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2009年3月28日 (土)

専業主夫に遺族年金は出るか

毎日新聞(3/28)
 京都府の無職女性(56歳)の投書から。

「ボランティアで生活相談を受け付けていますが、受け持った女性会社員(40歳)のことが気になっている。病気がちの専業主夫*の夫(58歳)と子どもを養っている。もし女性会社員が亡くなったら夫に遺族年金は出るのでしょうか」というものだ。

 * 家事、育児などを担当する夫を専業主夫という。因みにその数は、
  2005年(平成17年国勢調査)
「家事の他仕事をしている」     (兼業主夫)約3万人
「仕事に就いておらず家事をしている」(専業主夫)約2万1000人

《看護婦、スチュアーデスなどの女性を指す言葉が姿を消してきた中で、差別用語ともいえる専業主婦、専業主夫は明確に使い分けられているのも変な感じだが、違いは名称だけではない。主夫であることで、法的不備**から男女格差は男の側の不利が際立っている。法は、本来男は外へ出て金を稼ぎ、家族を守るのが当たり前という思想が根本にある。いうならば抜け切れない旧来の陋習(男尊女卑)を背景にしているものだ。女子どもは弱いがゆえに守らねばならないという時代に作られたままだ。それが母子家庭への手厚い庇護となっているのだ。

 ** 父子家庭への行政支援が母子家庭に比べ乏しいため、配偶者が死亡した場合の行政支援には差がある。父子家庭へ支給されない手当、年金は以下のとおり。
   児童扶養手当、遺族厚生年金、遺族補償年金 など。 》

会社員の遺族年金は、定額の遺族基礎年金と生前の報酬に比例する遺族厚生年金からなる。遺族基礎年金は「子のある妻」または「子」に支給される。ただし、「子と同居している父がいる場合は支給停止」とのルールがあり、このケースでは遺族基礎年金は出ない。

遺族基礎年金はどうか。支給はされるものの、あくまで対象になるのは子のみ(18歳になった年度末まで)。現時点では夫への遺族年金は事実上ゼロだ。

では、もし立場が入れ替わって夫が会社で働き、妻が専業主婦だったら、夫が死亡した場合の妻への遺族年金はどうなるのか。このケースなら、遺族基礎年金79万2100円と遺族厚生年金に加え、子への加算22万7900円も妻へ支給される。

遺族年金は「夫は働いて収入があり、妻が専業主婦」という世帯をモデルにしているため、夫に先立たれた妻への給付は手厚い。しかし、逆に妻が亡くなった場合の夫への給付は「夫に収入がある」ことを前提に制度設計されているため極めて薄い。

《2005年のデータで、兼業.専業主夫合わせて5万1000人は、2000年には同じく3万6000人であった。年々専業主夫は増加しているとみられる。そろそろ男女格差をなくすための法整備が必要なのではないか。

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