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2008年12月16日 (火)

消費「身の丈」に転換?

敗戦後間もない1950(昭和25)年12月7日の参議院予算委員会で、時の大蔵大臣(当時)池田勇人が言った言葉をマスコミが取り上げ、槍玉に上げた事件があった。大臣の失言としてマスコミの作った言葉は今に尚有名な、“貧乏人は麦を食え”だ。

池田が言ったのは、「経済の原則に副ったほうへ持って行きたいというのが、私の念願であります」とのことから発した言葉だった。「所得に応じて、所得の少ない人は麦《の割合が多い・引用者、補》を食う、所得の多い人は米を食うというような・・・」だった。

その後、東京の中小企業に職を見つけたが、復興期の職場は現在以上に過酷なものだった。中小企業ではどれだけ残業をやっても残業代が支給されなくても珍しくもなかった。100時間残業など珍しくもなかった。それでも私は定年退職をするまで残業代をもらったことがない。その当時の上司の言うには「お前たち、コロッケを食うだけの給料なんだから、贅沢に肉なんか食うなよ」だった。遮二無二働いた結果は気がついたら残業代がつかない位置にいたのだ。所謂残業代が支給されない役職についていた。会社は成長し、後にアメリカ工場まで建設した。

【閑話休題】
毎日新聞(12/16)から、
 東京都渋谷区の会社員女性(30)は金融危機が深刻化した10月ごろから休日夜、徒歩20分ほどかかる格安スーパーに夫と買い物に出かけ、食料品を中心に毎回8000円ほどまとめ買いするようになった。食品、日用品が相次いで値上げされた上、冬のボーナスが減りそうで節約を迫られたからだ。

「近くのスーパーより3割は安い。夜は賞味期限が近づいた惣菜が安くなるので、割引シールが貼られる先から狙い買いして、冷凍保存する」。スーパー側は「来店客はほとんど変わらないのに、食料品3%割引会員の登録者は、ここ1年間で8割近く増えた」と話す。

9月に日本に上陸したスウェーデンのカジュアル衣料品店「H&M」(ヘネスアンドマウリッツ)の銀座、表参道の都内2店舗では今も入場制限の列がなくならない。手頃な価格と高いファッション性を売りものに若い女性の人気を集める。責任者のニルス・ビンゲ氏は「価格と質への消費者の目が厳しくなる不況期は事業拡大のチャンス。(日本参入は)タイミングにも恵まれた」と語る。

一方、逆資産効果*が広がる中、高額商品、サービスへの逆風はきつい。東京都港区の中堅ホテルが5年前から開いている有名シャンソン歌手のクリスマスディナーショー。4万円のチケットは毎年10月上旬に発売し、12月上旬にはほぼ完売していたが、今年は11月末時点で約2割も売れ残った。「テレビでの露出も多く、手堅いタレントなのに」と広報担当者は頭を抱える。

 * 逆資産効果 -- 株式や土地などの資産価値下落で、家計が消費を控え、企業が投資を抑えるようになること。家計と企業の財布の紐が堅くなり、景気低迷につながる。大和総研の試算によると、昨年6月末の預貯金を含む日本の家計の金融資産は1571兆円。その後、所得から新たに8兆円が上積みされたものの今年11月末には1447兆円まで目減りし、132兆円が吹き飛んだ計算になった。富裕層だけでなく退職金を株式や投資信託で運用していた人も多く、消費への深刻な影響が懸念されている。

百貨店に入る高級ブランド各社の10月の売り上げは、前年比10〜25%も下落。しかし、並行輸入のブランド品を2〜4割安く売るエクセル銀座店の売り上げは11月、15%増。「午前中に店を覗いた後、百貨店などを回り、『やっぱり安い』と購入する客が急増している」(谷中真二副店長)という。「顧客流出」を食い止めようと、ルイ・ヴィトンやカルティエ、フェラガモなどの有名ブランドが11月、相次いで10%前後の値下げを発表した。高級ブランドが一斉に大幅に値下げするのは異例だ。

《ハイソサエティの世界などどうでも良い。なんなら日本から消えてなくなってもらいたいぐらいだ。生活に喘いでいるのは所得の低い層だ。》

経済産業省によると、10月の小売業販売額は前年比0・7%減と2ヶ月連続のマイナスだった。業種別でもプラスは飲食料品小売業のみ。第一生命経済研究所の新家義貴・主任エコノミストは「このプラスは節約志向で外食を控えたため。金融危機以来、不要不急な物への支出が抑えられる傾向が強まっており、消費は今後は低調に推移する」と分析する。J・フロントリテイリングの奥田務社長も「費用と価値を冷静に見極める『身の丈消費』(の社会)に日本は成長した。(ブランド信奉型消費に)戻ることはない」と指摘。「100年に1度の危機」は、消費行動の大転換ももたらそうとしている。

《果たして消費行動の大転換はくるだろうか。予想は甘すぎると思う。日本人の猫も杓子ものブランドを有り難がる性状はそう易々と衰えることはないだろう。中流の贅沢に慣れた生活を下げる勇気は今の甘えの世代の日本人には欠けている。何もなかった時代を知らないまま、身の丈消費ではなく、身の程知らずの生活を引きずったまま、苦しい苦しいと甘ったれていくだろう。》

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