「学校選択制」見直し - 2 -
「学校選択制」見直し 08/09/26
上は、東京都江東区の小学校で学校選択制を見直し、来年度から住所で決まる通学区域の学校への入学を原則とすることを決定したことを取り上げ,遅かれ早かれどこの自治体でも現状の見直しが必要だろうと書いた。
毎日新聞(10/22)から 《》内は私見
〈学校選択制度〉
規制緩和のため、97年に旧文部省が通学区域の弾力的運用を認める通知を出し、03年の学校教育法施行規則改正で各教委が選択制を導入できようになった。06年の文部科学省調査では、小学校で240自治体(14・2%)、中学校で185自治体(13・9%)が導入している。しかし、行きたい学校を選べる自治体は金沢市や長崎市など少数派だ。山村の小規模校の活性化のため学区外から入学を認める限定的な選択制が多い。
学区外の小中学校にも通える学校選択制度を巡り、東京都内28市区の教育委員会を調査したところ、今春の各校の入学率(校区内で住民登録している就学者数に対する入学者数の割合)に、8・1〜326・7%と大きな格差があることが分かった。人気校と不人気校の固定化が進み、区部では新入生が1けたの学校が7校、10人以上20人未満が23校ある。男女の希望者数も偏り、男子が3割未満の中学も出ている。
選択制は00年に「個性的な学校づくり」を目標に東京都品川区が取り入れてから都市部に広まり、東京では19区と9市が導入している。同紙は、全国で最も普及している東京の実情を調べた。
入学率は、その学校が児童・生徒にどれほど選ばれたかを示す。各校の今春の数値を尋ねたところ、品川区では初の小中一貫校となった旧第2日野小が326・7%に達した一方、近隣の小学校は27・8%に落ち込んだ。江東区では、統廃合が噂された中学校の入学者が7人となり、わずか20・6%。小規模を避ける動きは、どの地区にも共通している。
文教地区にあってクラブ活動が盛んな学校には志望者が集まりやすい。一方、小規模校では廃部やチームを結成できない部も相次ぎ、他校に流れる子も少なくない。「荒れている」「いじめがある」の噂で生徒が減る学校もある。
《9月のブログでも触れたが、噂が噂を呼んで尾ひれがつき、格差が生まれるのは群衆心理としては避けられない、ブランド物のバーゲンセールに群がる消費者と同じように、目玉コーナーは黒山の人だかりになる。どこどこの誰それさんは○○か、それじゃうちも、となる。誰それさんが持っているからうちの子にも、で携帯所持の低年令化現象が起るのも同じことだ。》
選択制の課題については、小規模校化が助長される(多摩市)や、学校間の生徒数の格差が広がり(練馬区)など、生徒数の偏りを懸念する声が出た。一方、メリットとして学校の活性化を上げる」教委が多かった。かつて新入生がゼロだった品川区の中学校が、学力強化策を掲げ小中一貫校となってスタートしたところ、今春の新入生は65人に回復した例もある。
男女比をみると、野球部やサッカー部のない江東区の中学で、男子の割合が29%まで減る一方、部活の盛んな他校で男子が57%になるなど、一部でアンバランスが生じている。
選択制は前橋市が、生徒数の偏りなどを理由に、11年度から原則廃止を決めている。江東区も小学校での選択は徒歩で通える範囲に限る範囲に限る見直しを行う。
解説でも触れているが、『少人数の学校は「切磋琢磨」が難しい、「問題児がいる」などの噂で新入生は激減する。また、校舎が新しいというだけで生徒が集まる学校もあり、「教育内容で選んで欲しい」という教育委員会の思惑は空回りしがちという。江東区や品川区は対策として、小規模校に特別の予算を組んでいるが、選択制の功罪を冷静にとらえ直す時期に来ているのではないか、』と。
《学校を選ぶには学校についての教育方針など情報が十分でなくてはならないが、反面保護者の側にも選ぶ基準がなくてはならない。ただ校舎が新しいからや、荒れている、いじめがあった、お友達が行くからなど噂話しが基準であっては、特に子どもに判断能力がない小学校の選択は、子どもが親の勝手の被害者になる懸念だってあるのだ。学校選択制度をこれから取り入れようとする自治体もある中、すでに制度の改善に取りかかる自治体もある。これからの自治体が先行している自治体の轍を踏むことはない。この際原点に戻って改めて制度の見直しをするべきではないか。》
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