死刑執行、確定者を上回る
毎日新聞(12/22)から、
▽今年1年間に死刑を執行された人数が、9年ぶりに年間の死刑確定者を上回ることが確実になった。21日までに15人が死刑を執行された一方、死刑判決の確定者は10人。厳罰化の流れや確定死刑囚の増加を背景に、刑執行を加速する法務省の姿勢が鮮明になった。
法務省の統計によると、99年は5人に死刑が執行された一方、確定者は4人で、執行者数が上回ったが、00〜07年の執行者数は1〜9人、確定者数は2〜23人で推移し、執行者数が下回っていた。
だが、今年の死刑執行は鳩山邦夫元法相下で3回(2月3人、4月4人、6月3人)、安岡興治前法相下で1回(9月3人)、森英介法相下で1回(10月2人)と、ほぼ2カ月に1回のペースで計5回行なわれた。このうち連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤死刑囚は判決確定から2年4カ月で執行され、確定から執行までが短期化していることも特徴だ。
《必ずしもそうは言えない。今まで確定から執行まで時間を要していたのは、法治国家として死刑執行を命じる法務相の責任逃れ、職務怠慢からくる間延びとみることも可能だからだ。人権だの人間の命の尊厳などを口にする人権擁護派は、人を殺める人間にまで哀れを寄せよ、というのか。これまでも、被害者以上に加害者の人権を口にする擁護派の論調は目立っていた。だが、人の命を奪うような凶悪な犯人の人権など擁護する必要はない。死刑に代わる終身刑の適用を求める人もいるが、この世に還って来ることのない人を思い、嘆き悲しむ家族がいるのに、殺害した側が、食べることの心配もなく、失業の心配もなく、住む場所の心配もなしに、寿命を全うさせるために血税を使うことは許されることではない。》
一方、今年の死刑確定者は
オウム真理教事件の林泰男死刑囚(51)=3月確定
静岡・三島の女子短大生焼殺事件の服部純也死刑囚(36)=同
埼玉・本庄の保健金殺人事権の八木茂死刑囚(58)=8月確定
下関駅通り魔事件の上部康明死刑囚(44)=同
ら10人。
年間の死刑確定者数は04年の14人以降、05年11人、06年21人、07年23人と2桁に乗り、年末時点の確定死刑囚数は05年の77人から急増し、現在は100人だ。
▽同じく死刑問題で、アメリカでも死刑賛否が云々されているようだ。米国における死刑は州によって異なり、死刑が続いている州と、廃止している州が存在する。
米ジョージア州アトランタで裁判官など4人を殺害したとして殺人など計54件の罪に問われた男に対し、地元高裁の陪審員(12人)が死刑を回避する評決を下したことが議論を呼んでいる。同州では死刑評決には陪審員による全会一致の賛成が必要だが、3人が反対した。検察側は「このままではどれだけ人を殺しても死刑にならない」とし、州法改正を議会に働きかける考えを明らかにした。
男はブライアン・ニコルズ被告(37)。05年3月、性的暴行の罪で出廷中、警備員から奪った銃で裁判官とジャーナリストを射殺、逃亡の際に保安官ら2人を殺害した。その後、逮捕、起訴され先月7日、陪審員が有罪の評決を下した。検察側が死刑を求める一方、弁護側は「死刑によって社会は良くならない」と主張し、陪審員は死刑が妥当かどうかの審議に入った。
結局、9人は死刑を支持したが、3人は仮釈放のない終身刑を主張した。裁判長が12日、これ以上話し合を続けても全陪審員の意見が一致することはないと審議を打ち切り、陪審員は終身刑の評決を下した。最終的に裁判長が13日、仮釈放のない終身刑を言い渡した。陪審員は評決直前、4日間計30時間に亙って集中審議した。
この評決を受け地元検察は「陪審員の中に、いかなる場合でも死刑に反対する人がいた。これでは公正な裁判ではない。州法を改正するよう議会に働きかける」と述べた。具体的には、陪審員10人の賛成で死刑の評決が出せるよう法改正を求めるという。
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