミット開催にも務める意向を表明した。CTBTは同じ民主党のクリントン政権が支持したが、共和党主導の上院が99年に批准を否決した。

また核兵器保有を5カ国に限定する核拡散防止条約(NPT)の体制強化と、兵器用核分裂性物質の生産禁止に関する「カットオフ条約」の交渉開始もめざすという。いずれの政策も歓迎したい。

《‘’言うは易し、行うは難し”だろう。世界のリーダーシップの地位を著しく貶めたアメリカだ。黒人大統領が生まれただけで、夢見るのは愚かしいことだ。》

NPTの枠外で核兵器を保有したインドやパキスタンや、大量の核弾頭を持つとされるイスラエルの非核化を図るのは容易ではない。しかし、米国が率先して世界の核軍縮を進めることは、北朝鮮やイランの核兵器保有を阻む国際的な動きにもつながるだろう。

「脱核兵器」は複数の元米政府高官も提唱している。「世界は変えられる」というオバマ大統領の呼びかけに、「イエス・ウイ・キャン」の唱和が広がることを期待する。

《随分と甘い期待と希望の社説を書いたものだ。》

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