周産期医療センターって?
先ず「周産期」がよく理解できない。メディアにかかると言葉そのものが、今にも命に危険が迫ったような緊迫感が漂う。通常に出産は病気ではない。女性なら普通に妊娠、出産は大方は通る道だ。そこで改めて「周産期」の言葉の意味をいつもの通り広辞苑で調べてみた。それによると、
出産の前後の時期、とある。恐ろしい言葉ではないようだ。続いて、産前、産後のこと。
狭義には妊娠第29週以後、生後7日まで、
広義には妊娠第29週以後、生後28日までとある。そして、
母子双方にとって注意を要する時期、とある。これでは書店に並んでいる女性誌の記事と何ら変らない。
それが、「総合周産期母子医療センター」となると、突然救急病院のような響きに変る。いや、実際に「妊婦と新生児のための救急病院」のことなのだそうだ。
毎日新聞(10/28)読者の質問を取り上げるコーナー、「なるほドリ」から
「総合周産期母子医療センター」って何?
Q 脳出血を起した妊婦さんが8病院に受け入れを拒否された後に亡くなった問題で出てきた「総合周産期母子医療センター」って何ですか?
A 簡単にいうと、妊婦と新生児のための救急病院です。一般の救急には1次(診療所など)、2次(地域の救急病院)、3次(救急救命センター)というピラミッド型の受け入れ体制があります。産科救急にも別のピラミッドがあって、総合周産期医療センターは一般救急の3次施設に相当する、いわば「最後のとりで」です。
Q どんなことをするの?
A 母体と新生児の集中治療室を原則それぞれ6床、9床以上備え、24時間態勢で母子を受入れます。国が整備を始めた96年、産科医療は
1)1施設当たりの医師数が少ない
2)妊婦の高齢化などで低体重児が生まれる割合が増えている
といった事情を抱えていました。そこで産科医の集約化を進め、リスクの高いケースへの対応を強化しようとしたのです。その結果、日本の乳児死亡率(06年)は1000人当たり2・6人と、世界で最も低い水準でした。
Q 全国にたくさんあるのですか?
A 45都道府県に74施設あり、国と都道府県が補助金を出しています。国の整備指針では産科医は24時間の複数対応が望ましいとされていますが、今回受け入れを断わった都立墨東病院は当直医が1人だけでした。
Q 医師不足が原因なのですか?
A 根本はそうですね。医師の全体数は年間4000人程度増えているのに産婦人科・産科の医師数は98年から06年までに約11%減りました。墨東病院では定員9人の常勤産科医が4人に減り、本来の機能が果たせていなかったのです。
Q 周産期センターで無理なら、一般の救急で対応できなかったのですか?
A その疑問は残ります。墨東病院にはER(救急治療室)もあったのに情報が届いていませんでした。産科と救急では、それぞれ搬送先をインターネットで検索できるシステムが大半の都道府県にありますが、双方を連携させているのは21自治体しかなく、国も運用実態を把握していません。医師不足の解消と併せ、そうしたシステムの改善も今後の課題です。
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