ビール大手、海外に活路
毎日新聞(2/14)から、《 》内は私見
《国内ビール大手4社は、国内消費の低調を打開しようと、発癌物質の含まれるマリファナ以上に薬物性の強いアルコール飲料を、海外市場に向けて出荷しようと企んでいるようだ。国内のアルコールによる経済損失は医療費におよそ1兆円、犯罪、事故、生産性の低下などを含んで約7兆円に上っていることを知っていてのことだ。日本と同じ弊害を輸出を受ける国々に、或いは人々に、規模の軽重はあっても負わせようとするのか。
《酒にだらしない日本人、百薬の長などと理屈を捏ねる日本人、こんな日本人に似た人間を海外でまで増やして仲間を作ろう魂胆か》。
ビール大手4社の08年12月期連結決算が13日で揃い、販促費の削減や好調な海外事業に支えられ各社とも増益を確保した。ただ主力のビール事業はサントリーを除き減収で、同日発表された1月のビール類出荷量も過去2番目の低水準。閣内需要がしぼむ中、各社は成長が期待できる海外に活路を見いだそうとしている。
キリンは協和発酵や豪乳業最大手のナショナルフーズを買収した効果などで連結売上高が初めて2兆円を超えた。アサヒビールは出資する中国飲料会社などが好調で経常利益が過去最高だった。サントリーは昨年8月末まで値上げを踏みとどまった効果などで連結売上高が過去最高となり、サッポロホールディングスも販促費削減で大幅増益となった。
国内でビール離れが進む中、メーカーにとって成長の鍵を握るのが海外市場だ。キリンは07〜08年に豪州の乳業大手2社を相次いで買収。フィリピンのサンミゲールとも1000億円以上の出資交渉を進めている。
サントリーは今年2月、ニュージーランドの飲料大手フルコアを750億円で買収。アサヒは今年1月、中国2位の青島ビール株約20%の取得を発表し、中国全土での販売網を確保した。サッポロは06年に買収した北米のスリーマン社で今期1割の販売増を見込む。
《製造業に派遣切り、人員削減の嵐が吹き荒れる中、ビール大手4社はホクホクのようだ。
売上高 営業利益 最終利益
キリンHD 23035(27,9) 1459(21.0) 801(20.2)
アサヒビール 14657(▼0.1) 945( 8.7) 450( 0.5)
サントリー 15129( 1.2 ) 813( 8.0) 320(33.2)
サッポロHD 4145(▼7.7) 146( 18.8) 76(38,7)
(注)単位・億円。カッコ内は前期比増減率%、
▼はマイナス。HDはホールディングスの略
これまで積極的な買収を通じ事業拡大してきた世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABI)が、金融危機に伴う資金繰りの悪化から子会社の売却を進めていることも日本企業には好機となった。
アサヒは青島株をABIから取得するのに続き、ABI子会社で韓国2位のOBビールの買収も検討している。急激な円高と世界的な株価下落も、海外企業の買収を狙う日本企業にプラスに働きそうだ。
課題もある。成長が期待される中国では「とんでもなく激しい競争がおきている」(加藤壹康キリンHD社長)といい、上海を基盤とするサントリーは価格競争の激化で中国事業が減益となった。
一方、国内市場は、サッポロ株の約18%を保有する米投資ファンドのスティール・パートナーズの動向が注目される。スティールは世界的な株価下落で戦略の見直しを迫られ、江崎グリコなどの食品会社株を相次いで売却した。株価が低迷するサッポロ株についても売却に動く可能性がある。
今のところ国内ビール会社がサッポロ買収に動く目立った兆候はないが、ビール以外の食品会社を巻き込んだ提携や再編の火種はくすぶり続けている。
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