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2009年2月16日 (月)

テレビ通販番組に風当たり強まる

 若い頃からそうだったが、メロディーを口ずさむことはできても、曲名を知らないことが殆どだった。同じようにしばしば観るテレビ番組は知っていても、何曜日に、どこの局でやっているのかは全く記憶していない。そのために、便利な手元のリモコンを順に押して行くことになるのだが、必ずといっていいほどぶつかるテレビ通販のチャンネルがある。その中で我慢しても見聞きできないのがジャパネットなんとかのチャンネルだ。どんなに商品が良くて安かろうと、買ってなんかやるものかとなる。あの社長の甲高い裏声を聞かされると体中に寒気が走って拷問されるに等しい。慌ててボタンを次のチャンネルに移す。

 それに本来が物売りを信用しない。頼りになるのは自分力だ。自分の目で確認し、使われている材料を吟味し、重さを調べる。手の触感や匂いや香り、特に色あいはテレビ上で本当の色は再現不可能だ。太陽光、蛍光灯、タングステンなどの違った光源下を色温度を揃えて苦労して撮影しても、各家庭のテレビの色再現の条件は同一機種のテレビでも、画面の色は千差万別だ。また、アパレル系でいえば光線を当てれば基の色と違って見えるようになる化学繊維が殆どだ。昔は必ず入学時に検査して分かった色盲、色弱も今では気がつかないままの人もいるだろう。

 また、同じようなものが他にないか、価額の比較も欠かせない。

毎日新聞(2/15)から、 《 》内は私見。
 テレビ通販への風当たりが強まっている。総務省は、今後新たに開局する衛星放送局を選ぶ際、CMやテレビ通販などの広告放送が3割以下の局を優先する方針を打ち出した。

 (前略)独立行政法人・国民生活センターは昨年末「テレビショッピングに関するトラブルが増加している」と発表した。「数量限定と急かされて契約した。申込を撤回したいが認めてもらえない」「タレントの体験談を信じて購入したが、効果がない。個人差があることをもっと強調すべきだ」など、同センターや全国の消費生活センターに07年度に寄せられた相談件数は2251件で、前年度比22・7%増。10年前の3倍以上だ。08年度の相談件数も、1月末までで前年度をやや上回る1647件に達した。

《タレントの言説を参考にするなどまともには考えられないことだし、個人差があることも購入前に分かっていることではないか。自分の不注意を売り手に転嫁しても仕方ないことだろう。座して待つだけで先方から品物が自宅まで来てくれる。何ごとによらず与えられるサービスの過剰な世の中になって、買い物をするにも人頼みになり自分で検討することも、思案することもしなくなった結果だ》。

相談が増えている背景の一つは、通販番組の増加だ。テレビ通販に詳しい中島純一・同志社女子大教授(消費者行動論)は「多チャンネル化やインターネットの普及で視聴率が低下傾向にあるところに不景気が重なり、スポンサーが集まらず、テレビ局の経営は急速に悪化している。デジタル化の費用負担も重い。通販番組は制作コストが低く、スポンサーが時間ごと買い取るケースもあり、ありがたい存在だ」と説明する。

地上波放送では、日本民間放送連盟(民放連)の基準で、広告放送は総放送時間の18%以内とされている。こうした規定のないBSデジタル局では、通販番組が平均約4割を占め、なかには6割以上のチャンネルもある。CS局には複数の通販専門チャンネルもある。

テレビ通販では、時間的制約から「返品不可」「送料はお客さま負担」など消費者にとって重要な情報の表示が、瞬間的に終わってしまうことが多い。しかし特定商取引上は、消費者が申し込みを自主的に行なっているカタログ通販と同じとみなされる。このため、訪問販売に適用される「クーリングオフ制度(購入後一定期間、無条件で解約を認める制度)」も適用されない。

だが、実際にはテレビ通販とカタログ通販には、特性の違いがある。中島教授は、聞き取り調査で消費者心理を分析。テレビ通販ではカタログ通販よりも消費者が「熱くなる」傾向がある、という。つまり衝動買いの要素が強い。業界関係者によると、返品率は、ラジオ通販よりテレビ通販の方がずっと高いという。テレビの方が、映像・実演など商品情報がより豊かに提供されているはずなのにだ。

「ジャパネットたかた 思わず買いたくなる。“しゃべり”の秘密」の著者で流通ジャーナリストの金子哲雄は、最近の液晶薄型テレビの普及もトラブル発生の一因では、と指摘する。「画面の大型化、高画質化で商品がとても大きく綺麗に見える。その結果、アクセサリーなど『もっと大きいと思ったのに』と返品が出る。大きさが何ミリと表示されていても、そちらは記憶に残らない」と。

中島教授も、よくある返品の例として植木用の長鋏をあげる。「番組では若々しいタレントが軽々と枝を切る。でもお年寄りには重くて使いにくい。重さはちゃんと表示されているが、実感として伝わっていない」と。

《あの、裏声おっさんをぼんやりと不注意に眺めていて、人に、或いは流行に遅れを取るまい、との思いだけでそそくさと注文する気が知れないし、長鋏だってそうだ。年寄りも木を切るには庭や家から外に出る。もともと購買欲があったのなら、注文する前に類似の物を手に取る機会はいくらでもあるだろう。こんなのがクレームになるなんて、随分甘やかされた世の中になったものだ》。

要するに映像の与える印象と、テロップなど文字の与える印象の強さに差がありすぎるのだ。その結果「表示」があっても視聴者に情報が届いていない。

民放連や衛星放送協会、日本通信販売協会は、それぞれテレビショッピングに関する独自のガイドラインを作成している。しかしいずれも「事実に基づく表示を平易かつ明瞭に行なう」などの指示にとどまる。

中島教授は、返品不可の場合は、
 ▽一定以上の文字の大きさで、
 ▽1回○○秒以上、
 ▽番組全体では○○回以上、
文字と音声で表示する、などテレビの特性に合致したより具体的なガイドラインの作成の必要性を指摘する。

総務省の省令改正で、11年以降に開局する衛星放送事業者は、実質的に広告総量が全体の放送時間の3割以下に抑制される見込みだ。だが、無料放送のためには、広告収入は欠かせない。すでに開局しているBSデジタル各局は、いずれも累積赤字を抱えており、後発のBSデジタル各局の収支がどうなるかは未知数だ。

西土彰一郎・成城大準教授(放送法)は「通販の過度の規制は民放の財源基盤を脆弱(ぜいじゃく)にし、放送番組にまで悪影響を及ぼすことに留意すべきだ」と警鐘を鳴らす。また、憲法に保障された「表現の自由」に関連して「広告規制が悪用されて、番組の表現内容への規制となることのないように注意することも当然」と語る。

《赤子か幼児を保護するようなまでの視聴者保護だ。問題は視聴者がもっと賢くなる必要があることだ。規制を強めることで、西土の心配する「表現の自由」への波及は少しばかり先を読み過ぎるような気もするが、あながちないことではない》。

今月5日、自民党の電気通信調査会と消費者問題調査会が「テレビショッピングの現状」を議題に開いた合同会議では、議員から厳しい意見が相次いだという。「『限定20セットです。今すぐご注文を』と言っていたが、番組提供費用も考えると、この販売数量では到底ペイできるとは思えない。希少性を強調して、商品を購入させる詐欺的手法ではないのか」「民放連基準では、放送局は通販番組を事前に考査することになっているが、これを怠って問題が起きても何らペナルティーがない。それでいいのか」など。

《限定販売もそうだが、同様には「あと×組、×個、×着、×足・・」や「ソウルドアウトです、ありがとうございました」などもあるのは確かだ。だがこれを詐欺的手法とは言うまい。最後にもう一度憎まれ口を叩けば、他力本願の自業自得の部分も多い、視聴者はもっと賢くなれ!》。


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コメント

テレビ通販で価格が発表されるとスタジオ内から歓声が上がりますが、とても安いんだという印象を受けますが、実際どれほどのものでしょう。おまけにもう一つ付いてたり、必要でないものまでセットで販売しているともう適正な値段も訳が分からなくなりますね。

テレビ通販やカタログ通販にしても返品したものや梱包・運搬料、カタログの製作料など実際の商品の値段はどうなっているのか、海外で安く作られたものだからできるのでしょうが、店頭で山積みされているカタログはすぐにゴミになるものだと思うと、もう少し規制できないものかと思ってしまいます。

投稿: BEM | 2009年2月18日 (水) 10時05分

こんにちわ
ついついSチャンネルを見てしまいますが、
独特の言い回しがいやでチャンネルを変えますね。お客サマァ、いかがですかぁ~このお品はぁ~~の形でご提供できるようになっておりましてぇいまがお買い得のカタチになっておりますぅ~お早めのご決断の方よろしくおねがいもうしあげますぅ。

投稿: ようこ | 2009年2月18日 (水) 12時58分

BEMさん こんにちは。いつもコメントありがとうございます。

おれおれにしても振り込め詐欺にしてもそうですが、余りにも不用意なだまされ方だと思います。

私の世代のような何事も疑うことで生きてきたつむじ曲がりには、到底考えられない結果です。

スタジオの歓声や拍手は、お客さん担当のADがする合図で起るものですから仕方のないものでしょうが、だまされないことです。損までしてする商売ではないことを考えれば十分に利鞘はあるのでしょうから。

投稿: 小言こうべい | 2009年2月18日 (水) 16時38分

ようこ さん、

おっしゃるような間の抜けた言葉遣いや、「ら」抜きことば。「食べれる」「見れる」など耳にするだけで気分が悪くなります。

言葉は時代とともに変化して行くものだろうとは理解していますが、現今の乱れは本当に酷すぎますね。

投稿: 小言こうべい | 2009年2月18日 (水) 16時49分

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