« 神奈川と東京の公立高校不正入試 | トップページ | 痩せよりも太めが長生き »

2009年1月29日 (木)

海難審裁決

毎日新聞(1/23)から、 《 》内は私見
 海上自衛隊のイージス艦「あたご」(7750トン)と漁船「清徳丸」(7・3トン)が昨年2月に衝突した事故の海難審判で、横浜地方海難審判所は22日、あたごの所属部隊「第3護衛隊」(京都府舞鶴市、旧第63護衛隊)に対し、安全航行の指導徹底を求める勧告を出す決裁を下した。織戸孝治審判長は「あたごが動静監視を十分に行なわず、清徳丸の進路を避けなかったことが事故の主因」と指摘した。刑事裁判の検察の当たる理事官側は2審を請求しない見込みで、裁決が確定すれば海自組織への勧告発令は初めてとなる。

海難審判
 海難事故の再発防止を目的として原因を究明、関係者の行政処分をする「海の裁判」。過失があったとされる当事者を、刑事裁判の被告に当たる受審人や指定海難関係人に指定し、海難審判所に審判開始を申し立てる。船長ら海技免状所有者は受審人、免状のない海自隊員らは指定海難関係人となる。裁判官に当たる審判官が故意・過失を認めれば、受審人には業務停止などの懲戒処分を、指定海難関係人には是正措置を求め勧告(行政指導)するとの裁決を出す。昨年10月の制度改正で2審制から1審制になった。

刑事裁判の被告に当たる指定海難関係人は舩渡・前艦長、事故当時の当直士官、前水雷長、交代前の当直士官ら第3護衛隊の4個人が指定されていたが、理事官側が求めた個人4人への勧告は見送られた。

裁決は事故時の状況に関し、清徳丸を右に見るあたご側に回避義務がある「横切り船航法」を適用。事故の背景として「艦橋と戦闘指揮所(CIA)の連絡・報告体制、見張り体制を十分に構築していなかった」と護衛隊の責任を指摘し、「総合的に改善策を行なわなければ再発防止は図れない」と結論付けた。

一方、長岩・前水雷長については「動静監視を十分に行なっていれば、避航動作をとる時間的、距離的余裕があった」とし、他の個人3人の行為は「原因とならない」と判断した。また、漁船側についても「協力動作を取らなかったことも(事故の)一因」と述べた。

あたご側は清徳丸が直前に大きく右転したのが原因と主張したが、裁決は「合理性に欠ける」と退けた。裁決によると、事故は昨年2月19日午前4時7分の少し前に千葉・野島崎沖で発生。清徳丸は分断され、船長(当時58歳)とその長男(同23歳)が死亡した。

今回の審判は旧海難審判法に基づき2審制だが、勧告は行政指導に過ぎないため、関係人は2審請求できない。理事官側が2審請求しなければ裁決が確定する。

《紙面には「あたごと清徳丸の航跡」図がある。裁決が認定した航跡と、あたご側が主張した航跡だ。海上での運航中、衝突の危険性を回避するために右、左折などを含めて約束事については全く知らない。事実は衝突事故が発生したことだ。そして、漁船側にも衝突を避ければ避けられる可能性があり、その避け得る行動を取らなかったことにも原因がある、と述べている。

《ここで、海から離れて話を陸上に移して考えてみたい。常々自動車での事故で「それは違うだろう」と思うケースがしばしば起きている。1000倍以上も大きさの異なるイージス艦と漁船と同じように、自動車と人との間で起こる事故のことだ。事故が起こればその大きさの差故に間違いなく加害者となるのが車だ。

《交差点を左折しようとする大型車の横にくっつくように停車するバイクや自転車がある。巻き込み事故が発生する。信号で何台も続いて止まっている車の間を、横断歩道でもないところを横切って飛び出し反対車線の車とぶつかる(車が徐行していてもすぐには止まれない)。夜間、横断歩道でもないところを横切ろうとして飛び出したり、酔っ払って道路に寝そべり、轢かれる。自殺願望からの自動車への走行妨害行為と捉えても不思議ではない行動でも、加害者は車になる》。

一方、決裁を受けた側の前艦長は、記者会見に応じ、「謹んでお悔やみ申し上げます」と深々と頭を下げ、「もう、船に乗るつもりはありません」と俯いた。一方で、「清徳丸の右転が原因」との主張が裁決で退けられたことについては「大きな原因だったのは間違いない」と持論を繰り返した。

審判では清徳丸との位置関係に異議を申し立て、独自の航跡図を作り証拠提出した。裁決の言い渡しで「合理性に欠ける」と一蹴されると、納得のいかない様子を見せたという。

あたご側の補佐人を務めた弁護士は「舩渡さんの航跡図は信頼できると今でも考えており、簡単に否定されるのは残念。審判官はあまり吟味していないのはないか」と不満を述べた。

《仕方ない、人が死んでいるんだから。自動車事故も同じだ、人が死ねば大きな方が加害者となる暗黙のルールとも言える不文律があるようだから》。

|

« 神奈川と東京の公立高校不正入試 | トップページ | 痩せよりも太めが長生き »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/107998/43893963

この記事へのトラックバック一覧です: 海難審裁決:

« 神奈川と東京の公立高校不正入試 | トップページ | 痩せよりも太めが長生き »