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2009年3月31日 (火)

宙に浮いた年金、1695万件が未解明

  ジャスミン      アネモネ     チューリップ
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毎日新聞(3/31)から、
 誰のものか分からない「宙に浮いた年金記録」5095万件のうち、今年3月時点でも1695万件は未解明であることが31日、年金記録の関係閣僚会議で報告された。うち1162万件は手がかりがなく、社会保険庁は記録のインターネット上での公示を検討する。全容解明にはほど遠い状況が浮き彫りになった。

社保庁によると、ねんきん特別便の発送が始まった07年12月から今年3月の間に、持ち主が判明して基礎年金番号に結びついた記録は約800万件増え、約1010万件。未解明の記録は2445万から約750万件減って1695万件になった。このうち、入力・転記ミスや届け出誤りなどにより、特定する手がかりがない記録は1162万件。一方、住民基本台帳ネットワークとの照合など、手がかりはあるが特定し切れていない記録も533万件に上る。

記録の持ち主の可能性が高いとして、ねんきん特別便が送られ、特定の可能性のある記録は、記録の統合が進んで1100万件から774万件に減った。

《先日、私宛に3月12日付けで社保庁長官名の裁定通知所が届いた。しかし、これは調査で言う上京前のもので、「持ち主が判明して基礎年金番号に結びついた記録」。上京後の不明分が未解決で残ったままだ。先ず、複数の年金証書の問い合わせの回答がないことと、上京直後の6年間の明確な事業所の手がかりを提出したが、未だに回答がない(533万件の項に該当するものだろう)。》

また、社保庁は会議で、厚生年金記録の改ざんで従業員の標準報酬月額などがさかのぼって引き下げられていた場合は、職員の関与が認められれば職権で訂正すると報告した。

総務省年金記録確認第三者委員会を通さず、被害回復を急ぐのが目的。職員が否定しても、事業主の証言や社保事務所の物証などから認定する。このため社保庁は、改ざんの疑いの濃い記録の持ち主2万人の訪問調査で具体的証言の出た職員について調査を開始した。

社保庁はこのほか
 記録の処理にあたる職員を現行の8000人から1万人に増員
 受給者の記録の訂正は3月以後、1カ月20万件を目指す、などの対策も報告した。

【宙に浮いた5095万件の解明状況(万件)】
             07年12月 09年3月
 解明ずみとされる記録   1550   2626
 ・脱退手当金支給済み    460   577
 ・死亡届の出た記録など   360   633
 特定可能性のある記録   1100   744
 手がかりはあるが未特定
        の記録         533
 特定困難な記録      2445   1162

《現在は至って健康だが、平均寿命まで直ぐだ。受け取る権利のある年金だし、生きているうちに手にし、三途の川の渡し賃の用意をしておきたいものだ。

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2009年3月30日 (月)

新手の走る凶器 と 教諭を「流産させる会」

 ◎早くは走る凶器の代表は自動車が相場であったが、自動2輪へ、最近では我が物顔の自転車が仲間入りをしていた。そこへ今度は「ペダル付き原付き」という新手が登場してきた。

毎日新聞(3/29)から、
 ペダルをこがなくても電力で走る「ペダル付き原動機付き自転車」を対象に、大阪府警交通指導課と南署は28日午前0時までの24時間、全国初の取締りを行なった。原付きバイクに義務付けられている前照灯や方向指示器などがない違法状態のまま走り回る危険なケースが目立つためという。府警は道路交通法違反(無免許、整備不良)容疑で8人を検挙し、10人に指導・警告した。

府警によると、ペダル付き原動機付き自転車は雑貨店やインターネット通販などで約3万〜7万円で売られ、数年前から若者の間に広まった。

見た目は小型の折り畳み自転車に似ているが、ハンドル部分のアクセルを回せば、ペダルをこがなくても最高時速約20キロで走行できる。府警は、人がこがないと走れない電動アシスト自転車とは区分けしている。

法律上は原付きバイクとして扱われるため、無免許の場合は1年以下の懲役または30万円以下の罰金。免許があっても方向指示器不備など整備不良で交通反則切符1点、反則金5000円を科せられる。

 ◎愛知県半田市立の中学校で1月から2月にかけて、30代の妊娠中の教諭に対して1年生の男子生徒11人が「流産させる会」を作り、食塩や明礬(みょうばん)を給食に混ぜるなどの悪質ないたずらをしていたことが分かった。

《中学1年生といえば12歳、流産が殺人であることも理解できていないのだろうか。》

市教委によると生徒らは1月下旬、教室にある教諭の椅子のねじを緩めたり、車にチョークの粉や歯磨き粉を振りまいたりした。2月には理科の結晶観察で使った食塩と明礬を持ち出し教諭の給食に混ぜた。これを女子生徒が目撃し、別の教諭にいたずらが伝わったという。

3学期を迎えるため席替えをしようとして、08年12月と1月に生徒とトラブルがあったほか、部活動でもトラブルが起き、注意したところ反発したという。

2月下旬に学校がいたずらを把握し、生徒と保護者に注意した。学校側は「命の大切さ、事の善悪、他を思いやる心の育成指導を徹底していきた」という。

明礬は、食品添加物として用いられる。教諭に怪我はなく、体調にも異状はないという。

《核家族の日本の家庭では一人っ子も多く、妹や弟、妊娠中の母の姿を見ることも少ない。お腹の中で育っていく小さな命の事を考えることもないのだろう。だんだん脹らんでいくお腹を見ていれば、いやでも命について考えることもできるのだろうが、学校が言う心の育成指導で良くなるものではないだろう。なぜならこの幼稚な生徒たちは、心の問題の段階にまで成長しているとは思えないからだ。何事も自分の思い通りにならなければ通るまでぐずり、反抗し、好き勝手をして育ってきているからだ。駄目なものは駄目、ということを親から教えられていないのだ。子どもはそのような強制するものがなければ到底大人には育っていけない。社会生活の最少単位の家庭の中でこそ、躾けることが求められているのだ。》

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2009年3月29日 (日)

一気飲み死

 桜のシーズンがくると花見よりも先に酔っ払いが思い浮かぶ。私にはそれほど花などどうでもい連中の、酒に浮かれて飲む酔っ払いの不様な醜態が離れ難く結びつく。今年もいよいよその酔っ払いの横行するシーズンがやってきた。それでもおのれ1人が飲んでいればまだいい。飲めない部下や立場の弱い相手に無理矢理飲むことを強要し、殺人紛いのことをする馬鹿な上司や阿呆な上級生がいることが許せない。まるでやくざ映画の親分子分の固めでもするように「俺の盃が受けられないのか」の権力の構図そのもののやり取りが行なわれる。

毎日新聞(3/29)から、 《 》内は私見。
 酒の一気飲みによる急性アルコール中毒などで死亡した大学生らが08年は全国に少なくとも5人いたことが、子どもらを一気飲みで亡くした家族でつくる「イッキ飲み防止連絡協議会」(東京都中央区)の調査で分かった。92年の協議会発足以来3番目に多く、協議会は「大学の場合、過去に問題が起きても、関係者が卒業すると忘れられてしまう」と指摘している。

協議会が報道などを基にまとめたのは、95年の8人、92、93年の6人に次ぐ数だ。4リットルのペットボトルに入った焼酎を回し飲みするよう先輩に指示された神戸学院大2年の男子学生(当時20歳)や、寮内で行なわれた新入生歓迎コンパでビールや焼酎を飲んで死亡した一橋大学1年の男子学生(同18歳)らが含まれる。

《大学Ⅰ年の大半及び2年にも未成年がいるだろう。大学生になったからって成人と同じように酒が飲める資格が生じたことではない。アル中死が起きても、「・・関係者が卒業すると忘れられてしまう」、大学生とはそれほど人の死に無関心な人間の集まりなのか。人が死んでも学内の些細な出来事でケロリと忘れ去ってしまうものなのか。》

神戸学院大の学生の父親(52)は「飲ませた学生たちは『無知だった』と言うが、もう息子は帰って来ない。大学側には危機管理能力が欠けている」と学生や大学を批判した。

《幼い頃から親からは、ものの善悪、社会規範など何一つ教えられず、法を無視することや破ることが「若さ」ということで見過ごされる。酒だけではない、最近では大麻の問題も世間を賑わしている。危機管理は大学だけでできるものではない。親が子を育てる過程でほどこすモラル教育こそ最も必要なものだ。》

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2009年3月28日 (土)

専業主夫に遺族年金は出るか

毎日新聞(3/28)
 京都府の無職女性(56歳)の投書から。

「ボランティアで生活相談を受け付けていますが、受け持った女性会社員(40歳)のことが気になっている。病気がちの専業主夫*の夫(58歳)と子どもを養っている。もし女性会社員が亡くなったら夫に遺族年金は出るのでしょうか」というものだ。

 * 家事、育児などを担当する夫を専業主夫という。因みにその数は、
  2005年(平成17年国勢調査)
「家事の他仕事をしている」     (兼業主夫)約3万人
「仕事に就いておらず家事をしている」(専業主夫)約2万1000人

《看護婦、スチュアーデスなどの女性を指す言葉が姿を消してきた中で、差別用語ともいえる専業主婦、専業主夫は明確に使い分けられているのも変な感じだが、違いは名称だけではない。主夫であることで、法的不備**から男女格差は男の側の不利が際立っている。法は、本来男は外へ出て金を稼ぎ、家族を守るのが当たり前という思想が根本にある。いうならば抜け切れない旧来の陋習(男尊女卑)を背景にしているものだ。女子どもは弱いがゆえに守らねばならないという時代に作られたままだ。それが母子家庭への手厚い庇護となっているのだ。

 ** 父子家庭への行政支援が母子家庭に比べ乏しいため、配偶者が死亡した場合の行政支援には差がある。父子家庭へ支給されない手当、年金は以下のとおり。
   児童扶養手当、遺族厚生年金、遺族補償年金 など。 》

会社員の遺族年金は、定額の遺族基礎年金と生前の報酬に比例する遺族厚生年金からなる。遺族基礎年金は「子のある妻」または「子」に支給される。ただし、「子と同居している父がいる場合は支給停止」とのルールがあり、このケースでは遺族基礎年金は出ない。

遺族基礎年金はどうか。支給はされるものの、あくまで対象になるのは子のみ(18歳になった年度末まで)。現時点では夫への遺族年金は事実上ゼロだ。

では、もし立場が入れ替わって夫が会社で働き、妻が専業主婦だったら、夫が死亡した場合の妻への遺族年金はどうなるのか。このケースなら、遺族基礎年金79万2100円と遺族厚生年金に加え、子への加算22万7900円も妻へ支給される。

遺族年金は「夫は働いて収入があり、妻が専業主婦」という世帯をモデルにしているため、夫に先立たれた妻への給付は手厚い。しかし、逆に妻が亡くなった場合の夫への給付は「夫に収入がある」ことを前提に制度設計されているため極めて薄い。

《2005年のデータで、兼業.専業主夫合わせて5万1000人は、2000年には同じく3万6000人であった。年々専業主夫は増加しているとみられる。そろそろ男女格差をなくすための法整備が必要なのではないか。

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2009年3月27日 (金)

脳死移植10年で81件

毎日新聞(3/25、2/27)読者(主婦・39)投書から、要約と《 》内は私見。
 先日、愛知県春日井市で「みらいちゃん」の葬儀があった。生まれつき腸が働かない病で治療方法は臓器移植しかなく、募金(約1億5000万円)を集め、米国で手術を受け、一度は手術も成功したが、術後経過は芳しくなく、2歳あまりで亡くなった。日本の15歳未満の臓器提供が法律で認められておらず、彼女は外国で手術するしかなかった。しかし、世界保健機関(WHO)は臓器移植は「自給自足」とする動きが強まっている。そうなれば日本の子どもたちの治療法法がなくなる。国内には、今も臓器移植を待っている15歳未満の子どもたちは多勢いる。早急に問題点を整理し、法改正してほしい、というものだ。

《ただ、みらいちゃんに限って言えば、募金を食い物にするボランティアのあり方が問題視された面もあるようだ。すくう会の役員や事務局の人間のお揃いのユニフォーム、宿泊代、食費、新幹線を含む交通費など、200万円もの募金からの出費が問題になっている。本来ボランティア活動は、手弁当が当たり前の活動だ。阪神大震災の時の石原軍団や、その後長野県知事も務めた田中康夫氏は週1で東京からバイクを走らせて参加した。また多く集まったボランティアは自弁の参加だった。》

国内で移植を希望する患者は約1万3000人。厚生労働省研究班の調査によると、84年以降、海外で移植を受けたのは心臓が103人で、17歳以下が半数の54人を占めた。肝臓は221人、腎臓は198人。今も渡航する人は絶えない。米国では年間数千人のドナー(臓器提供者)が臓器を提供しているが、日本では年間10人前後で推移し広がりがない。

日本人が、金を積んで海外で移植手術を受けることについて、「臓器まで買い漁るのか」と不評だ。国際移植学会は08年5月、臓器売買など不正な渡航移植を防ぐ目的で移植臓器の「自給自足」を各国に求めた。臓器不足が世界的に深刻な状況にある中、WHOもこれを追認する方針で、15歳未満の臓器移植の門戸は、狭まるばかりだ。

法施行3年後をめどとする法改正も手がついていない。日本移植学会の寺岡慧理事長は1月、「渡航移植に頼ってきた小児の脳死移植ができなくなる」と改正を求めた。「時期尚早」と反対してきた日本小児科学会も見解の再検討に乗り出した。国会には「小児からの提供を認める」など3通りの改正案が議員提出されているが、まだ動きはない。厚労省は「国会審議を見守りたい」と静観している段階だ。

小林英司・自治医科大臓器置換研究部教授は、なぜ脳死移植がわが国で受入れづらいことなのかについて、一般社会のみならず医療従事者すら脳死に関心が薄いことを上げている。「脳死が人の死であること」「脳死ドナーとなることがいかに尊い行為か」について啓発が不十分だという。脳死ドナーの自己決定のためには、子どものころから生や死という心の問題を含む教育・啓発が必要だ。また、法改正をして早急に「脳死は人の死、家族の承諾で提供可能」という国際基準にすべきである、という。

《高い医療技術を持つ医師の立場からは、ドナーの数は多いほど喜ばしいことなのだろうが、心の教育がそう簡単に浸透しないことぐらい分かるはずだ。特に、自己主張ばかり強く利己主義にどっぷり浸かっている現在の日本人に、博愛を説いても“蛙の面にしょんべん”で、今までどおり一握りの人たちの善意に頼るしかないだろう。》

移植の専門家でつくる国際移植学会は移植臓器の強制的搾取や売買、海外の患者を受け入れることによる自国民への不利益などの問題に対し、ステアリング(かじ取り)委員会を組織した。検討を重ね昨年5月には、WHOと協力し、自給自足を呼び掛ける「イスタンブール宣言」を発したほどだ、という。

問題の解決には、ドナーの移植臓器に頼らない新たな医療の探究が急務となる。今、世界中で再生医学研究が盛んだ。この研究には、幹細胞が種々の細胞に分化して臓器に向かうメカニズムを明らかにしていく基礎研究と、その知識や技術を実際の医療に応用する研究がある。

わが国には、世界に先駆けて人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作った山中伸弥教授ら世界をリードする幹細胞研究者がいる。その幹細胞を種々の機能を持つ細胞に分化させて、実際に「移植可能な臓器を作り上げる」研究が、何年か或いは何十年か先に成功すれば、人というドナーに頼らない臓器移植が可能になるだろう。

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2009年3月26日 (木)

裁判員制度、取り調べ一部録画

毎日新聞(3/26)から、
 警察庁は26日、昨年9月に試行が始まった取調べの一部録音・録画の検証結果をまとめた。否認に転じたケースはなく、警察庁は「自白の任意性の効果的な立証策になる」と評価しているが、供述内容や態度が変化したケースもあり、課題も浮かんだ。裁判員制度で分かりやすい立証をするための取り組みで、4月から試行を全国に拡大する。

試行は昨年9月〜今年2月、警視庁や大阪、埼玉、千葉、神奈川の5都府県警で、66件の容疑者58人に実施された。殺人や強盗傷害など、この間に5都府県警管内で発生した裁判員対象事件838件の7・9%に当たる。容疑者が「公判でみじめな姿をさらしたくない」と拒否したため実施しなかった例が1件あった。

《取調べは殺人や強盗傷害などの凶悪犯罪容疑だ。そのような容疑者が、「みじめ」を訴えただけで録音・録画をしないのは、個人情報保護の立て前があるとしても温情に過ぎないか。》

録音・録画の平均時間は15分。10分以上15分未満が32件(48%)と最多だった。

試行に携わった取調官への聞き取りによると、「急に反省の弁を述べる」「被害者の悪口を言う」など、録音・録画中に容疑者の供述内容が変化したのは11件(17%)。「言葉づかいが叮嚀になった」「何度も問いかけないと話さなくなる」など供述態度の変化も26件(39%)あった。また、碌音・録画後に供述内容が変化したのが1件、態度の変化が2件だった。

中には「信用してなかったんですね」と、態度がよそよそしくなった容疑者も。取調官の21%が「取調べ機能が害される」と回答し、容疑者と人間関係を構築する捜査手法が難しくなる恐れや容疑者の不安が増すとの指摘もあった。

全過程の録音・録画については、公判でプライバシーが不必要に曝されたり、報復を恐れて供述が得にくくなるなどとして、取調官の97%が反対した。

試行で録音・録画したのは、取調官が供述調書を読み聞かせた後、容疑者が内容を確認して押印する模様。最後に取調官が「何か言いたいことはないか」と尋ね、録音・録画終了を告げる。恣意的な編集を防ぐため、途中で止めることはない。映像と音声は自動的にDVDに記録され、容疑者の目の前で封印、検察官に送られる。

警察庁は「試行を積み重ね、どんな立証方法が有効か検討していく」としている。

一方、最高検が2月に発表した取調べの一部録画の検証結果について、日本弁護士連合会は25日、「密室での取調べの弊害に対する配慮を欠き、一部録画を正当化しようとするもので失当」との意見書を最高検に手渡した。改めて取調べ全過程の録画(可視化)を求めている。

意見書は、法廷でDVDが上映された延べ25件のうち1件で裁判所が任意性を否定したことに触れ、「一部録画は立証に不十分で、取調べ状況について過った印象を与える」と指摘。検察官の「圧力」や「誘導」がないかどうか判断できず、全過程の録画が不可欠と主張している。

《日弁連のいう全過程の録音・録画を求めれば、すべての取調べが15分前後の時間で済むわけがない。何時間にも亙る場合だってあり得るだろう。法廷でそれらを上映することになれば裁判の長期化につながりかねない。試行の15分前後は編集したものでなくても公判で有利なやりとりの場を選ぶ作為もあり、日弁連が懸念する作為が入り込む危険性は十分にある。それも検察側に有利な判決を導くための作為が。その例が裁判所が任意性を否定した1件に現われている。

《一方、取調官の97%が全過程の録音・録画には反対しているが、彼らの言い分には、容疑者のプライバシーへの配慮、報復への恐怖がないまぜになった取調べ作業そのもののやりにくさが明瞭に読みとれる。

《いずれにしてもまだ決定したわけではない。最善の立証方法を見い出してほしい。

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2009年3月24日 (火)

遺骨収集

 敗戦後もうすぐ65年目が来る。戦死者の、浮かばれないままの命が北の島や南の島々に敗残の遺骨となって取り残されている。日本の、戦後の復興を祈念して命を懸けて戦った戦没者たちだ。

2005年12月1日に最初の遺骨収集(「戦争は終わっていない」)に触れてから、何回か打ち捨てられた兵たちのことに触れてきた。硫黄島については3回(硫黄島、続硫黄島1、続硫黄島2)に亙って、昨年は、戦争はまだ終わってはいない、放置されたままの「英霊」も書いた。

これまでの遺骨収集は、国家事業は別として、戦争で夫や兄弟らを亡くした遺族や生き残ってきた戦友たちが中心となって引き継いできた。日本の近・現代史を教えない学校教育は、若者たちに南の島は新婚旅行や観光の「楽園」にしか映っていない。その彼らが踏むその地には、野ざらしになったままの未だ還らぬ遺骨が埋もれていることなど考えようともしない。

今まで若い世代が収集に触れたのは、上の(戦争はまだ終わってはいない・・「英霊」)でニューギニで遺骨収集団を支えている79歳の男性をレポートしたことぐらいだ。彼(戦後生まれの記者)は英霊が放置されたことへの国家の責任を強く批判した。

【閑話休題】
 毎日新聞(3/21)から、《 》内は私見。
 アルピニストの野口健さん(35)がNPO法人の一員として、海外戦没者の遺骨収集を始めた。17日からは太平洋戦争の激戦地だったフィリピンのレイテ島で活動し、25日に帰国する。海外戦没者約240万人。約115万柱もの遺骨が今も海外に眠る。野口さんは「国家の犠牲になった人たちの遺骨を野ざらしにはできない」と訴える。

《一口に115万柱といっても分かりにくいが、分かりやすく例えれば、宮崎県内に1人の人間もいないのと同じことだ。宮崎県の人口が115万人、他に115万に満たないところは秋田県の114万人、富山県の103万人から一番少ない鳥取県の60万人まで11県もあるほどの数なのだ。》

7大陸最高峰への世界最年少登頂記録を樹立し、清掃登山などの環境活動で知られる野口さんが、遺骨収集を思い立ったのは4年前だという。ヒマラヤの8000メートル級の「シシャパンマ」山頂近くで遭難しかけた時だった。猛吹雪の中で酸素ボンベが残り少なくなり、テントの裏地に遺書を綴った。死の恐怖に直面した時、旧日本軍の参謀だった祖父から、たびたび聞かされていた海外の戦没者のことが頭に浮かんだ。祖父はビルマ(現ミャンマー)で部下が次々に飢えやマラリアで倒れ、死んでいくのを目の当たりにしたという。

「自分の意思とかかわりなく戦地へ送られ、犠牲になった人の無念さは計り知れない」。衛星電話で「無事に下山できたら遺骨収集を始める」とスタッフに伝えた。

《野口さんのいう無念さについては注釈がいる。当時の日本人戦没者たちは、戦争で死ぬことは無念なことではなかった。死は、軍人ならば靖国神社に神として祀られる名誉なことと信じていた。半世紀以上も経った現在の価値観では、戦争への反省から死が無念と捉えられがちだが、死んだことが無念なのではなく、野ざらしにされた半世紀以上の年月が無念なのだ。》

フィリピンで遺骨の調査・収集を続ける京都市のNPO法人「空援隊」(杉若恵亮理事長)に理事として加わった。昨年3月と10月、セブ島とレイテ島の洞窟では、骨片が足の踏み場もないほど散乱していた。

遺骨調査・収集は厚生労働省が主導し、遺族会やNPOなどの民間団体が担ってきたが、持ち帰りには厚労省の許可が必要だ。約50万人が戦死したフィリピンでこれまでに収集できた遺骨は約13万柱に過ぎない。情報提供は年々少なくなり、厳格な手続きも壁となってきた。厚労省は昨年11月、フィリピンでの遺骨収集に限り、住民の証言だけで持ち帰れるよう手続きを緩和した。

今回の調査・収集には野口さんら空援隊の6人が参加。「遺骨収集は国の事業」が厚労省の建前だが、空援隊は民間主導を訴えている。野口さんは「海外戦没者は国家の犠牲なのに帰国のハードルが高すぎる」と話している。

《有言実行の野口という青年、振り返って自分も少しは見習うべきとは思うが・・、》

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2009年3月23日 (月)

患者の大病院集中が加速

毎日新聞(3/22)から、
 産婦人科医の減少でお産に続いて婦人科系のがんを治療できる病院も減少し、大学病院など一部の大規模病院に患者が集中していることが、日本産婦人科学会の調査で分かった。同学会は「病院の許容量を超える集中も起き始めた。お産に続いて、がん治療の破綻が起きかねない」と危機感を募らせている。

▽産婦人科医の減少
〈国内の医師数は近年、増えており、06年末の厚生労働省調査では27万7927人で04年末より約2・8%増えた。しかし、産婦人科、産科、婦人科を主に掲げる医師は1万1783人で04年から約3・1%減った。中でも産婦人科医は2年間で5・6%、96年と比べると約12%の大幅減。出産に伴う訴訟問題や、不規則で苛酷な勤務などが背景にあるとされる。お産を扱う施設も93年の4200以上から05年には約2900に減った。〉

同学会産婦人科医療提供体制検討委員会が調査、中間集計した。同学会に子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんの年間患者数を登録している全国約270病院のデータを使い、04年と07年の新規患者数を比較した。

調査した吉川裕之・筑波大教授によると、一般的に患者が多いとされるのは年間の新規患者が100人以上の病院。07年の新患数が100人以上の病院のうち、3年間に25%以上患者が増えたのは07病院に達した。大学病院や県立のがんセンターなど地域の拠点病院ばかりで、増加率は千葉県がんセンターの2・02倍を最高に東京医科大1・95倍、大阪大1・71倍、東海大1・62倍だった。

関東地方の病院が10病院を占め、九州・沖縄3、北海道・東北2、近畿・中国が各1病院。新患数でみると、6病院が年間150人を超え、うち1病院は200人を超えた。

一方、検討委員会が都道府県の学会地方部会に実施している実態調査では、宮城、茨城、三重、鹿児島などから「(婦人科がん医療は)崩壊寸前」「手術待ち時間が延びた」など、現状の深刻さを訴える回答が相次いだ。

吉川教授は「医師不足で分娩をやめた病院の多くはがん治療もやめてしまい、この3年で患者集中が急速に進んんだ。医師不足対策はがん医療の水準維持のためにも急務だ」と話している。

《寄らば大樹の蔭とでもうのか、権威に弱く、もともと大学と名のついた病院や大きな病院に偏る傾向は以前からあった。それがこのところの産科医不足から、ますます病院の拠点化の動きに引き寄せられるように患者の大病院集中が進んでいるのが現実だ。このままでは病院の過疎化に悩む地域が全国に拡大することになるだろう。》

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2009年3月22日 (日)

「法テラス」って?

毎日新聞(3/22)から、 
 内閣府は21日、初めて実施した「総合法律支援に関する世論調査」の結果を発表した。法的トラブルの解決を支援するために、国の出資で06年4月に発足した「日本司法支援センター」(法テラス)について、
 「名前も業務内容も知らない」との回答が67・5% に対し
 「名前も業務内容も知っている」が    9・5% にとどまり、
国民に浸透していない実態が浮かんだ。全国成人男女3000人を対象に面接方式で1月に実施し、1684人から回答を得た(回収率56・1%)。

《私は、自慢じゃないが「名前も業務内容も知らない」のグループに含まれる。どのような経緯でこの名前がついたのか、テラスがカタカナなのは何故か、さっぱり分からない。そこでいつものようにWikipediaに頼ることにした。

 日本司法支援センターは、総合法律支援法(平成16年法律第74号)に基づいて設立された法人。全国どこでも法的トラブルを解決するための情報やサービスを受けられる社会を目指して設立された機関である。愛称は法テラス*。2006年(平成18年)4月10日に設立され、同年10月2日から業務を開始した。初代理事長は、金平輝子・元東京都副知事。

 業務は、次の5つに分けられている。
 1、情報提供 
    法的トラブルの解決に役立つ法制度の情報提供を行なう。(後略)
 2、民事法律扶助業務
    資力の乏しい国民に対して、無料の法律相談を行なう。(後略)
 3、国選弁護制度
    捜査段階での被疑者弁護から、起訴後の被告人弁護まで、刑事手続きの各段階を通じて、一貫した刑事弁護体制を整備する。少年保護手続きにおける国選付添人、被害者参加制度における国選被害者参加弁護士の選任手続きも取り扱う。
 4、犯罪被害者支援業務
    被害者支援に通じた弁護士や専門機関の紹介や情報提供を行なう。
 5、司法過疎対策
    司法過疎地域(法律専門職の少ない地域)での法律サービスを行なう。

 * 愛称法テラスは「法で社会を明るく照らしたい」「陽当たりの良いテラスのように皆様が安心できる場所にしたい」という思いから名付けられた、ものだという。何のことはない、「照らす」、「テラス」の語呂合わせ、または単なる駄洒落で思いついた人を食ったようなネーミングだったのだ。》

全国50カ所に地方事務所が設置され、過疎対策事務所などが置かれている。トラブルに見合った法律相談先の紹介や裁判費用を援助する民事法律扶助などを行なう。

 法テラスを実際に利用したとの回答は 1・4%。法的トラブルが10年前に比べ増えたと思うかどうかは、「増えたと思う」が87・6%。ただ、実際に身の回りで法的トラブルがあると答えたのは15・4%だった。

《いずれにしても、人知れずこっそりとやっているような業務にしか思えない。全国に法律に無知な人間がたくさんいるから、その人たちの支援をしたいと設立したのなら、もっと積極的な広報活動をする必要があるだろう。7割に近い人たちは、業務内容どころか、その法人の存在、名前すら知っていないのだ。》

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2009年3月21日 (土)

続 救急受け入れ

 〖ドイツ〗の医療は、日本で医療のモデルとみられることが多い。1883年、世界で最初に公的医療保険制度を導入した国だ。これまで医療制度改革は重要な政治争点となり続け、現在のドイツの医療制度は競争原理を導入し、低コストの実現に成功している。

「ドイツ病院協会」(ベルリン)のウォスニッカさんは「ドイツの病院はファーストクラスのサービスを提供している」」と誇る。

例えば各病院は入院の必要・不必要を厳格に精査するなどの経営努力を行い、過去16年で病床数をドイツ全体で24%減少させたほか、平均入院日数もほぼ半減させている。「病院のホテル化」を防ぐ、これらのコスト削減策で、各病院は良質の医療を維持しているという。

だが、こうした指摘に医師労組「マールブルガー・ブント」(同)は「制度改革が医療現場に過重労働をもたらしている」と批判する。医師の仕事のハードさは、同労組のアンケートに病院勤務医の53%が「病院勤務医を辞めようと考えている」と答えているほど。病院・病床数の減少で新任医師の就職先も減っており、卒業前に医師になる道を断念する医学生はここ数年増えているのが実情だ、

《病院、病床数の減少が、日本と同じではないが、医師の過重労働による激務は変わらないようだ。》

〖英国〗では国民保険機関(ナショナル・ヘルス・サービス=NHS)を1948年に設立。国民はこの制度で近くの医療機関に行き、一般医の診察を原則無料で受けられる。もた必要に応じて専門医を紹介される。ブラウン英首相はNHS制度の維持を重視し、「不況下でも11年までの厚生省の予算計画を方針通り維持する」と言明している。

英国の医療制度の課題は、医師・看護師不足の解消といわれる。英政府によると、10年から11年にかけて、イングランド地方のNHS制度傘下の医療機関だけで1200人の一般医、1万4000人の看護師が足りなくなる見込みだ。週末、休日の当直医の人繰りは深刻で、ポーランドからアルバイト医師を雇う例すらある。看護師総数の3分の2に当たる約20万人が50歳以上で、若干の看護教師志望者が年々減っている。いずれも超過勤務とそれに見合わない給与実態が影響している。

《洋の東西、看護師不足は厳しい実態にあるようだ。博愛の精神に導かれてその道に入っては見たが、医療現場の過酷な勤務はその心を打ち拉(ひし)ぐのを止められないようだ。どこの国でもすでに医は仁術ではなくなっているのだ。厳かにキャンドル灯して戴帽式を行い、ナイチンゲールに誓ってはみるが、やはり豊かな国で育った人間たちには厳しい仕事に対してはそれなりの対価を求め、容れられなければ辞めていく。そこで日本では、日本人よりも薄給で我慢してくれるフィリピンやインドネシアから人材を呼び寄せ、員数の確保を図ってはいるが、解決しなければならない語学に関する難しい問題もある。》

また、院内感染も大きな問題だ。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染による死者は、03年955人、05年1168人が英国内で確認されており、施設の老朽化や衛生環境の不備が深刻化していることを裏付けた。

〖フランス〗では日本で起っているような患者の受け入れ拒否も起きているという。フランスは日本と同じ国民皆保険で、職種ごとの公的な医療保険で治療費の約7割が給付される。また残りの3割も、民間医療保険の加入率が9割近いため、結果としてはほぼ全額保険で支払われている。00年施行の普遍的疾病給付(CUM)法により、公的保険に加入資格のない低所得層の保険料が減免され、制度は一層充実した。ただ、個人出費が少額なのは財源となる税金の額が日本より高いためで、特に中小企業の高額税負担は雇用抑制や高失業率につながっている。

一方で、フランスも医師不足が深刻化している。心臓外科、麻酔科、婦人科は手術などで患者の生命の危険が伴うため医師のなり手が減っているという。この半面、患者の生命の危険が少なく、待遇もいい放射線科や皮膚科は人気がある。

《告訴や訴訟の問題がどれだけ絡むのかは知らないが、人の命に関わる手術を避けたくなる気持ちは理解できる。日本で特に婦人科医や小児科医などの医師の数が減少したのも、非難や裁判沙汰を恐れての『触らぬ神に祟りなし』の心境だろう。》

地域的には都市部や、気候が良くて年金生活者が多く住み、患者も多い南仏に偏在している。フランス政府が毎年、新規医師の採用定数を決めており、98年ごろまでの約4000人が、05年6200人、09年7400人となった。だが、日本同様、病院の患者受け入れ体制の不備も指摘されており、パリ近郊では救急患者の受け入れ拒否事件も起きているという。

最後にお隣の国〖韓国〗。
自国より安い費用で高度な治療を受けようと海外に出かける「医療観光」。医療費高騰が問題化する米国を中心に盛んになり、受け入れ先はインドやタイ、ドバイなどだ。韓国は今年、この「客」の誘致に官民挙げて取り組もうとしている。

昨年11月、ソウルで「第3回国際医療観光会議」が開かれた。受け入れ国が集まり情報交換するのが目的で、主催は韓国観光公社など。今年1月には医療法を改正し、国内の病院が外国人患者を直接誘致することなどに道を開いた。同公社の調査では「韓国は美容、整形、漢方などの分野で競争力がある」との結果が出ており、3年後には10万人を誘致する計画だ。

韓国は現在、深刻な経済不況で医療機関の休・廃業も目立っている。新たな市場の「ターゲット」として、円高・ウォン安で急増する日本人観光客に熱い視線が注がれている。

だがこの一方で、一般医療については「国民皆保険制度の適用範囲が狭く、患者の負担が重い」との批判も市民から聞かれる。

《韓国の美容、整形に関しては早くから日本人女性には人気があり、医療費も格安とあってまさしく医療観光の名にふさわしい国だ。また、代理出産など法律すれすれのところでの係わりも起きている。記事はその分野については詳しくは述べないで、翳りも見えるペ(ヨンジュン)から続く韓流人気に乗っかって、日本人女性をターゲットにして観光を柱にした美容整形医療でいくようだ。》

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2009年3月20日 (金)

救急受け入れ

   水仙
Dscf03_6 メディアは苦しい医療現場のことは取材して理解している筈なのに、やはり現場の状況など全く考慮しない表現で「拒否」と書く。それも今回は『救急受け入れ 48回』と大書して。

毎日新聞(3/20)から、 《 》内は私見。
 重症患者の救急搬送にあたり、昨年、医療機関から48回受け入れを拒否されたケースがあったことが19日、総務省消防庁がまとめた08年の救急搬送に関する実態調査結果で分かった。東京都内で食道静脈瘤破裂を起こした40代男性で、49回目の照会でようやく受け入れ先が見つかった。救急受け入れ態勢の改善には、なお時間がかかりそうだ。

受け入れを10回以上拒否されたのは、重症以上の病気や怪我による患者が40万9190件中903件(0・2%)あった。妊婦や新生児は1万6298件中で47件、子どもは32万4149件中244件だった。妊婦では妊娠30週で切迫早産の30代女性(東京都)が25回、子どもでは左前腕骨折の10代男子(同)が29回断られた例が最多だった。

《同じテーマの時に書いたが、誰でもいいから融通することで受け入れられるようなサービス業なら何も断る必要はないだろう。救急の相手は一時を争う急患だ。専門医が必ずいるとは限らない。麻酔医は不足している。それでも次々に見込みで請け負って、処置を待つ間に急変でもされたら、メディアの格好の攻撃材料だ。『急患を待たせたままで○○時間、すでに手遅れ状態だった』『専門でない医師の手にかかって命を落とす』、或いは激務の勤務状態から、『疲労が重なり判断を誤ったか』など活字が踊ることになる。命を預かる職業だ。簡単に見込みで受け入れることはできないのは当たり前のことだ。「拒否」ではなく「受け入れ不可能』なのだ。》

救急車が到着してから搬送先の医療機関が見つかるまで、2時間以上その場で待たされた例は
 重症患者 160件
 妊婦    7件
 子ども   9件
受け入れ拒否の理由は、スタッフが不足しているなど「処置困難」が最多で、手術中や患者対応中のため対応できないとしたケースも多かった。

また、深刻な病気や怪我の患者を受け入れる救命救急センターや大学病院の救急部など全国264施設を都道府県別に調べたところ、患者の受け入れ率が最も低かったのは
 奈良(3施設)の52・8%。 次いで
 東京(26施設) 72・4%
 宮城(4施設)  76・4%
 大阪(15施設) 85・6%
   全国平均   93% だった。

07年には1人で62回受け入れを拒否された例があったが、消防庁救急企画室は「前年と比べて状況はそれほど変化はない」と分析している。

《基本的な国の医療政策、システムが変わらない限り、現在のようなことが常態化するだろう。そしてメディアは全国のデータを集めて発表するだけで、どこどこは拒否X件、○%、こちらは拒否X件、○%などと書くだけだろう。これは日本だけにとどまらないことのようだ。毎日新聞が今月7日に「世界の医療現場」としていくつかの海外の国にもある課題を取り上げている。

先ずは米国。
 世界最高水準の医療を誇りながらも、その恩恵を受けることができない実態があるようだ。映画「シッコ」(07年公開)でマイケル・ムーア監督が告発したように、多くの米国民は高額の医療費と、いびつな医療保険制度に悩んでいる。

 米国の公的医療保険制度は、▽65歳以上の高齢者、▽障害者、▽低所得者 が対象のものに限られ、一般の勤労世帯は民間の医療保険に頼らざるを得ないのが実態だ。だが、保険料は高く、また持病があると加入を拒否されやすいなどの理由で、全米で約4900万人が無保険だ。保険がなければ風邪の診察だけで100〜150ドル(約9500〜1万4000円)かかる。救急車も有料で、呼べば保健の有無、クレジットカード番号を尋ねられるという。

《旅行者は、アメリカ旅行中は、風邪も引けない、と言われる所以(ゆえん)だ。》

保険加入後も安心できない。保険料によって保険会社の医療機関への年間支払上限額が決まる。このため自己負担額が増える傾向があり、医療費支払い専用クレジットカード市場も発展。民間調査機関によると7900万人が医療費返済に窮しており、これが、自己破産の大きな要因ともなっている。

経済危機で、無保険者はさらに増えると予想されるほか、従業員向けの企業の医療保険も、コスト削減から保険の適用範囲が狭められる場合もある。「病気になっても医師に診てもらおうとしない」(医療専門家)という傾向が強まる恐れがあるという。オバマ大統領は、95年に癌で亡くなった母親(当時53歳)が、病状よりも医療費の支払いを心配していた、と明言。誰もが加入できる医療保険制度の確立を目指している。《日本に生まれたことを感謝しなければならないのだろうか。》

                 -- つづく --
 

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2009年3月19日 (木)

神奈川県の禁煙条例悪あがき、 ほか

もともと知事の強迫観念のようなものがひき起した独り相撲だったのだ。

毎日新聞(3/18)から、《 》内は私見。
 神奈川県が制定を目指す公共的施設受動喫煙防止条例案を巡り、松沢知事と県議会主要4会派は18日、新たに小規模宿泊施設も規制対象外とし、飲食店など民間施設の罰則導入を施行1年後に延長する内容の修正案に合意した。24日の本会議で可決、成立する見込み。屋内の喫煙を規制する条例は全国初だが、受動喫煙の影響が大きいとされる小規模宿泊施設が規制から外れるなど、知事が公約の目玉に掲げた条例は「看板倒れ」となる格好だ。

《「分煙」という規制を設ける飲食店や娯楽施設が増えている。現在は、煙が人の動きにつれたり、天井を伝って流れる不完全なところが多いが、周りとは隔離した分煙設備(クリーンな排気が絶対条件だが)を設ければ済むことだ。》

主な修正点は、
 規制対象外とする飲食店の範囲を条例案より拡大
 民宿など面積700平方メートル以下の小規模宿泊施設も対象外とする
 規制対象の飲食店や宿泊施設、ゲームセンターなどの罰則は11年4月から適用、など。
罰則は施設管理者2万円。喫煙者2000円の過料としている。

 自民、公明、県政会の県政野党3会派は16日に修正案を公表し、飲食店や宿泊施設などの罰則導入を「施行3年以降に検討」として事実上、規制対象外とした。松沢知事は提案前の協議を求めたが野党側は反発、条例案を協議する県議会厚生委員会は17日昼から空転状態が続いていた。

《長い間、日に60本のヘビースモーカーで過ごした私は現在、16年間全く喫煙していない(禁煙ではない、吸いたくなれば何時でも再開するつもりだから)が、他県のことながら、愛煙家の自由な喫煙の権利を認めない全面禁止の法制化には組しない。》

同紙「男の家庭面」欄、おしゃれ篇から。

Dscf02a_8 いつもながら、センスの悪いコーディネーターたちが1人のお爺さん(71歳)を弄り回す。薄くなった髪を今風ということで乞食然としたボサボサに散らし、だらしなく開いた襟元からは似合わないチョッキが覗いている。見るだに酷いのは、前腹にだらしなく垂れ下がって結んだシーツか布団カバー状の布は、焼き場から拾い集めた遺骨の破片でも詰まっている骨壺を下げてでもいるようだ。長過ぎる上着の袖をめくり上げ、みすぼらしい。コ−ディネーターひとり悦に入り、美の総合的な才能のないところを無理矢理口さきであれこれ言い訳がましく説明をつける。モデルはコーディネーターに遠慮して顔を露出しているが、次の日からこれでは外は歩けまい。余りに惨めなので(肖像権もあるか)勝手に顔を消した。

モデルになったのは、退職後どんな服を着ればいいのか分からない、というスポーツばかりにかまけてきた読者モデル。神奈川県座間市にお住まいの元航空自衛隊員の松本さん。彼の希望は「自衛隊時代だけでなく退職後も、仕事柄、制服でした。私服で若々しく決めた同年代の男性を見て、自分も挑戦したくなった」というもの。

普段のヘアスタイルはオールバックだが、富川(資生堂ビューティークリエーション研究所長・女性)が作ったのが、写真の乞食スタイルだ。その言い分は「思い切って前髪を下ろし、イメージを変えましょう」だ。確かにイメージは変わりすぎるほど変わった、白髪も多く頭皮は透けて情けないにもほどがある程に。彼女が言うその理由は「髪を前に下ろすことで若々しさが強調され、前髪に動きが出ればカジュアルな服も似合います」だ。前髪を撫で付け、キープ力のあるワックスを使って親指と人差し指で髪を小さく纏めて変化をつけた。今、イケメンと呼ばれる汚らしい髪型の若者たちのことが頭にあるのだろうか、かゆくてたまらない頭をかきむしったような不潔に見える髪型がイケメンのシンボルなのに富川にはあれが若々しさなのだ。

続いて黒部和夫(オンワード樫山商品・技術・マーケティング開発部 メンズ課長=彼はモデルの松本さんが、弄られる前の髪型だ。勿論モデルよりもうんと若い。)と宮崎俊一(松屋専門課長=黒部と同じ髪型で、同じくモデルより若い。)の2人は服装の担当だ。

2人が選んだのは、細かい穴があいた茶色のパンチングレザーのジャケット。「春先は寒暖の差が激しい。パンチングレザーは軽くて柔らかく、防寒性もあるので春先には最適」というのが理由。ジャケットの上には麻のベージュ色のスロールを巻いた。《これが上に書いた骨壺をぶら下げるようなシロモノだ。》インナーにはコットンの春用セーターと、襟先の裏にボタンがついたスナップダウンシャツ。襟が立って首元が立体的に見えるので、ネクタイなしでも寂しく見えない。《変身前のすっきりした襟元に比べてヤケに突っ立った大きな襟は、首を曲げるにも窮屈そうだ。》

配色にも気を配った。綿のパンツ《ズボンのことのようだが、最近の服飾用語には戸惑うばかりだ。パンツの下に着用するズボン下という語があったり、ここでは逆にズボン下の上に着用するのがパンツのようだ。タイツやスラックスなどはどのように使うのだろうか。》はやや濃いベージュ色で、胸元のポケットにはアクセントとして赤色の眼鏡を差した。「茶色、赤色、ベージュの3色に限定することで年齢にふさわしい品格が出ます。《モノクロ写真から彼らが言う品格が理解できないが、赤ふちの老眼鏡は着用すればまるでピエロだろう。》

モデルの松本さんは、変身の当日が71歳の誕生日。「いい記念日になりました。自分では思いつかない組み合わせですが、若い人に負けないようにファッション術を磨いていきたい」と話した。

《それにしても悲しい変身術だ。若づくりを間違えば、男も女も逆に中身を老いて見せるだけだ。》


 

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2009年3月18日 (水)

社会福祉士が学校配置で

敗戦後60年以上を経過して、家族制度や家族の崩壊は年とともにますます日本の社会をおかしくして行く。小中学生の不登校や暴力行為など、過去になかったとはいわないが、本来は保護者や家族の家庭内教育や躾けによって小学校に上げるまでに子の情操教育はある程度身につくものになっていた。

小学校では、先生のお話は大人しく椅子に座って聞くことや、勝手なおしゃべりはしないことや、お友だちとは喧嘩しないで仲良くすることや、女の子には優しくすることなどが出来ていれば、学校は楽しいところで殆ど不登校など考えられなかった。それでもよほど家庭が貧しくて、子どもながらに幼い弟や妹たちの世話や親の手助けをしなければならない家庭の子はいた。そして、多くの家庭では学校から帰れば必ず迎えてくれる母がいて、家族がいた。

日本の高度成長期、生活が豊かになるに乗じて母親たちは、生活には困らないがさらに収入が欲しい」*との思いから職場進出が増え、家を留守にする母親たちは子どもに鍵を持たせ、子どもたちは「鍵っ子」と呼ばれる存在になったが、それには別の要因も加わっていた。「家つき、カーつき、ばばあ抜き」の言葉で表されるように、姑と一緒には生活をしたくないとの花嫁の力が強く、(核家族化の始まりと同時に、この頃から女性上位の機運が始まった)帰宅後の面倒を見る祖父母の参画もなくなった。子どもが鍵を持つことから、鍵が奪われたり、子どもの帰宅時を狙った犯罪も発生することがあった。

 * 昭和43年総理府調査では「他に働く人なしで生活に困っている」の28・4%に比べ、「困っていないがもっと収入を増やしたい」が49・2%だった。
 厚生省(当時)昭和44年10月の「全国家庭児童調査」によれば、小学生は109万人、中学生は374万人の合計483万人が「鍵っ子」であると推定された。

子どもが学校から帰宅後に家族の目が届かない状況で放置される時間の増加は、情操教育、社会教育の喪失にもつながった。両親の就労の増加は学校行事への参加ができなくなり、学校教育と家庭教育との乖離を生じることにもなった。増加する鍵っ子対策として、学童保育や放課後の校庭使用時間を延長するなどの対策がとられたが、母親のアルバイト等短時間契約から正社員への就労傾向が進むに連れて、子どもの1人になる時間帯は増える一方で、情操教育の遅れが目立ち始めた。社会性を身につけていない子どもたちは、座って先生の話を聞くこともできず、歩き回って学級崩壊まで引き起こした。このような、小学校にあげるまでに本来なら各家庭の親が教えるべき、社会人となるための基礎教育や道徳教育などの家庭内教育の欠落を埋めるため、生まれたのがスクールカウンセラー(SC)や今度のスクールソーシャルワーカー(SSW)なるものだ。

【閑話休題】
毎日新聞(3/16)から、(カタカナが煩わしいので省略で代える)。《 》内は私見。
 小中学生の不登校が06、07年度と2年連続で増加し、暴力行為も深刻さを増す中、社会福祉の専門家であるSSWの活動が注目されている。一部の学校で効果を上げているが、認知度や人材の不足が課題になっているという。

大阪府寝屋川市立和光小(丸山涼子校長、児童数639人)では、毎週金曜の午後4時になると、図書室で「ケース会議」と呼ばれる会議が始まる。学習状況や生活環境などで気になる児童を取り上げ、問題解決に向けて話し合いをする。その児童の担任や前担任など関係する教員と校長、教頭に加え、SSWが出席する。

会議の進行役はコーディネーターと呼ばれるベテランの女性教員。担任は持たず、問題解決を専門に担当している。気になる児童の学校や家庭での様子などを書き込んだカンファレンスシートが全員に配られ、先ず担任から児童の最近の状況が報告される。《それにしても何かと横文字好きなことだ。》

続いて、コーディネーターが家庭環境について説明。養護教諭が児童のここ数年の身長、体重の変化など成育状況を伝えた。別の教員たちからも校内で見かけた児童の様子が次々と報告される。
「この1週間で急に落ち着きがなくなった気がする」
「昨日は表情は良くなかったなあ」
「○○君とは仲がいいようだ」
など、やり取りを聞いていたSSWの佐々木千里(関東学院大非常勤講師、元中学校教員)が、「作文ではどんな表情で気持ちを表していますか」「字はどんな感じですか」「教室の席はどこですか」などと質問を投げかける。答えを聞いた佐々木は「決まりごとはきちんとできるのがこの子の強みなので、この時間は席に戻ろう、みたいに区切りをつけることもいいのでは。席の位置も田の児童の出入りが気にならない所がいいと思う」とアドバイスした。

最後にコーディネーターが「担任は座席のことを考えてもらえますか。○○先生は引き続き行動観察をお願いします。保護者との信頼関係については、私と教頭がつないでいきたいと思います」と締めくくった。

《1週間の気の落ち込みや表情など、1番分かっているのは親,保護者のはずだ。上の会話を聞いていると、まるで子どもが壊れ物のような感じだ。何か手違いでもあれば、とバカ親たちの怒鳴り込みを恐れてでもいるのだろうか。》

和光小は05年度から、ケース会議を年間40回ほど開いている。きっかけは05年5月に大阪府の独自事業でSSWが1人配置されたことだった。就学援助受給率が市内でも高い方に位置するなど厳しい家庭環境の児童が少なくなく、長期欠席・不登校が全児童の5%前後に上るなど課題を抱えていた。

SSWは社会福祉の専門家として学校に入り込み、学校や家庭、地域など子どもを取り巻く環境の改善を図り、児童相談所など関係機関との連携役を務めることが求められている。ケース会議への出席も活動の一環だ。

ケース会議の目的は、問題行動などの背景や原因を探る「アセスメント」と、それに応じた適切な対応を考える「プランニング」。小中学校では「学級王国」的な考えが根強く、学級の問題を担任が1人で抱え込んでいたり、担任に押し付けられることが少なくない。ある児童・生徒に関する情報も各教員が断片的に持ち、共有できていない。ケース会議では、それらを持ち帰って整理し、SSWの助言を受けながら解決の糸口を探っている。

丸山校長は効果として 1)「困った子」というのは、実は自分ではどうすることもできない中で「困っている子」なんだと、教員の子どもに対する見方が変わる 2)問題はチームで対応するという意識に変わる 3)関係機関とのつながりができる、ことなどを挙げる。和光小では現在、不登校ゼロ、長期欠席は1桁台だという。

丸山校長は「子どもは本来、人に褒めてもらいたかったり、いろんなものに関心を抱くものだが、学校、家庭、成育環境が阻んでることも少なくない。それが『どうせ僕らは・・』と投げやりになって問題行動につながる。SSWと恊働しながら安心して学びに専念できる環境を整えることが必要だ」と話している。

《子どもに何かあれば周りがせっせと面倒見てくれる。親は子どもを生産するだけなのか。子どもが学校を休もうと、喧嘩、暴力沙汰をおこそうと、われ関せずだ、親が働くということはこういうことなのか。これまで見てきたのは従来福祉の現場で活躍する人たちの学校参画版だが、学校現場には広く浸透しているSCとの違いは何だろう。》

文部科学省によると、SCは子どもの心のケア中心で、SSWは子どもを取り巻く環境の改善に主眼を置くというもの。SCは臨床心理士や精神科医が務めることが多い。95年度から文科省の事業として全国に配置されるようになり、神戸連続児童殺傷事件(97年)や大阪教育大付属池田小乱入事件(01年)を機にますます必要性が高まり、07年度には全国の公立小中高の約3割にあたる計1万1460校に配置された。配置校のうち約8割が中学校だが、文科省は今後、小学校にも拡大していく方針だ。

それに比べSSWは社会福祉が軸になるが、これまで社会福祉士の活動の対象は高齢者や障害者が中心だった。SSWの先進地が大阪府で、05年度から独自事業で府内の学校に配置してきた。04年度の中学生1000人当りの不登校生徒数が39・3人で、全国平均より12ポイント高いなど、課題を抱えていたことが導入の背景にあったという。

寝屋川市立和光小をはじめとする大阪府などの成果を受け、文科省は08年度から全国配置に乗り出した。09年度は予算ベースで、08年度の約400人から約1000人へと大幅に拡充する予定だ。

しかし、課題もある。まず認知度の低さ。北陸のある市でSSWの認定を受けた女性は配置先の小学校の校長から「必要なら呼ぶ」と冷たくあしらわれ、その後は声がかからなかったという。和光小でも当初はいぶかしがる雰囲気もあったが、校内研修を積み重ねていく中で、SSWの重要性が浸透していった。文科省は事例集を作るなどして周知を図っている。

《考えてみれば、家庭教育や躾けがきちんとできている家庭の子どもには、あえてカウンセラーなど必要ないといえるのではないか。北陸のる市がどこか分からないが、もしも、その市の小学校に不登校や喧嘩や暴力沙汰が起きていないのなら、校長の「必要なら呼ぶ」はまともな対応であったと言えなくはない。》

人材不足も課題だ。大阪府は公募の条件として、1)社会福祉に専門的知識を持つ 2)小中学校で活動経験がある、の2点を挙げるが、「なかなか二つを満たす人が少ない」(担当者)のが実情だ。

そこでSSWを養成しようという大学も出てきた。日本社会事業大(東京都清瀬市)は09年度から「SSW課程」を新設し、SSWに関する知識の習得と実習を取り入れたカリキュラムを組む。日本初のSSWとされる山下英三郎教授は「中途半端な知識のまま学校に入って逆効果になるのが一番怖い。SSWの育成が今後ますます必要になる」と話している。

《子は生むだけでよい、とでも言えそうな世の中になった。親たちの子どもに関する「放任」の考えが今のまま変わらなければ、山下のいうようにますます必要なのかもしれないが、私には無ければ無いで越したことはないもののように思える。》

 


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2009年3月17日 (火)

認知症運転者

毎日新聞(3/17)から、要約 と 《 》内は私見
 驚いた「認知症運転者」と認知される運転者がいるとは。
運転している認知症患者《患者が運転とはもっと驚きだ。》の6人に1人が交通事故を起こしていたことが、日本老年精神医学会の全国調査で明らかになった。警視庁は今年6月から75歳以上を対象に免許更新時に記憶力や判断力の有無を調べる認知機能検査を導入するが、調査結果で事故を起こした患者の約半数は75歳未満で、専門家から対象年令の引き下げを求める声も出ている。

【認知機能検査】
認知症の疑いのあるドライバーを把握するために導入する簡易検査。道路交通法改正で02年から、認知症患者は運転免許の取り消し・停止の対象となった。「記憶力・判断力が低い」と判定されると、違反歴や専門医の診断を踏まえて、公安委員会が免許更新か、取り消し・停止かを決める。

 検査は、70歳以上で運転免許更新の際に義務づけられている高齢者講習の前段に行われる。内容は1、年月日、曜日、時間を記憶する 2、イラストを見て、その記憶力をチェックする 3、時計の文字盤を描く の3種類で、採点、結果の通知を含めて約30分かかる。

 この検査で、「記憶力・判断力が低くなっている」と判定され、免許更新の前後に信号無視や一時不停止などの違反行為があると、専門医による「臨時適性検査」を受ける。専門医から「認知症」と診断されると、公安委員会が取り消し・停止の処分を決める。検査を受ける必要があるのは、免許の更新期間満了日が09年12月1日以降の人で、満了日の6カ月前から検査が可能。

 75歳以上の高齢ドライバーは07年末時点で約280万人。警察庁は高齢者講習の機会を利用した調査から、記憶力・判断力が低くなっていると判定される人は約3%で、そのうち過去1年間に違反歴のある約2000〜3000人が臨時適性検査の対象になると推計している。

認知症ドライバーについては高速道路の逆走事故など、危険な運転が懸念されているが、全国規模の運転実態が明らかになるのは今回が初めて。調査は、08年1〜3月に診断された認知症患者7329人分のデータを分析した。データは全国各地の医師368人から寄せられた。

調査結果によると、患者の11%が運転しており、そのうち16%に当たる134人が運転中に事故を起こしていた。事故の93%は自損・物損事故。7%は人身事故で、いずれも事故を起こしながら運転を継続していた。平均年齢は74・6歳。75歳未満は47%でほぼ半数に上った。

また、運転者全体の調査結果によると、
 運転する回数は「毎日」が36%
        「週に数回」が33%で、約7割が日常的に運転していた。
        「月に数回」は14%、
        「めったに乗らない」は11%だった。
 運転の目的は 「買い物」が39%
        「仕事・通勤」が14%で、8割近くが日常生活で車が欠かせないことをうかがわせた。

運転していた人のうち、家族が運転に異常を感じたケースが34%、家族が運転の中止を試みたのは31%あり、認知症患者の運転をなかなかやめさせられない実態も明らかになった。

調査メンバーの池田学・熊本大大学院教授(神経精神医学)は「認知機能検査は75歳以上が対象で、認知症ドライバーの半数が検査から漏れる可能性がある。検査の対象年齢の引き下げを検討すべきだ」と指摘している。

《たしかに認知症患者(昔はボケ老人と言った)が運転していては、文字通りの走る凶器だ。自損や自分が死ぬのは良いが、他人を殺傷するような事故につながっては家族が悲劇だ。買い物に不便だから、病院通いが大変だから、の言い訳は通らなくなる。

 昨年受講した運転免許証更新のための高齢者講習 08/10/17 で受講内容についてはレポートした。個人的にはまだ心配いらないが、次の講習(78歳)を待たずに運転はやめることを決めている。》

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2009年3月15日 (日)

給食費未納問題

  アネモネ     つばき
Ds5Ds3 つばきの方は、
 開花すると直ぐに甘い蜜の部分がひよどりに食いちぎられていく。

 2年ほど前には20億円だった給食費未納額が、現在は約22億円にまで脹らんでいる。問題が取り上げられてモラルを云々する声も上がったが、当人たちには寝耳に水のたわごとにしか聞こえないようだ。モラルは責任感のある人に呼びかけてこそ効果はあるが、現在発生している小中学校の給食費未納の保護者には、モラルを説いても耳には届かない。義務教育とは保護者が子に教育を受けさせる義務であることを理解しない親が、義務教育だから学校がすべてをするべきだと、何事も学校丸投げになっているのが原因だ。

 未曾有の景気の悪化による生活の苦しさは実際に存在するが、そのことの言い訳はただの隠れ蓑に過ぎない。生活困窮家庭には補助もあり、月4000円程度の給食費の捻出に困る家庭はそんなにあるわけはない。「生活が苦しい」と言えば、すべてに同情が先に立ち、立派に錦の御旗の役目をしてくれる。

毎日新聞(3/15)から、
 と鳥取市立の小中学校で05、06年度に未納になった給食費計780万円が校長や教員の個人負担や、PTA会費などで立て替えられたままになっている。市教委は「立て替えは今も全国的に行なわれているはずで、改善する」として、07年度以降の未納分を一般会計で補填することにしたが、05、06年度分は措置しない方針だという。景気悪化で経済的に苦しい家庭が増える中、校長らが不況のつけを押し付けられた格好だ。

《PTA会費からの立て替えとなると、給食費を払っている家庭がPTAに加入していればその会費からも、僅かであっても未納者分を立て替えることにもなるということだ。》

 市教委によると、一人当りの年間給食費は小学校が約5万円、中学校が約5万7000円。文部科学省の全国調査(05年度)と市の06、07年度の調査によると、
 同市の未納額は05年度447万円(06年11月時点)
        06年度333万円(07年同)
        07年度198万円(08年10月時点)。
 07年度は小学校44校のうち12校で、
      中学校18校のうち11校で未納があった。

 市教委の担当者は「徴集のために家庭訪問すると、失業や離婚などによる経済的困窮を訴えられるケースが多い」と話す。ある校長は「未納額が十数万円にもなり、大半を負担している校長もいる」という。

 このため改善を求める声が上がり、市教委は07年度分以降については、督促に応じない未納者に対し簡裁に督促を申し立てたり、悪質なケースでは債権差し押さえ命令を地裁に申し立てるなど、納付率アップに向け対応を厳しくした。

 秋山光行・市教委体育課長は「全国でも学校側が負担しているところはあるはず。鳥取市は解決に向けて一歩進んだ」と話す。しかし市教委は05、06年度分については「学校任せ」の方針だという。

 文科省の全国調査では05年度の未納額は約22億3000万円に上るが、学校や教委の対応は把握していない。と鳥取県内の他の3市は、校長らの個人負担にならないよう不足分を市が賄うなどしている。

[参考]
【学校給食法】昭和29年6月3日法律第160号 (最終改正までの未施行法令)平成二十年六月十八日法律第七十三

(この法律の目的)
第一条 この法律は、学校給食が児童及び生徒の心身の健全な発達に資し、かつ、国民の食生活の改善に寄与するものであることにかんがみ、学校給食の実施に関し必要な事項を定め、もって学校給食の普及及び充実を図ることを目的とする。

(学校給食の目標)
第二条 学校給食については、義務教育諸学校における教育の目的を実現するために、次の各号に掲げる目標の達成に努めなければならない。
 一 日常生活における食事について、正しい理解と望ましい習慣を養うこと。
 二 学校生活を豊かにし、明るい社交性を養うこと。
 三 食生活の合理化、栄養の改善及び健康の増進を図ること。
 四 食糧の生産、配分及び消費について、正しい理解に導くこと。

《学校給食が教育の一環というのなら、給食費を払わないで食べる友だち、食い逃げ同様の友だちのことを、また、その保護者のことを何と教えるのか。ルールを守らない大人たちのことを何と教えるのか。そこに豊かな学校生活が生まれるのだろうか、友だち同士の明るい社交性が生まれるのだろうか。
 

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2009年3月14日 (土)

世襲議員

 創業者が会社を創り、二代目が潰す、とは古くから囁かれてきた言葉だが、たしかにその言葉通り、ぐうたら跡取りが多くの企業を潰してきた。俗に「親の七光り」で苦労知らずのまま棚からぼた餅の権力の座についたため、人材を活かすこともできず、周りを巧言令色(こうげんれいしょく)の輩どもに囲まれてずるずると会社は傾いて行く。

「幸せだなー、僕は」で鼻を掻く仕草の加山雄三が俳優として映画界に登場したとき、周りは世紀の二枚目とも呼ばれた父・上原謙の七光りをやっかみ半分の話題として取り上げたことがあった。その時彼は、それが将来プラスになるのなら、七光りを大いに利用することを広言した。その後の彼は、「若大将シリーズ」でヒットを飛ばし、東宝を代表するスターとなった。時代はちょうど彼のような若者を求めていたのだった。

役者の世界は世襲制が多い。歌舞伎役者など、末はどう育つか分からなくても跡目相続となる。皆が皆役者に似つかわしくなくても後を継ぐだけで仲間入りが可能な世界だ。このように元は河原乞食の人気商売での世襲は目に角立てて騒ぐこともないだろう。しかし、国を動かす政治の世界での世襲には何かと不都合が生じる。このところ続けさまに世襲によって生まれたバカ総理が、途中で投げ出したりして、日本の国を国民を、泥沼に引きずり込んでいる始末だ。

【閑話休題】
 毎日新聞(3/9)から、
 瀬衆議員への世論の反発は、日増しに強まっている。大半の世襲議員を抱える自民、民主両党もようやく規制が必要と、具体策作りに入った。

 民主党は政治改革推進本部の公選法見直し小委員会(野田佳彦小委員長)で、検討を進めている。死亡、引退した政治家の資金管理団体は解散させ、相続を禁止する法案をまとめ、自民党にも同調を呼び掛ける方針だ。また、世襲の範囲を線引きするため、党内アンケートを実施し、具体案をまとめる。

 一方、自民党では菅義偉選対副委員長を中心に議員連盟を設立、定数削減と並んで世襲候補の制限案作りに着手する。世襲の範囲などを詰め、党の公認候補決定段階で制限を加える党の内規を定め、次期総選挙でのマニフェストにも盛り込むことを目標にしている。

 世襲批判がここに来て高まった第一の要因は、祖父、父が首相経験者のここ3代の首相の不甲斐無さにあるだろう。安倍晋三、福田康夫両首相は1年ほどで退陣。麻生太郎首相も人気低迷に喘ぎ、発足から半年で自民党内からも退陣要求が出されている。一方、スリムな政府を目指し、官僚の特権は見直されている。「世襲議員」は既存政治家の特権の象徴だ。このまま放置しては、政治不信は増大するばかりだ。

 派閥政治全盛時の自民党政権人事は当選回数主義が基本だった。若くとも当選可能性が高い世襲議員は、年齢の割に閣僚、党役員などの要職を歴任しやすい。自民、民主両党の幹部に世襲議員が目立つのも、回数主義の名残りと考えられる。

 05年の総選挙で国会議員の現職か経験がある父母、祖父母(義理、養子先を含む)を持つ立候補者は本紙の調べでは166人で、うち133人が当選している。新人の「世襲候補」の当選率は59%だが、自民、民主両党の「非世襲候補」は38%に過ぎない。

 世襲候補は当選の必須要件といわれる「カンバン(知名度、経歴)」「カバン(選挙資金)」「ジバン(後援会)」の整備が、容易だ。政党助成金制度の導入で政治資金には公的資金も含まれるようになった。にもかかわらず先代の政治資金管理団体や政党支部を事実上、世襲するケースも少なくない。当然、相続税は課税されていない。

 変革期を迎え、政治家の資質が大いに問われている。人材源の拡大が急務なのに、世襲候補を放置したら、多様な人材の政治への進出は困難になるばかりだ。自民、民主両党の「開かれた政党」度が試されている。

《政治への無関心層が広がっているが、国の将来を憂え、本当に政治への参画を目指す人材、進んで国民の代弁者となり、小使いとなって働く人材が生まれる可能性を信じよう。》

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2009年3月13日 (金)

北朝鮮「衛星発射」通告

 今日はホラー好きには堪らない13日の金曜日。話題は怖い怖い? 北朝鮮の人工衛星発射のニュース。

毎日新聞(3/13)から、 《 》内は私見
 今日を遡る3日、広島市立大学・広島平和研究所長=浅井基文の時評が載った。「北朝鮮の人工衛星」批判社説に疑問、として代表的な社(毎日、朝日)の社説について論じている。

《日本政府も防衛庁も、北朝鮮となるとまるで狂気に陥る。そして活字に踊るのは「日本海」「大平洋」だ。》

浅井はいう、特に両誌は他の全国紙に比べ公正性、中立性が高いと見られている。《左呼ばわりする輩も多いのだが。》したがって、読者にとっては物事の判断の指標として受けとめられる確立が格段に大きいと思う。それだけに社説を書く際の責任は重いはずだ。

《とはいうものの、ここのところ女性よりに偏った見方があったり、奨学金未納、不払い問題などの見られるような本末転倒の社説が載ることもある。》

したがって、2月27日付の本紙社説「人工衛星でも容認できない」及び翌日付の朝日社説「北朝鮮ミサイル『ロケット』は通らない」には唖然とした。両社説には北朝鮮に対する嫌悪感があふれ、北朝鮮バッシングの雰囲気が支配する国民感情への迎合を感じる。

《その通りだろう、私もブログで多く触れてきたように、国内の各社の狂気の沙汰の対北朝鮮記事、日本政府や防衛庁の国民感情を煽り立てるような言説には「バカ」らしささえ感じてきた。》

 この問題を論じる出発点は、いわゆる「宇宙条約」により、宇宙の平和利用は「すべての国がいかなる種類の差別もなく・・・自由に探査し及び利用することができる」(第1条)権利であることを認識することである。日本を含め多くの国がその権利に基づき宇宙利用を行なっている。北朝鮮もその権利を行使できることは自明のことだ。

《北朝鮮は、この国際ルールに基づき、初めて国際機関に事前通知を行なう手続きを取った。本紙はこのことに関して、「国際社会の批判をかわすため」だろうとわざわざ勘繰りのコメントをつけて記事にしている。》

 「弾道ミサイルも衛星ロケットも基本的には同じ技術によって飛ぶ」(毎日)、「誘導装置を備えたロケットがミサイルに他ならない」(朝日)というのなら、平和憲法を持つ日本が宇宙利用すること自体も許されないはずだ。

 両社説は、国連安保理決議1718が、北朝鮮に対して「弾道ミサイル計画に関連するすべての活動」を停止することを求めていることを根拠に、人工衛星打ち上げもミサイル計画に関連があり、この決議に違反すると主張する。つまり両社説は安保理決議があるから北朝鮮は宇宙条約上の権利は行使できない、と言いたいのだろう。

 しかし、訪中した中曽根外相が北朝鮮の発射は安保理決議違反だとの立場を伝えたのに対し、「中国側は賛同しなかった模様」(2日付本紙)という。「中国とロシアが最近、北朝鮮が人工衛星を打ち上げた場合、制裁は困難だとの立場を韓国政府に伝えた」(4日付長崎新聞による共同電)ともいう。

 当たり前だ。「弾道ミサイル計画に関連するすべての活動」という文言が宇宙利用の条約上の権利をも奪い上げる、と読むことにはどう見ても無理がある。そもそも安保理がすべての国家に認められる条約上の権利の行使まで禁じる権限があるとは思えない。

《北朝鮮憎しではない大人の正論が、やっと文字になった主張を目にした。》

 1998年の北朝鮮のロケット発射に際して、日本では「北朝鮮脅威」論を増幅する騒ぎが起こったが、毎日社説の指摘のように、米国は「ごく小型の小型の衛星を打ち上げようとしたが失敗した」との判断を公表した。しかし毎日社説はなお、「北朝鮮が・・・ミサイルだけを発射し、人工衛星の打ち上げに成功したと再び虚偽の発表をする可能性も排除できない」という。

「北朝鮮は国際秩序に挑戦し、周辺国を脅迫してきた」(毎日)、「ミサイルに関して、北朝鮮はいわばやりたい放題だ」(朝日)というが、北朝鮮の核実験までの強硬姿勢はブッシュ政権の強圧制作が招いた結果という認識は、米国内では今や常識である。だからこそオバマ政権の対北朝鮮対話・交渉路線につながろうとしている。

《オバマは12日、中国外相とホワイトハウスで会談し、北朝鮮の長距離弾道ミサイル計画に関し、北朝鮮の動きが具体化していることを受けて警戒を強めるとともに、北朝鮮に対する中国の影響力行使を期待したとみらる。》

 最後に浅井氏は、朝鮮問題は日本の重要な外交問題だとし、両紙には、多角的に情報を提供し、理性的な国内世論を喚起する気骨を持ち、冷静な社説を心掛けてほしい、と結んでいる。

 また、北朝鮮が12日、人工衛星を運ぶロケットを4月4日〜8日の間に発射するとの通告を受けた日本政府は、このロケットについて、弾道ミサイルの可能性が高いとみていて、日本政府は万一国内にミサイルが落下する場合、弾道ミサイル防衛(MD)による初の迎撃に踏み切る方針だという。

《日本に向けて撃つはずもない衛星に、過剰反応に過ぎるようだ。恐らくは日本には被害の及ばない(迎撃できない)遥かな日本上空(約1000キロ)を通過、太平洋上に落下するのがおちだろう。》

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2009年3月11日 (水)

クラスター禁止法案 閣議決定

 争い好きで好戦的なアメリカ、ブッシュの顔色をうかがい、ぐずぐずと消極的だったクラスター爆弾禁止に関して、政府は条約批准に向けて積極的に動きだしたようだ。

毎日新聞(3/11)から、
 政府は10日、不発弾による市民への被害が問題となっているクラスター爆弾について、製造や保有を禁じる「クラスター爆弾禁止法案」を閣議決定した。

 08年12月に署名した禁止条約を具体化するもので、今国会中に条約批准とともに法案成立を目指す。先進国では最も取り組みが早く、非人道的兵器の規制に向けた強い意思を国際社会に示したといえる。

《日本の空、陸自衛隊は砲弾、ヘリコプターから発射するロケット弾、多連装ロケットシステムの弾頭型ロケット弾を保有しており、いずれ不活化機能や自爆機能は有していないものだ。2008年5月、ダブリン国際会議では一部を除いて禁止する条約案に同意し、2008年11月28日の安全保障会議で自衛隊が保有するすべてのクラスター爆弾の廃棄を決定した。中曽根外相が12月3日、出席してオスロでの禁止条約署名式で署名した。しかし、冷戦時代の仮想敵であったソ連から、現在では仮想敵を北朝鮮に移し、日本の長い海岸線を守るには、クラスター爆弾は必要最小限の防衛力との考えに組みするものもいる。》

条約案は有志国や非政府組織が進めた軍縮交渉「オスロ・プロセス」で採択されたが、政府は当初、消極的だった。名誉挽回し軍縮分野での存在感をアピールするため「異例の速さ」(外務省幹部)で取り組みを進めた。条約批准案と禁止法案は衆参の委員会で別々に審議される見通し。

外務省によると、同条約を批准した国はノルウェー、アイルランド、バチカン、シェラレオネの4カ国。非政府組織などによると、署名した英独仏伊ばどでは金融危機の対応に追われ、批准に向けた作業が停滞している。

禁止法案では、クラスター爆弾の製造を全面的に禁止。保有も、爆弾除去の技術開発に利用する場合など以外は一切禁じている。現有する爆弾の廃棄も義務づけ、自衛隊の計画では、条約発効後8年以内に廃棄する。

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2009年3月10日 (火)

安心して食べるものがなくなる

     ミモザ
Dscf0018Dscf1113 例年より1週間ほど遅れて満開になった


 10万人の市民が犠牲になった東京大空襲から64年が経過した。日に日に炎の中を逃げまどった人たちが少なくなって行く。当時生まれた人も、今年で64歳になる。広島や長崎が大きく取り上げられるのに比べ、東京や大阪の大空襲は記事も小さくなる。今に一行記事になるのではないか、と恐れる。テレビも慰霊法要よりも昨日からの野球の勝った負けたのばか騒ぎで視聴率を追い掛ける。勝とうが負けようが興味のないものにはどうでもいいことだ。そして片や法要には例年、歴代首相の参列もない。

【閑話休題】
毎日新聞(3/10)から、 《 》内は私見
大豆製品をたくさん食べる女性は、あまり食べない女性に比べて肝臓癌になる危険性が3〜4倍に高まることが、厚生労働省の研究班(主任研究者、津金昌一郎・国立癌センター予防研究部長)の大規模調査で分かった。大豆に含まれるイソフラボンは、乳癌のリスクを減らすことが知られており、研究班は「食事を通して適度に取るのがいい」としている。

研究班は93年から05年まで、6府県の男女約2万人(開始時40〜69歳)の健康状態を追跡した。うち101人(男性69人、女性32人)が肝臓癌になった。アンケートで大豆食品をどれくらい食べるかを尋ね、イソフラボンの2成分の摂取量と発症との関連を調べた。

その結果、摂取量とリスク関連が明らかになったのは女性だけで、摂取量が最も多い群(1日あたり豆腐80グラム以上、納豆3分の2パック未満)が肝臓癌になるリスクは、最も少ない群(同豆腐40グラム未満、納豆3分の1パック未満)のリスクの約3・2〜3・9倍だった。

研究班の倉橋典絵・国立癌センター予防研究部研究員によると、イソフラボンの分子構造は、女性ホルモンのエストロゲンに似ている。エストロゲンは乳癌のリスクを高める反面、肝臓癌には予防作用があり、イソフラボンの過剰摂取がこうした作用を妨げると考えられる。

倉橋研究員は「肝臓癌の最大のリスク要因はB型、C型肝炎ウイルス。女性の場合、まず感染の有無を調べ、感染が分かれば大豆製品の取り過ぎに注意してほしい。感染していなくても過度の取り過ぎには注意が必要」と指摘する。

《先年、スーパーから納豆が姿を消すバカ騒ぎがあった。流言飛語に走ったおつむの足りない消費者の姿があったのを忘れてはいまい。納豆にしても豆腐にしても、食生活が西洋化していない日本人に取って、どちらも長い年月、毎日の食卓には欠かせない健康食品であった。それが特に女性にとって発癌性を有する食品であったとは、加工、製造業者には大きな打撃となることが懸念される。現時点では追求できていなくても、いずれは分析機器や科学の進歩によってどんな食べ物からも発癌性物質が発見されることになるだろう。》

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2009年3月 9日 (月)

銚子市長「リコール」投票告示

 毎日新聞(3/9)から、
 千葉県銚子市の市立総合病院の診療休止問題を巡り、岡野俊昭市長(62)の解職請求(リコール*)の是非を問う住民投票が9日、告示された。投開票は千葉県知事選と同じ29日。有効投票数の過半数の賛成で市長の失職が決まり、50日以内の市長選となる。岡野市長は失職した場合も出直し市長選に出馬する意向を表明している。

 《* リコール ‥‥ 公職者を、有権者の請求によって解職する手続きのことで、解職請求権ともいう。直接民主制の具体化で、日本では、地方自治法に基づき、住民の意思で都道府県知事や、市長村長(首長という)、地方公共団体職員などの要職者を任期が終わる前に解職できたり、地方議会の解散を請求できる制度のこと。》

 岡野市長は06年7月の市長選で「病院存続」を公約に初当選したが、財政難と医師不足を理由に昨年9月末で診療休止に踏み切った。反発した市民が「何とかしよう銚子市政・市民の会」(茂木薫代表)を結成し、「病院休止は公約違反」としリコール運動を展開。解職請求に必要な有権者数の3分の1(2万229人)を超える2万3405人分の有効署名を集め、先月6日、解職本請求が成立した。

 市選管は9日、市内30の投票所周辺に市民の会の本請求理由書と市長の弁明書を張り出した。岡野市長は「病院休止は苦渋の決断。リコールは市の将来にプラスになることはない」とのコメントを出した。2日現在、銚子市の有権者数は6万501人。

《独り銚子市だけのリコール問題ではない。現在、全国で医療崩壊や破壊が進んでいる。特に厳しいお産に関しては、全国で77カ所の病院や診療所で分娩の取り扱い休止や制限が行なわれているのが実態だ。銚子市民の怒りや不信任は心情的には理解できるが、リコールが成立した結果、その後、首長を取り替えただけで問題が解決するとは思えないのだが・・・。また、財政的な準備や医師の確保、医療システムの再構築の目処については検討されているのだろうか。岡野市長が「リコールは市の将来にプラスにならない」というのも、強(あなあが)ち強がりだけの言葉ではないと思える。市民との質疑応答や対話は尽くしてきたのだろうか。30万人が住む我が市の市民病院、大学病院も同様のことが起こらないとも限らない。対岸の火事では済まない問題だ。》

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2009年3月 8日 (日)

授業料、卒業証書、卒業

 卒業証書と卒業に絡む話題が続く。先の島根の安来高校の時にはメディアはルールを守らない親子に目を瞑り、高校を批判した見当違いの記事を書いたが、その記事に勢いを得たかのような莫迦が、高校に対して「殺す」との脅迫メールを送りつけていたという。このおつむの弱い莫迦は、匿名であれば氏素性はばれないだろう程度の理解力しか持ち合わせもせず、あっさりと御用を喰らったようだ。

毎日新聞(3/7)から、
 島根県警安来署は6日、授業料未納の生徒に卒業証書を渡さないと通知していた県立安来高校(安来市)に、「殺すぞ」などと脅迫メールを送りつけたとして、広島県呉市天応宮町、運送会社社員、小西尊之容疑者(37)を脅迫容疑で逮捕した。同署によると、小西容疑者は「間違いない。1人でやった」と容疑を認めているという。

容疑は、先月28日午後4時49分、自宅のパソコンから同校が管理するメールアドレスに「授業料未納の生徒に卒業証書を渡さないとは何事か。ただちに教育長と校長をマスコミにさらけ出せ。さもないと殺すぞ」との内容のメール1通を送信して脅迫した疑い。

同校は今月1日に被害届を出し、同署は発信元のメールアドレスから、小西容疑者を割り出した。

《ものの本質を取り違えたメディアの記事に踊らされた莫迦が起した情けない顛末だ。》

もう一つ。
 山梨県立増穂商高(増穂町最勝寺、久津川孝校長)が授業料などを滞納した昨年度と今年度の卒業生2人から、一度手渡した卒業証書を回収していたことが7日、県教委への取材で分かった。久津川校長は「教育的指導の一環。滞納は本人の問題ではないが、高校生になれば家庭の事情も理解しないといけない」と説明している。

県教委と同高によると、2人は卒業に必要な単位を取得していたが、年間11万8800円の授業料の一部と諸経費を滞納していた。卒業証書の回収について、同高は卒業生と保護者の諒解を事前に得ていたといい、ホームルームで卒業証書を手渡した後、「同級生の目につかないよう」(同高)に配慮して本人に返却させたという。卒業後に滞納分を納めた昨年度の卒業生には卒業証書を渡した。

《学校がいう「家庭の事情」を本人が、知らないで卒業を迎えたわけではないだろう。また、保護者の側からも本人への説明をすることもなかったのか。私のことは何度か書いてきた。貧乏な大所帯に生まれ、苦学を続けた。家族の生活がどうにもならなくなって授業料が滞り、親には黙って担任や学校と相談して授業料免除扱いで卒業できた。家庭生活のその中にいて、毎日の食卓に出る食材、両親の会話を耳にしていれば、家計のやり繰りは15、6歳になっていれば把握できる。》

県教委が作成した授業料滞納の対応の手引きには、卒業証書の回収について記載はなく、回収は同高のみで「他の県立高校はやっていない」(県教委)という。県教委高校教育課の滝田武彦課長は「方法としてどうかと思う気持ちがないわけでもないが、保護者の諒解を得ている。県教委としては学校に判断を任せている」と話した。

《記事にすることもないほどの当たり前のことだ。生活環境の把握もできず、自ら苦境を切り開く努力もせず、なあなあで授業に出ていたのか。もっと言えば、高校は義務教育の場ではない。行かなくてもいいところなんだ。行くためには授業料が必要なことは受験の時点で分かっていることだ。・・それ来た!。不況、格差、母(父)子家庭、派遣切りだ、と言いたいだろう。

《記事の対象になった子の家庭がどのような境遇にあるのか詳細が何も見えない。払えないのか、それとも良くあるような払わない保護者なのか。個人情報保護があらゆる問題の本質を見えにくくしているようだ。》

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2009年3月 6日 (金)

不景気でも虚栄心だけは

女心の美味しいところにうまく目をつけたものだ。人よりいいものを、自慢できるものを、今まで憧れだけで持てなかったけれど、羨望のブランド品が今ならわたしでもと、賃貸業が華やかなようだ。お上品に言えば節約ビジネスだって。

毎日新聞(3/6)から、
 景気悪化で賃金・雇用の先行き不安が高まり、消費者の財布の紐がどんどん堅くなってなる中、ブランド品の賃貸しや衣料品の「直し」、格安の飲食店など節約志向に対応したビジネスが好調だ。家計のやりくりに苦労する主婦やサラリーマンたちの心強い味方になっているようで、節約ビジネスは今後も拡大しそうだ。

《本当に生活が苦しいのなら、自己満足だけのおしゃれなブランド品を借りることなど無理な話だ。借りる金があるのなら、無印品やカジュアルでおしゃれな物がいくらでもある。友達とあって、ブランド物を高々とこれ見よがしに「このヴィトン、○○円で借りてきたの」と会話が弾むのだろうか。それとも自己資金をつぎ込んだように見せるのだろうか。》

高級ブランドのレンタルサイト「Kariru」(かりる)は、エルメスやルイ・ヴィトンなどのバッグ、アクセサリー約200点を扱う。ネットで注文受け、宅配便で自宅に届けられる仕組みで、1000〜3万9800円。購入するより断然安い。主婦を中心に昨秋から利用が急増している。会員はこの半年で20倍超の約800人になった。

Cariruを運営する「ニューウエル」(東京都港区)の岩田光枝社長(34)は「景気悪化が利用増につながっている」と指摘。月1回バッグを借りる兵庫県の主婦(58)は「家計に買う余裕はないが、おしゃれはしたい」と話す。

《レストランに続いて今度は観光地、「ミシュランのお名指し」というだけで有り難がる日本人。如何にも権威に弱い国民性が如実に出てくるようだ。個性を身につけることができず、外国人の目には異常なまでの風物詩でブランドの名前に弱く、猫も杓子も烏合の衆になってお揃いのお仕着せになる。ルイ・ヴィトン、プラダ、エルメス、車ならベンツ、そして時計はロレックス、などなどと。せいぜい不況につけ込む賃貸業者を儲けさせてやることだ。》

【追記】3/7。
 ブランド好き、権威好きをバカにされ、餌食にされるニュース。
財務省は6日、偽ブランド品など知的財産侵害物品の08年度の輸入差し止め件数が、前年比16・6%増の2万6415件の達したと発表した。8年連続で過去最多を更新した。8割以上の約2万1500件が中国からの輸入品だったという。

《中国の偽物作りを攻撃するよりも、ブランドに溺れる日本人の情けない生活を恥じるがよい。疾うに中流から脱落している生活を、いつまでも中流と思い込み、精神的には下流の生き様をしているのが日本人だ。ブランドにしがみつく卑しい心根が恥ずかしい。》

 点数は9・2%減の約94万点。シャネルやルイ・ヴィトン(そう言えば、銀座、数寄屋橋に出店を予定していたヴィトンは売行き低迷で撤退とか。早く日本から出て行けばいいのに。)など高級バッグ類の不正コピー製品が最も多く約14万点(全体の14・9%)にのぼった。

《瀟酒(しょうしゃ)に身繕い、ヴィトンを下げていても、偽物、借り物を疑う詮索の目で見られるだけだ。》

差し止め物品を正規品価格で換算した不正輸入額(被害額に相当)は約206億円と、前年(約385億)からは減少した。メーカーの不正防止策強化でバッグ類の偽ブランド品が前年より少なくなったため。

《水際で止めたのだから実際には被害は生じていない。損害は中国を筆頭に輸出国に発生しただけ。いずれにしても、どれだけ飾り立ててもブランド頼りでは、ちっとも人間は上がらない。》

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2009年3月 5日 (木)

世も末の学生かたぎ

バカ親の過保護、甘やかしの放任状態で躾教育を受けていないと、こうまで不道徳な子になるという見本のような話。親の給食費未納や不払い、授業料未納、不払いの精神をそのまま子どもが受け継いでいるようだ。借りたものは返さなければ窃盗罪になることすら理解できない大学生がいる。

毎日新聞(3/5)から、 《 》内は私見
 福岡県立大学(福岡県田川市)は、付属図書館の本を借りたまま返さずに卒業する学生に対し、卒業証書の授与を保留する強攻策を打ち出している。4日現在、卒業予定者21人が計51册を返していないため、卒業式(17日)前日までの返却を求めている。不心得者に業を煮やした窮余の策だ。

《つい先日、島根県の高校であった「授業料を納めていない学生には卒業証書を渡さない」を報道したメディアは、学校側に非難を浴びせる論調で記事を書いた。今回は相手が大学であるためか記事は事実報道だけで論調はいたって大人しい。》

 06年春に大学が独立行政法人となった際、図書館の未返却図書が420册に上ることが判明。翌春、28人が計58册を返さずに卒業した。このため10月と1月を「延滞解消月間」として学生に文書や電話で督促している。

 卒業証書授与を保留する方針を決めたのは08年3月。卒業自体は取り消されないが、心理的効果は大きいと見られ、その年の卒業生に未返却者はいなかった。

 だが、今年も卒業シーズンを控えて返却延滞者が続出。2月末に1〜4年生55人が計119册を借りっ放しにしていたため、卒業予定者や保護者に集中的に督促し、図書館入り口には返却呼びかけを掲示している。

 未返却の本は、看護師や社会福祉士など国家試験の対策本から専門書や小説までさまざま。保護者からは「ペナルティーとして重過ぎる」との反応もあるというが、大学事務局は「図書館の本は重要な公有財産で、借りた本を返すのは社会人として守るべき基本的なルール。(授与保留は)最後の手段だが教育的配慮でもある。見直す考えはない」と話している。

《先の島根県の際には私も触れた教育的配慮だ。「ペナルティーとして重過ぎる」とはこれこそバカ親の証(あかし)だ。一方、大学も甘過ぎる、窃盗犯をそのまま卒業させることはない。返却するまで卒業を見送りすればいい。こんな連中が看護師や社会福祉士になっても碌なことはない。介護の現場の備え付けの備品がなくなって行ったり、足りなくなったりするのだろう。他人(ひと)の物は自分の物とでも思っているのだろう、よくもまあ、泥棒紛いの子に育て上げたものだ。》


 

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2009年3月 4日 (水)

宇宙ゴミ(スペースデブリ)

Debrisleo1280_2 高度2000km以下の軌道を周回する宇宙ゴミの概念図(Wikipediaから)

 宇宙ステーションやロケットに興味はないが、先日のあの広い筈の宇宙空間で、衛星同士が衝突し大騒ぎになったのには魂消た。ステーションの便器の修理に巨額の資金を投じてまで空遠く出掛けて何の益があるのか知らないが、その度に、宇宙にまき散らす宇宙ゴミ(スペースデブリ)は増え続けているようだ。

 稼働中の米国の通信衛星と機能停止したロシアの通信衛星が、シベリアの上空約790キロで衝突した。1957年に人類が初めて人工衛星を打ち上げて以来、世界各国で4000回を越え、都度宇宙ゴミは発生し、多くは大気圏へ再突入し燃え尽きたが、中には大気圏に突入しても燃え尽きることなく地上へ落下したものもあるのだ。そして宇宙には現在でもなお4500トンを超えるゴミが残されたままだ。今回の衛星同士の衝突事故は、打ち上げが行なわれて以来初めてのことだそうだ。

毎日新聞(3/4)『なるほドリ』から、
 Q どうしてぶつかってしまったの?

 A 詳しい原因はよく分かっていません。専門家によると、事故が起きた高度800キロ付近は地球観測に好都合なため、人工衛星の軌道の中でも混雑している領域だそうです。米航空宇宙局(NASA)によると、地球の周辺を人工衛星やロケットの一部、宇宙飛行士が落とした工具など、地上から観測できる10センチ以上のものだけで約1万7000個の物体が廻っている。宇宙ゴミ(スペースデブリ)と呼ばれている。

 Q ゴミだらけなんだ。
 
 A そうです。しかも、角度によっては秒速10キロもの高速でぶつかることがあり、1センチ程度の大きさでも人工衛星に致命的な損傷を与える可能性があります。衝突によって新たな破片ができ、それが別の衛星へ衝突する可能性を飛躍的に高める「ケスラー・シンドローム」という現象を引き起こす危険も指摘されている。

《宇宙ゴミは、耐用年数を過ぎ機能を停止した(された)、または事故や故障などにより制禦不能となった人工衛星から、衛星などの打ち上げに使われたロケット本体や、その一部の部品、多段ロケットの切り離しなどによって生じた破片、宇宙ゴミ同士の衝突で生まれたより微細な宇宙ゴミ、更には宇宙飛行士が落とした「手袋・工具・部品」なども含まれる。

 Q 避けられないの?
   
 A 地球周辺の非行物体については、米国とカナダが共同で運営する北米航空宇宙防衛司令部などが、地上から望遠鏡やレーダーを浸かった24時間体制で監視しています。人間が乗り組むスペースシャトルや国際宇宙ステーションに衝突する危険があると分かれば、司令部が警告し、シャトルやステーションの軌道を変更して避けることになっています。しかし、観測できない小さな宇宙ゴミまですべてを避けることはできません。
  
 Q 事故を防ぐにはどうすればいいの?

 A すでにあるゴミを減らすことは難しいので、これ以上ゴミを増やさないことだす。国連の宇宙空間平和利用委員会は07年、宇宙ゴミに関するガイドラインを作りました。活動を終えた人工衛星は速やかに軌道から離れることや、用済のロケットが爆発して新たな宇宙ゴミを生み出さないよう、燃料を排出してから放棄することなどが推奨されています。

《役目を終えた液体燃料ロケットの推進剤が残っていると、タンクの隔壁に亀裂が入って燃料と酸化剤が接触・反応したり、太陽熱によってタンクの内圧が上がったりして爆発することがる。タンク内の推進剤をすべて放出してしまえば防ぐことができるが、対処が取られるようになるまでに打ち上げられた以前のロケットが10年以上経ってから爆発した例もあるという。また、衛星に搭載されている二次電池が回路のショートによって加熱、爆発することもあるという。地球環境は問題になっているCO2だけではない。愚かな人間の智恵によって遥かな大空の果てまで汚され続けているようだ。》
 

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2009年3月 3日 (火)

児童向けの姑息なケータイ

  サクラソウ
Dscf0015_2 「通話のみ」として売り出される児童向けの携帯は、実はロックを解(ほど)けば通常の携帯に早変わりする。今までの何の歯止め効果のないフィルタリング機能と何も変らないようなものを、児童向け新機種として売り出すつもりだ。ちょっと目先を変えただけの、どこまでもずる賢いメーカーの販売戦略だ。

毎日新聞(3/3)から、 《 》内は私見
 小中学生(高校生を含めてもよい)には携帯は持たせないことが最良の策だ。だがもう、後戻りができないほど世情は乱れ切っている。いじめや個人情報の漏洩など、ネットがらみのトラブルが深刻化する中、主な機能は「通話」だけという子ども向けの携帯電話が2社から相次いで発売された。親が設定を変えない限り、メール機能は使えないしネットにも接続できない、というのが謳い文句。子どもたちを携帯トラブルから守る切り札になるのだろうか?

《メディアも随分のんびりとしたものだ。いろいろな機関で行なった幾つもの調査や、集められたデータからは歯止めをかける筈の親に、何の危機意識もないし、育児責任を感じている親もいない実態が明らかになっているのだ。今回発売の、このような中途半端なもので危険から子どもが守れないことは、はなから分かるはずだ。》

進学、進級を控えた3月は子ども向けの携帯が最も売れる。今シーズン、子ども向けの新機種としては、auのジュニアケータイ「KOO1」とNTTドコモのキッズケータイ「Fー05A」2種が店頭に並んだ。使用者に想定しているのは両機種とも小学生だ。

ドコモ携帯は最初からメールやネット機能にロックがかかっているのが特徴。「安全安心を前面に打ち出した。今後、子ども向けの携帯はすべてこの機種に切り替えていく」とドコモの担当者。またau携帯は、親が初めにメールやネットの利用制限をかける必要があるが「これまでの機種より操作が簡単」とアピールする。

つまり、メール、ネット機能が不備なのではなく、親が暗証番号を打ち込んでロックを解除すれば問題なくメールの送受信はできるし、ネットへの接続も可能だ。ドコモ、auともに「成長に合わせて長く使える」と胸を張るが「不完全だ」と不満も上がる。

《これまでもフィルタリングでも同じ言い分でメーカーは売ってきた。しかし、親の名義で購入するのが大部分ではないか。一方で、次から次に目新しくデザインを変更する。1年もすれば旧型になり、新しいデザインを持つ友人との比較の中で、買い換えの要求が芽生えることになる。また、成長に合わせてロックを解除すれば、ということだが、成長してから購入する友人との機種と比べ、デザインもそうだが、機能も見劣りがする型でも使用するほど子供達が事物を大事にする習慣を持ち合わせているとメーカーは考えているのだろうか。》

《それよりは、単価を極めて低く抑えた単機能タイプの機種にする方が余ほど成長に合わせた選択肢は増えるのではないか。小学生用には「糸電話」に毛の生えた玩具程度のもので十分だ。親が口にする子どもの安全を確認するということならそれで十分、それ以上のものは必要ない。メーカーが姑息にもロックを考えるのは、商売上の問題でしかない。1台当たりの単価を下げたくないことから、わざと余計なものを組み込み、子ども向けをアピールするためのこじつけをあれこれ宣伝マンに考えさせるだけの話だ。》

「売れないことを恐れたのだろうが、将来もネット接続できない機種にしてほしかった」と話すのは、政府の教育再生懇談会「携帯電話問題ワーキンググループ」リーダーを務めた元日経新聞記者で政治解説者の篠原文也さん。懇談会は昨年、携帯電話は小中学生に不要と提言し、通話限定の機種の開発を業者に迫った経緯がある。

《単なるコストの問題で、低価格の通話限定機種の製造など日本のメーカーの技術をもってすれば至って簡単なことだ。現状認識からは懇談会の提言は、これ以外には考えられないまともな提言だ。一歩踏み込んで、小中学生へのメール機能つきの携帯電話の販売には、罰則付きの禁止命令でも出さない限りだめだろう。》

親はどうみ見ているのか。東京都内の販売店で新機種を眺めていた母親(37)は「ベルギーで3年暮らして帰国してきたばかり。携帯絡みのいろんな問題が起きているのでびっくりした。小2の娘に持たせたいけど、メール機能は不要です」と語った。

一方、小4女児の母親(34)は「クラスの女児の携帯普及率は5割弱だが、持たない子も母親の携帯を借り、ほぼ全員が夜になるとメールで連絡を取り合っている。全員が通話だけの機種にすれば、効果があるかも知れませんが・・」と。

「子どもにねだられると親はネット解禁してしまう」(携帯電話事業者)。一部の小学生がメールにどっぷり浸かり、親も許容している実態を、事業者側は把握している。一方で、関係者からは「機能を純粋に通話だけに限定したら売れない」といった本音も漏れる。それはまた、携帯の使用率が小学生31・3%、中学生57・6%、高校生96%(内閣府07年調査)という急激な普及に、事業者自身の戸惑いがにじみ出ているようだ。

《いみじくもそういうことなのだ。「売れなくなる」が、それ以外には取る道がない。売れなくなることが最善の手立てなんだ。商業用、事業用、或いは大人の世界での携帯の必要性はわかるが、小中高生の日常に、携帯電話の必要性は全くない。戦前の日本の商人や会社、或いは上流家庭以外の一般家庭の大半には電話はなかったが、何の不自由もなく暮らしていけた。》

《時代が違う、は携帯が必要な理由にならない。小中高生たちは、1夜明ければ嫌でも次の日には学校で顔を合わせる。したければ腐るほどの会話をする時間はある。したくなければしなくていい。影でこそこそ交わす会話に碌なものはない。》

ITジャーナリストの村元正剛さんは、「本来は、どの携帯もネット接続不可にして、ネットは、親の管理するパソコンを使うのが理想」と指摘する。

《なぜ、ここまで問題が荒れるまでに早い段階で言えなかったのか。ジャーナリストの肩書きもない私のような年寄りでも、それくらいのことは前から分かって言ってきたのだが。》

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2009年3月 2日 (月)

宙に浮いた年金

毎日新聞(2/13)から、 《 》内は私見。
 5095万件の宙に浮いた年金記録のうち、受給資格を満たす記録の持ち主とみられる人が2万5457人いることが分かった。社会保険庁が昨年3月時点で特定が困難としていた1837件について、住民基本台帳ネットワークと照合した結果判明した。

《昨年の「ねんきん特別便」で調査した結果、私にも浮いた記録がみつかり、08年2月22付で初期の記録(2年8カ月分)が復活したが、上京後当初のほぼ6年分が未確認のままだ。》

社保庁は昨年3〜6月、5095万件のうち結婚による姓の変更や入力・転記ミスなどで特定が難しい1837件を住民基本台帳ネットワークのデータと照合した。氏名・生年月日の2条件が一致した記録が314万件あり、うち年金保険料を25年以上納付するなど宙に浮いた記録だけで受給資格を満たす記録は約3万件あった。1人が複数の記録を持つ場合もあり、持ち主と見られる人は2万5457人と判明した。

《私の場合が「厚生年金証書」に番号の違う複数を持ち、判明したもの意外に調査を依託して帰ったが、未だに確たる連絡も返事もないままだ。勿論、判明した分についての年金受給も未だに開始されていない。身体が元気だからいいが、これでは死ぬのを待ってでもいるような扱いだ。

これらの記録は、基本年金番号が導入された97年に既に脱退しているなど比較的古いもの。社保庁は年齢別の内訳は把握していないが、多数が無年金になっているとみられる。

《幸い、私の場合は無年金ではないが、当然得られる筈の金額には届かないものになっていること分かる。

社保庁は昨年6〜7月、加入記録を添え、全員に記録確認の通知を送付。昨年末までに回答のあった約1万人のうち約9割が「自分の記録」と答えた。約1万5000人からは回答が届いていない。

総務省年金記録問題検証委員会の07年10月の最終報告では、5095万件中の7840件のサンプル調査で、宙に浮いた分だけで25年を満たす記録が75件あった。一部漏れていた記録が見つかり受給権を回復した無年金者は、昨年5〜9月だけで62人いた。

《現在、回答待ちのまま1年以上が経過したままだ。やはり、というべきなのか、社保庁を信頼して座して待っているだけでは埒があかないようだ。》

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2009年3月 1日 (日)

布おむつ

毎日新聞(2/22)から、《 》内は私見。
 ここ数年、欧米メーカーを中心にファッション性の高い製品が増えてきた布おむつ。環境に優しいイメージも相俟って「おしゃれな子育てアイテム」としてとらえられつつあるようだ。

川崎市の女性(32)は、日中は布おむつ、遠出する時や就寝時は紙おむつを使っている。布おむつを使うきっかけは、妊娠後に義母が不要な晒を使って布おむつを手づくりしてくれたこと。その後、育児雑誌で英メーカーが出している水玉模様や星マークが入ったカバーを見つけ「かわいかったので」と買い足した。新生児のころはよく漏れ、嫌になったこともある。でも慣れると選択も気にならない。「ゴミが少なくて済むし、デザインもかわいい。気に入ってます」という。

ミキハウス子育て総合研究所のインターネット調査(08年)で、おむつの種類を聞いたところ、回答した保護者294人のうち「紙おむつのみ」が75%と最多だった。一方で、紙おむつと布おむつの併用も10%おり、布おむつを使ってみた保護者も13%いた。

《懐かしさのあまり取り上げてみた。40年も近い前になる。長男が生まれた頃には既に紙おむつがあるにはあったが、我が家では昔ながらの布のおむつを用意していた。これも昔ながらの祖母や母の智恵をそのままに、着古した浴衣をほどいて仕立てたものと、それだけでは足りないので、新しく晒しでこしらえて数を揃えた。

《布おむつは繰り替えし使用するため、大小便の処理は当然ながら洗い流す必要がある。洗濯は洗濯機があったがやはり旧式の手絞りタイプだ。おしっこの方は問題ないが、うんちはそれだけをトイレに流した後、おしっこ同様に洗濯機の中へ。これでも便利な方だった。私や妻が赤ん坊の時代は母親は盥に洗濯板でごしごしであった。ただ、公害などの問題が話題にならない時代だ。近くに小川が流れていれば、そこが洗濯場になっていた。赤ちゃんのうんちのついたおむつもそのまま川に流して洗濯していた。

《とっても経済的ではあったが、雨の日や梅雨時は家の中がおむつで満艦飾になり、おむつを眺めながら寝ることもしばしばだった。100時間残業が当たり前の時代の忙しい職場で時間は不規則だったが、首も座らない乳児の時から子どもの入浴は私が面倒を見た。勿論おむつも替えた。苦しい子育てだったが、今になってみれば懐かしい》。

布おむつを使う理由は
 1)、経済的 2)、肌に優しい 3)、地球環境に良い、だ。

ファッショナブルなカバーを買い足すなどして、布おむつを楽しんでいる保護者もいるようだ。従来は白無地のオリジナル製品のみだった高島屋は昨年、英メーカーの柄入りカバーも売り始めた。「環境や肌に良さそうというこれまでの動機に加え、布おむつによる子育てをおしゃれと考える人も増えたため」とは担当の言だ。

布おむつには費用や環境、肌への影響で良いイメージがある。確かに繰り返し使うのでゴミにはならないが、洗濯による電気の使用や排水など紙おむつにはない環境負荷もある。英国環境省の調査(05年)では、環境への影響は両者に差がなかったという。

費用面だが、ユニ・チャームによると紙おむつはサイズ等により1枚15〜40円。平均紙おむつ使用量は、3歳まで使うとして約5000枚だ。一方、布おむつは一般に20〜30枚、カバーは3〜5枚使い、成長につれて数回は買い替える。既製品を買うなら、洗濯コストも含めると大差がない場合もあるようだ。

肌やおむつ外れの時期への影響だが、乳幼児の製品に詳しい国立成育医療センター成育政策科学研究部長・加藤忠明医師によると、何度も洗った後の布おむつは顕微鏡で見ると表面がざらざらになり、刺激を与えるという研究結果もある。おむつ外れの時期はほとんど差はないとのこと。紙か布かは、生活スタイルや考え方で使い分けるのが良さそうだ、ということになりそうだ。

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