学生(大学)の成績を父母らに通知
毎日新聞(10/7)から
学生の成績を親に通知する大学が増えているという。一部の私大では慣例化していたが、近年、早稲田大などの有名私大や国立大にも広がり、北海道大は今春入学の学生から通知を始めることにした。「成績を知ってもらうことで留年が防げる」「学資を出す人への説明責任がある」などが主な理由だが、大学内部には「学生を子ども扱いしていいのか」との懐疑的な意見もあるという。
「12学部でアンケートを取ったが、表立った反対はなかった。『もう大人なのに』との異論はごく一部だった」。今春、全学部生の成績表を送付することを決めた北海道大の脇田稔副学長はそう話す。
北大の場合、狙いは「学生のメンタルヘルス対策」という。欠席や留年を経て心身に不調をきたす学制もいることから、履修状況や成績を父母らに伝え、危機意識の共有を図るのだという。
国立大では、東北大が06年度から工学部など3学部で通知を始め、04年度から一部で導入した横浜国立大は現在、3学部で実施している。埼玉大と滋賀大も昨年度から全学部で始めた。一部学部で通知する神戸大は「国立大学法人になり、保護者へのサービス向上に努める必要がある」と説明している。
〈主な大学の成績通知状況〉
北海道大 全学部通知
東北大 一部学部で通知
宇都宮大 全学部通知
筑波大 実施していない
埼玉大 全学部通知
東京大 実施していない
一橋大 実施していない
千葉大 一部学部で通知
横浜国立大 一部学部で通知
名古屋大 実施していない
和歌山大 全学部通知
京都大 実施していない
大阪大 実施していない
三重大 一部学部で通知
神戸大 一部学部で通知
九州大 検討中
早稲田大 一部学部で通知
慶応大 全学部通知
法政大 全学部通知
上智大 全学部通知
一方、私立では、慶応大が50年以上前から通知しているが、明治大(97年)や法政大(99年)のように近年、通知を決めた大学も少なくない。
「わが子の成績を教えてほしい、という保護者の要望が増えてきた。大学と保護者が連絡を密にすることで、きめ細かい学生指導ができる」。4年前から成績送付を始めた早稲田大文学部の担当者は必要性を強調する。ただ「自学自習」をモットーに学生の自立を重んじる学風だけに、一部の教授からは「早稲田らしくない」と反対の声も上がったという。早稲田大では政治経済学部や理工学部も全学生の成績を通知し、人間科学部や法学部は成績不振の学生の親に送っている。
法政大の担当者は「以前は卒業式に参列したらわが子が見当たらず親が初めて留年を知るなんてこともあった。成績通知後はそんなことはない」と笑う。ある私立大職員は「親に言われないと勉強をしない学生もいる。履修科目の相談など学生がすべき問合せを親がしてくるケースもある。学生も保護者も以前とは変った」と漏らした。
《ヘリコプターペアレントや、甘やかされて自立の精神など持たずに育った坊やにお嬢さまたちだ。メンタルヘルスにバランスを崩すのも当然のような気がする。それだけに壊れ物に触れるような大学側の痒いところに手の届く気の配りようだ。身体だけは大きくなっても、こころは大人になり切れなていない子どもたちだ。大学にまで行って親に言われないと勉強しない人間など、運よく卒業できても、社会に出てきたところで何の役にも立たない。あれこれ言ってくれる親がいなくなった時、どう生きるのだろうか。》
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