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2009年3月26日 (木)

裁判員制度、取り調べ一部録画

毎日新聞(3/26)から、
 警察庁は26日、昨年9月に試行が始まった取調べの一部録音・録画の検証結果をまとめた。否認に転じたケースはなく、警察庁は「自白の任意性の効果的な立証策になる」と評価しているが、供述内容や態度が変化したケースもあり、課題も浮かんだ。裁判員制度で分かりやすい立証をするための取り組みで、4月から試行を全国に拡大する。

試行は昨年9月〜今年2月、警視庁や大阪、埼玉、千葉、神奈川の5都府県警で、66件の容疑者58人に実施された。殺人や強盗傷害など、この間に5都府県警管内で発生した裁判員対象事件838件の7・9%に当たる。容疑者が「公判でみじめな姿をさらしたくない」と拒否したため実施しなかった例が1件あった。

《取調べは殺人や強盗傷害などの凶悪犯罪容疑だ。そのような容疑者が、「みじめ」を訴えただけで録音・録画をしないのは、個人情報保護の立て前があるとしても温情に過ぎないか。》

録音・録画の平均時間は15分。10分以上15分未満が32件(48%)と最多だった。

試行に携わった取調官への聞き取りによると、「急に反省の弁を述べる」「被害者の悪口を言う」など、録音・録画中に容疑者の供述内容が変化したのは11件(17%)。「言葉づかいが叮嚀になった」「何度も問いかけないと話さなくなる」など供述態度の変化も26件(39%)あった。また、碌音・録画後に供述内容が変化したのが1件、態度の変化が2件だった。

中には「信用してなかったんですね」と、態度がよそよそしくなった容疑者も。取調官の21%が「取調べ機能が害される」と回答し、容疑者と人間関係を構築する捜査手法が難しくなる恐れや容疑者の不安が増すとの指摘もあった。

全過程の録音・録画については、公判でプライバシーが不必要に曝されたり、報復を恐れて供述が得にくくなるなどとして、取調官の97%が反対した。

試行で録音・録画したのは、取調官が供述調書を読み聞かせた後、容疑者が内容を確認して押印する模様。最後に取調官が「何か言いたいことはないか」と尋ね、録音・録画終了を告げる。恣意的な編集を防ぐため、途中で止めることはない。映像と音声は自動的にDVDに記録され、容疑者の目の前で封印、検察官に送られる。

警察庁は「試行を積み重ね、どんな立証方法が有効か検討していく」としている。

一方、最高検が2月に発表した取調べの一部録画の検証結果について、日本弁護士連合会は25日、「密室での取調べの弊害に対する配慮を欠き、一部録画を正当化しようとするもので失当」との意見書を最高検に手渡した。改めて取調べ全過程の録画(可視化)を求めている。

意見書は、法廷でDVDが上映された延べ25件のうち1件で裁判所が任意性を否定したことに触れ、「一部録画は立証に不十分で、取調べ状況について過った印象を与える」と指摘。検察官の「圧力」や「誘導」がないかどうか判断できず、全過程の録画が不可欠と主張している。

《日弁連のいう全過程の録音・録画を求めれば、すべての取調べが15分前後の時間で済むわけがない。何時間にも亙る場合だってあり得るだろう。法廷でそれらを上映することになれば裁判の長期化につながりかねない。試行の15分前後は編集したものでなくても公判で有利なやりとりの場を選ぶ作為もあり、日弁連が懸念する作為が入り込む危険性は十分にある。それも検察側に有利な判決を導くための作為が。その例が裁判所が任意性を否定した1件に現われている。

《一方、取調官の97%が全過程の録音・録画には反対しているが、彼らの言い分には、容疑者のプライバシーへの配慮、報復への恐怖がないまぜになった取調べ作業そのもののやりにくさが明瞭に読みとれる。

《いずれにしてもまだ決定したわけではない。最善の立証方法を見い出してほしい。

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