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2008年9月 6日 (土)

「離婚前妊娠」の無戸籍児

これまで40本あまりの関係する記事を書いて来たが、この問題には5月の「『300日問題の家族』法相と面会」以来意識的にしばらく触れないできた。理由は、自分たちの法を守らなかった不始末を、法のせいにして勝手な論法を主張する当該者たちの言い分にいい加減飽きていたからだ。また、それを一方的にキャンペーンとしてバックアップするように書き立てるマスコミ(私には毎日新聞)の、法を時代錯誤とするような見解と、情(生まれた子に罪はない)こそすべてのような薄っぺらな人情論に嫌気がさしたからだ。

日本が法治国家としてある以上、法は守ってこそ法となる。300日問題とは、その根底に法を侵したことが起点となった問題なのだ。どのような理由があるにせよ、離婚(法の下での)後6ヶ月の再婚禁止期間を空けて始めて妊娠に至る行為が認められるのだ。それが300日以内であることは絶対にあり得ないことなのだ。法を侵しての行為には、妊娠(可能年齢など関係ない)を避ける手段を講ずるのが、相手となる夫でない男も含めたお互いの責務であるべきなのだ。それを未だにメディアは次のように書いた。それがどうしても反論しなければと思わせ、再び文字にしたくなった理由だ。

【閑話休題】
毎日新聞(9/4)の見出しは大きく次のように書かれている。「不倫・不貞の子」扱いは偏見 と。
私はこれを見て即座に‘そう思うことこそ偏見’だと思った。記事を担当するのはずっとキャンペーンに携わって来た東京社会部の工藤哲。確かに毎日新聞はこれまで打って来たキャンペーンに対する新聞協会からの数々の受賞経歴がある。しかし、こと300日問題は現在の日本社会が性モラルを失い、性の価値基準もない乱脈状況にあることと法は切り離して考えるべきだ。貞操は価値もなく、不倫、不貞は当たり前、婚前妊娠は大流行り、嫌になれば離婚は簡単,母子家庭は増え、事実婚と呼ばれる同棲による婚外子が量産される。

キャンペーンは現在のこれら性風俗を正当化し、不倫・不貞は恋愛ということばで飾られ、違法行為が普通に存在することとして、現在の法が現実にそぐわないと断じているのだ。このような視点に立脚して300日問題を見て、反対する立場の意見を偏見と呼んでいるのだ。

記事をみてみよう。 要約と、《 》内は私見
 離婚後300日問題のキャンペーン報道を06年12月から続けてきた。無戸籍児への無料乳児健診や児童手当支給などの行政サービスが徹底され、住民票も一定の基準を満たせば作られるようになった。そして「離婚後の妊娠」で生まれた子なら「現夫の子」で戸籍に記載されるようにもなった。一連の報道の成果と自負しているが、「離婚前の妊娠」で生まれた子は、いまだに調停や裁判をしなければならない。法務省の推計によれば、「離婚前の妊娠」は、離婚後300日以内に生まれる子の9割を占める。今も根本的解決とはいえない状況だ。

この「離婚前」妊娠のケースに直接結びつくことだが、300日問題を崩ずる上で付いて回るのが「不倫・不貞」という言葉だ。「いまだ戸籍に記載されない子どもがいるのは、『不倫・不貞』の結果だ。親がきちんとけじめをつけないからこうなるのだ」。そんな世間の声が聞こえてきそうである。昨春、DNA鑑定で父子関係が明白で、前夫に異論がなければ「現夫の子」と認める議員立法の新法案が、国会への提出を目前に見送られた大きな理由もそこにあった。当時の長勢甚遠法相からは「貞操義務」「性道徳」との発言まで出た。

《結婚の条件に貞操の義務が付随するのは当たり前のことだ。現在の法は一夫一婦制だ。貞操の義務は女性だけではない男性の側にもある。時代が変わっても法律上の義務がなくなったことではない。当時の長勢法相の発言を時代錯誤と嘲笑ったような文脈だが、勘違いは記事を書いた工藤記者にある。》

これまで無戸籍児を育てる多くの女性(母親)に会って話を聞いてきたが、「現夫」や「パートナー」が同席したケースでは、「相手が法的に別の男性と結婚している状態なのに、なぜ自分の子を妊娠させる結果になったのか」と率直に聞いてみた。

男性には「その場の雰囲気」とか「300日規定を知らなかった」などと歯切れの悪い答えが目立った。女性の中人は「妊娠できる年齢のリミットが迫っていた」と話し、妊娠を急いだ背景に自分自身の責任もあると主張する人もいた。

《「300日規定を知らなかった」。知らなかったことで許されるのなら、すべての違反も罪も成立しなくなる。》

こうした話を聞き、同じ男性の立場から、「現夫やパートナーにもう少し自覚があれば、女性や子どもが傷つかずに済んだのでは」と責めたくなったこともある。

《これでは責められるのは男性だけのことだろうか。女性に夫がいる立場の自覚があれば、言い寄られたとしても、‘はいはい’と受け入れることはないだろう。法を犯した罪はお互い様だ。》

だが、取材に応じた現夫やパートナーは、子どもが無戸籍となった厳しい現実を受け止め、世間の批判や偏見にひたすら耐えていた。女性を守り、子どもを戸籍に記載させようと、自ら「無戸籍児家族の会」に相談し、思いを訴える人もいた。

《批判されるのは当然の報いだろう。それに偏見でもなんでもない。当然の事実を突きつけているだけなのだ。また、不倫相手の男性が女性を守るのは当たり前のことで同情するに値する行為でもない。》

こうしたケースでは、妊娠を一時的な「過ち」などと考えている例は皆無で、女性は新しいパートナーを得て、人生を再スタートさせたといえる。

《そうだとすれば不倫は一層の確信的な行為となり、全く同情の余地はない。》

また、京都市の30代女性のように、前夫と別居した後に新パートナーと知り合って交際が始まり、再婚して妊娠・出産したはずだったのに、前夫が女性から預かった離婚届けを出さなかったため、書類上の離婚の日付けが遅くなり「離婚前の妊娠」とされた事例もあった。これは離婚届の「受理の日付」の問題で、「不倫・不貞」とはまったく無関係の事情だ。

《多くの300日問題の特殊な一例を挙げて、さも正当性があるがごとき表現で、問題のすべてがそうであるような印象を与えようとする作為が感じられる》

取材で会った当時者の家族はただひたむきに、一歩ずつ前に進もうとしている人たちだ。こうした家族を「不倫・不貞」と決めつける一人には、「実際にその家族や子どもを見て、じかに接してから主張すべきだ」と言いたい。自ら声を出して取材に応じる人たちの中には、「世間から批判を浴びるような関係ではない」と言う人もいるだろう。

《自らが蒔いた種なら自らが責任を取るのが民主主義だ。それが自由に行動したあとの責任の取り方だ。世間の批判や、法が時代に合わないと恨むのは逆恨みというものだ。同情の余地などまったくない。》

仮に「不倫・不貞の子」だったとしても、生まれた子どもに罪があるはずがない。親の事情によって、国の宝ともいえる子どもの人生が生まれながらにして公的に否定されてしまう事態は、絶対にあってはならないことだ。これまで無策だった国会や政府の対応は批判されて当然だ。

《随分勝手な論理だ。生まれた子に罪はない。そんなことは誰でも知っている。親の事情(不倫・不貞)によって、国の宝(浪花節的センスだ)を否定してはならないという。しかし、子どもをそのよな環境下に生み落としたのは国ではない、誰あろう不倫をした結果その子を生んだ母であり、不倫相手なのだ。国会や政府の無策を難じるが、責任が国や政府にあるわけではない。300日問題の救済は、原則的には現在ある裁判による解決法でよい。どのような嫌な思いをしようと、顔が見たくなかろうが、それが当事者たちの責任の取り方だ。》

「夫婦4組に1組は、夫婦とも、またはどちらかが再婚」という時代。

《それが不倫・不貞と何か関係があるというのか。それにその数字は法の下で行われた離婚、再婚であろうと推察される。300日問題と絡めて持ち出す事例ではないだろう。》

現行の300日規定では、妊娠が離婚の「前」か「後」かで、天と地ほど差のある状況が生まれている。「結婚生活を忘れてしまいたい『離婚」の日付にどれほどの意味があるのか」。

離婚問題に詳しい榊原富士子弁護士は「結婚中に生まれた子は、母のその時の夫を父親とする。そのうえで、前夫が『自分の子だ』と主張したら、その時に裁判で覆せばいい」と言う。

《優先権を不倫相手に与え、法律上の本来の夫には異議申し立てしかできないということだ。これでは話しがあべこべではないか。底の浅い人情論で法律をないがしろにすることがあってなならない。自由とはとっても不便で不自由なものだと知ることだ。それが責任というものなのだ。》

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