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2009年1月12日 (月)

交通死者減少というが

毎日新聞(1/7、12)から、 《 》内は私見
 ♦飲酒運転の怖さを実感することで事故の撲滅につなげようと、埼玉県警は、酩酊状態を疑似体験できる眼鏡を県内全39署と運転免許センター(鴻巣市)に配布した。飲酒事故被害者の遺族らが要請していたものだ。県警交通企画課によると全署への配備は全国的に珍しく、交通安全講習などで活用し多くの市民に体験してもらう考えだという。

配備されたのは米国製の「飲酒状態体験眼鏡」(約3万円)。酔っ払い眼鏡とも呼ばれ、掛けると遠近間や平衡感覚がなくなり、風景が歪んで見える。ビール大瓶5本(血中アルコール濃度約0・2%)を飲んだのと同程度の視覚体験という。

これまで一部の自動車教習所や県警の交通安全講習などで使われていたが、後を絶たない飲酒事故撲滅に向け、全署への導入に踏み切った。また熊谷市で昨年2月、9人が死傷した飲酒事故で両親を失った小沢さん(32)夫婦も「飲酒運転の危険性を多くの人が実感できるよう、眼鏡を体験できる機会を作ってほしい」と県警や県公安委員会に訴えていた。

福島哲雄県警交通企画課次席は「多くのドライバーに飲酒運転の危険性を体感してもらうことで、飲酒運転の根絶につなげたい」と話しているという。

《酒飲みに体感させてほんとうに効果はあるのだろうか。単に「面白いものを見せてもらった」の一過性の体験で終わるような気がする。正月を挟んで昨年暮から酒飲みの交通事故は分かっていても減ることはない。昨日、今日の成人の日に集まる人間たち男女とも、酒を飲めることが最大の歓びの日なのだ。交通事故予備軍は次々に生まれているのだ。彼等に眼鏡を体感させることは、逆効果となって麻薬へ走らせる呼び水にならないとも限らない。何をどう教育しても、酒飲み天国日本では、どこでも購入できる酒が売られている限り、なくなることはないだろう》。

 ◆社説は書く、『交通死者減少』とした上で、偉そうにお説教を垂れる。“慢心せず安全意識の高揚を”と。
 昨年中の交通事故死者は、一昨年より589人少ない5155人だった。依然として多くの命が車社会の犠牲となっている冷厳な事実に心が痛むが、警察庁によれば、8年連続の減少という。過去最悪の1万6765人を数えた1970年の31%だ。人身事故件数も前年より約8%減り、負傷者数は10年ぶりに100万人を下回って約94万人となった。

《毎日、日本の何処かで14人が死んでいた数だ。「減った」で喜べる話ではない。人身事故にいたっては毎日2500人を超える負傷者が出ていたことになる。為政者にお説教を垂れて減らせるものではないだろう》。

事故が減少したのは、不景気やガソリン代の高騰で交通量が減った影響、とも指摘されている。死者数が減ったのも、車の安全性能や救急救命医療の向上、道路環境の整備などによるところが大きい。

とはいえ、70年の交通安全対策基本法の制定以来、政府を挙げて「交通戦争」と向き合い、全国の警察を先頭に官民で安全運動を展開してきた成果が表われていることは間違いない。自動車の保有台数や運転免許取得者が急増し、道路網も大幅に延伸したことを勘案すれば、施策の数々は奏功していると言えよう。

気がかりは、ドライバーの安全や法規範に対する意識が必ずしも高まっていないことだ。重大事故が起きる度に飲酒運転の撲滅が叫ばれてきたのに、違反者は後を絶たない。悪質な轢き逃げが相次ぎ、携帯電話片手の運転やテレビを見ながらハンドルを握るドライバーも未だに目につく。

《長い間言い古されてきた「百薬之長」という酒飲みのよりどころが、実は、そうではないんだということに改まらない限り、日本人の酒に甘い社会規範が変革されることはないだろう。酒は麻薬と同じドラッグであることに早く気がつくべきなんだ。》

死者数の減少が、交通関係法令の厳罰化と相関していることにも注意したい。03年に約半世紀ぶりに8000人の大台を割った後、減少の流れが加速したが、その前々年には危険運転致死傷罪が新設され、前年には飲酒運転や轢き逃げの罰則が強化されている。

昨年の死者数が減ったのも、昨年6月から後部座席のシートベルトの着用義務違反が摘発対象になったことが大きな要因、というのが警察庁の分析だ。幼児3人が死亡した06年8月の福岡市の事故を受け、飲酒運転の取締りが強化されると、飲酒運転の摘発数が大幅に減少した経緯もある。

ドライバーの自覚や自戒があったからではなく、刑罰に威嚇されて事故が減ったとするなら情けなくないか。現状では慢心などによる事故の危険が拭い去れないのではないか。

《厳罰化しなければ事故が減らないのなら、それもよしだ。しかし、重大事故を起しても、運転免許が再取得できるような甘い法の下では、厳罰化以外には手段はないだろう。事故が減るのならどんどん厳罰化すればよい。運転者のモラルに頼っていては事故の減少など望めない》。

政府は「10年までに死者を5500人以下に」との目標が達成されたと評価している様子だが、目標値の設定が甘過ぎたにすぎない。年末年始の死者数は昨シーズンよりも増加に転じている。油断せずに対策強化に努めるべきだ、と結ぶ。

《「死者を5500人以下に」とは5500人までは死ぬ、ということを見込んでいることだ。一方で、加害者となる酒飲みは次々に生まれている。現時点で対策は一層の厳罰化以外には見当たらないだろう》。


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コメント

全く同感です。
目標が5500人ってどういうことでしょうかね。5500人は仕方ない。それくらいは死ぬだろうと考えているように思えるのは意地悪でしょうか。
北海道でも道警が08年は交通事故死が減少した!って胸を張っていますが、実際新しい対策なんてしてないんですよね。
社会的な要因が大きいだけで。根本的に重大な交通事故加害者は免許証を二度と取らせないくらいの措置が必要だと思います。

投稿: BEM | 2009年1月13日 (火) 00時29分

誤解を恐れずに、そしてラジカルな表現で言えば、交通事故が全く無くなれば、交通警察の仕事がなくなるから法律が甘くしてあるのでしょうか。

酒がある限り飲酒運転はなくならいという持論から言えば、乗物がある限り、交通事故はなくならないのでしょうか。

投稿: 小言こうべい | 2009年1月19日 (月) 22時57分

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