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2009年1月10日 (土)

英語の授業は英語で

《文部科学省は昨年12月22日、高校の新学習指導要領案を公表した。英語はコミュニケーション能力重視へ方針転換し授業を英語で行うことを基本とする、とした。一体何のために日本人がこれほど英語を必要としなければならないのだろうか》。

毎日新聞(12/23)から、 《 》内は私見
 今回の高校新学習指導要領では、各教科で小中学校の内容を復習する機会の設置を促進し、基礎学力不足の生徒への対応を充実させる。小中の新指導要領に続き、前回改定で削られた内容の復活などが進み、脱「ゆとり教育」への見直しが完了する。

高校の指導要領の全面改定は10年ぶりで、13年度入学生から適用し、数学と理科は12年度から先行実施する。卒業に必要な単位数は現行と同じ74。だが、授業時間は標準の週30単位時間(全日制)を超えてもよいことを明記、各校に積極的に増やすよう促す。

《99年3月に高校の学習指導要領改定案が公表され、この時点で小中学校と併せて「ゆとり」の現行の日本の学校教育の基本指針が出揃ってからおよそ10年。その「ゆとり教育」が学力低下を招いたとして、一転、その見直しが出そろった。》

英語は、文法・訳読中心の指導からの脱却を強調。単語は現行より500語多い1800語を指導し、中高で計3000語に達する。78年改定時の水準に戻り、中国や韓国とほぼ同程度となる。

義務教育の復習については、学校独自で科目を作ったり、必修科目の単位数を増やすなどして、指導してもよいことを明示した。小中の新要領で理数中心に内容が増え、中学に移行した要素も多くあった分、高校では前回改定で削られた「複素数鵜の図表示(数学Ⅲ)」などが復活し、「アモルファス(化学)」など新たな事項も追加される。「総合的な学習の時間」は3〜6の標準単位数を2単位に減らしてもよいこととした。

高校英語は、文法中心だった教育内容を見直し、英会話力などのアップを目指すのが狙いだ。文部科学省は「まず教員が自ら積極的に用いる態度を見せるべきだ」と説明する。だが教諭の英語力や生徒の理解度はばらつきが大きい上、大学入試は従来通りとみられ、現場からは効果を疑問視する声も出ている。

《大学入試が現状のままで、高校学習要領だけを改変することは教育の現場を混乱させるだけになる》。

千葉県の県立高の英語教諭は「文科省は現場を分かっていない」と苦笑する。学校によってはアルファベットのbとdが区別できない生徒もおり、「英語で授業なんて無理」という。

《それでなくても現在、鬱病(適応障害やパニック障害、統合失調症なども)などの精神疾患で休職する公立校の教員は過去最多(07年度4995人)の数に上っている。業務の多忙化、休憩を取りづらい、生徒や保護者とのやり取りで気疲れすることが多いなどだ。その上に、新指導要領で現場の混乱が予想されるようでは、教員への負担が一層大きくのしかかることになる》。

大阪府の府立高の男性教諭も「苦手意識を持った生徒が、ますます英語から離れてしまう可能性がある」と危惧する。進学校でも「難関大学の長文問題は行間を読まないと分からない。結局、日本語で説明する必要があるので時間のロスになるかも」(福岡県の英語教諭)と困惑する。

一体、どんな授業が想定されるのだろうか。文科省は「授業を始めるよ」「○ページを開けて」「いい発音だね」といったやり取りは英語で、と説明するが、本格的に英語で授業をしようとすれば教員の英語力も問われることになる。千葉県の教諭は「それぐらいなら今もやっている」と話すが、別の英語教諭は「全部英語でやるのは正直自信がない。研修をさせられるんでしょうか」と不安げだという。

大学入試にからんでは、その変革を求める声も少なくない。群馬県の県立高の英語教諭は「リスニング(聞き取り)の問題の配点がもっと高くならない限り、現場には浸透しない」と言い切る。大学入試センター試験の英語の配点は、筆記200点に対し50点。この教諭は「進学校では生徒に最短コースを歩かせたいのが本音。今の入試がある限り、授業のやり方は変わらないと思う」と話す。

生徒からも「リスニング対策なら英会話のCDで十分。日本語で教えてくれた方が分かりやすい」(大阪府の高3男子)、「英語は楽しいので賛成だけど、受験のための授業とは別にしてほしい」(福岡県の高1女子)という要望が聞かれた。

文科省教育課程課は「今後、新要領に対応した入試のあり方は別途検討されていくことになると思う」と話している。

《外国崇拝、いや英語コンプレックスの指導要領を書いた役人や有識者といわれる人たちには、どれだけ流暢な英語をしゃべろうが、日本語もままならない首相を頂いている日本国民は、大事なのは外国語を学ぶ前に、先ずは自国の言葉をきちんと話せるような国民である方がいい、と思っているのを理解できないのだろうか。そう言えばノーベル賞の授賞式で日本語で話した益川さん、「自分の研究内容を知りたければ日本語で読め」、とまで言わしめるその気骨、見習うべきだと思うんだけどね》。

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