提供卵子で出産
毎日新聞(2/6)から、
不妊治療団体の発表により、根津医師以外では初となる、卵子の提供を受けで出産した2例があったことが分かった。
全国20の不妊治療クリニックで作る「日本生殖補助医療標準化機関(JISART)」は5日、友人や姉妹から提供された卵子による2例の体外受精で、男児2人が出産したと発表した。母子、卵子の提供者とも健康という。非配偶者間の体外受精による出産は長野県の根津八紘医師が実施しているが、他医療機関で明らかになったのは初めてのことだ。
参照 卵子バンク 代理出産 07/02/27
卵子の値段 約40万円 07/04/20
2例はいずれも妻が若年で排卵が止まる早期閉経症の患者。08年3〜4月、広島HARTクリニック(広島市)で妻(44)に友人(32)の卵子を、セントマザー産婦人科医院(北九州市)で妻(36)に姉(38)の卵子を体外受精し、移植した。それぞれ昨年11月と今年1月に男児が誕生した。
妻以外からの卵子提供は03年、厚生労働省の部会が匿名の第三者からの提供に限り認めたが、法制化は進んでいない。一方、同機関は「匿名の卵子提供者をボランティアで見つけるのは難しい」として昨年6月、独自に指針を策定。友人、姉妹などから提供を認める内容で、同時に今回の2例の妊娠を公表した。
出産した2組のカップルは結果に満足し、「将来は子どもに自分の出自を伝えたい」と話しているという。加盟クリニックでは現在、2組の夫婦が実施のための倫理審査を待っている。同機関理事長の高橋克彦・広島HARTクリニック院長は「学会などで適切な指針ができれば、従うつもりだ。生まれた子どもの出自を知る権利を尊重し、カウンセリングを続けて母子、卵子提供者を支えていく」と話す。
非配偶者間の体外受精を巡っては、長野県の根津八紘医師が卵子、精子提供を合わせて百数十人を誕生させたことを公表している。また、海外で提供を受けたカップルも多い。そんな中、日本生殖補助医療標準化機関(JISART)が発表した友人や姉妹の卵子による体外受精は、法整備が進まず、「事実を重ねて現状を打開」という方法が続く日本の生殖補助医療の現状を如意に示している。
妻以外からの卵子提供で「匿名の第三者」に限って認める厚労省部会の報告書に対し、同機関は「実際にそんな提供者はいない」と言う。打開策として独自に卵子提供の意思のある人を登録する「卵子バンク」のような取り組みも検討したが、実現のめどは立っていない。
非配偶者間体外受精で生まれた子どもは自分の出自に悩む可能性がある。専門のカウンセラーによる支援が必要と言われるが、全く足りない。《というよりも、育ててもいないようだ》。だが、国や法律の支えなしに人材養成を進めるのは困難だ。
現在の国の方針と医療の現実の差を埋めるための法整備の手続きは止まったままだ。現実に生まれてくる子どもたちの不利益になる。議論を早急に深めるべきだ。
《今回出産した2組のカップルには話す心構えができているからいいが、生まれたこの出自については親の口から子に告げるのが当たり前のことだ。その責任が取れないでは、卵子や精子の提供は受けるべきではない。代理出産となると、親権などの違った面で問題が発生することもあり、提供する側、受ける側へのカウンセリングは欠かせないことになるだろう》。
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