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2009年3月21日 (土)

続 救急受け入れ

 〖ドイツ〗の医療は、日本で医療のモデルとみられることが多い。1883年、世界で最初に公的医療保険制度を導入した国だ。これまで医療制度改革は重要な政治争点となり続け、現在のドイツの医療制度は競争原理を導入し、低コストの実現に成功している。

「ドイツ病院協会」(ベルリン)のウォスニッカさんは「ドイツの病院はファーストクラスのサービスを提供している」」と誇る。

例えば各病院は入院の必要・不必要を厳格に精査するなどの経営努力を行い、過去16年で病床数をドイツ全体で24%減少させたほか、平均入院日数もほぼ半減させている。「病院のホテル化」を防ぐ、これらのコスト削減策で、各病院は良質の医療を維持しているという。

だが、こうした指摘に医師労組「マールブルガー・ブント」(同)は「制度改革が医療現場に過重労働をもたらしている」と批判する。医師の仕事のハードさは、同労組のアンケートに病院勤務医の53%が「病院勤務医を辞めようと考えている」と答えているほど。病院・病床数の減少で新任医師の就職先も減っており、卒業前に医師になる道を断念する医学生はここ数年増えているのが実情だ、

《病院、病床数の減少が、日本と同じではないが、医師の過重労働による激務は変わらないようだ。》

〖英国〗では国民保険機関(ナショナル・ヘルス・サービス=NHS)を1948年に設立。国民はこの制度で近くの医療機関に行き、一般医の診察を原則無料で受けられる。もた必要に応じて専門医を紹介される。ブラウン英首相はNHS制度の維持を重視し、「不況下でも11年までの厚生省の予算計画を方針通り維持する」と言明している。

英国の医療制度の課題は、医師・看護師不足の解消といわれる。英政府によると、10年から11年にかけて、イングランド地方のNHS制度傘下の医療機関だけで1200人の一般医、1万4000人の看護師が足りなくなる見込みだ。週末、休日の当直医の人繰りは深刻で、ポーランドからアルバイト医師を雇う例すらある。看護師総数の3分の2に当たる約20万人が50歳以上で、若干の看護教師志望者が年々減っている。いずれも超過勤務とそれに見合わない給与実態が影響している。

《洋の東西、看護師不足は厳しい実態にあるようだ。博愛の精神に導かれてその道に入っては見たが、医療現場の過酷な勤務はその心を打ち拉(ひし)ぐのを止められないようだ。どこの国でもすでに医は仁術ではなくなっているのだ。厳かにキャンドル灯して戴帽式を行い、ナイチンゲールに誓ってはみるが、やはり豊かな国で育った人間たちには厳しい仕事に対してはそれなりの対価を求め、容れられなければ辞めていく。そこで日本では、日本人よりも薄給で我慢してくれるフィリピンやインドネシアから人材を呼び寄せ、員数の確保を図ってはいるが、解決しなければならない語学に関する難しい問題もある。》

また、院内感染も大きな問題だ。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染による死者は、03年955人、05年1168人が英国内で確認されており、施設の老朽化や衛生環境の不備が深刻化していることを裏付けた。

〖フランス〗では日本で起っているような患者の受け入れ拒否も起きているという。フランスは日本と同じ国民皆保険で、職種ごとの公的な医療保険で治療費の約7割が給付される。また残りの3割も、民間医療保険の加入率が9割近いため、結果としてはほぼ全額保険で支払われている。00年施行の普遍的疾病給付(CUM)法により、公的保険に加入資格のない低所得層の保険料が減免され、制度は一層充実した。ただ、個人出費が少額なのは財源となる税金の額が日本より高いためで、特に中小企業の高額税負担は雇用抑制や高失業率につながっている。

一方で、フランスも医師不足が深刻化している。心臓外科、麻酔科、婦人科は手術などで患者の生命の危険が伴うため医師のなり手が減っているという。この半面、患者の生命の危険が少なく、待遇もいい放射線科や皮膚科は人気がある。

《告訴や訴訟の問題がどれだけ絡むのかは知らないが、人の命に関わる手術を避けたくなる気持ちは理解できる。日本で特に婦人科医や小児科医などの医師の数が減少したのも、非難や裁判沙汰を恐れての『触らぬ神に祟りなし』の心境だろう。》

地域的には都市部や、気候が良くて年金生活者が多く住み、患者も多い南仏に偏在している。フランス政府が毎年、新規医師の採用定数を決めており、98年ごろまでの約4000人が、05年6200人、09年7400人となった。だが、日本同様、病院の患者受け入れ体制の不備も指摘されており、パリ近郊では救急患者の受け入れ拒否事件も起きているという。

最後にお隣の国〖韓国〗。
自国より安い費用で高度な治療を受けようと海外に出かける「医療観光」。医療費高騰が問題化する米国を中心に盛んになり、受け入れ先はインドやタイ、ドバイなどだ。韓国は今年、この「客」の誘致に官民挙げて取り組もうとしている。

昨年11月、ソウルで「第3回国際医療観光会議」が開かれた。受け入れ国が集まり情報交換するのが目的で、主催は韓国観光公社など。今年1月には医療法を改正し、国内の病院が外国人患者を直接誘致することなどに道を開いた。同公社の調査では「韓国は美容、整形、漢方などの分野で競争力がある」との結果が出ており、3年後には10万人を誘致する計画だ。

韓国は現在、深刻な経済不況で医療機関の休・廃業も目立っている。新たな市場の「ターゲット」として、円高・ウォン安で急増する日本人観光客に熱い視線が注がれている。

だがこの一方で、一般医療については「国民皆保険制度の適用範囲が狭く、患者の負担が重い」との批判も市民から聞かれる。

《韓国の美容、整形に関しては早くから日本人女性には人気があり、医療費も格安とあってまさしく医療観光の名にふさわしい国だ。また、代理出産など法律すれすれのところでの係わりも起きている。記事はその分野については詳しくは述べないで、翳りも見えるペ(ヨンジュン)から続く韓流人気に乗っかって、日本人女性をターゲットにして観光を柱にした美容整形医療でいくようだ。》

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