「自分は孤独だ」15歳の幸福度調査
07年度発表の国際調査で「孤独」だと感じている子どもの割合が最も高かったのは日本だった。最も低かったのはオランダ。今月、オランダから教育研究家が来日し、教育のあり方を提言した。
カットは「孤独」と題された英国の画家フレデリック・レイトン(1830〜1896)の1890年ごろの作。
<Wikipedia より>
「なぜ、モノが豊かな日本で、こんなに多くの子が孤独を感じているのでしょうか」。今月11日に青山学院大(東京都渋谷区)で開かれた「日蘭共同教育改革シンポジウム」(オランダ大使館主催)で、オランダ在住の教育研究科家、リヒテルズ直子さんは、日本の教育関係者ら約300人の参加者に問いかけた。
壇上のスクリーンに映し出されたデータ(左表)に参加者は釘付けになった。07年に国連児童基金(ユニセフ)が発表した、経済協力開発機構(OECD)加盟国を対象に実施した子どもの「幸福度」に関する調査結果だ。
「自分は孤独だと感じるか」という質問(対象は15歳)に「はい」と答えた割合は、日本が29・8%で、回答のあった24カ国中トップ。ほぼ3人に1人が感じていることになる。次いで多かったアイスランドでも10・3%。一方、オランダは2・9%で最低だった。
《では、15歳の「孤独」とは一体何だろう。日本の子どもたちには特別優れた哲学的思考力が備わってでもいるのだろうか。集まったデータから種々検討はされたことと思うが,大人はこの「孤独」をどのように捉え、どう分析し、解釈するのだろうか。世界の国々の歴史の中で育まれてきた文化の違いや、文明の差が現れてくるのに不思議はないだろう。特に日本人に目立つ‘皆と同じ’的な付和雷同は、個人主義の洗礼を受けて育ってくるヨーロッパの15歳とは自ずと「孤独」の捉え方にも違いが生じる。日本の15歳といえば中3、高1の年齢だ。その殆どが携帯を持ち、五月蝿いほどメールを交換する。孤独感から逃れるためにやっていることなんだろうか。》
《早い話しが日本の場合、幼い小学生からブランド志向の弊害を植え付けられ、友達が持っているから、の理由だけで欲しがる、衣類や装飾品、或いは携帯など、このようなレベルでの満たされないことに対する「孤独」の方が強いだろう。要するに皆と同じでないと満たされない「孤独」というヤツだ。そして、15歳の人間の数だけ千差万別に孤独は存在することになる。》
実はこの調査では「自己肯定感」にも顕著な差が出ている。「自分は不器用だと思う」と答えた割青も日本が18・1%で最も高かったのに対し、オランダは6・9%。40項目の結果から、オランダは「幸福度」で総合1位を獲得した。
なぜこんな差がでるのか。「一因として学校教育の違いがあると思う」。リヒテルズさんは96年からオランダで暮らし、子どもたちの学校生活を通して日本・オランダ両国の教育現場を見てきた。
先ず、オランダで重視しているのは自立学習と共同学習を柱にした「個別教育」。小学校の教室では、5人程度のグループに分かれ、それぞれが違う課題をこなしている光景がよく見られるという。統一の教科書はなく、習熟度に応じて先生が適切な教材を与える。「各自のサイズに合わせた教育と言い換えることができるかもしれない」とリヒテルズさんは言う。
《『各自のサイズに合わせた』とは各自のレベルに合わせたということだ、日本でこんなことをすればモンスター親たちの怒鳴り声、咆哮が聞こえて来るようだ。恐らく「差別待遇だ」、「○○さんの子とうちの子と何処が違うんだ」など、吊るし上げられる教師の悲鳴が聞こえる。クラス中の女の子は白雪姫、男の子は王子さまでないと気が済まないのと同様のモンスターたちの授業妨害となるだろう。》
かつてはオランダでも、日本のように1人の先生が同じ内容を全員に講議する形の授業が主流だったが、不登校や学力格差などが問題化した60〜70年代にかけて方針転換した。その後、「イエナプラン教育*」をはじめ多様な教育方法に基づく学校が次々に誕生し、受け入れられている。
* 「イエナプラン教育」・・異なる学年の子どもが同じ教室で一緒に学ぶ「異学年学級」を取り入れるオランダの教育システム。緩やかにつながり、情報を交換する中で、それぞれのメンバーが自主的・自律的に、個別の子どもの個性やニーズに応じた教育実践をすることを目的としている。
《分りやすく言えば、日本でも昔からあった寒村僻地の分校や極少人数の学校と同じようなものとも考えられる。上級生は下級生の勉強を含む面倒を見てやり、登下校を引率し、全校生徒が同列に学校行事を執り行う。オランダから学ばなくても日本本来の教育システムをもう一度見直すことでヒントは見つかるはずだ。》
日本ではここ数年、国際的な学習到達度調査(PISA:Programme for International Student Assessment)の結果に端を発した教育改革が盛んに論じられている。リヒテルズさんは講演で「学力に偏重した改革ではなく、人間としての総合的な発達を目指してほしい」と注文をつけ、「オランダの教育が最善だとは思わないが、幸福度調査の結果は少なくとも一人一人の子どもに耳を傾ける大切さを示していると思う」と締めくくった。
《孤独感と同じように幸福度についても人それぞれに感じ方は異なり、毎日の食事ができるだけでも幸福と感じる子もいれば、高級な洋服を買ってもらえないだけで不幸と感じる15歳もいる。こちらも人の数だけ「幸」「不幸」が存在する相対的な価値観だ。》
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コメント
確か、日本は学校に行くのもいやと答えている人も多いような気がします。
文部省は初等、中等教育を昔の水準に戻し、大学まで厳しくしようとしているそうですが。
日本の学校は本当に型にはめるのが好きですね。
小中学校では執拗なまでに、型にはめるような指導をし、失敗すれば罰ですか。
わけの分からん集会もよく開くしね。
それに合うやつは、伸びていくんでしょうけど、合わないやつはどんどん落ちていきますよ。
投稿: スコット | 2009年1月 1日 (木) 14時23分