マグロは食べられなくなるのか
毎日新聞(12/9、13)から 要約と、《 》内は私見
太平洋中西部のマグロ資源を管理する国際機間「中西部太平洋まぐろ類委員会」(WCPFC)の年次総会は12日、韓国・釜山で5日間の日程を終え、同海域のメバチマグロの漁獲量を09年から3年かけて30%減らす管理措置で合意した。日本漁船が主に行なうはえ縄漁の漁獲量は09〜11年に1年当たり10%ずつ削減することになる。外国漁船が主体の巻き網漁については、集漁装置っを使った操業の一定期間の停止を決めた。同案を支持する日本の水産庁は「削減が決まっても国内消費への影響は軽微」とみているが、世界的にマグロ資源を取り巻く状況は厳しさを増しており、中長期的には日本の食卓にも一定の影響は出そうだ。
漁獲量の削減幅は、いずれも01〜04年平均に対する割合。「浮き魚礁」などの集魚装置を使った巻き網漁は09年については2カ月間停止するか、漁獲量を10%削減する。10、11年は3カ月間停止するが、来年の年次会合で代替措置を検討する。日本や欧州連合(EU)は巻き網についても数量規制を主張したが、多くの国が反対したため09年は2通りの選択肢を設けた。削減効果を検証し、来年の年次会合で見直すこととなる。
日本の漁獲枠は1年当たり約3300トン減るが、国内のメバチマグロ供給量の2%弱と少なく、円高で輸入増も見込まれることから価額などに大きな影響は出ない見通しだ。
メバチマグロはキハダマグロに次いで消費量が多く、スーパーや回転ずしでも日常的に提供される比較的低価格のマグロ。大平洋中西部の総漁獲量は06年に約13万9000トンで、うち日本が約3万3000トンと2割を占める。水産庁によると、同海域のメバチマグロの資源量は現時点では豊富だが、現在のペースでとり続けると将来的には適性水準を下回ることが懸念される。
読者からの質問に答える例の「なるほドリ」のコーナーから。
庶民的なメバチマグロに加えて、最高級のクロマグロ(本マグロ)の漁獲規制が国際的に強まっている。その規制についても年々強化されてきている。11月下旬、モロッコで開かれた大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT)は、東部大西洋と地中海で取ってもよいクロマグロの漁獲量を09〜11年、約2割削減することを決めた。
Q、なぜ、大西洋と地中海の漁獲規制がひつようなの?
A、世界でとれるクロマグロ約4万7000トン(06年)のうち、約6〜7割が大西洋と地中海産なのです。
Q、クロマグロは日本で人気があるね?
A、世界のクロマグロの約9割を日本人が食べています。回転ずし店などで手ごろな値段で食べられるクロマグロの多くは、大西洋と地中海産の蓄養ものなのです。蓄養とは、中サイズのクロマグロを海の生け簀で半年以上育て、大きくしてから出荷するものです。天然ものより安く輸入できます。
Q、蓄養マグロのおかげで安く食べられるということだね。で、2割の削減は日本にどんな影響を与えるの?
A、09年の場合は現行の漁獲枠の2万7500トンが2万2000トンに減ります。日本が東部大西洋で取っている割当量も2345トンから1871トンに減ります。全体で5000トン程度の削減量なので、水産庁は「今度の規制自体が日本のクロマグロ市況に影響は殆どない」と予測しています。国内では冷凍の在庫が豊富にあり、市況への影響はなさそうです。
Q、安心した!
A、ちょっと待って。高級なミナミマグロとともに資源の状態は世界的に悪化しています。メバチマグロの規制も強化されて行くので、価格が徐々に上がって行くのは避けられないでしょう。
Q、やはり、マグロが食べられなくなるの?
A、そうでもないでしょう。大手水産会社は国内の生け簀で飼育した養殖クロマグロを出荷し始めています。体長20センチ程度の稚魚を2年以上飼って、約60キロにして出荷するものです。卵から育てる完全な養殖の技術も完成しています。技術が進歩すれば、将来は大いに期待できそうです。
《クジラほども大きくなれば養殖も考えられず、多くの国から非難されながらでも捕鯨はやめずに続けているが、念願だったマグロは完全養殖も可能になった。狭い地中海にまで出かけなければ漁獲量が乏しくなったマグロだ。資源の欠乏が懸念されたが、やっと養殖技術が完成した。少々不味くてもマグロと名がつけば日本人は喜ぶ。新鮮な魚よりも、解凍マグロにでも有り難がって舌鼓を打っていた程度の味覚人種なのだ。回遊マグロが取れなくても養殖マグロで十分だろう。どうやら、マグロは今後とも心配しないで食べられそうだ。》
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