患者の大病院集中が加速
毎日新聞(3/22)から、
産婦人科医の減少でお産に続いて婦人科系のがんを治療できる病院も減少し、大学病院など一部の大規模病院に患者が集中していることが、日本産婦人科学会の調査で分かった。同学会は「病院の許容量を超える集中も起き始めた。お産に続いて、がん治療の破綻が起きかねない」と危機感を募らせている。
▽産婦人科医の減少
〈国内の医師数は近年、増えており、06年末の厚生労働省調査では27万7927人で04年末より約2・8%増えた。しかし、産婦人科、産科、婦人科を主に掲げる医師は1万1783人で04年から約3・1%減った。中でも産婦人科医は2年間で5・6%、96年と比べると約12%の大幅減。出産に伴う訴訟問題や、不規則で苛酷な勤務などが背景にあるとされる。お産を扱う施設も93年の4200以上から05年には約2900に減った。〉
同学会産婦人科医療提供体制検討委員会が調査、中間集計した。同学会に子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんの年間患者数を登録している全国約270病院のデータを使い、04年と07年の新規患者数を比較した。
調査した吉川裕之・筑波大教授によると、一般的に患者が多いとされるのは年間の新規患者が100人以上の病院。07年の新患数が100人以上の病院のうち、3年間に25%以上患者が増えたのは07病院に達した。大学病院や県立のがんセンターなど地域の拠点病院ばかりで、増加率は千葉県がんセンターの2・02倍を最高に東京医科大1・95倍、大阪大1・71倍、東海大1・62倍だった。
関東地方の病院が10病院を占め、九州・沖縄3、北海道・東北2、近畿・中国が各1病院。新患数でみると、6病院が年間150人を超え、うち1病院は200人を超えた。
一方、検討委員会が都道府県の学会地方部会に実施している実態調査では、宮城、茨城、三重、鹿児島などから「(婦人科がん医療は)崩壊寸前」「手術待ち時間が延びた」など、現状の深刻さを訴える回答が相次いだ。
吉川教授は「医師不足で分娩をやめた病院の多くはがん治療もやめてしまい、この3年で患者集中が急速に進んんだ。医師不足対策はがん医療の水準維持のためにも急務だ」と話している。
《寄らば大樹の蔭とでもうのか、権威に弱く、もともと大学と名のついた病院や大きな病院に偏る傾向は以前からあった。それがこのところの産科医不足から、ますます病院の拠点化の動きに引き寄せられるように患者の大病院集中が進んでいるのが現実だ。このままでは病院の過疎化に悩む地域が全国に拡大することになるだろう。》
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