小中学生「携帯は不要」教育再生懇談会
学校内に限らず、小中学生には携帯電話は必要ない、と言い続けている私に言わせれば、遅きに失した感があるが、大阪府の橋下知事が強く打ち出した「学校に携帯電話は必要ない」から、小中学生の携帯不要の考えが、加速的に全国に波及し始めたようだ。心ある教師がいる地域では、早くから携帯電話の危なっかしい面を見抜いていた。早くには既に2002年、和歌山県の山口裕市教育長は、学習時間の減少や人間形成に影響が出るとして、公立小中学校に携帯電話の原則持ち込み禁止や情報教育の指導を求める通知を出している。大阪府の取組みが注目される中、同教育長は県議会文教委員会で、「再度徹底するとともに、正しい利用法を指導しなければならない」との見解を示した。
毎日新聞(12/18)から、 要約と 《 》内は私見
政府の教育再生懇談会(座長、安倍祐一郎・慶応義塾塾長)は、子どもの携帯電話利用に関する提言の素案をまとめた。「小中学生が携帯電話を持たないよう保護者や学校が協力する」とし、通話機能に限った携帯電話の促進や、小中学校への原則持ち込み禁止を促している。
素案は、携帯電話が「子どもの生活習慣を乱れさせ、対人関係の希薄化を招いている」として、利用制限の必要性を強調する。原則的には必要ないとしたうえで、安全確保のために持つ場合は、
1)有害サイトに接続できないフィルタリングサービスの利用
2)情報を適切に利用するリテラシー*教育の徹底
3)家庭内でのルール作り
4)小中学校への持ち込み禁止
など、教育委員会によるルール作りを提言した。
* 情報リテラシー -- 情報を自己の目的に適合するように使用できる能力のこと
《フィルタリングにしろ、リテラシー教育にしろ、容易に徹底できるものではない。要は保護者による家庭内教育がすべてであることを周知徹底させることだ。保護者の理解がなければフィルタリングもリテラシー教育も、絵に描いた餅で終わることになる。子どもへの教育以上に現物を買い与えるだけの親の道徳律に左右される要因の方が余程大きい。》
また双方向のやりとりができるサイトでいじめやトラブルが起きていることを問題視。ネット接続できない機能限定型の携帯の普及を目指し、携帯電話事業者による販路開拓も促している。
《利益率の低い機能限定タイプのものを業者が力を入れて販促に励むなどと、再生懇がまともに考えているとするならばお目出度い話だ。このタイプのものが子どもに必要なことは以前から取り上げられていた。しかし、メーカーが真剣に生産工程に組み込むことなど考えられない話だ。例えば小中学生、或いは未成年には機能限定機種しか販売してはならない、とでも決めて取り締らない限り普及することは不可能だろう。》
再生懇は今年5月の第一次報告で携帯電話の使用制限を謳い、具体策を練っていた。提言は来月、麻生太郎首相に提言する。
また、再生懇は18日、教科書の質と量との充実を求める第二次報告を首相に提出した。国語と理科、英語はページ数の2倍増を目指し、分量制限の撤廃や教科書検定の審査基準見直しを提言。さらに「考える力をつける題材の提供」が必要として、英字新聞や文豪の名文からの引用を具体策として例に上げた。
また、埼玉県教委でも17日、公立小中学校への携帯電話の持ち込みを原則禁止、公立高校では使用を禁止する指導指針を、来年1月に県内の市町村教委に示すことを明らかにした。
文部科学省が7月、都道府県教委に携帯電話に関するルールの明確化を通知。その中で「小中学校は原則持ち込み禁止」と指針を示しており、埼玉県教委はこれに倣った。県教委が現在策定中の「ネットいじめ等対応マニュアル」に、特別な事情がある場合を除いて県立の中学では原則持ち込み禁止、県立高校は使用を禁止すると盛り込む。市町村教委にも各学校を指導するよう促すとしている。
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コメント
こうべいさんこんにちは。
小中学生に「携帯は不用」全く今頃という感もありますね。
腹の立つのが親が言う必要論。緊急の連絡用、防犯用。外出している時なら百歩譲ったとして、学校には全く不必要です。
学校内にいる限り緊急の連絡は取れますよね。私も小学生の頃祖父が亡くなったので、直ぐ帰るようにと先生を通じて連絡がありました。携帯を持っている子供に授業中でも電話をするつもりでしょうか。
また防犯用にしても札幌市教委は、防犯ブザーを小学生低学年に持たせるように配布していますが、携帯電話もしかり、それで安心なんてまったく思えません。それほど子供が心配なら低学年のうちだけでも、仕事に出ないで子供の帰りを家で待つくらいの覚悟がないものかとも考えます。
その前に学校内にゲームもついているし、写真も撮れるような機器の持ち込みはしてはならないと早くから決めて欲しかったですが、私が周りを見る限りしっかりした子育てをしている家庭の多くは子供に携帯を持たせていませんし、給食費を払わない家の子が自分専用の携帯電話を持っていると非常に腹が立ちます。
また、携帯電話メーカー、通信会社や販売店も売ることしか考えず、学校ウラサイトのようなものやアダルトサイトを野放しにして来た責任は問われるべきで、携帯電話が一般化されて振込詐欺に代表されるような犯罪も増加させたことを重く受けとめるべきではないかと思います。
投稿: BEM | 2008年12月19日 (金) 10時24分
BEMさん、いつも丁寧なコメントを下さってありがとうございます。
ここまで敷衍した携帯電話、いまさら子どもたちが言われたことに従うか、との懸念も浮かびますが、今日の閣議後の記者会見で塩谷文科相が「携帯を禁止」の意見を述べました。お尻を引っ叩かれてのようです。
「道草、より道、、まち歩き」 折りに触れ見させていただいています。主任児童委員って大変なおしごとですね。おっしゃるように権限もないままに、責任が重く、気の休まる間もないこととお察しします。
また、関東にはない北海道ならではの写真の美しさも魅力です。
投稿: 小言こうべい | 2008年12月19日 (金) 21時30分