薬 ネット販売禁止
毎日新聞(2/6、7)から、 《 》内は私見
《何十年もアスピリン以外の薬を殆ど使用したことのない私には、関係のない話だが、薬の効能以上に金がからむ人たちには、それぞれに言い分があるようだ。しかし、何よりも優先すべきは安全性であるべきだ。》
厚生労働省は6日、一般用医薬品(市販薬)のうち副作用の危険性が高い医薬品について、インターネットを含む通信販売を禁止することを決めた。同日付の省令で、薬事法の施行規則を改正した。改正薬事法が施行される6月1日以降、市販の風邪薬などは店舗での対面販売しか認められなくなる。ただし、販売容認を求める声も強いことから、有識者による検討会を設けて改めて議論することになった。
(ネットでの販売が禁止される主な市販薬)
この問題を巡ってはネット業界や内閣府の規制改革会議が「消費者の利便性を損なう」と規制に強く反発。一方、薬害被害者団体などはネットで薬を大量購入した自殺未遂例があることなどから厳格な対応を求めている。
《安全性か、利便性か。インターネットなどなかった時代はそれで別段不便ではなかった。薬に限らない、今は望めば殆どのものが、わざわざ家から外へ出ることなく、居ながらにして希望する品物が向うから目の前まで来てくれる。便利この上ないが、対面しないで済む世間からの没交渉が、ギスギスした人間関係を作る要因にもなっている》。
舛添要一厚労相は閣議後会見で「薬局や店舗に行くのが困難な方への対応策、ネットなどを通した販売のあり方について、検討会で幅広い議論をしてもらう。結論をいつまでに出すかは決めていない」と述べた。検討会は今月中〜下旬に初会合を開く。
新たな施行規則では6月から危険度に応じて1〜3類*に区分される市販品のうち、主な風邪薬や頭痛薬、胃腸薬などが入る1類と2類の通信販売を禁止。ビタミン剤や消化剤などの3類は都道府県に届け出ればつうしんはんばいが可能。
< 6月からの市販薬の販売方法 >
分類 副作用 主な医薬品 専門科の説明 ネット販売
リスク
1類 高 H2ブロッカー 義務(文書で) 否
胃腸薬
髪毛剤など
2類 中 風邪薬、頭痛薬 努力義務 否
漢方薬など
3類 低 ビタミン剤 規定なし 可
消化薬など
業界団体の推計では、市販薬の通信販売の売上げは年間約260億円、うち約60億円がネット注文。1、2類はネットで扱う医薬品の約3分の2を占めるという。
改正薬事法ではこのほか、薬剤師のほかに「登録販売者」の資格が新設され、登録販売者がいればコンビニなどでも2、3類の販売ができるようになる。
市販薬でも起こる副作用被害「スティーブンス・ジョンソン症候群」で18年前に左目を失明し、患者会代表を務める湯浅和恵(56)は、ネット販売規制を評価する。そのうえで「大切なのは薬に関する正しい情報提供で、対面販売だからといって安全なわけではなく、行政は薬の安易な購入や服用は避けるよう、消費者への啓発に努めるべきだ」と訴える。
日本薬剤師会の石井甲一専務理事は「通信販売は自己責任の世界だが、安全性を考えれば自己責任に任せるのはどうか。規制は評価できる」と話した。
《自己責任で処理できれば問題など起こらないし、今回のように改正まで必要ないことだ。使用や服用でトラブル(無知も含めて)が起これば製薬会社まで遡った問題となるのは目に見えている》。
一方、規制に反対しているヤフー・ジャパンの広報担当者は「薬局から遠い住民や障害者など、規制実施で困る人もいる。国民の健康維持のためには通信販売も必要不可決の手段」と語る。今後、厚労省内に設置され、改めて議論の場となる検討会については「積極的に関与していきたい」と話した。
また、ネット利用に関する政策提言をしている「インターネット先進ユーザーの会」の中川譲理事は「今まで買えた薬が買えなくなる理由が分からない。例えば聴覚障害者は、薬局に行くよりネットの方が安心して購入できる」と指摘。検討会について「消費者に影響が及ばないよう、6月までに結論を出してほしい」と注文した。
なぜ、こんなにこじれているのか。薬事法には、ネットを含む通信販売についての規定がない。厚労省は「対面販売が原則」との立場で、88年にリスクの低い薬以外の販売は業者と協議するよう、都道府県に通知した。しかし都道府県は規制に乗り出さず、業界には「合法」の認識が広がった。
06年の薬事法改正後もその認識は変らず、厚労省が、08年9月に省令案を公表すると「法律を超えた規制だ」と反発が起こった。
《利便性を強調するインターネット業界。しかし、薬によるトラブルの絶えない現状を考えると、販売禁止は止むを得ない措置だと考える》。
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