忘れられていた父子家庭支援
母子家庭のお母さんが苦労していることを取り上げた記事について、(参照男にも産休を 08/06/07) の記事で、母子家庭のお母さんたちが苦労していることを取り上げたとき、毎日新聞の記事にもの申す内容を書いた。参照とダブるので詳細は避けるが、次のようなものだった。紙上に掲載される西原理恵子が描く「毎日かあさん」という漫画欄がある。たまたまその日のものを目にした経済評論家を名乗る勝間勝代が、自分の支援するサイト「ムギ畑」を書類化したおりの表紙にその漫画を転載した。その後対談した2人の会話の中で勝間が西原の漫画(女が保育園に子どもを送り迎えする情景)に共感して、経済評論家らしからぬ勝ち誇ったような言葉を吐いている。「この話、すごく私たちが言いたいことだったんです。特に『こんな苦労が男にできるか、バカヤロウ』というせりふが」と話したという。
それに対して,私は保育園の送り迎えは女の専売特許ではないことを書いて、働く女性の傲慢さを指摘した。それから半年以上が経過した。そうだ男もいたんだ、と思い出したように毎日紙は今度は父子家庭を取り上げた。
毎日新聞『父子家庭もつらい』(1/22)から、 《 》内は私見
母子家庭と違って国による経済的な支援制度がない父子家庭について、02年以降、少なくとも全国で11の自治体が母子家庭と同等の手当を支給していることが毎日新聞の調べで分かった。ただ、国側の取り組みは手つかずの上、財源の確保が障壁となっている。シングルファーザーや自治体担当者は「平等に扱ってほしい」と、国に対して支援や制度改正を訴えている。
《11自治体を「少なくとも」と表現するが、その表現にはあたらないほど微弱な数だ。現在(09/01/20)、日本の自治体の数は全国で合計1821(東京特別区23、市783、町820、村195)ある。11自治体とはその0・6%に過ぎない数だ。国として、父子家庭のことは念頭にもないままで来ている》。
05年の国勢調査によると、母子家庭が74万9048世帯に対し、父子家庭は9万2286世帯。母子家庭には児童扶養手当法に基づき「児童扶養手当」が支給されるが、父子家庭にはない。その理由は収入格差だ。厚生労働省の06年度全国母子世帯等調査によると、母子家庭の平均収入213万に対し、父子家庭は421万円。ただ、年収300万未満の父子家庭は37・2%を占める。
甲府市で6歳の長女と暮らす会社員、佐野臣功さん(34)もその1人。妻と別居後、定時に帰宅できる仕事に転職したが、年収は約250万円と前職の3割程度に激減し、生活は困窮したという。「同じ1人親家庭なのになぜ支援がないのか、と思います。厚労省の『母子家庭等』という言い方自体、私たちが認知されていない証拠だ」と憤る。
02年7月、全国で初めて児童扶養手当と同条件で父子家庭に手当を支給する「児童育成手当」を導入した栃木県鹿沼市。当時、担当の児童福祉係長だった御地合晋守さん(51)は「相談に来る父親に、児童扶養手当の対象ではないことを告げるたび、不公平感を覚えていた」。国や県に改善を申し入れても埒(らち)が明かず、01年に市単独事業としての導入を市長に直訴して実現したという。
《世は挙げてジェンダー問題に振り回され、メディアもお先棒を担いでフェミニズム寄りの論陣を張っていた時代だ。その中で男女平等の目で母子家庭、父子家庭の問題を見ていた人がいたのだ》。
【児童扶養手当】
1961年創設された。母や祖父母が、18歳未満の子どもや孫を養う家庭が対象。国が3分の1、3分の2を市(町村は都道府県)が負担する。子ども1人の母子家庭の場合、年収365万未満の世帯に、所得に応じ月額9850〜4万1720円が支給される。08年3月末現在、全国で95万5941人が受給している。
御地合さんは「国がやるべきだというのが市町村の本音です。子どもは親を選べない。子どもたちに福祉を平等に与えるのが行政の責任だから、国がやらないなら市町村がやるしかあない」という。
これに対し、厚労省母子家庭等自立支援室は「父子家庭については、家事や育児支援に力を注ぐ」として、制度の見直しには否定的だ。児童扶養手当に準じた父子家庭支援制度のある自治体についても把握していないという。
《国家の男女差別ではないのか。1人親家庭の親が男であるか、女であるかなど子どもには関係ないことだ。厚労省が言う父子家庭について「家事や育児支援に力を注ぐ」ことは理解できる。本来なら、育児に関しては女性に適応力が備わっていることを踏まえてのことであろうが、現実問題は、法が施行された当時とは時代も大きく変った、女性が育児に手を煩わせることはそれほどない。男と変わらぬ仕事を持ち、育児も男と変わらず他人に任せる(託児所、保育所、学童保育など)ことが多くなっているのだ。300日問題では、不義不倫でさえ声高に擁護するくらいだ。父子家庭支援制度は法の上の男女平等を求め、それ以上に声高に見直しを訴えていくべきではないか》。
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