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2008年11月30日 (日)

小中高生、暴力行為件数最悪に

毎日新聞(11/21)から、 《 》内は私見
小中高校生の暴力行為件数が過去最高の5万2000件を超えた。20日文部科学省が発表した「問題行動」調査結果は、幅広い年代で暴力が深刻化している実態を浮き彫りにした。専門家らは「愛情を注がれずに育った自己肯定感のない子が突然、キレている」と指摘。新しい校内暴力の時代に、現場は苦悩している。

《私の少年時代のことはしばしば取り上げてきた。貧乏の子沢山の家庭で育った兄妹7人は、きょうだい喧嘩こそ絶えなかったが、苦しい時にはじっと我慢して力を合わせ耐えねばならないことを学んだ。明治生まれの頑固一徹の父は高等教育を知らず、貧乏で生活は苦しくても、例え何があっても長いものには巻かれない強固な精神力を子供達に叩き込んでくれた。家庭では頑として揺るがない本当の意味の大黒柱だった。

《数日前のこと、テレビで興味ある企画をやっていた。一家の父は、朝から晩まで働き、皆の生活を支えている‘特別な存在’として、父には感謝の気持ちで、夕食に添える惣菜に刺し身を一品加えて1週間、家族には黙って実験をし、その家族の反応を見るというものだった。家族は高校生の男の子と中学生の女の子の兄妹、祖母と両親。

《父親は、ビールを手酌で飲み、長男の目の前を妻が差し出す刺し身を当然のように摘んだ。子供達はそれぞれ受験のことで話し合いをしていた。父親が仲間に入ろうとするが子供達は聞こえない振りで見向きもしない。2、3日経過して父がビールを飲むことを止め、子供達の話に入ろうとした。長男が父の話を不承不承に聞き対応した。妹も加わってきた。それから2、3日後、父がビールを再び飲んだ日、長男が父のジョッキにビールを注いでやる行為が生まれた。そして、最終日、1週間の実験を明かした。

《長男に聞いた「父への一品追加をどう思ったか」長男は、自分の大好物の一品が出た時には我慢できないかもしれない、との返事だった。その後家族会議の結論で、父のビールは食事が終わってから、そして、長男の父へのビールを注ぐサービスは続いていた。父への一品追加はなくなっていた。

《私の当時の夕食風景が、全くその通りだった。父の膳には必ず子供達にはない一品の惣菜がついていた。父はアルコールは駄目で、小さい頃から父が家で酒やビールを飲んでいる姿は目にしたことは一度もない。当時は日本の家庭はどこでも父親は威厳を持ち一家の中心だった。姿がなくても子どもには怖い存在だった。そして父親が子どもの行動規範になっていた。子どもが親を見るのは昔も今も変らない。それが親の背中を見て育つ、と言われる所以だ。

《翻って現在の日本の家庭における父親像は、優しくて友だちのような何でも言える関係のように身受けられる。子どもが言うことを聞かなくても、叱ることのできる存在ではなくなった。また、当時の母親は専業主婦が殆どだった。父親のいない時間帯は母親が子どもを見守った。その母親も今では早朝から夕方まで家にはいない家庭が増えた。

《世の変化とともに、生活様式も変化した、義務教育も3年延長した。貨幣価値も変った。高等教育も受けなかった一人の男が、社宅、借家住まいで、貧しくとも一家13人の生活を支えることが可能であった当時とは時代が同じではない。当時、小学校6年の義務教育以上の教育を受けられるのは生活水準の高い家庭の子女に限られていたが、現在では望んで金さえあれば、誰でも大学までも進学することも可能になった。そして殆どの家庭では子どもは大学へ進むことが可能な程裕福で贅沢になった。敢て裕福というが、私の子どもの頃は、継ぎはぎだらけの衣服、兄妹が上がいれば必ずお下がりで我慢、片ちんばでも文句も言わず、それが普通ととらえられるのが大方の家庭の子供達の生活だった。

《また、“末は博士か大臣か”と謂われた最高学府も、今では掃いて捨てる程に増えた大学のお陰で、「大卒」は、そう値打ちのある有難がる肩書きではなくなった。最高学府が悪だくみに長けた官僚を排出している現状では、学問の貴さも影が薄くなる一方だ。

《小中高校生の不安定な精神状態は、幼い乳幼児の原体験が心の底に燻っている。父親が、子どもが起きている時間帯にいるのは休日くらい。それだけではない。母親でさえ早朝から子どもを託児所にあずけ、午後には学童保育に預ける。一体いつ、両親が保護者として、子どもの教育や躾けをしているのだろう。冒頭の「愛情を注がれずに育った・・・」は、愛に飢えた子供達の暴発を裏づけているものだ。特に母親の愛情が必要な乳幼児期、母子が顔を合わせて生活できるのは、託児所、保育所から夜寝るためだけに家に連れ帰ってから寝つくまでの時間だけだ。連れ帰ってからは、本来子どもに必要な睡眠時間を取り上げ、深夜まで甘やかすことを愛情と勘違いし、睡眠し休ませることで生まれる脳の発達や情操面の発達の邪魔をする。情緒不安定となるのは当然とも思われる。

《新聞は指摘ている。「さびしさと、むかつきと、もどかしさと」が暴力の暴発の原因となっていると》。

全国の小中高校生による暴力行為の発生件数が07年度、過去最多の5万2756件(前年度比18・2%増)に上ったことが、「問題行動」に関する文部科学省の調査で分かった。小中高すべてが過去最多で、特に小学校は前年度に比べ37・1%に増えた。

暴力行為は全小中高校計3万9025校を対象に調査し、
  小学校は  5214件
  中学校は3万6903件(同20・4%増)
  高校は 1万 739件 (同 4・7%増)に達した。

状況別では生徒間が2万8396件で最も多く、
     器物損壊1万5718件
     対、教師  6959件
     見知らぬ人 1683件

校内暴力は 4万7935件で全体の21%にあたる8204校で発生した。文科省は「同じ学校で繰り返し発生し、同じ児童生徒が複数回起している」と分析。教育委員会への聞き取りでは、暴力行為増加の原因について感情をコントロールできない子や規範意識が低い子の増加が指摘された。

学校が他機関と連携し、加害児童生徒に対応した際の相手も初めて調査した。警察など刑事司法機関が5161人と最多で、児童相談所など福祉機関は1646人だった。

『暴力行為』の定義
調査では「故意に有形力(目に見える力)を加える行為」としている。05年度までは「喧嘩となり怪我を負わせた」などと例示し、被害のレベルが一定以上のケースだけを集計していた。06年度からは「(被害者の)怪我や被害届の有無などにかかわらず計上するこっと」として軽微な行為も集計対象に含め国私立校も対象に加えた。

                --- つづく ---
  

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