「学校選択制」見直し
月日の経つのは速いものだ。10年有効のパスポートが後2週間で切れる。年齢を考えると再申請も10年は必要ないかとも思ったが、同じ10年で手続きを済ましてきた。改めて古いパスポートの写真と見比べ眺めてみた。毎朝の洗顔時、髯剃りどきに何気なく見てきたわが顔、3600日あまりの時事刻々では気がつかない変化も、時を飛んで10年後の現在、老化現象は随所に現れていて驚く。さて、男性の平均寿命を遥かに越え、87歳になる10年有効の期間を通して歳を伴に(ウイズエイジング)生きていられるだろうか、同年齢の妻と一緒にいられるだろうか・・・。
上は2年前、学校選択制を取り上げて記したものだ。東京都品川区の小学校で00年度に初めて導入されて始った学校選択制だが、早くも齟齬を来たしたと見えて見直しをする自治体がある。
毎日新聞(9/26)から
東京都江東区は、区内全域から希望校を選択できる「学校選択制度」を一部見直し、来年度から小学校については、住所で決まる通学区域の学校への入学を原則とすることにした。
選択制で地域と子どもたちのかかわりが薄れてきたとの住民の指摘を受けた措置で、選択制度が全国に広がる中、議論を呼びそうだ。
区教委によると、小学校は「徒歩で通える学校」を原則とする。しかし、親の希望などに配慮して選択制は残し、通学区域外への入学も認める。中学校はこれまで通り、全区域から選ぶことができる。
《随分生ぬるい見直しだ。親の希望を入れては中途半端なものになるだけだ。我侭勝手な今を時めくモンスター親たち相手に、どのように納得させることができるのか妙案でもあるのだろうか。》
区教委は02年度、「学校ごとに特色を出し合い、教師の意識改革や学校の活性化につながる」などの理由で学校選択制を導入した。他区域を選ぶ割合が徐々に増え、今年度の新1年生は小学校で22%、中学校では37%が通学区域外に入学した。しかし、一方で、区民から「地元の学校に地域の子どもが少なくなっている」などの意見が寄せられるようになったという。
区教委は「制度を6年間やってきたが、地域と子どもの関係が希薄になっている。子どもたちが、地域とのかかわりを強めることを重視したい」と話している。
《修学旅行でもしばしば喧嘩が発生するように、他校との間には対立意識はあってもなかなか仲間としての連帯は持てないものだ。同じ学校に通学できる地域で顔見合わせる生活していながら、離ればなれの学校に通うようになることは、子供心にお互いを疎外する感情を持つようになってもおかしくない。そのことは、惹いてはいずれもが地域社会への愛情を持たなくなり、生まれ育ってきた地域との関係を薄くする下地にもなるのだ。
《親が選ぶ学校は、必ずしも親が直接各学校を比較して選択するものではないだろう。そのような高所から全体が評価できる親はそうはいないだろう。おそらく耳に入る評判や噂だけで選んだ結果に過ぎないのではないか。良く言えば教育熱心だが、親の勝手、親のエゴを満足するだけで子どもは地域の連帯の外に弾き出される。
《自ら責任を途中で投げ出した元首相が言っていた「愛国心」の基盤は、自分の国を文字通り愛することだが、その核になるのが自分が生まれ育った土地を、町や村を愛する心から生まれるものだろう。江東区の心配は、わが町の子どもたちが他所の学校に通うことで、地域との関係が希薄になりつつあることを懸念するものだ。
《00年度以来、全国に広がっている学校選択制を導入している自治体には、この先必ず起る問題なのかも知れない。そして導入以来、これからの展開を予定している自治体もある中、10年も経たないうちに早くも見直しが始ったようだ。》
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